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第179話 さてと、これより移動開始です、、、。
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前回のあらすじ:護衛依頼がきたので、受けることにしました。
さて、あれこれどうでもよさげな部分で少し問題は発生しましたが、ついに出発となりますね。出発に当たっては、領民達が大勢見送りに来た。もちろん戦姫に対しての見送りである。間違っても私にではない。仮に私達に対して見送りをする場合、それはマーブル達にである。というのも、一応私を見送ることは領主命令の禁止事項にしてあるからである。べ、べつに嫌われているとか、そういうことじゃないんだからね!!
と、そんなことはさておき、これから出発するんだけど、最初の引き手は豆柴達5匹が担当するようだ。ちなみに、ウサギ達は今日はお留守番のようである。引く予定としては、日ごとにウサギ達と豆柴達が交代することになっていて、時間ごとにマーブル達と交代ということになったようだ。ただ、それだと数的におかしいということで、ウサギ達3匹が別に担当するとのこと。コカトリス達も立候補したらしいが、却下されたらしい。何でも大きさがダメとのこと。いや、大きさ的な問題なら、私的には、むしろコカトリス達にお願いしたかったのだが、、、。
ちなみに、ライムとオニキスはその担当には入っていないらしい。というのも、ライム達はスライムなので、引くことには向いていないのだ。以前お試しで引いてみたけど、速度こそあれども、動きが一定ではないのだ。ということは、乗る方は確実に酔ってしまうということだ。そんなわけでライム達は馬車を引くことはしないようだ。
領民達の見送りを受けて、ルクレチ王国へと出発した。フロストの町を街道沿いに出て、道的に突き当たりまで進むと、タンヌ王国側への道と帝都への道に分かれる。ちなみに、それにかまわず真っ直ぐ進むと、魔樹が沢山いる森へと入る。もちろん、今回の旅はタンヌ王国側になるのでそっちへと進む。
5体の豆柴達は嬉しそうに尻尾を振りながら道中を進んでいく。この子達に引っ張ってもらっているという意識さえ捨て去れば、非常に可愛らしく、モフモフしたくなるのを抑えるのに必死である。私はといえば、御者席に座ってそれを眺めている。マーブル達は基本私の膝の上に交代で乗ったり、隣に座ったりだけど、時折馬車から出ては、豆柴達の隣に来ては伴走しては会話を楽しんでいるようだ。戦姫の3人は、何か話し合いをしているようだけど、詳しい内容についてはわからない。
そんなこんなで、タンヌ王国の国境にある砦に到着。一旦馬車を降りる。以前に援軍として来て以来だけど、顔ぶれは特に変わってはいなかった。ここからはタンヌ王国ということで、アンジェリカさん達が先導する。守備兵達は総出で出迎えた。
「皆様、任務ご苦労様ですわ。」
「アンジェリーナ王女殿下、並びにフロスト侯爵とご一行、セイラ様、ルカ様に敬礼!!」
「皆さん、お疲れ様です。あれからどうですか? 何か変わったことは?」
「特に変わったことはありません。ここは平穏でございます。そのため、訓練が捗りすぎております。」
「おお、欠かさず訓練を行っているようですね。」
守備隊長が言うには、訓練を欠かさず行っていることにより、以前苦戦した魔物でも比較的楽に倒せるようになったと興奮気味に伝えてきた。その分対人戦に関しては、腕が落ちているかもと苦笑いしていたけど。その他には、以前よりここを通る人が増えてきたらしい。
少し話をしてから、この砦を抜けてタンヌ王国へと入国した。本来であれば、フロストの町からここまでは普通の馬車では丸一日かかる距離ではあるが、豆柴達が張り切って進んだので、昼前にはここに到着してしまったので、ついでにここで守備兵のみんなと食事を摂ることになった。
ちなみに、この砦はタンヌ王国とトリトン帝国の境に存在しているが、実はトリトン帝国側では守備兵を置いていない。元々置かなかったし、これからも置くことはないだろう。ただ、サムタン公国側には新たに守備兵は置いているらしい。そこの守備兵は1日交替で勤務しているようだ。そこでは転送装置を使って、フロストの町とつながっていると聞いたことがある。フロストの町で食事を摂る兵士が比較的多かった理由がそこで初めて分かった。
なんでも、功労者はあまりフロストの町で食事を摂る機会がないのに対し、公国側との砦に勤務している兵士達は、1日ごと、いや、正確には砦では保存食を食べているらしいが、オーガジャーキーなどの保存食や、場合によっては自分たちで調理したものを食べるようだ、フロストの町で手に入れた食材を使ったもので。そういった訳で、その砦に勤務している者達は、ほぼ毎日フロストの町での食事が食べられるということで、左遷どころか栄転だと言われているらしい。ちなみに、その兵士の家族はフロスト領で一緒に生活しているとのことで、家族も喜んでいるとのこと。いや、そこまで喜んでくれるのは嬉しいんだけど、何でフロストの町?
