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第173話 さてと、これはいいおかわりです。
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前回のあらすじ:食べられないから瞬殺した。後悔はしていない。
ザッハークとやらが出オチしてしまったので、水術で気配探知をしてみたけど、周辺には新たに来る存在は確認出来なかった。はぁ、もう終わりか、と少し残念に思っていたときに、マーブルが「ミャッ」と可愛く鳴きながら、これまた可愛らしい左前足で指し示し、何かの存在を私に伝えてくれた。
それを見ると、魔方陣が再び輝きを増しているのを感じた。おかわりキターーーー!! とテンションが上がりつつ様子を見てみると、これまたマーブルが何かに気付いたようで、それをジェミニが伝えてくれた。
「アイスさん! さっきのデカいやつが残していった魔石から魔力反応があったそうです。」
「魔石? 私には見えないけど、透明だったりとか、何か特殊な魔力で見えないようになっていたりとか?」
「いえ、魔石はワタシ達の攻撃で粉々に砕けたらしいですが、それが魔方陣に反応しているみたいです。」
「なるほど。折角おかわりが来たんだから、これを頂かない手はないね。このまま様子を見守ることにしようか。何なら、魔力が足りなそうなら、マーブル、あの魔方陣に魔力を追加してあげようか。」
「ミャア!」
「賛成です! 今度こそ食べられるやつが来て欲しいですね!」
「おにくーおにくー!」
私の提案に3人は喜んでくれた。うん、何をやっても可愛らしくて結構!!
とか思って何が出てくるかワクワクしながら魔方陣を見守っていると、アンジェリカさん達がこちらにやって来た。
「アイスさん、ご無事ですの? 何やらもの凄い光が現れたものですから。」
「ああ、アンジェリカさん達。もちろん無事ですよ。食べられないからさっさと倒した結果ああなりましたけど。」
「あの攻撃はやっぱりアイスさん達だったのですね、、、。」
「あれって以前使ったレールガンってやつだよね? あれよりももの凄かったけど、、、。」
「・・・あれは、反則。」
「まあ、それは置いといて、そっちはどうでしたか?」
「彼らも何とか倒せましたわよ。流石にドラゴン相手はきつかったようなので、後続もなさそうでしたので町に戻ってもらいましたけど。ところで、アイスさん達はここで何を?」
「王女殿下、魔方陣が光ってますよ。」
「もの凄い魔力、、、。」
「ああ、今はこの魔方陣からおかわりが来るんではないかとマーブル達と待っている状態です。魔力が足りなければ、マーブルに補充してもらおうかとも考えてますので。」
「なるほど。本来ならば慌てて魔方陣を壊さなきゃいけないのでしょうけど、アイスさん達ですからねぇ。折角ですので、ワタクシ達も一緒に倒してもよろしいですか?」
「そうですね。折角ですからお願い致しますね。」
はい、戦姫参加決定。それはそうと、領民組と帝国精鋭組はどうなっているのか様子を窺うと、まだ一部では戦闘が続いているようだけど、徐々に収束に向かっている感じだった。デカい存在が少しずつ減り、人らしき気配がまとまった数で動いているようだ。ということは、倒したら、獲物を回収して撤退、という動きで間違いなさそうだね。あ、領民側は終わったみたいだね。帝国精鋭組はまだ続いているようだけど。で、領民側では一部帝国精鋭側に移動している、ということは援軍かな。みんな無事だといいけど。
一方魔方陣の方は、徐々に光は強くなってはきているものの、まだ何かが現れるほどの状態ではなさそうでまだまだ時間はかかりそうだ。ということで、モフプヨタイムとなっている。マーブル達をモフったり、時には膝に乗せてブラッシングをしたりする。ライムやオニキスのスライム達には、空間収納に常備してある湧き水をかけたりして潤いを与えたりした。戦姫もマーブル達にブラッシングをしたりしていた。
