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第154話 さてと、ダンジョンの地図作りますよ。その1
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前回のあらすじ:出発前に話をば少々。
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン。はい、毎朝恒例の朝起こしです。今回は無事にコカトリスも参加ですね、いいことです。というか、何となくだけど、朝起こしに参加しているコカトリスって毎回同じ気がしてならないんですが、というか、外見では区別つかないけど、罠に引っかかりやすい個体と、そうでない個体がコカトリス達にも存在するもんなんですね。まあ、それは人間とかでも同じかな。
どんなに寝不足でも、倦怠感が取れるこの幸せともいえる朝起こし、二度寝という悪魔の囁きすら撥ね除けてしまう破壊力! おかげで、マーブルと出会って以降は私、二度寝というものをしたことがありません。というのは半分冗談で、マーブル達を巻き込んで二度寝に突入しそうになったことも数知れません。
まあ、それはおいといて、いつも通り、マーブル達を一通りモフって感触を楽しんでから、卵を持ってきてくれたコカトリスにもお礼のモフモフを。本来であれば、卵を持ってきてくれたコカトリスを最初にモフるのが礼儀だとは思うけど、それについては、コカトリス達が自分たちは後で、ということらしい。
そういえば、毎朝運んできてくれる卵の数は必ず15個なんだけど、以前不思議に思ってコカトリスに聞いてみたところ(ジェミニとライムの通訳を通じてだけど)、何でも、我が町にいる15羽のコカトリス達が生み出した中で一番いい卵をそれぞれ1つずつ、ということらしいのだ。なるほど、それで15個なんだな、と納得したが、申し訳ないという気持ちと、とてもありがたいという気持ちが混同してしまい、言葉に詰まったことがある。つまり、この世界でも最高級な味と品質の卵を毎日頂いているということでもある。
いつもながら見事な卵を見て、それを思い出したので、今日の朝ご飯は久しぶりに卵かけご飯を頂くことにした。いつも通り4人分の準備をしていたが、何かおかしいことに気付いた。普段なら、モフモフし終えるとみんなの元に返っていくコカトリスが、今日はまだ残っていたのだ。何やら自分たちの卵をどう食べるのかが気になっているようだった。ってか、今更!? 折角なので、一緒に食べるか? と誘うと、みんなと一緒に食べるからと遠慮していた。とにかくどう調理するのかが見たかったようだ。でも、今日は卵かけご飯だからねえ、、、。
もらった卵のうち、自分たちで食べる分を4つ残して残りを空間収納にしまおうとしたら、「コケーッ」と鳴くと、しまおうとしていた1つを取って、それを私に渡す。どうやら、この渡してくれた卵がこのコカトリスが生み出した卵で、それを食べてもらいたいようだ。私は「ありがとう」と言って、その卵と交換して空間収納にしまった。
ご飯用の器に麦飯をよそって、みんなの場所に置く。その隣に卵用の器を置いて、その器に卵をのせる。醤油を中央に置いてから、あとはスガーの入れてある器を醤油の隣に置いて、スガー投入用の匙をスガーの入った器に差し入れる。後はスープを器に入れて、それぞれの前に置いて準備完了である。
食事前の頂きますの挨拶をしてから朝食を食べ始める、と言っても、卵を割って、醤油とスガーを入れて少しかき混ぜてからご飯に投入、それをかき混ぜてから食べ始めるのだが、そこまでは私の仕事である。ちなみに入れる順番は、ライム、マーブル、ジェミニ、私の順だ。というのも、これは食べる速度が遅い順に準備している。これらの流れを一通り見たあと、コカトリスはみんなのところへと戻っていった。後日、このやり方で食べるのだろう。でも、卵かけご飯には、決まりなど一切ないのだから、自分たちが一番美味しいと思うやり方でそれぞれ食べてくれたらいいなとは思う。ちなみに、私はこれが一番美味しいと思って食べている。
