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第156話 さてと、MBC開幕です。私はやりませんがね。
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前回のあらすじ:鉱石を沢山持ち帰り、洞穴族のみなさんご満悦。
私達一行は、地下3階へと降り立った。まあ、私的には、地下1階という方がしっくりとくるのだけど、それはやめておこう。
「では、ここからは私が案内しますが、戦姫のみんなは、ここに出てくる魔物と、あとは特にセイラさんだけど、宝箱の罠について覚えてもらいたいと思います。みんなは大丈夫だと思うけど、念押ししますが、これより先の魔物だけど、見た目に騙されないようにしてください。」
「本来なら、くどい、と思うところですが、アイスさんがそこまで念押ししてくるほどですものね。わかりましたわ、気を入れ直します。」
「あと、ここの魔物ですが、通路で遭遇する場合もありますが、大部分は扉を開けた先に現れます。で、その大部分では宝箱が出現しますので、お宝は基本的に宝箱を開けて手に入れないといけませんので、ご注意を。とはいえ、必ずしも良いモノが入っているとは限りません、いや、大抵は変なものが入っていることを念頭に置いてくださいね。とはいえ、マジでシャレにならないレベルのアイテムが手に入る場合があります。」
「それは楽しみですわね。また、変なものというのも気になりますわね。」
「あ、それと、手に入れたアイテムは鑑定技能を持つ人が鑑定してから使用することをお勧めします。慣れてくると、ある程度は鑑定なしでもわかるようになりますが、それでも鑑定しておくに越したことはないですね。」
簡単に説明をして、ついに地下3階の探索を始めることにした。行き先はもちろん、東へ進んだ先にある扉である。扉の向こうには、魔物が待ち構えていることはわかっているけど、残念ながら水術による探知はできない。というわけで、私は通路の方を探知している。カムイちゃんは一応探知できているようだ。セイラさんは、というと、かろうじて気配を感じ取ることができているようだ。
「みなさん、準備はよろしいですか? では、行きますよ。」
念のためにみんなの状態を確認したが、大丈夫そうなので、扉を蹴り開けた。
「「「!!」」」
目の前に現れたのはホネホネ、いわゆるスケルトンってやつだ。正直、初めて見た。いやあ、やっぱりいるんだね、スケルトン。戦姫のみんなもそうだけど、カムイちゃんも初めてだったようで、少し驚いていたようだけど、ここはダンジョンであっても、動物園のような見世物小屋ではない。気を抜くとこちらがやられてしまうのだ。
とはいえ、こちらもずぶの素人ではなく、いろいろな体験をした、自称熟練の冒険者である。すぐに気を取り直して、対応していく。ちなみに、スケルトンの数は9体。1人1殺といわんばかりに、それぞれ対応していく。私達はもちろん、ライムやオニキスもしっかりと対応していた。私と言えば、少し先手を取られた感があり、弓矢での応戦は厳しかったので、格闘術での対応に切り替え、スケルトンが槍を繰り出してきたので、回避しつつ側面に回り込み、膝の裏側に蹴りを入れると、スケルトンは倒れたので、頭を踏みつけて頭蓋骨を粉砕すると、魔石すら落とさずに消滅した。周りを見ると、所々で倒したと思われるスケルトンの姿が次々に消えていた。
骨と相性が悪いのは、弓矢と相場が決まっているが、今回も例に漏れずにセイラさんが手こずっていた。流石に攻撃を受けることはなかったけど、有効打を与えられていない感じだったけど、何かを閃いたのか、矢に魔力を込めて放ち、見事にヘッドショットを決めると、矢が爆発してスケルトンは倒れて消滅した。