しばらく至福の時を過ごしていたが、魔方陣の方はというと、ある程度の光量までは高まったものの、それ以上光が強くならない状態どころか、気のせいか弱くなっている気がしたが、気のせいじゃなかった。
「アイスさん、魔石っぽいものから魔力がなくなったみたいです。」
「ありゃ。ということは、まだ魔力が足りないってことかな。じゃあ、マーブル、試しにあの魔方陣に魔力を少し込めてみて。」
「ミャア!」
マーブルは元気よく返事をすると、右の前足が光り、その光が魔方陣に吸い込まれていく。マーブルの魔力を受け取った魔方陣の光が強くなった。
「おお、これで出てくるかな? マーブル、魔力は大丈夫?」
「ミャア!」
問題ないみたいだ。
「この程度の魔力すら込められないなんて、さっきの魔物も大したことなかったんですね。」
とジェミニはこう言っているが、実は間違いで、マーブルのチートじみた魔力のせいでそう感じるだけであり、実際は魔術師数十人がタップリ魔力を込めてようやくこのレベルの魔方陣は発動するのである。本来なら先程倒したザッハークの魔石であれば十分だったのだが、レールガンで塵となった魔石、もとい魔砂となってしまったあの状況では無理もなかった。
「お、気配がしてきたね。ようやくお出ましといったところかな。ということで、皆さん戦闘準備です。」
魔方陣から光の筒が突き出てきた。光が消えると、そこには7つの首をもつドラゴンがいた。またヒドラかい! とか思ったけど、何か違う。首ごとに色が異なり、見事なグラデーションとなっていたのだ。もちろん鑑定しますよ、今度こそ頼みますよ、アマさん。
--------------------
『キングドラゴン(なのまた)』・・・やれやれ、食えるか食えないかは、ワシが決めたことではないのじゃがなぁ、、、。ほう、珍しくエンシェントドラゴン以外で固有名をもっておるようじゃな。力はグレイルに匹敵するのう。おお、こやつも自己修復持ちじゃな。どうするかはお主にまかせるかの。どうやら美味いらしいぞ。いわなくてもお前さんならわかるじゃろう? チラッ、、、。
・・・いつもながら、最後の「チラッ」とかいらないんですが、、、。まあいいか。大事なのは「食べられる」という一点に尽きますな。しかも、自己修復持ちということなら、これは期待できるな。ということなら、折角なのでお裾分けと参りますかね。
「ほう、そこにいるのが、グレイルが盟を結んだ人か、、、。」
一番立派な首である真ん中の首の龍が話してきたが、私はそれどころではなかった。
「ジェミニ、レオと連絡が取れる?」
「アイスさん? 取れますよ。」
「じゃあ、連絡取ってくれるかな。内容は、「お肉が追加で来たから、所望するならこっちに来て」って感じで頼むね。」
「了解です! 族長、喜ぶですよ!」
「アイスさん、通信具ではなくレオちゃんと連絡ですか?」
「そうです。通信具だと、ウルヴ達経由だから時間がかかるんですよね。その点レオだと、すぐに行動に移せますから。」
「なるほど。ということは、あの龍って結構脅威ですの?」
「いえ。今アンジェリカさん達が訓練しているファイアゴーレムの方が強いと思いますよ。」
「では、何故?」
「あの龍って、自己修復持ちなんですよね。以前倒したヒドラも自己修復持ちでしたよね?」
「自己修復ということは、なるほど、そういうことですの。」
「そういうことです。」
アンジェリカさんが珍しい感じの微笑みだ。本人はニヤリのつもりみたいだけど、、、。ちなみに、ラヒラスの場合は同じような場合は腹黒さ満載のニヤリとなる。私はというと、どうなんでしょうかね?