普通は帝都じゃないの? 頼むぜ帝都。一日でも早い食の進化を期待しているよ。
砦の守備兵達と食事を摂ってから、ルクレチ王国へと向かって進行再開である。ここからは交代でマーブルとジェミニ、それとホーンラビット、ベリーラビット、ファーラビットのウサギ達が引く。豆柴達はというと、先程マーブル達が行動していたことと同じような行動を取っていたのは笑った。膝の上に乗ったりとか、隣に座ったりとか、馬車から降りてマーブル達と会話していたりと。
砦までは馬車の中にいた戦姫の3人も話し合いが終わったらしく、時折馬車から出て外の様子を眺めたりするようになっていた。そのときに、少し確認しておきたいことがあったので、聞いてみた。そんなのは出発する前に聞いておけよと思うかもしれないけど、ある程度行き当たりばったりなのが、私達の移動なのである。
「そういえばアンジェリカさん、夜なんですけど、フロストの町に戻るのはいいとして、一応名目的に宿に泊まったりするんですよね? どこの街にします?」
「いえ、街には寄りませんわよ。」
「へ? 寄らなくてもいいんですか?」
「ええ、構いませんわよ。下手に街に入ってしまうと、歓迎という名の足止めをくってしまいますから。」
「足止めって、、、。」
「ええ、足止めですわ。先程セイラとルカと話し合ったのですが、ワタクシ達の考えとしましては、さっさとルクレチ王国に入国して、当日までのんびりとルクレチ王国の国内を観光して回ろうと思いますの。」
「来賓がそんなことして大丈夫なんですかね、、、。」
「大丈夫ですわ。トリトン陛下ではありませんが、タンヌ王国としても、王国の義理として観戦に伺うだけで、特に交流を深めようとかそんな気持ちはありませんし、お父様も同じ考えですの。それに、、、。」
「それに?」
「こういう機会でないと、冒険者ギルドの存在しない国で冒険者活動はできませんから。どんな未知なるものがあるのかワクワクしますわね。」
「なるほど、一理ありますね。ただ、向こうが許可してくれるかどうかは別ですけどね、、、。」
「そんなの別に構いませんわよ。こちらは別に内部工作するわけでもありませんし、最悪こじれたとしても別段問題なんてありませんわ。まだありますわ。」
「まだあるんですか。」
「ええ、この馬車の速度の問題ですわ。」
「速度の問題?」
「ええ、トリトン帝国内であれば、先程の速度でも全く問題ありませんけど、タンヌ王国内、いや、トリトン帝国以外の国では、あんな速度で移動できないでしょう?」
「確かにそうですね。移動しようと思えばできますけど、色々と面倒な問題を引き起こしかねませんからね。今の速度でも結構問題起きそうですけどね。」
そう、一応タンヌ王国に入ってからは、マーブル達には速度を落としてもらうように頼んである。それでも他の馬車とは段違いの速度で進んでいるため、時折先を進んでいた馬車を追い抜かしたりしていた。追い抜かされた馬車や通行人は速度だけでなく、猫とウサギ達が引いていく光景を目の当たりにして余計に驚いていたのだ。そりゃあ、何も知らないと驚くよね、、、。
「そういう訳で、アイスさん。先を急ぎたいので、街は全無視で通過しますわよ!! 暗くなってきたら、街道から外れて転送ポイントを用意してくれれば結構ですので。マーブルちゃんお願いしますわよ!」
「ミャア!!」
そう言って、馬車を引いているマーブルにアンジェリカさんが声をかけると、マーブルは元気に返事をしていた。非常に可愛らしい声だった。
途中でおやつタイムという名の休憩をはさんで、引き手の交代をしながら先を進んだ。結構進んだ感じだけど、流石に国を横断するとなるとまだまだ先は長いようだ。何だかんだ言っても、フロスト領内だって、アウグストが全力で駆けても1日はかかるからなぁ、、、。そう考えると、国って大きいねぇ。