スケルトンが全滅した後には、金貨と宝箱が残されていた。カムイちゃんがセイラさんに説明しており、セイラさんはしきりに頷いていた。そして、いろいろと説明を受けながら、いじくり回していた。かなりの時間を掛けていたけど、そういえば、カムイちゃんも最初は時間が掛かっていたっけ。私? あんなに器用なことは無理なので、遠慮しますよ。地下4階以降でも宝箱は無視したくらいだからねぇ、、、。
そんなこんなで大分時間がかかったけど、どうにか罠の解除に成功して宝箱を開けた。中には干涸らびた革の籠手らしきものが入っており、アマさんの鑑定でも、『干涸らびた籠手』となっていた。
「・・・・・。」
頑張って自力で罠を解除して開けた初めての宝箱の中身があれとは、セイラさんのショックはいかばかりかと思うと、何かやるせない気分になってしまうが、ここはそういう所だから仕方がないのだ。とはいえ、まさか普通にすら使えないアイテムがここで出現するとは思わなかった。そういう意味でも、某RPGとは少し異なっているのだろう。
ちなみに、セイラさんはショックで落ち込んでいたが、カムイちゃんがこういうものだと必死に慰めていたのがよかったのか、どうにか気を持ち直してくれた。
「姫様、ルカ、それに、みんな、ゴメン。あまりにショックが大きかったもので、、、。」
「セイラ、カムイちゃんも仰っていたじゃない、ここはそういうところだ、って。罠の解除もそのうち慣れるでしょうし、気を落とすことはありませんよ。それに、カムイちゃんがいなければ、こういったことができるのはセイラだけですのよ。大事なのは、カムイちゃんが側にいるうちに、罠の解除をしっかりとモノのすることですわ!」
「ありがとうございます! 頑張ってモノにします!!」
「それでは、先に進むのは後回しにして、セイラさんの罠解除を優先にしましょうか。」
私がそう言うと、みんなが賛成してくれたので、一番連れて行きたかったところを一番後回しにして、まずは宝箱持ちの魔物が出てくる場所を優先的に案内していった。
このダンジョン専用アイテムである銅の鍵と銀の鍵を手に入れつつ、セイラさんの罠解除の訓練をしていると、最後に案内したい場所に到着した頃には、このダンジョンについての罠解除が一通りできるようになっていたのは少し驚いた。カムイちゃんといい、セイラさんといい、器用なものだと思いつつ、その案内したい場所へとたどり着く。もちろん、その近くにあるダンジョン戦用アイテムも手に入れてある。その辺は抜かりなしでございますよ。
目的の場所へと到着すると、以前来たときと同じ看板が扉には貼ってあった。文字は私が以前いた世界の国の言葉で書かれているので、流石の戦姫も読めないだろう。・・・別に読めなくても問題ないからいいんだけどね。
「これは、何て書いてあるのでしょうか?」
「私もこんな文字は初めて見ました。」
「・・・多分、アイスさんは知ってるはず、、、。」
「ルカさん、正解。この文字はですね、以前私がいた世界の国で使われていた文字なんですよ。」
「アイスさんが以前いらっしゃった世界の文字ですの? ということは、ゴブリンさん達の部隊長さんはこの文字をご存じですの?」
「いえ、エーリッヒさんたちもわからないと思いますよ。生きていた国が違いましたからね。ただ、私がいた国に興味を持っていたエルヴィンさんなら、少しはわかるかもしれませんがね。」
「で、アイスさん、一体この看板の文字は何て書かれておりますの?」
聞かれたので、『ポーラ・マーシィ出張所』『営業時間8:00~18:00』『営業中』とそれぞれ説明すると、3人は驚いていた。
「ア、アイスさん、ポーラ・マーシィって、、、。」
「そうです、みなさんご存じの通りですよ。ただ、訓練室にいる存在感の薄い方ですがね。」
「そっちですか、、、。」
「私がいた世界ですと、この場所が初期でレベルアップするのに最適な場所だったんですよ。」
「なるほど。アイスさんがワタクシ達にここをお見せしたかったのですわね?」
「そういうことです、折角なので入りましょうか。」