「アイスさん、すぐにメンバーと連れて来るそうです!」
「ありがとう、ジェミニ。」
こっちで盛り上がっていると、偉そうに口上を述べていたであろうドラゴンが震えていた。
「ほう、虫けらの分際で、我を無視するとは、、、。こんなのと盟を結んだグレイルはやはり、地に墜ちたことは間違いない、、、。やはり、ここは我らが龍族、いや、この世界を直接支配する必要があるのやもしれんな。」
「では、作戦を伝えます。マーブル隊員とジェミニ隊員は、正面の太いやつの右側を。アンジェリカさん達戦姫は太いやつの左隣のやつを頼みます。恐らくあの太いやつ以外は自己修復で元に戻るので、ガンガン狩って下さい。他の部分も事故ならしょうがないです。ただ、真ん中のやつだけは首を刎ねてしまうと復活しなくなるような気がするのでスルー推奨です。あ、ライム隊員とオニキス隊員はしばらくは他の首が来たら迎撃してください。倒す必要は全く無いので。」
「アイスさん、他の首はどうなさいますの?」
「あれは、援軍に来る領民達用です。手を出してもかまいませんが、領民達が来たら手出し無用でお願いしますね。」
「「「「了解!!」」」」
真ん中の太いのが何か言っているけど、知らん。精々こちらのご馳走になってくれ。ドラゴンは無視されていることに激昂し咆哮をあげるが、うるさいので氷の塊を投げつけた。お、良い感じで命中した。どうせ弓矢では厳しいから、久々に投擲でいきますかね。
「ぐ、ぐぐぐぐ、、、。どこまでも舐めおって、、、。こうなったら、お前らを潰したら、その先にある集落ごと潰してやる!!」
そういうと、残りの首も一斉にこちらに襲いかかってきた。指示通りに真ん中の首には手を出さずに右側の首をマーブル達が攻撃し、左側の首には戦姫が攻撃した。他の首はライムとオニキスが体当たりで打ち払う。
「くそっ、ちょこまかと。焼き払ってくれるわ!!」
太い首のドラゴンが口を大きく開ける。要するにブレス攻撃である。その口めがけて再びアルスリを使って氷の塊を投げつける。今度のやつは爆破機能付きの特別サービスである。
無防備となった口の中に見事に氷の塊がぶつかり、その場で爆破する。太い首は大きくのけぞったが、他の部分はびくともしていなかった。それだけ下半身部分がしっかりしているのだろう。それぞれの首も、ブレスを放つつもりであったのだろうが、ことごとく失敗に終わった。真ん中の左右にある2本を除いて。
その2本の首はどうなったかって? もちろん、サクッと首を刎ねられて回収済みですよ。ということでその2本は現在修復中のようでニョキニョキと生えてきている状態です。他の4本は、私の投擲とライム達の体当たりで絶賛脳震盪状態です。
ということで、相手の復帰を待っている状態になったけど、相手の復帰を待っている間に領民達の援軍が到着した。内訳はレオ達ウサギ族5体、エーリッヒさん達ゴブリン10人、ウルヴonアウグストとアインにラヒラス、スペシャルゲストとしてコカトリス達5羽、帝国からはカット男爵率いる15人といった内容だった。
「アイス様、ご指示を。」
ウルヴが代表して、アウグストから降りての挨拶をしてきた。
「いや、戦闘中だから、ウルヴはさっさとアウグストに乗って。じゃあ、真ん中と左右の首以外を攻撃してもらうから、その指示はエーリッヒさんに任せるよ。ということで、エーリッヒさん、よろしく。」
「了解だ。ただ、こういった戦闘に関しては、エルヴィンの方が得意だから、彼に任せてもらっても構わないか?」
「そちらはお任せしますよ。」
ということで、エルヴィンさんに各部隊に分けてもらいそれぞれ担当してもらう。こちらも魔法部隊や飛び道具を扱う部隊にブレス対策として口をあけたら、物理的なもので攻撃すると効果的だということを伝えておいたので大丈夫だろう。
ドラゴンの方も脳震盪状態から復帰したので戦闘再開した。私はひたすら太い首のドラゴンにちょっかいを出してこちらに注意を向け続けていた。正直仕留めるのは容易い感じだったけど、周りのみんなに頑張ってもらうために終始ちょっかいを出す程度にとどめた。
マーブル達や戦姫の3人はともかく、援軍として来てくれたメンバーは、こういったことは初めてのようで、最初こそは苦戦しており、何度か私もそうだけど、ライムやオニキスも援護射撃をしてどうにか倒していたが、倒す度に復活していくので、そのうちに慣れてきたらしく、ライムは援護攻撃をやめて、回復要員として動き始めたようだ。