引き手が再び豆柴達になり出発進行。速度は先程と同じでよろ、とお願いすると、「オン!」と元気よく可愛い声で応えてくれた。移動を再開すると、マーブル達は私の膝の上に乗ったりと、先程と同じ行動を取っていたが、ウサギ達だけは違った。ルカさんが手放さなかったようだ。まあ、時折ウサギ達もアンジェリカさんの所やセイラさんの所にも行っていたようだし、オニキスもちょこちょこセイラさんの所に行っていたようだし、モフモフに関しては大丈夫そうで何よりだ。
こんな感じで道中は順調に進んではいたけど、次の街にはたどり着かなかった。次の街にはあと半分くらいとのこと。ちなみに次の街とは、タンヌ王国の王都であるタンヌの街である。着いたら寄ろうか? と聞いたけど、どうせ家族には毎日のように会っているし、足止めが長くなりそうだから嫌だと言っていた。
タンヌ王国は、基本的には街道沿いに村が点在しており、大きな街というのは少ないそうだ。というのも、王国の昔からの方針で、土地持ちの貴族が住んでいる領都には大きな街を、そうでない場所には村をという感じで構成されており、その上で、土地持ちの貴族が少ないのでこういう感じになっているそうだ。国力についてもそれほど高くはないので、ずっとこんな感じらしい。
とはいえ、街が少ない分、村があちこちにあるが、治安についてはかなりいいらしいので、冒険者はもちろんのこと、商人や普通の旅人であっても比較的安全に移動や宿泊ができるようだ。そう言われて、集落っぽい場所を結構な数通り過ぎたのを思い出した。何か宿場みたいな感じだったな。宿場って実際は見たことないけどね。
少し暗くなり始めた感じがしたときに、良い場所が見つかったので、少し早かったけど今日はここまでとしましょうか。馬車から降りて馬車を空間収納にしまい、転送ポイントを設置してもらって、水術で結界を張ってから、フロストの町へと帰還した。
豆柴達を一通りモフモフしてから、豆柴達を見送った。豆柴達は恵みのダンジョンへと帰って行った。また明後日ね。今日一緒に行ったウサギ達ともモフモフして解散。夕食の準備をする。今日は戦姫の3人とも一緒に摂ることにした。夕食が終わり、フェラー族長から報告を聞きつつ領主の仕事を行い、完了してから今度は久しぶりにねぐらへと転送してもらう。スガープラントの在庫が尽きかけてきたのでその補充だ。
折角ねぐらに来たので、ここで風呂と洗濯を済ませ、領主館へと戻る。良い感じで眠くはなってきたけど、今日はほぼ座りっぱだったので、結構きついなと思っていたけど、マーブル達がいつも以上にモフモフしてくれたので、その感触を堪能していたらいつの間にか眠っていたのだった。
-------------------------
ルクレチ王「今回の参加者の腕前はどうだ?」
ルクレチ大臣「今回の参加者はオーガを単独討伐という試験を超えた剛の者達のみでございます。」
ルクレチ王「ほう、それは楽しみだのう。」
ルクレチ大臣「ええ、我らの兵の強さを見て、来賓達は恐れおののくでしょう。」
彼らは知らない。ドラゴンを平気で討伐できるメンバーがやって来ていることを、、、。
さて、あれこれどうでもよさげな部分で少し問題は発生しましたが、ついに出発となりますね。出発に当たっては、領民達が大勢見送りに来た。もちろん戦姫に対しての見送りである。間違っても私にではない。仮に私達に対して見送りをする場合、それはマーブル達にである。というのも、一応私を見送ることは領主命令の禁止事項にしてあるからである。べ、べつに嫌われているとか、そういうことじゃないんだからね!!
