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第140話 さてと、どうにか完成しましたね。

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前回のあらすじ:うどんが食べたくなったので作り始めた。



 うどんが食べたくなったので、手打ちうどんを作ろうと、小麦から小麦粉をひいて、食塩水と小麦粉との配分もばっちり、こねるのもほぼ完璧といってよかっただろう。さあ、これから生地を休ませてから製麺だ! と思っていたけど、大事なモノを忘れておりました。麺棒なかったら、生地伸ばせないだろ!!


 そうです、麺棒用意してなかった、、、。どうする、今から急いで職人に頼んで作ってもらうか? いや、そうなると、耳目の優れた領民達のことだ、このことをかぎつけて、折角作ったうどんが食べられなくなる可能性が!? いや、それはまずい、どうする、どうすれば、、、。


 見た目にはそれほどへこんでなさそうに見えた(戦姫談)らしいが、本人は実は最近ではほとんどここまで落ち込んだことはなかった。本気で落ち込んでいることを悟ったマーブルがテシテシと私を軽く叩いてスリスリしてきた。かなり深くまで沈み込んでいたテンションが通常に戻ったのを感じた。モフモフすげぇ。


 ジェミニがどうしてそんなに落ち込んでいたのか聞いてきたので、麺棒を用意し忘れたと話すと、もちろん麺棒なんてものは知らないから、マーブル達が揃って首を傾ける。単体でも破壊力抜群なのに、一斉にそれをやられると顔がにやけてしまう。そのまま撫で回したい気持ちを抑えて、麺棒の説明をして、それを用意し忘れたから、急いで職人に頼んで作ってもらおうかと悩んでいたことを話すと、ライムが飛び上がって「ボクにまかせて」と言ってきた。


 一体何だろうなと思っていたら、ライムが麺棒のような形に変形し、「これでいい?」と言ってきたので、早速握らせてもらうと、スライム特有の柔らかさがあったので、それを伝えると、「じゃあ、こんかかんじ?」と言ったので、確認するとばっちりの硬さとなっていた。どうやら硬質化したようだ。それを見て、オニキスも「ピー!」と言って、ライムと同じように麺棒化したのであった。


 これで、一部の超耳目に優れた連中を覗いて、密かに新作が楽しめると思うと、ホッとしたと同時にニヤリともしてしまったが、どちらにせよこれでうどんが作れるのだ。


 麺棒の問題も解決したので、次は生地を休ませている間にスープの仕込みである。今回は単純に醤油と出汁の組み合わせで行く予定である。具はどうしようかな。素うどんにするのもいいけど、やはりネギがないのは非常に痛い。まあ、今回は試作ということで、つゆと麺だけでいいか。味噌煮込み、ぶっかけ、釜玉は次だ。


 鍋を2つ用意して、両方に水を入れて沸騰させておく。マーブルに頼んで火魔法で温めるのもいいけど、今回はあくまで試作ということで、水術で一気にその状態へともっていく。それを見ていたルカさんが思わずつぶやいていた。


「いつ見ても、あれは、ズルイ、、、。」


 いや、魔法を当たり前のように使っているあなたたちの方が私にとってはズルイと思いますよ、って、何でマーブルまで同意してるの!? どう考えても、転送魔法やら空間収納やら魔法でいろいろできている君の方がズルイ存在でしょうに、、、。


 という周りのことはさておき、片方は沸騰したままにして、片方は沸騰を止めた状態にする。沸騰を止めた方の鍋にしるけんを投入。今回は魚介出汁タイプのやつと、海藻系の出汁を出すタイプを使用。いずれは本物の昆布や鰹節で出汁をとりたいなと思いつつ、しばらく放置。


 どちらも、もう少し放置しておく必要があるので、少し手持ち無沙汰になってしまったので、ミードを作ったときに出てきた沈殿物を確認しておく。網は次に使いたいので、空になっていた壺を熱湯消毒して乾燥させたやつにしまっておいたものだ。こういうものはゴミカスっぽく見えるけど、実は重要なモノであったりする場合が多いので、処分するのは早計なのだ、というわけで、まずは軽く味見をしてみる。


 以前いた世界では知らないけど、この世界のミード屑は発酵させたのもありそこそこ酸っぱかったが、ハチミツの甘さもある程度含まれたモノで、これ単体でも何かに使えそうな感じがした。まさか、と思ってこれを鑑定してみることにした。アマさん、頼むよ。


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『天然酵母ハチミツタイプ』・・・おろ? これ生きておるな。これを再利用して再びハチミツ酒を発酵させるもよし、別の何か発酵に使いたいものがあれば、それに使うのもいいかもしれんな。ただ、ハチミツの風味が前面に出てしまうから、そこを気をつけた方がいいの。