この作業に慣れた援軍のメンバーも殲滅速度が上がってきており、流石のドラゴンでも回復仕切れないほど消耗してきたようだ。そうなってしまったことにドラゴンが気付いた頃には逃走することもできない状態になっていた。そんなときにグレイルがこちらにやってきた。もちろんエンシェントドラゴンの姿で。それに気付いたキングドラゴンはグレイルに命乞いをしたようだ。
「お、お前はグレイル! 丁度いいところに! こいつらに何とか俺が戻れるように話をしてくれ、頼む!」
「断る。」
「な、何故だ!? 我らは同族ではないか!!」
「同族? うぬは散々我らを罵倒してきたではないか。人ごときに頭を垂れる情けない存在とな。我は散々忠告をしたぞ。それ以前に、相手の力量も測れぬ愚か者が龍族を名乗るでないわ!! ということで、アイスよ、我に遠慮はいらぬ。」
「? 遠慮も何も、お前に止める権利はないよ。こいつらが勝手に私達に喧嘩をふっかけてきたんだから。」
「む、そういえばそうだったな、スマン。では、我は町に戻るとしよう。」
「あ、そうだ、グレイル。集落のみんなは今日町に来るの?」
「ああ、そのつもりだ。」
「了解。ご飯楽しみにしてて、って伝えておいて。」
「了解だ、伝えておこう、我も楽しみにしているからな。」
言うだけ言ってグレイルは飛び去ってしまった。一体何しに来たのか知らないけど、間違いなく目の前にいるドラゴンは泣きっ面に蜂、いや、絶望極まりないといった感じなんだろうな。ひたすら首を狩っていた他のみんなも、復活しなくなった部位を見て攻撃を止めた。
さて、ではトドメと参りますかね。アルスリをしまってオニジョロウを取りだして矢を3本用意。投擲でボコボコになった頭部だけど、一応自己修復できているみたいなので、眉間の場所もハッキリと確認出来たところで発射。狙い通りに眉間、首、心臓部にそれぞれ命中、貫通したけど、飛び去らずにすぐに落下した。流石に貫通するのがやっとだったか。バッチリ空間収納へと放り込んで戦闘完了。周りを見ると、みんなスッキリした顔になっていた。魔方陣も跡形もなく消え去っていたので、残念ながらこれ以上は出てこないだろう。
「みなさん、お疲れ様でした。これにて迎撃戦は終了です。気をつけて町に戻りましょう。」
そう言い終わると、マーブル達は私に飛びついてきた。やはりいいモフモフだし、ライムのプヨプヨ感も最高だ。ぶっちゃけ、この感触のために生きているといっても過言ではないね。
一通りモフプヨを堪能した後、マーブル達は所定の位置に乗った。さてと、戻ったら肉祭りじゃ-!
-------------------------
龍族の民「グレイル様、よろしかったので?」
グレイル「何がだ?」
龍族の民「同胞を助けなかったことです。」
グレイル「ああ、問題ないぞ。むしろ感謝された。」
龍族の民「感謝、ですか?」
グレイル「そうだ。来た連中はそれぞれの里でも手に負えない存在だったらしいからの。」
龍族の民「どこも事情は似たり寄ったりですね。」
グレイル「そういうことだ。」
ザッハークとやらが出オチしてしまったので、水術で気配探知をしてみたけど、周辺には新たに来る存在は確認出来なかった。はぁ、もう終わりか、と少し残念に思っていたときに、マーブルが「ミャッ」と可愛く鳴きながら、これまた可愛らしい左前足で指し示し、何かの存在を私に伝えてくれた。
それを見ると、魔方陣が再び輝きを増しているのを感じた。おかわりキターーーー!! とテンションが上がりつつ様子を見てみると、これまたマーブルが何かに気付いたようで、それをジェミニが伝えてくれた。
「アイスさん! さっきのデカいやつが残していった魔石から魔力反応があったそうです。」
「魔石? 私には見えないけど、透明だったりとか、何か特殊な魔力で見えないようになっていたりとか?」
「いえ、魔石はワタシ達の攻撃で粉々に砕けたらしいですが、それが魔方陣に反応しているみたいです。」
「なるほど。折角おかわりが来たんだから、これを頂かない手はないね。このまま様子を見守ることにしようか。何なら、魔力が足りなそうなら、マーブル、あの魔方陣に魔力を追加してあげようか。」
「ミャア!」
「賛成です! 今度こそ食べられるやつが来て欲しいですね!」
「おにくーおにくー!」
私の提案に3人は喜んでくれた。うん、何をやっても可愛らしくて結構!!