と、そんなことはさておき、これから出発するんだけど、最初の引き手は豆柴達5匹が担当するようだ。ちなみに、ウサギ達は今日はお留守番のようである。引く予定としては、日ごとにウサギ達と豆柴達が交代することになっていて、時間ごとにマーブル達と交代ということになったようだ。ただ、それだと数的におかしいということで、ウサギ達3匹が別に担当するとのこと。コカトリス達も立候補したらしいが、却下されたらしい。何でも大きさがダメとのこと。いや、大きさ的な問題なら、私的には、むしろコカトリス達にお願いしたかったのだが、、、。
ちなみに、ライムとオニキスはその担当には入っていないらしい。というのも、ライム達はスライムなので、引くことには向いていないのだ。以前お試しで引いてみたけど、速度こそあれども、動きが一定ではないのだ。ということは、乗る方は確実に酔ってしまうということだ。そんなわけでライム達は馬車を引くことはしないようだ。
領民達の見送りを受けて、ルクレチ王国へと出発した。フロストの町を街道沿いに出て、道的に突き当たりまで進むと、タンヌ王国側への道と帝都への道に分かれる。ちなみに、それにかまわず真っ直ぐ進むと、魔樹が沢山いる森へと入る。もちろん、今回の旅はタンヌ王国側になるのでそっちへと進む。
5体の豆柴達は嬉しそうに尻尾を振りながら道中を進んでいく。この子達に引っ張ってもらっているという意識さえ捨て去れば、非常に可愛らしく、モフモフしたくなるのを抑えるのに必死である。私はといえば、御者席に座ってそれを眺めている。マーブル達は基本私の膝の上に交代で乗ったり、隣に座ったりだけど、時折馬車から出ては、豆柴達の隣に来ては伴走しては会話を楽しんでいるようだ。戦姫の3人は、何か話し合いをしているようだけど、詳しい内容についてはわからない。
そんなこんなで、タンヌ王国の国境にある砦に到着。一旦馬車を降りる。以前に援軍として来て以来だけど、顔ぶれは特に変わってはいなかった。ここからはタンヌ王国ということで、アンジェリカさん達が先導する。守備兵達は総出で出迎えた。
「皆様、任務ご苦労様ですわ。」
「アンジェリーナ王女殿下、並びにフロスト侯爵とご一行、セイラ様、ルカ様に敬礼!!」
「皆さん、お疲れ様です。あれからどうですか? 何か変わったことは?」
「特に変わったことはありません。ここは平穏でございます。そのため、訓練が捗りすぎております。」
「おお、欠かさず訓練を行っているようですね。」
守備隊長が言うには、訓練を欠かさず行っていることにより、以前苦戦した魔物でも比較的楽に倒せるようになったと興奮気味に伝えてきた。その分対人戦に関しては、腕が落ちているかもと苦笑いしていたけど。その他には、以前よりここを通る人が増えてきたらしい。
少し話をしてから、この砦を抜けてタンヌ王国へと入国した。本来であれば、フロストの町からここまでは普通の馬車では丸一日かかる距離ではあるが、豆柴達が張り切って進んだので、昼前にはここに到着してしまったので、ついでにここで守備兵のみんなと食事を摂ることになった。
ちなみに、この砦はタンヌ王国とトリトン帝国の境に存在しているが、実はトリトン帝国側では守備兵を置いていない。元々置かなかったし、これからも置くことはないだろう。ただ、サムタン公国側には新たに守備兵は置いているらしい。そこの守備兵は1日交替で勤務しているようだ。そこでは転送装置を使って、フロストの町とつながっていると聞いたことがある。フロストの町で食事を摂る兵士が比較的多かった理由がそこで初めて分かった。
なんでも、功労者はあまりフロストの町で食事を摂る機会がないのに対し、公国側との砦に勤務している兵士達は、1日ごと、いや、正確には砦では保存食を食べているらしいが、オーガジャーキーなどの保存食や、場合によっては自分たちで調理したものを食べるようだ、フロストの町で手に入れた食材を使ったもので。そういった訳で、その砦に勤務している者達は、ほぼ毎日フロストの町での食事が食べられるということで、左遷どころか栄転だと言われているらしい。ちなみに、その兵士の家族はフロスト領で一緒に生活しているとのことで、家族も喜んでいるとのこと。いや、そこまで喜んでくれるのは嬉しいんだけど、何でフロストの町?