 わかっておるじゃろうが、ミードもそうじゃが、別の何かを作ったときには、、、宜しく頼むぞい。

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 やっぱり催促されたな。それにしても天然酵母か、、、。ん? 天然酵母? ということは、だ。ついにアレも作れるようになるのか。正直ミードについては、再利用して発酵を促す気はなく、あのくらいの速度で十分すぎるので、これ以上早く作る必要もないし、そこまで作りたくもない。何せ原料が貴重なハチミツ、その中でも恐らくこの世界では最高級の品質であろう、シロップ達のハチミツを、ミードなどの酒造りのみに使用するのは正直いただけない。


 ということで、このハチミツタイプの天然酵母は他のことで利用する予定。しばらく水術で凍らせておくかな。必要になったら解凍して使用すれば大丈夫だろう。


 そうこうしているうちに、寝かしていた生地が良い感じになってきたと思うので、麺打ちを再開する。テーブルを熱湯消毒して乾燥させてから、打ち粉用に取っておいた小麦粉を撒いて、その上に寝かせた生地をおいて、生地の上にも小麦粉を撒いた。


「こうして、小麦粉を撒きます。これを打ち粉といいまして、生地がくっつかないようにするためにします。打ち粉をしたら、このようにして生地を伸ばしていきます。本来なら綿棒という道具を使ってやるのですが、今回はスライム達にお願いしましたけど、、、。伸ばすときはできるだけ縦方向だけ伸ばす感じを意識してやってみてください。」


 こんな感じで説明しながら生地を伸ばしていく。最初にやったアンジェリカさんは、始めこそ上手くいってない感じだったけど、すぐに慣れて、良い感じに伸ばせていた。セイラさんは器用なもので、すぐにコツをつかんで伸ばしていた。ルカさんは、不器用なんだね、、、。でも、私が最初にやったときよりもかなり上手だった。これこそズルイのでは、、、。


 マーブルもジェミニもやりたそうにしていたけど、また今度お願いするね。今回はどうしても成功させたいから我慢して。そう言うと、マーブル達は我慢してくれた。近いうちにもう1度やる機会があるはずなので、そのときには是非とも頼むね。


 無事、伸ばしが終わったので、次はそれを切っていく作業に入る。一応包丁はあるけど、戦姫の分がないかな。まあ、普通に切断するだけだから、別に包丁でなくてもいいだろう。今回は重さで裁ち切ってもらうか、いや、今回はマーブル達は粉にする作業以外は何もしてないから手持ち無沙汰だな。どうせ茹でるのに時間がかかるから、最初だけ私がやって、残りはマーブル達にお願いするか。


 ということで、切れ味は悪いけど、ある程度重さで切ることのできる、中華包丁もどきがいくつかあったので、それを取り出して、熱湯消毒にかけてから戦姫の3人に渡す。


「今渡したものを使って、伸ばした生地をこんな感じで折りたたんで、端から切っていきます。感覚的にはこのくらいがいいと思います。ゆっくりでかまわないので、太さを揃えることを意識して切っていってください。」


 と言いながら見本を見せた。切り終わったらこれを茹でるのだけど、夕食までには少し時間があるので、一旦凍らせて、夕食になったら、また茹でるつもりだ。こうした方が麺のコシが強くなるので、やっておかないと勿体ない。私が担当した分の残りは、マーブル達に切ってもらうように頼むと、マーブル達は喜んでくれた。やはり頼んで正解だった。ぶっちゃけ、私が自分で切るよりも、マーブル達に任せた方がキレイに切れるのだ。私が不器用というのもあるけど、何でもしっかりとできてしまうマーブル達はやはりズルイ。


 アンジェリカさん達が切っている間に、こちらはある程度茹で上げてしまおうと、茹での作業に入る。正直一食毎に茹でていきたいけど、量が量なので、二食毎茹でることに。準備の方は万全である。すでに沸騰させた状態の鍋に二食分のうどんを粉を払ってから投入。水術で動かしているので、箸等を使う必要なく軽くかき混ぜながら茹で上げる。最初は沈んでいた生のうどんであったが、火が通ってくると浮き上がってくるので、それを回収。回収したら、水術で凍らせて完了である。これをひたすら繰り返すのみである。


 しばらくこの作業をしていると、アンジェリカさん達が切り終わったようで、こちらに切った生うどんを持ってきた。最初は太さもまばらだけど、逆にそれがいい、とか思っていたけど、予想以上にしっかりと太さが揃っていたのには驚いた。貴方達、本当に初めてなの? と思いたいくらいいい出来であった。