とか思って何が出てくるかワクワクしながら魔方陣を見守っていると、アンジェリカさん達がこちらにやって来た。
「アイスさん、ご無事ですの? 何やらもの凄い光が現れたものですから。」
「ああ、アンジェリカさん達。もちろん無事ですよ。食べられないからさっさと倒した結果ああなりましたけど。」
「あの攻撃はやっぱりアイスさん達だったのですね、、、。」
「あれって以前使ったレールガンってやつだよね? あれよりももの凄かったけど、、、。」
「・・・あれは、反則。」
「まあ、それは置いといて、そっちはどうでしたか?」
「彼らも何とか倒せましたわよ。流石にドラゴン相手はきつかったようなので、後続もなさそうでしたので町に戻ってもらいましたけど。ところで、アイスさん達はここで何を?」
「王女殿下、魔方陣が光ってますよ。」
「もの凄い魔力、、、。」
「ああ、今はこの魔方陣からおかわりが来るんではないかとマーブル達と待っている状態です。魔力が足りなければ、マーブルに補充してもらおうかとも考えてますので。」
「なるほど。本来ならば慌てて魔方陣を壊さなきゃいけないのでしょうけど、アイスさん達ですからねぇ。折角ですので、ワタクシ達も一緒に倒してもよろしいですか?」
「そうですね。折角ですからお願い致しますね。」
はい、戦姫参加決定。それはそうと、領民組と帝国精鋭組はどうなっているのか様子を窺うと、まだ一部では戦闘が続いているようだけど、徐々に収束に向かっている感じだった。デカい存在が少しずつ減り、人らしき気配がまとまった数で動いているようだ。ということは、倒したら、獲物を回収して撤退、という動きで間違いなさそうだね。あ、領民側は終わったみたいだね。帝国精鋭組はまだ続いているようだけど。で、領民側では一部帝国精鋭側に移動している、ということは援軍かな。みんな無事だといいけど。
一方魔方陣の方は、徐々に光は強くなってはきているものの、まだ何かが現れるほどの状態ではなさそうでまだまだ時間はかかりそうだ。ということで、モフプヨタイムとなっている。マーブル達をモフったり、時には膝に乗せてブラッシングをしたりする。ライムやオニキスのスライム達には、空間収納に常備してある湧き水をかけたりして潤いを与えたりした。戦姫もマーブル達にブラッシングをしたりしていた。
しばらく至福の時を過ごしていたが、魔方陣の方はというと、ある程度の光量までは高まったものの、それ以上光が強くならない状態どころか、気のせいか弱くなっている気がしたが、気のせいじゃなかった。
「アイスさん、魔石っぽいものから魔力がなくなったみたいです。」
「ありゃ。ということは、まだ魔力が足りないってことかな。じゃあ、マーブル、試しにあの魔方陣に魔力を少し込めてみて。」
「ミャア!」
マーブルは元気よく返事をすると、右の前足が光り、その光が魔方陣に吸い込まれていく。マーブルの魔力を受け取った魔方陣の光が強くなった。
「おお、これで出てくるかな? マーブル、魔力は大丈夫?」
「ミャア!」
問題ないみたいだ。
「この程度の魔力すら込められないなんて、さっきの魔物も大したことなかったんですね。」
とジェミニはこう言っているが、実は間違いで、マーブルのチートじみた魔力のせいでそう感じるだけであり、実際は魔術師数十人がタップリ魔力を込めてようやくこのレベルの魔方陣は発動するのである。本来なら先程倒したザッハークの魔石であれば十分だったのだが、レールガンで塵となった魔石、もとい魔砂となってしまったあの状況では無理もなかった。
「お、気配がしてきたね。ようやくお出ましといったところかな。ということで、皆さん戦闘準備です。」
魔方陣から光の筒が突き出てきた。光が消えると、そこには7つの首をもつドラゴンがいた。またヒドラかい! とか思ったけど、何か違う。首ごとに色が異なり、見事なグラデーションとなっていたのだ。もちろん鑑定しますよ、今度こそ頼みますよ、アマさん。
--------------------
『キングドラゴン(なのまた)』・・・やれやれ、食えるか食えないかは、ワシが決めたことではないのじゃがなぁ、、、。ほう、珍しくエンシェントドラゴン以外で固有名をもっておるようじゃな。力はグレイルに匹敵するのう。おお、こやつも自己修復持ちじゃな。どうするかはお主にまかせるかの。どうやら美味いらしいぞ。いわなくてもお前さんならわかるじゃろう? チラッ、、、。
・・・いつもながら、最後の「チラッ」とかいらないんですが、、、。まあいいか。大事なのは「食べられる」という一点に尽きますな。しかも、自己修復持ちということなら、これは期待できるな。ということなら、折角なのでお裾分けと参りますかね。
「ほう、そこにいるのが、グレイルが盟を結んだ人か、、、。」
一番立派な首である真ん中の首の龍が話してきたが、私はそれどころではなかった。
「ジェミニ、レオと連絡が取れる?」
「アイスさん? 取れますよ。」
「じゃあ、連絡取ってくれるかな。内容は、「お肉が追加で来たから、所望するならこっちに来て」って感じで頼むね。」
「了解です! 族長、喜ぶですよ!」
「アイスさん、通信具ではなくレオちゃんと連絡ですか?」
「そうです。通信具だと、ウルヴ達経由だから時間がかかるんですよね。その点レオだと、すぐに行動に移せますから。」
「なるほど。ということは、あの龍って結構脅威ですの?」
「いえ。今アンジェリカさん達が訓練しているファイアゴーレムの方が強いと思いますよ。」
「では、何故?」
「あの龍って、自己修復持ちなんですよね。以前倒したヒドラも自己修復持ちでしたよね?」
「自己修復ということは、なるほど、そういうことですの。」
「そういうことです。」
アンジェリカさんが珍しい感じの微笑みだ。本人はニヤリのつもりみたいだけど、、、。ちなみに、ラヒラスの場合は同じような場合は腹黒さ満載のニヤリとなる。私はというと、どうなんでしょうかね?