黄身と白身を分けて、白身をメレンゲ状にしてから食べるやり方をしている人もいると思うけど、私は全卵の状態で醤油と味○素を入れてかき混ぜたやつをご飯に入れて混ぜて食べるやり方の味が一番好きである。他のものは一切いれない。もちろん異論は認める。
マーブル達は喜んで食べてくれていたので、合格だったのだろう。正直味○素のような旨味調味料が欲しいところではあるけど、自分が作るしか今のところ手段はないんだろうな、、、。正直あれは無理だ。
朝食も食べ終わって、片付けを済ませてからマーブル達とまったりしていると、戦姫の3人とカムイちゃんが来た。
「アイスさん、ご機嫌よう。今日から宜しくお願いしますわ。」
「皆さんおはようございます。準備ができておりましたら、これより出発しますが、特にカムイちゃんの体調は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。私は2回目だし、しっかり寝たから。」
みんな用意ができているようなので、マーブルの転送魔法で洞窟の入り口まで移動する。洞窟に入ると、何か転送された感じがしたけど、これはマーブルの転送魔法ではないな。後日ギルドで確認すると、この洞窟は6人以下のパーティでないと入れないらしく、6人を超えると脳内にアナウンスが届くらしい。そのまま6人を超えて入ってしまうとランダムで2組に配置されてしまうようだ。まあ、すぐに出られるようなので、改めて入り直しすればいいだけのようだが。
周りを確認すると、全員揃っていた。どうやら、マーブル達は従魔扱いということで、カウントされていないようだ。後で考えてみると、私達だけ特例で7人以上でも入れるようにダンマスが処理したようだ。これも後日判明したことだけど、現段階では何で転送されるんだろう? という気持ちだった。
私達の目的は、地下1階と2階の地図の作成と、鉱石の採取である。もちろん戦姫の案内のついでである。
「ここは、鉱山、でしょうか?」
「そうですね、ここではかなりの量の鉄鉱石や銅鉱石が手に入るようです。先日までは、入る度に構造が変わるような意地悪ダンジョンでしたが、最近は構造は全く変わらないそうですよ。」
「なるほど。アイスさん達は、構造が変わる時に探索されたのでしたっけ?」
「そうですね。ですから、ギルド長から、地下1階と2階の地図の作成を依頼されておりますので、申し訳ありませんが、隅々まで探索していく予定です。」
「それは全く構いませんわ。その地図が後に続く領民達や冒険者達の為になれば幸いですから。でも、それだけではないんでしょう? アイスさん。」
「ですね。今回の探索は鉱山の採掘も含まれておりますので、たくさん採掘できれば、領民達も喜んでくれますね。」
「領民達? ロックさんやガンドさん達洞穴族の方々ではなくですの?」
「基本的には洞穴族の方達ですが、領民達には洞穴族に弟子入りしているものが結構おりまして、その練習用にたくさん欲しいとお願いされましてね。」
「そういうことですの? フフッ、了解しましたわ。ワタクシ達も協力させて頂きますわ。」
「ありがとうございます。ところで、カムイちゃん、鉱石を探知できるようなスキルって持ってる?」
「うーん、正直手に入れたいとは思っていたけど、私達ゴブリン族では難しいみたい。加工スキルならある程度いいものは身につくらしいけど、そこまで専門的な分野は無理みたい。ただ、鉱石専門じゃないけど、素材探知である程度なら分かるかも知れない。」
「なるほど、それでも十分すぎると思うよ。基本的には、銅鉱石と鉄鉱石がメインで、特殊な鉱石は今回望んでいないからね。」
「銅鉱石と鉄鉱石かぁ、それなら何とかなりそうだね。」
「よし、じゃあ、宜しく頼むよ。」
「うん、任せて!!」
ダンジョンが固定になってからは、地下1階と2階には一度も通ったことがないため、比較的ゆっくりと道中を進んでいく。練習も兼ねて気配探知は掛けているが、地上とは違って、そこまで探索範囲は広くないので、カムイちゃんの斥候能力が重要となっている。とはいえ、カムイちゃんのスキルは信頼できるレベルであるし、どうせマーブルが広範囲に探知をかけているだろうから、少なくとも不意打ちが起こらなければ、どうとでもなる。つまり、いつも通り気楽に構えていれば大丈夫、ということだ。