普通は帝都じゃないの? 頼むぜ帝都。一日でも早い食の進化を期待しているよ。
砦の守備兵達と食事を摂ってから、ルクレチ王国へと向かって進行再開である。ここからは交代でマーブルとジェミニ、それとホーンラビット、ベリーラビット、ファーラビットのウサギ達が引く。豆柴達はというと、先程マーブル達が行動していたことと同じような行動を取っていたのは笑った。膝の上に乗ったりとか、隣に座ったりとか、馬車から降りてマーブル達と会話していたりと。
砦までは馬車の中にいた戦姫の3人も話し合いが終わったらしく、時折馬車から出て外の様子を眺めたりするようになっていた。そのときに、少し確認しておきたいことがあったので、聞いてみた。そんなのは出発する前に聞いておけよと思うかもしれないけど、ある程度行き当たりばったりなのが、私達の移動なのである。
「そういえばアンジェリカさん、夜なんですけど、フロストの町に戻るのはいいとして、一応名目的に宿に泊まったりするんですよね? どこの街にします?」
「いえ、街には寄りませんわよ。」
「へ? 寄らなくてもいいんですか?」
「ええ、構いませんわよ。下手に街に入ってしまうと、歓迎という名の足止めをくってしまいますから。」
「足止めって、、、。」
「ええ、足止めですわ。先程セイラとルカと話し合ったのですが、ワタクシ達の考えとしましては、さっさとルクレチ王国に入国して、当日までのんびりとルクレチ王国の国内を観光して回ろうと思いますの。」
「来賓がそんなことして大丈夫なんですかね、、、。」
「大丈夫ですわ。トリトン陛下ではありませんが、タンヌ王国としても、王国の義理として観戦に伺うだけで、特に交流を深めようとかそんな気持ちはありませんし、お父様も同じ考えですの。それに、、、。」
「それに?」
「こういう機会でないと、冒険者ギルドの存在しない国で冒険者活動はできませんから。どんな未知なるものがあるのかワクワクしますわね。」
「なるほど、一理ありますね。ただ、向こうが許可してくれるかどうかは別ですけどね、、、。」
「そんなの別に構いませんわよ。こちらは別に内部工作するわけでもありませんし、最悪こじれたとしても別段問題なんてありませんわ。まだありますわ。」
「まだあるんですか。」
「ええ、この馬車の速度の問題ですわ。」
「速度の問題?」
「ええ、トリトン帝国内であれば、先程の速度でも全く問題ありませんけど、タンヌ王国内、いや、トリトン帝国以外の国では、あんな速度で移動できないでしょう?」
「確かにそうですね。移動しようと思えばできますけど、色々と面倒な問題を引き起こしかねませんからね。今の速度でも結構問題起きそうですけどね。」
そう、一応タンヌ王国に入ってからは、マーブル達には速度を落としてもらうように頼んである。それでも他の馬車とは段違いの速度で進んでいるため、時折先を進んでいた馬車を追い抜かしたりしていた。追い抜かされた馬車や通行人は速度だけでなく、猫とウサギ達が引いていく光景を目の当たりにして余計に驚いていたのだ。そりゃあ、何も知らないと驚くよね、、、。
「そういう訳で、アイスさん。先を急ぎたいので、街は全無視で通過しますわよ!! 暗くなってきたら、街道から外れて転送ポイントを用意してくれれば結構ですので。マーブルちゃんお願いしますわよ!」
「ミャア!!」
そう言って、馬車を引いているマーブルにアンジェリカさんが声をかけると、マーブルは元気に返事をしていた。非常に可愛らしい声だった。