カムイちゃんは一度ここには来ているので特に何と言うこともなかったけど、3人は初めて来る場所ではあるけど、マーシィさんを知っているから、どんな感じなのか、期待半分不安半分といったところかな。
扉を蹴り開けて中に入ると、いつも通り、お香、というか、煙というか、加湿器の水蒸気というか、そういった感じのものが吹き出し、しばらくしてそれが止まると、1体の人間らしきものが現れた。言うまでもなくポーラ・マーシィ(分体)その人である。
「ほう、お客さんか、歓迎するぜって、またお前らかよ!! しかも、戦姫達まで連れてきてやがる。」
「あら、確かにマーシィ教官ですわね。折角ですので、一手ご教授願えますかしら?」
「おお、いいぜ、相手してやる。あ、アイスとマーブルとジェミニは無しな。」
「わかっていますって。私はマーブル達とモフモフタイムを楽しみますので。」
「おお、そうしててくれ。じゃあ、始めるか! あ、カムイは参加してもいいぞ。」
「それじゃあ、遠慮なく。」
私達を放っておいて、やはり、マーシィズブートキャンプ(略してMBC)の開催である。こうなると、しばらくは戦闘しまくりだろうから、私はマーブル達とモフモフタイムを堪能しつつ、折角だから、ここでブラッシングをしていくことにした。もちろん、こんなところでミスリルの櫛などは使えないので、魔樹製の櫛でブラッシングである。ちなみに黑鉱石製の櫛でも結構やばいことが判明したので、最近は魔樹製一択となっている状況である。
あぐらをかいて、左側にマーブル、右側にジェミニが乗り、たまに撫でたりしながら交互にブラッシングを施す。ちなみにライムは私の肩や頭の上に乗ってはピョンピョン跳ねていた。意外にも重量感はなく、プヨプヨの心地よい感触がそこにはあった。後で気付いたのだけど、ライムは私にマッサージを施してくれていたようで、それに気付いたとき、思いっきりライムを撫で回したり、おにぎりの刑に処したりして、感謝の気持ちを存分に伝えた。
アンジェリカさん達やカムイちゃんは戦闘訓練で、私達はモフモフタイムでそれぞれ充実した時間を過ごしていたが、どうやら戦闘訓練が終わったらしく、楽しいひとときもひとまず終了となってしまった。
「・・・アイス、お前さん何してたんだよ、、、。」
「何って? いつもモフモフさせてくれているマーブル達に感謝のブラッシングをしていたけど、何か?」
「何か? じゃねえよ、、、。まあ、仕方ないか。後日また来るのか?」
「うーん、何とも言えないかな。とりあえず、この階層にも来だした領民もいるし、そのうち冒険者達も来ると思うから、大丈夫だと思うよ。」
「そうか、ようやくか。まあ、お前さん達は別に珍しくとも何ともないか。」
「まあ、本隊もそうだし、いつでも召喚できる像もあるしね。」
「町では俺と訓練するのは領民に限定しているんだよな?」
「もちろん。」
「そうか。まあ、それも仕方ないな。でもよ、このダンジョンは一般開放しているんだよな?」
「うん、一般開放もしているし、先日は地下1、2階の地図もギルドに渡しておいたから、冒険者達もそろそろここに来ると思うよ。一応、ここで訓練できることも話しておくよ。」
「頼むぜ! じゃあ、また来いよ!!」
幾度となく戦闘訓練を行い、満足気味の戦姫とカムイちゃん。地下1階ともいえるここの範囲はとりあえず行けるところはほとんど行ったし、時間も時間だから、一旦町へと戻ることにしようか。他のメンバーにもその旨を伝えると、反対意見は出なかったので、とりあえず、町へと戻るとしましょうかね。もちろん、行き先は、洞窟入り口へとワープさせてくれるあの御仁のいるあの部屋です。
先頭で進んでメンバーを案内しつつ、予定していた行き先に到着、扉を蹴り開けて部屋に入ると、待ち構えていたように、いつもの台詞を吐いた後、『間広、間破魔、出路的!!』というお約束の呪文を唱えると、私達は洞窟入り口へと到着。後は、マーブルの転送魔法で領主館へと戻り解散した。
-------------------------
アンジェリカ「アイスさん、先程の御仁が唱えた、「マピロ、、、」」