魔物とは時々出会うけど、正直役不足感は否めないので、問題なく倒しては素材として利用できるものは回収しているし、罠もカムイちゃんが問題なく解除しては、アイテムも順調に手に入れているが、予想だにしなかった問題点が出てきた。それは、鉱石に関してであった。
鉱石は採掘スキルがあれば、多く採れるし、質も良くなる。しかし、我がメンバーは誰一人採掘スキルを持っていない。とはいえ、それに関しては想定内であるため、実は問題ではなかった。では、問題点とは何かであるが、それは、採掘道具にまともなものが存在していなかったのだ。
一応人数分の採掘道具は用意しておいたが、道具の質がよろしくなくて、満足に採掘できないのは正直痛かった。折角メンバーの人数も揃っているのだから、見つけた採掘ポイントでガッツリと採取しておきたかったけど、それが出来ない状態だった。ぶっちゃけ、途中で採掘道具が全て壊れてしまい、折角見つけた採掘ポイントをスルーしなければならないのは痛い。一応最低限、マーブル達が魔法でどうにか採掘してくれてはいるけど、できることなら人数分しっかりと回数限界まで採掘しておきたかったのが本音だ。
まあ、満足に採れなかったのはあきらめて、地図の作成に比重を置くことにして、進軍再開だ。地図に道を書き込んでは、採掘ポイントなどもしっかりとメモしていく。もちろん、1枚では書き切れないので、何枚にもわたって書き込んでいった。ゼン○ンの地図さながら、つなぎ目には番号を振って、あとで組み合わせたときに混乱しないようにもしておく。たまに方角がわからなくなると、マーブル達が指摘してくれるから、安心して作成ができる。
地図作成をしながら、魔物を倒し、罠を解除しつつ進むが、ここのダンジョンは特に地下1階と2階は非常に広いので、いくら地形が変わらなくても、一日では踏破しきれないのはわかりきっていたので、今日はここまでということで、一旦戻ることにした。
戻ってから、領主館で今日踏破した範囲をまとめる作業に入った。その地図を見たアンジェリカさん達は、かなり驚いていたようだった。
「ア、アイスさん、結構スラスラ書いていたから気付かなかったのですが、ここまで詳細に描き込んでおりましたの?」
「ん? あれ、アンジェリカさんは、私の作成した地図って見るの初めてでしたっけ?」
「ええ、初めてですわね。冒険者ギルド内でも、アイスさんのお作りになった地図は、詳細な情報まで載っており非常に評価が高いので有名でしたが、まさかここまでとは思いませんでしたわ。」
「うん、何でこんなに正確な地図が書けるのに、方向音痴なのかわからない、、、。」
そこは突っ込まないで欲しかった。私自身もどうしてそうなるのか、さっぱりわからないから、、、。少し落ち込みはしたが、事実なので、何も言い返せなかったところ、マーブルとジェミニがスリスリ攻撃をしてきたので、こちらもモフモフで反撃だ。
モフモフのおかげで、落ちてたテンションが元に戻り、作業を続行し、どうにかまとめることができたので、写しを作って、これらを冒険者ギルドへと報告ついでに持っていった。もちろん、原本はこちらで持っておくことも忘れない。というのも、手直しが必要な場合もあるから。手直しするときにまた一からやり直すのはマジ勘弁して欲しいからね。
ギルドに行って、報告を済ませて、手に入れた素材と鉱石を卸して、手に入れた賞金を山分けする。面倒だったので人数割りにした。特にカムイちゃんは遠慮していたけど、貢献度は高いので受け取る義務があると無理矢理押しつける感じで渡した。特に、装備の手入れにお金も手間もかかるんだから、稼げるときに稼がないと、少なくとも、私やマーブル達は装備にお金がほとんどかからないのだから。
ギルドを出た後、今日の所は解散して各自自由行動となった。私が次に行ったところは、職人組のいるところだった。というのも、採掘道具に不満があったので、いいやつを手に入れたいと思ったからだ。造成班の仕事場の一角に職人組はいる。私の姿を確認したガンドさんがいきなり謝ってきた。
「す、済まねえ、ご領主。ワシらが鉱石を依頼したのに、まともな道具がなかったんだってな。」
あれ? すでに話に出ていたのか。なら話は早いな。