「アイスさん、すぐにメンバーと連れて来るそうです!」
「ありがとう、ジェミニ。」
こっちで盛り上がっていると、偉そうに口上を述べていたであろうドラゴンが震えていた。
「ほう、虫けらの分際で、我を無視するとは、、、。こんなのと盟を結んだグレイルはやはり、地に墜ちたことは間違いない、、、。やはり、ここは我らが龍族、いや、この世界を直接支配する必要があるのやもしれんな。」
「では、作戦を伝えます。マーブル隊員とジェミニ隊員は、正面の太いやつの右側を。アンジェリカさん達戦姫は太いやつの左隣のやつを頼みます。恐らくあの太いやつ以外は自己修復で元に戻るので、ガンガン狩って下さい。他の部分も事故ならしょうがないです。ただ、真ん中のやつだけは首を刎ねてしまうと復活しなくなるような気がするのでスルー推奨です。あ、ライム隊員とオニキス隊員はしばらくは他の首が来たら迎撃してください。倒す必要は全く無いので。」
「アイスさん、他の首はどうなさいますの?」
「あれは、援軍に来る領民達用です。手を出してもかまいませんが、領民達が来たら手出し無用でお願いしますね。」
「「「「了解!!」」」」
真ん中の太いのが何か言っているけど、知らん。精々こちらのご馳走になってくれ。ドラゴンは無視されていることに激昂し咆哮をあげるが、うるさいので氷の塊を投げつけた。お、良い感じで命中した。どうせ弓矢では厳しいから、久々に投擲でいきますかね。
「ぐ、ぐぐぐぐ、、、。どこまでも舐めおって、、、。こうなったら、お前らを潰したら、その先にある集落ごと潰してやる!!」
そういうと、残りの首も一斉にこちらに襲いかかってきた。指示通りに真ん中の首には手を出さずに右側の首をマーブル達が攻撃し、左側の首には戦姫が攻撃した。他の首はライムとオニキスが体当たりで打ち払う。
「くそっ、ちょこまかと。焼き払ってくれるわ!!」
太い首のドラゴンが口を大きく開ける。要するにブレス攻撃である。その口めがけて再びアルスリを使って氷の塊を投げつける。今度のやつは爆破機能付きの特別サービスである。
無防備となった口の中に見事に氷の塊がぶつかり、その場で爆破する。太い首は大きくのけぞったが、他の部分はびくともしていなかった。それだけ下半身部分がしっかりしているのだろう。それぞれの首も、ブレスを放つつもりであったのだろうが、ことごとく失敗に終わった。真ん中の左右にある2本を除いて。
その2本の首はどうなったかって? もちろん、サクッと首を刎ねられて回収済みですよ。ということでその2本は現在修復中のようでニョキニョキと生えてきている状態です。他の4本は、私の投擲とライム達の体当たりで絶賛脳震盪状態です。
ということで、相手の復帰を待っている状態になったけど、相手の復帰を待っている間に領民達の援軍が到着した。内訳はレオ達ウサギ族5体、エーリッヒさん達ゴブリン10人、ウルヴonアウグストとアインにラヒラス、スペシャルゲストとしてコカトリス達5羽、帝国からはカット男爵率いる15人といった内容だった。
「アイス様、ご指示を。」
ウルヴが代表して、アウグストから降りての挨拶をしてきた。
「いや、戦闘中だから、ウルヴはさっさとアウグストに乗って。じゃあ、真ん中と左右の首以外を攻撃してもらうから、その指示はエーリッヒさんに任せるよ。ということで、エーリッヒさん、よろしく。」
「了解だ。ただ、こういった戦闘に関しては、エルヴィンの方が得意だから、彼に任せてもらっても構わないか?」
「そちらはお任せしますよ。」
ということで、エルヴィンさんに各部隊に分けてもらいそれぞれ担当してもらう。こちらも魔法部隊や飛び道具を扱う部隊にブレス対策として口をあけたら、物理的なもので攻撃すると効果的だということを伝えておいたので大丈夫だろう。
ドラゴンの方も脳震盪状態から復帰したので戦闘再開した。私はひたすら太い首のドラゴンにちょっかいを出してこちらに注意を向け続けていた。正直仕留めるのは容易い感じだったけど、周りのみんなに頑張ってもらうために終始ちょっかいを出す程度にとどめた。