アイス「おっと、それ以上はいけない。」
アンジェリカ「ア、ハイ、、、。」
私達一行は、地下3階へと降り立った。まあ、私的には、地下1階という方がしっくりとくるのだけど、それはやめておこう。
「では、ここからは私が案内しますが、戦姫のみんなは、ここに出てくる魔物と、あとは特にセイラさんだけど、宝箱の罠について覚えてもらいたいと思います。みんなは大丈夫だと思うけど、念押ししますが、これより先の魔物だけど、見た目に騙されないようにしてください。」
「本来なら、くどい、と思うところですが、アイスさんがそこまで念押ししてくるほどですものね。わかりましたわ、気を入れ直します。」
「あと、ここの魔物ですが、通路で遭遇する場合もありますが、大部分は扉を開けた先に現れます。で、その大部分では宝箱が出現しますので、お宝は基本的に宝箱を開けて手に入れないといけませんので、ご注意を。とはいえ、必ずしも良いモノが入っているとは限りません、いや、大抵は変なものが入っていることを念頭に置いてくださいね。とはいえ、マジでシャレにならないレベルのアイテムが手に入る場合があります。」
「それは楽しみですわね。また、変なものというのも気になりますわね。」
「あ、それと、手に入れたアイテムは鑑定技能を持つ人が鑑定してから使用することをお勧めします。慣れてくると、ある程度は鑑定なしでもわかるようになりますが、それでも鑑定しておくに越したことはないですね。」
簡単に説明をして、ついに地下3階の探索を始めることにした。行き先はもちろん、東へ進んだ先にある扉である。扉の向こうには、魔物が待ち構えていることはわかっているけど、残念ながら水術による探知はできない。というわけで、私は通路の方を探知している。カムイちゃんは一応探知できているようだ。セイラさんは、というと、かろうじて気配を感じ取ることができているようだ。
「みなさん、準備はよろしいですか? では、行きますよ。」
念のためにみんなの状態を確認したが、大丈夫そうなので、扉を蹴り開けた。
「「「!!」」」
目の前に現れたのはホネホネ、いわゆるスケルトンってやつだ。正直、初めて見た。いやあ、やっぱりいるんだね、スケルトン。戦姫のみんなもそうだけど、カムイちゃんも初めてだったようで、少し驚いていたようだけど、ここはダンジョンであっても、動物園のような見世物小屋ではない。気を抜くとこちらがやられてしまうのだ。
とはいえ、こちらもずぶの素人ではなく、いろいろな体験をした、自称熟練の冒険者である。すぐに気を取り直して、対応していく。ちなみに、スケルトンの数は9体。1人1殺といわんばかりに、それぞれ対応していく。私達はもちろん、ライムやオニキスもしっかりと対応していた。私と言えば、少し先手を取られた感があり、弓矢での応戦は厳しかったので、格闘術での対応に切り替え、スケルトンが槍を繰り出してきたので、回避しつつ側面に回り込み、膝の裏側に蹴りを入れると、スケルトンは倒れたので、頭を踏みつけて頭蓋骨を粉砕すると、魔石すら落とさずに消滅した。周りを見ると、所々で倒したと思われるスケルトンの姿が次々に消えていた。
骨と相性が悪いのは、弓矢と相場が決まっているが、今回も例に漏れずにセイラさんが手こずっていた。流石に攻撃を受けることはなかったけど、有効打を与えられていない感じだったけど、何かを閃いたのか、矢に魔力を込めて放ち、見事にヘッドショットを決めると、矢が爆発してスケルトンは倒れて消滅した。
スケルトンが全滅した後には、金貨と宝箱が残されていた。カムイちゃんがセイラさんに説明しており、セイラさんはしきりに頷いていた。そして、いろいろと説明を受けながら、いじくり回していた。かなりの時間を掛けていたけど、そういえば、カムイちゃんも最初は時間が掛かっていたっけ。私? あんなに器用なことは無理なので、遠慮しますよ。地下4階以降でも宝箱は無視したくらいだからねぇ、、、。