「そうだね、正直、ギルドである程度用意したんだけど、満足に採掘できんかった、、、。」
「そうだな、採掘技能を持っておれば、ギルドで購入したやつでも十分なんだけど、ご領主達は誰一人として採掘技能もってないからなぁ。」
「そこなんだよね。じゃあ、採掘技能手に入れればいいじゃん、ってなるけど、何だか無理そうだしねぇ。」
「こればっかりは、相性の問題もあるから仕方ねぇ。実は、ご領主がダンジョンへと向かったって聞いたときに、思い出したもんだから、これらを渡すのを忘れてたんだ。」
そう言って、ガンドさんが人数分のつるはしを渡してきた。
「まだ、採掘はしてくれるんだろ? だったら、こいつを使ってくれ。これは、採掘技能のスキルも着けてくれる優れものだ。ご領主達の力になるだろう。素材も良質な金属を使っているから、一日ずっと採掘しても壊れないだろう。とはいえ、手入れは必要だから、探索が終わって戻ってきたら、俺らに渡してくれ。しっかりと調整、修復しておくから。」
そう言って、受け取ったつるはしを鑑定すると、確かに採掘スキルが付与されていた。
「ありがとう。明日からこれを使わせてもらうよ。じゃあ、これ代金ね。」
ガンドさんにお金を渡すと、ガンドさんは慌てていた。
「い、いや、頼んだのは俺たちだから、代金を受け取るわけには、、、。」
「それは受け取って欲しい。受け取らないと、ギルドで満足に鉱石買えないでしょ? そういった費用も含めているから、受け取らないと。」
そう言って、受け取らせてから、領主館へと戻った。とりあえず、これでしっかりと採掘もできるな。
-------------------------
ガンド「用意しなきゃらなねえことを忘れた上に、用意したら代金まで受け取っちまったんだが。」
職人A「もらえるんだから、もらっちまえよ。アイスさんを困らせるなよ。」
ガンド「そうは言ってもよ、これ、全部金貨なんだが、、、。」
職人達「「「ハーーーッ!?」」」
本来なら、銀貨90枚分のようですが、渡されたのは金貨100枚だったそうです、、、。
テシテシ、テシテシ、ポンポン、ツンツン。はい、毎朝恒例の朝起こしです。今回は無事にコカトリスも参加ですね、いいことです。というか、何となくだけど、朝起こしに参加しているコカトリスって毎回同じ気がしてならないんですが、というか、外見では区別つかないけど、罠に引っかかりやすい個体と、そうでない個体がコカトリス達にも存在するもんなんですね。まあ、それは人間とかでも同じかな。
どんなに寝不足でも、倦怠感が取れるこの幸せともいえる朝起こし、二度寝という悪魔の囁きすら撥ね除けてしまう破壊力! おかげで、マーブルと出会って以降は私、二度寝というものをしたことがありません。というのは半分冗談で、マーブル達を巻き込んで二度寝に突入しそうになったことも数知れません。
まあ、それはおいといて、いつも通り、マーブル達を一通りモフって感触を楽しんでから、卵を持ってきてくれたコカトリスにもお礼のモフモフを。本来であれば、卵を持ってきてくれたコカトリスを最初にモフるのが礼儀だとは思うけど、それについては、コカトリス達が自分たちは後で、ということらしい。
そういえば、毎朝運んできてくれる卵の数は必ず15個なんだけど、以前不思議に思ってコカトリスに聞いてみたところ(ジェミニとライムの通訳を通じてだけど)、何でも、我が町にいる15羽のコカトリス達が生み出した中で一番いい卵をそれぞれ1つずつ、ということらしいのだ。なるほど、それで15個なんだな、と納得したが、申し訳ないという気持ちと、とてもありがたいという気持ちが混同してしまい、言葉に詰まったことがある。つまり、この世界でも最高級な味と品質の卵を毎日頂いているということでもある。
いつもながら見事な卵を見て、それを思い出したので、今日の朝ご飯は久しぶりに卵かけご飯を頂くことにした。いつも通り4人分の準備をしていたが、何かおかしいことに気付いた。普段なら、モフモフし終えるとみんなの元に返っていくコカトリスが、今日はまだ残っていたのだ。何やら自分たちの卵をどう食べるのかが気になっているようだった。ってか、今更!? 折角なので、一緒に食べるか? と誘うと、みんなと一緒に食べるからと遠慮していた。とにかくどう調理するのかが見たかったようだ。でも、今日は卵かけご飯だからねえ、、、。