マーブル達や戦姫の3人はともかく、援軍として来てくれたメンバーは、こういったことは初めてのようで、最初こそは苦戦しており、何度か私もそうだけど、ライムやオニキスも援護射撃をしてどうにか倒していたが、倒す度に復活していくので、そのうちに慣れてきたらしく、ライムは援護攻撃をやめて、回復要員として動き始めたようだ。
この作業に慣れた援軍のメンバーも殲滅速度が上がってきており、流石のドラゴンでも回復仕切れないほど消耗してきたようだ。そうなってしまったことにドラゴンが気付いた頃には逃走することもできない状態になっていた。そんなときにグレイルがこちらにやってきた。もちろんエンシェントドラゴンの姿で。それに気付いたキングドラゴンはグレイルに命乞いをしたようだ。
「お、お前はグレイル! 丁度いいところに! こいつらに何とか俺が戻れるように話をしてくれ、頼む!」
「断る。」
「な、何故だ!? 我らは同族ではないか!!」
「同族? うぬは散々我らを罵倒してきたではないか。人ごときに頭を垂れる情けない存在とな。我は散々忠告をしたぞ。それ以前に、相手の力量も測れぬ愚か者が龍族を名乗るでないわ!! ということで、アイスよ、我に遠慮はいらぬ。」
「? 遠慮も何も、お前に止める権利はないよ。こいつらが勝手に私達に喧嘩をふっかけてきたんだから。」
「む、そういえばそうだったな、スマン。では、我は町に戻るとしよう。」
「あ、そうだ、グレイル。集落のみんなは今日町に来るの?」
「ああ、そのつもりだ。」
「了解。ご飯楽しみにしてて、って伝えておいて。」
「了解だ、伝えておこう、我も楽しみにしているからな。」
言うだけ言ってグレイルは飛び去ってしまった。一体何しに来たのか知らないけど、間違いなく目の前にいるドラゴンは泣きっ面に蜂、いや、絶望極まりないといった感じなんだろうな。ひたすら首を狩っていた他のみんなも、復活しなくなった部位を見て攻撃を止めた。
さて、ではトドメと参りますかね。アルスリをしまってオニジョロウを取りだして矢を3本用意。投擲でボコボコになった頭部だけど、一応自己修復できているみたいなので、眉間の場所もハッキリと確認出来たところで発射。狙い通りに眉間、首、心臓部にそれぞれ命中、貫通したけど、飛び去らずにすぐに落下した。流石に貫通するのがやっとだったか。バッチリ空間収納へと放り込んで戦闘完了。周りを見ると、みんなスッキリした顔になっていた。魔方陣も跡形もなく消え去っていたので、残念ながらこれ以上は出てこないだろう。
「みなさん、お疲れ様でした。これにて迎撃戦は終了です。気をつけて町に戻りましょう。」
そう言い終わると、マーブル達は私に飛びついてきた。やはりいいモフモフだし、ライムのプヨプヨ感も最高だ。ぶっちゃけ、この感触のために生きているといっても過言ではないね。
一通りモフプヨを堪能した後、マーブル達は所定の位置に乗った。さてと、戻ったら肉祭りじゃ-!
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龍族の民「グレイル様、よろしかったので?」
グレイル「何がだ?」
龍族の民「同胞を助けなかったことです。」
グレイル「ああ、問題ないぞ。むしろ感謝された。」
龍族の民「感謝、ですか?」
グレイル「そうだ。来た連中はそれぞれの里でも手に負えない存在だったらしいからの。」
龍族の民「どこも事情は似たり寄ったりですね。」
グレイル「そういうことだ。」
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他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
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1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
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※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
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