途中でおやつタイムという名の休憩をはさんで、引き手の交代をしながら先を進んだ。結構進んだ感じだけど、流石に国を横断するとなるとまだまだ先は長いようだ。何だかんだ言っても、フロスト領内だって、アウグストが全力で駆けても1日はかかるからなぁ、、、。そう考えると、国って大きいねぇ。
引き手が再び豆柴達になり出発進行。速度は先程と同じでよろ、とお願いすると、「オン!」と元気よく可愛い声で応えてくれた。移動を再開すると、マーブル達は私の膝の上に乗ったりと、先程と同じ行動を取っていたが、ウサギ達だけは違った。ルカさんが手放さなかったようだ。まあ、時折ウサギ達もアンジェリカさんの所やセイラさんの所にも行っていたようだし、オニキスもちょこちょこセイラさんの所に行っていたようだし、モフモフに関しては大丈夫そうで何よりだ。
こんな感じで道中は順調に進んではいたけど、次の街にはたどり着かなかった。次の街にはあと半分くらいとのこと。ちなみに次の街とは、タンヌ王国の王都であるタンヌの街である。着いたら寄ろうか? と聞いたけど、どうせ家族には毎日のように会っているし、足止めが長くなりそうだから嫌だと言っていた。
タンヌ王国は、基本的には街道沿いに村が点在しており、大きな街というのは少ないそうだ。というのも、王国の昔からの方針で、土地持ちの貴族が住んでいる領都には大きな街を、そうでない場所には村をという感じで構成されており、その上で、土地持ちの貴族が少ないのでこういう感じになっているそうだ。国力についてもそれほど高くはないので、ずっとこんな感じらしい。
とはいえ、街が少ない分、村があちこちにあるが、治安についてはかなりいいらしいので、冒険者はもちろんのこと、商人や普通の旅人であっても比較的安全に移動や宿泊ができるようだ。そう言われて、集落っぽい場所を結構な数通り過ぎたのを思い出した。何か宿場みたいな感じだったな。宿場って実際は見たことないけどね。
少し暗くなり始めた感じがしたときに、良い場所が見つかったので、少し早かったけど今日はここまでとしましょうか。馬車から降りて馬車を空間収納にしまい、転送ポイントを設置してもらって、水術で結界を張ってから、フロストの町へと帰還した。
豆柴達を一通りモフモフしてから、豆柴達を見送った。豆柴達は恵みのダンジョンへと帰って行った。また明後日ね。今日一緒に行ったウサギ達ともモフモフして解散。夕食の準備をする。今日は戦姫の3人とも一緒に摂ることにした。夕食が終わり、フェラー族長から報告を聞きつつ領主の仕事を行い、完了してから今度は久しぶりにねぐらへと転送してもらう。スガープラントの在庫が尽きかけてきたのでその補充だ。
折角ねぐらに来たので、ここで風呂と洗濯を済ませ、領主館へと戻る。良い感じで眠くはなってきたけど、今日はほぼ座りっぱだったので、結構きついなと思っていたけど、マーブル達がいつも以上にモフモフしてくれたので、その感触を堪能していたらいつの間にか眠っていたのだった。
-------------------------
ルクレチ王「今回の参加者の腕前はどうだ?」
ルクレチ大臣「今回の参加者はオーガを単独討伐という試験を超えた剛の者達のみでございます。」
ルクレチ王「ほう、それは楽しみだのう。」
ルクレチ大臣「ええ、我らの兵の強さを見て、来賓達は恐れおののくでしょう。」
彼らは知らない。ドラゴンを平気で討伐できるメンバーがやって来ていることを、、、。
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