もらった卵のうち、自分たちで食べる分を4つ残して残りを空間収納にしまおうとしたら、「コケーッ」と鳴くと、しまおうとしていた1つを取って、それを私に渡す。どうやら、この渡してくれた卵がこのコカトリスが生み出した卵で、それを食べてもらいたいようだ。私は「ありがとう」と言って、その卵と交換して空間収納にしまった。
ご飯用の器に麦飯をよそって、みんなの場所に置く。その隣に卵用の器を置いて、その器に卵をのせる。醤油を中央に置いてから、あとはスガーの入れてある器を醤油の隣に置いて、スガー投入用の匙をスガーの入った器に差し入れる。後はスープを器に入れて、それぞれの前に置いて準備完了である。
食事前の頂きますの挨拶をしてから朝食を食べ始める、と言っても、卵を割って、醤油とスガーを入れて少しかき混ぜてからご飯に投入、それをかき混ぜてから食べ始めるのだが、そこまでは私の仕事である。ちなみに入れる順番は、ライム、マーブル、ジェミニ、私の順だ。というのも、これは食べる速度が遅い順に準備している。これらの流れを一通り見たあと、コカトリスはみんなのところへと戻っていった。後日、このやり方で食べるのだろう。でも、卵かけご飯には、決まりなど一切ないのだから、自分たちが一番美味しいと思うやり方でそれぞれ食べてくれたらいいなとは思う。ちなみに、私はこれが一番美味しいと思って食べている。
黄身と白身を分けて、白身をメレンゲ状にしてから食べるやり方をしている人もいると思うけど、私は全卵の状態で醤油と味○素を入れてかき混ぜたやつをご飯に入れて混ぜて食べるやり方の味が一番好きである。他のものは一切いれない。もちろん異論は認める。
マーブル達は喜んで食べてくれていたので、合格だったのだろう。正直味○素のような旨味調味料が欲しいところではあるけど、自分が作るしか今のところ手段はないんだろうな、、、。正直あれは無理だ。
朝食も食べ終わって、片付けを済ませてからマーブル達とまったりしていると、戦姫の3人とカムイちゃんが来た。
「アイスさん、ご機嫌よう。今日から宜しくお願いしますわ。」
「皆さんおはようございます。準備ができておりましたら、これより出発しますが、特にカムイちゃんの体調は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。私は2回目だし、しっかり寝たから。」
みんな用意ができているようなので、マーブルの転送魔法で洞窟の入り口まで移動する。洞窟に入ると、何か転送された感じがしたけど、これはマーブルの転送魔法ではないな。後日ギルドで確認すると、この洞窟は6人以下のパーティでないと入れないらしく、6人を超えると脳内にアナウンスが届くらしい。そのまま6人を超えて入ってしまうとランダムで2組に配置されてしまうようだ。まあ、すぐに出られるようなので、改めて入り直しすればいいだけのようだが。
周りを確認すると、全員揃っていた。どうやら、マーブル達は従魔扱いということで、カウントされていないようだ。後で考えてみると、私達だけ特例で7人以上でも入れるようにダンマスが処理したようだ。これも後日判明したことだけど、現段階では何で転送されるんだろう? という気持ちだった。
私達の目的は、地下1階と2階の地図の作成と、鉱石の採取である。もちろん戦姫の案内のついでである。
「ここは、鉱山、でしょうか?」
「そうですね、ここではかなりの量の鉄鉱石や銅鉱石が手に入るようです。先日までは、入る度に構造が変わるような意地悪ダンジョンでしたが、最近は構造は全く変わらないそうですよ。」
「なるほど。アイスさん達は、構造が変わる時に探索されたのでしたっけ?」
「そうですね。ですから、ギルド長から、地下1階と2階の地図の作成を依頼されておりますので、申し訳ありませんが、隅々まで探索していく予定です。」
「それは全く構いませんわ。その地図が後に続く領民達や冒険者達の為になれば幸いですから。でも、それだけではないんでしょう? アイスさん。」