そんなこんなで大分時間がかかったけど、どうにか罠の解除に成功して宝箱を開けた。中には干涸らびた革の籠手らしきものが入っており、アマさんの鑑定でも、『干涸らびた籠手』となっていた。
「・・・・・。」
頑張って自力で罠を解除して開けた初めての宝箱の中身があれとは、セイラさんのショックはいかばかりかと思うと、何かやるせない気分になってしまうが、ここはそういう所だから仕方がないのだ。とはいえ、まさか普通にすら使えないアイテムがここで出現するとは思わなかった。そういう意味でも、某RPGとは少し異なっているのだろう。
ちなみに、セイラさんはショックで落ち込んでいたが、カムイちゃんがこういうものだと必死に慰めていたのがよかったのか、どうにか気を持ち直してくれた。
「姫様、ルカ、それに、みんな、ゴメン。あまりにショックが大きかったもので、、、。」
「セイラ、カムイちゃんも仰っていたじゃない、ここはそういうところだ、って。罠の解除もそのうち慣れるでしょうし、気を落とすことはありませんよ。それに、カムイちゃんがいなければ、こういったことができるのはセイラだけですのよ。大事なのは、カムイちゃんが側にいるうちに、罠の解除をしっかりとモノのすることですわ!」
「ありがとうございます! 頑張ってモノにします!!」
「それでは、先に進むのは後回しにして、セイラさんの罠解除を優先にしましょうか。」
私がそう言うと、みんなが賛成してくれたので、一番連れて行きたかったところを一番後回しにして、まずは宝箱持ちの魔物が出てくる場所を優先的に案内していった。
このダンジョン専用アイテムである銅の鍵と銀の鍵を手に入れつつ、セイラさんの罠解除の訓練をしていると、最後に案内したい場所に到着した頃には、このダンジョンについての罠解除が一通りできるようになっていたのは少し驚いた。カムイちゃんといい、セイラさんといい、器用なものだと思いつつ、その案内したい場所へとたどり着く。もちろん、その近くにあるダンジョン戦用アイテムも手に入れてある。その辺は抜かりなしでございますよ。
目的の場所へと到着すると、以前来たときと同じ看板が扉には貼ってあった。文字は私が以前いた世界の国の言葉で書かれているので、流石の戦姫も読めないだろう。・・・別に読めなくても問題ないからいいんだけどね。
「これは、何て書いてあるのでしょうか?」
「私もこんな文字は初めて見ました。」
「・・・多分、アイスさんは知ってるはず、、、。」
「ルカさん、正解。この文字はですね、以前私がいた世界の国で使われていた文字なんですよ。」
「アイスさんが以前いらっしゃった世界の文字ですの? ということは、ゴブリンさん達の部隊長さんはこの文字をご存じですの?」
「いえ、エーリッヒさんたちもわからないと思いますよ。生きていた国が違いましたからね。ただ、私がいた国に興味を持っていたエルヴィンさんなら、少しはわかるかもしれませんがね。」
「で、アイスさん、一体この看板の文字は何て書かれておりますの?」
聞かれたので、『ポーラ・マーシィ出張所』『営業時間8:00~18:00』『営業中』とそれぞれ説明すると、3人は驚いていた。
「ア、アイスさん、ポーラ・マーシィって、、、。」
「そうです、みなさんご存じの通りですよ。ただ、訓練室にいる存在感の薄い方ですがね。」
「そっちですか、、、。」
「私がいた世界ですと、この場所が初期でレベルアップするのに最適な場所だったんですよ。」
「なるほど。アイスさんがワタクシ達にここをお見せしたかったのですわね?」
「そういうことです、折角なので入りましょうか。」
カムイちゃんは一度ここには来ているので特に何と言うこともなかったけど、3人は初めて来る場所ではあるけど、マーシィさんを知っているから、どんな感じなのか、期待半分不安半分といったところかな。
扉を蹴り開けて中に入ると、いつも通り、お香、というか、煙というか、加湿器の水蒸気というか、そういった感じのものが吹き出し、しばらくしてそれが止まると、1体の人間らしきものが現れた。言うまでもなくポーラ・マーシィ(分体)その人である。
