ここは花咲く『日本史BL検定対策講座』

陣リン

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第四話 これは、臆病な恋の話

これは、臆病な恋の話(4)

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     ※   ※   ※

 渡り廊下に恥ずかしそうにひょいと顔を出すのは杏の枝だ。
 膨らんだ蕾から甘い香りが漂うも、それを楽しむ余裕などない。
 見上げた蓮の額からは色が失われていた。

「ひ、ひどいじゃないか。モブ子さんたち……」

 両手で抱える大量のレポートは今にもずり落ちそうである。
 運んでやるよ、なんて凛々しく言っていたモブ子らは冊子のあまりの重さに早々に音をあげた。

「何だこれは! 講座のレポートが何でこんなに重いんだ」
「誰がこんなもの書いたんだよ!」
「って、アタシらだよ!」

 コントのようなやりとりをしたかと思うと、蓮に冊子を押しつけて行ってしまったのだ。
「ゴメン」もなければ、言い訳もない。

「な、なんて自由な子たちなんだろう」

 宿題でもないのに、毎回異様に分厚いレポートを書いてくるのは彼女たちなのに。
 今度のコミケのネームとキャラデザを、ぜひとも蓮ちんに見てほしいなんて言っていたっけ。
 彼女たちが何を言っているのかはよく分からないのだが、確実にその熱量は伝わってくるズッシリ感。

「小野くんがいてくれたらなぁ」

 素直にそう思うのは、彼の献身を当てにしてしまっているからにほかならない。
 ハッと気付いて、ダメだダメだと首を振る。

 生徒さんを荷物持ちにするなんてよくない。
 レポートくらい軽々運んでこそ一人前じゃないか。

「がんばるぞ。よいしょ!」

 ずり落ちそうな冊子を膝を使って抱え直したときのこと。
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