「ですね。今回の探索は鉱山の採掘も含まれておりますので、たくさん採掘できれば、領民達も喜んでくれますね。」
「領民達? ロックさんやガンドさん達洞穴族の方々ではなくですの?」
「基本的には洞穴族の方達ですが、領民達には洞穴族に弟子入りしているものが結構おりまして、その練習用にたくさん欲しいとお願いされましてね。」
「そういうことですの? フフッ、了解しましたわ。ワタクシ達も協力させて頂きますわ。」
「ありがとうございます。ところで、カムイちゃん、鉱石を探知できるようなスキルって持ってる?」
「うーん、正直手に入れたいとは思っていたけど、私達ゴブリン族では難しいみたい。加工スキルならある程度いいものは身につくらしいけど、そこまで専門的な分野は無理みたい。ただ、鉱石専門じゃないけど、素材探知である程度なら分かるかも知れない。」
「なるほど、それでも十分すぎると思うよ。基本的には、銅鉱石と鉄鉱石がメインで、特殊な鉱石は今回望んでいないからね。」
「銅鉱石と鉄鉱石かぁ、それなら何とかなりそうだね。」
「よし、じゃあ、宜しく頼むよ。」
「うん、任せて!!」
ダンジョンが固定になってからは、地下1階と2階には一度も通ったことがないため、比較的ゆっくりと道中を進んでいく。練習も兼ねて気配探知は掛けているが、地上とは違って、そこまで探索範囲は広くないので、カムイちゃんの斥候能力が重要となっている。とはいえ、カムイちゃんのスキルは信頼できるレベルであるし、どうせマーブルが広範囲に探知をかけているだろうから、少なくとも不意打ちが起こらなければ、どうとでもなる。つまり、いつも通り気楽に構えていれば大丈夫、ということだ。
魔物とは時々出会うけど、正直役不足感は否めないので、問題なく倒しては素材として利用できるものは回収しているし、罠もカムイちゃんが問題なく解除しては、アイテムも順調に手に入れているが、予想だにしなかった問題点が出てきた。それは、鉱石に関してであった。
鉱石は採掘スキルがあれば、多く採れるし、質も良くなる。しかし、我がメンバーは誰一人採掘スキルを持っていない。とはいえ、それに関しては想定内であるため、実は問題ではなかった。では、問題点とは何かであるが、それは、採掘道具にまともなものが存在していなかったのだ。
一応人数分の採掘道具は用意しておいたが、道具の質がよろしくなくて、満足に採掘できないのは正直痛かった。折角メンバーの人数も揃っているのだから、見つけた採掘ポイントでガッツリと採取しておきたかったけど、それが出来ない状態だった。ぶっちゃけ、途中で採掘道具が全て壊れてしまい、折角見つけた採掘ポイントをスルーしなければならないのは痛い。一応最低限、マーブル達が魔法でどうにか採掘してくれてはいるけど、できることなら人数分しっかりと回数限界まで採掘しておきたかったのが本音だ。
まあ、満足に採れなかったのはあきらめて、地図の作成に比重を置くことにして、進軍再開だ。地図に道を書き込んでは、採掘ポイントなどもしっかりとメモしていく。もちろん、1枚では書き切れないので、何枚にもわたって書き込んでいった。ゼン○ンの地図さながら、つなぎ目には番号を振って、あとで組み合わせたときに混乱しないようにもしておく。たまに方角がわからなくなると、マーブル達が指摘してくれるから、安心して作成ができる。
地図作成をしながら、魔物を倒し、罠を解除しつつ進むが、ここのダンジョンは特に地下1階と2階は非常に広いので、いくら地形が変わらなくても、一日では踏破しきれないのはわかりきっていたので、今日はここまでということで、一旦戻ることにした。
戻ってから、領主館で今日踏破した範囲をまとめる作業に入った。その地図を見たアンジェリカさん達は、かなり驚いていたようだった。
「ア、アイスさん、結構スラスラ書いていたから気付かなかったのですが、ここまで詳細に描き込んでおりましたの?」
「ん? あれ、アンジェリカさんは、私の作成した地図って見るの初めてでしたっけ?」
「ええ、初めてですわね。冒険者ギルド内でも、アイスさんのお作りになった地図は、詳細な情報まで載っており非常に評価が高いので有名でしたが、まさかここまでとは思いませんでしたわ。」