「ほう、お客さんか、歓迎するぜって、またお前らかよ!! しかも、戦姫達まで連れてきてやがる。」
「あら、確かにマーシィ教官ですわね。折角ですので、一手ご教授願えますかしら?」
「おお、いいぜ、相手してやる。あ、アイスとマーブルとジェミニは無しな。」
「わかっていますって。私はマーブル達とモフモフタイムを楽しみますので。」
「おお、そうしててくれ。じゃあ、始めるか! あ、カムイは参加してもいいぞ。」
「それじゃあ、遠慮なく。」
私達を放っておいて、やはり、マーシィズブートキャンプ(略してMBC)の開催である。こうなると、しばらくは戦闘しまくりだろうから、私はマーブル達とモフモフタイムを堪能しつつ、折角だから、ここでブラッシングをしていくことにした。もちろん、こんなところでミスリルの櫛などは使えないので、魔樹製の櫛でブラッシングである。ちなみに黑鉱石製の櫛でも結構やばいことが判明したので、最近は魔樹製一択となっている状況である。
あぐらをかいて、左側にマーブル、右側にジェミニが乗り、たまに撫でたりしながら交互にブラッシングを施す。ちなみにライムは私の肩や頭の上に乗ってはピョンピョン跳ねていた。意外にも重量感はなく、プヨプヨの心地よい感触がそこにはあった。後で気付いたのだけど、ライムは私にマッサージを施してくれていたようで、それに気付いたとき、思いっきりライムを撫で回したり、おにぎりの刑に処したりして、感謝の気持ちを存分に伝えた。
アンジェリカさん達やカムイちゃんは戦闘訓練で、私達はモフモフタイムでそれぞれ充実した時間を過ごしていたが、どうやら戦闘訓練が終わったらしく、楽しいひとときもひとまず終了となってしまった。
「・・・アイス、お前さん何してたんだよ、、、。」
「何って? いつもモフモフさせてくれているマーブル達に感謝のブラッシングをしていたけど、何か?」
「何か? じゃねえよ、、、。まあ、仕方ないか。後日また来るのか?」
「うーん、何とも言えないかな。とりあえず、この階層にも来だした領民もいるし、そのうち冒険者達も来ると思うから、大丈夫だと思うよ。」
「そうか、ようやくか。まあ、お前さん達は別に珍しくとも何ともないか。」
「まあ、本隊もそうだし、いつでも召喚できる像もあるしね。」
「町では俺と訓練するのは領民に限定しているんだよな?」
「もちろん。」
「そうか。まあ、それも仕方ないな。でもよ、このダンジョンは一般開放しているんだよな?」
「うん、一般開放もしているし、先日は地下1、2階の地図もギルドに渡しておいたから、冒険者達もそろそろここに来ると思うよ。一応、ここで訓練できることも話しておくよ。」
「頼むぜ! じゃあ、また来いよ!!」
幾度となく戦闘訓練を行い、満足気味の戦姫とカムイちゃん。地下1階ともいえるここの範囲はとりあえず行けるところはほとんど行ったし、時間も時間だから、一旦町へと戻ることにしようか。他のメンバーにもその旨を伝えると、反対意見は出なかったので、とりあえず、町へと戻るとしましょうかね。もちろん、行き先は、洞窟入り口へとワープさせてくれるあの御仁のいるあの部屋です。
先頭で進んでメンバーを案内しつつ、予定していた行き先に到着、扉を蹴り開けて部屋に入ると、待ち構えていたように、いつもの台詞を吐いた後、『間広、間破魔、出路的!!』というお約束の呪文を唱えると、私達は洞窟入り口へと到着。後は、マーブルの転送魔法で領主館へと戻り解散した。
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アンジェリカ「アイスさん、先程の御仁が唱えた、「マピロ、、、」」
アイス「おっと、それ以上はいけない。」
アンジェリカ「ア、ハイ、、、。」
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