「うん、何でこんなに正確な地図が書けるのに、方向音痴なのかわからない、、、。」
そこは突っ込まないで欲しかった。私自身もどうしてそうなるのか、さっぱりわからないから、、、。少し落ち込みはしたが、事実なので、何も言い返せなかったところ、マーブルとジェミニがスリスリ攻撃をしてきたので、こちらもモフモフで反撃だ。
モフモフのおかげで、落ちてたテンションが元に戻り、作業を続行し、どうにかまとめることができたので、写しを作って、これらを冒険者ギルドへと報告ついでに持っていった。もちろん、原本はこちらで持っておくことも忘れない。というのも、手直しが必要な場合もあるから。手直しするときにまた一からやり直すのはマジ勘弁して欲しいからね。
ギルドに行って、報告を済ませて、手に入れた素材と鉱石を卸して、手に入れた賞金を山分けする。面倒だったので人数割りにした。特にカムイちゃんは遠慮していたけど、貢献度は高いので受け取る義務があると無理矢理押しつける感じで渡した。特に、装備の手入れにお金も手間もかかるんだから、稼げるときに稼がないと、少なくとも、私やマーブル達は装備にお金がほとんどかからないのだから。
ギルドを出た後、今日の所は解散して各自自由行動となった。私が次に行ったところは、職人組のいるところだった。というのも、採掘道具に不満があったので、いいやつを手に入れたいと思ったからだ。造成班の仕事場の一角に職人組はいる。私の姿を確認したガンドさんがいきなり謝ってきた。
「す、済まねえ、ご領主。ワシらが鉱石を依頼したのに、まともな道具がなかったんだってな。」
あれ? すでに話に出ていたのか。なら話は早いな。
「そうだね、正直、ギルドである程度用意したんだけど、満足に採掘できんかった、、、。」
「そうだな、採掘技能を持っておれば、ギルドで購入したやつでも十分なんだけど、ご領主達は誰一人として採掘技能もってないからなぁ。」
「そこなんだよね。じゃあ、採掘技能手に入れればいいじゃん、ってなるけど、何だか無理そうだしねぇ。」
「こればっかりは、相性の問題もあるから仕方ねぇ。実は、ご領主がダンジョンへと向かったって聞いたときに、思い出したもんだから、これらを渡すのを忘れてたんだ。」
そう言って、ガンドさんが人数分のつるはしを渡してきた。
「まだ、採掘はしてくれるんだろ? だったら、こいつを使ってくれ。これは、採掘技能のスキルも着けてくれる優れものだ。ご領主達の力になるだろう。素材も良質な金属を使っているから、一日ずっと採掘しても壊れないだろう。とはいえ、手入れは必要だから、探索が終わって戻ってきたら、俺らに渡してくれ。しっかりと調整、修復しておくから。」
そう言って、受け取ったつるはしを鑑定すると、確かに採掘スキルが付与されていた。
「ありがとう。明日からこれを使わせてもらうよ。じゃあ、これ代金ね。」
ガンドさんにお金を渡すと、ガンドさんは慌てていた。
「い、いや、頼んだのは俺たちだから、代金を受け取るわけには、、、。」
「それは受け取って欲しい。受け取らないと、ギルドで満足に鉱石買えないでしょ? そういった費用も含めているから、受け取らないと。」
そう言って、受け取らせてから、領主館へと戻った。とりあえず、これでしっかりと採掘もできるな。
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ガンド「用意しなきゃらなねえことを忘れた上に、用意したら代金まで受け取っちまったんだが。」
職人A「もらえるんだから、もらっちまえよ。アイスさんを困らせるなよ。」
ガンド「そうは言ってもよ、これ、全部金貨なんだが、、、。」
職人達「「「ハーーーッ!?」」」
本来なら、銀貨90枚分のようですが、渡されたのは金貨100枚だったそうです、、、。
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そんな中両親がいない荒鐘真(あらかねしん)は自身初のレベルあげをする事を決意する。
妹の大学まで通えるお金、妹の夢の為に命懸けでダンジョンに挑むが……
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