「・・・何で、みなさん、こんなに上手に切れているんですかね、、、。まあ、その方がいいですけど。」


「アイスさんがおっしゃったように切っただけですわ。教え方がよろしかったのでは? フフ。」


 何か負けた気分なんですけど、、、。まあ、いいか。


「次の行程ですが、切ったうどんを茹でる作業です。今回は夕食まで少し時間がありますので、これらを茹で上げたら、一旦凍らせます。一旦凍らせてから、食べる直前に再び茹で上げると、さらに美味しく食べられるようになります。とはいえ、凍らせなくても十分美味しいですし、組み合わせによっては、凍らせない方が美味しく食べられるものもあります。で、茹で方ですが、最初にアンジェリカさんからいきましょうか。切ってもらったうどんですが、少し麺についている粉をこんな感じで落としてから鍋に投入してください。」


 粉を落とす作業を別の麺で手本を見せてから投入してもらう。それからかき混ぜ用の長い箸を渡しておく。


「基本は放置で構わないのですが、たまに今渡した箸で軽くかき混ぜましょう。これは麺がくっつかないようにするためなので、本当に軽くかき混ぜてくれれば良いです。」


 言葉にしっかりと従って、軽くかき混ぜるアンジェリカさん。セイラさんとルカさんもしっかりと見て確認していた。その隣で、切る作業をしていたマーブル達も切り終わったようで、それぞれ私の定位置に飛び乗ってきた。ちなみに、外出時でないときは、ライムの定位置は何故か私の頭の上が多かった。今回もそうだ。


「マーブル達も終わったようだね。ご苦労様。」


 マーブル達も、アンジェリカさんがたまに軽く箸でかき混ぜるのを見ながら、茹で上がるのを見ていた。


「お、茹で上がったようですね。こうして茹で上がると、勝手に上に上がってくるので、それが茹で上がりのサインみたいなものです。こいつで掬い上げてください。掬い上げたら、軽く水を切りましょう。」


 急ごしらえで作った。ヴィエネッタが用意してくれた網を使って水切り作業を行った。この網は、ミードやビール用の網とは違って伸縮性に優れており、水切り作業にはうってつけのものだった。急ごしらえではあったけど、うどんの水切り程度では十分な強度だったのでホッとした。洗った厨が五月蠅そうなので、敢えて言っておく、もちろん熱湯消毒済みだよ。


 アンジェリカさんの分のうどんが、水切り作業を終えたので、水術で凍らせて器に置いておく。これで、アンジェリカさんの分については準備完了だ。


 その後、セイラさん、ルカさんと続いて、マーブル達が切ってくれた分も続けて行っていく。セイラさん、ルカさんもソツなくこなして準備完了。マーブル達は自分たちでやりたがっていたのでお任せにしてみると、これがまた上手にやるんだよね、それも楽しそうに。だから可愛くて仕方がない。オニキスもやりたそうに見てたので、やろうとしたけど、かき混ぜはなかなか上手にできていたけど、水切りが上手くいかないようだった。頑張れ、オニキス。


 茹で上げ→冷凍の作業も終わったので、最後にツユの仕上げを行う。出汁がどれだけとれているか確認するべく味見をする。お、なかなか良い感じじゃないかな。とはいえ、冷凍したうどんを戻すときに、水が残っている可能性があるため、もう少し濃くした方がいいのかな、、、。いや、これ以上時間をかけても仕方がないからそのままでいきましょうか。ということで、しるけんを鍋から取りだした。


 出汁は十分に取れたので、後は醤油を投入してから、岩塩で味を調えれば良いか。ツユの甘みを出すのに必要なミリンがここにはないので、隠し味的に、ハニービーのハチミツと、大麦から作った麦汁、スガープラントから取りだした砂糖をそれぞれ均等に配合。私個人的には、甘すぎるツユよりも、塩っぱさが強いツユの方が好きなので、今回はその方向でツユを作成する。


 そういったことを考えながら、醤油→軽く味見→岩塩→軽く味見→甘み→軽く味見、とやっていくと、もう少し塩分が欲しいと思ったけど、岩塩だと塩分が少し弱いので、スガーの茎部分、つまり塩成分のところだけを少し投入する。で、味見。よし、現段階ではこれが一番良いかな。


 と思って個人で頷いていたら、マーブル達が少し味見をしたそうにこちらをテシテシと叩いてきた。ってか、降りずにずっといたんだね、、、。気付かなかったよ、、、。というか、いつの間にかこれだけ動いても動く邪魔にならないように乗っていられるんだろうか。毛も落ちてこないし。まあ、毛については日頃のブラッシングのおかげもあるだろう。


 味見をしたがっていたのは、マーブル達だけではなく、アンジェリカさん達もだった。マーブル達からテシポンの催促。戦姫からは無言の圧力。はい、完全降伏です。ということで、それぞれに少しずつ完成したツユを渡して味見をしてもらう。結果はと言うと、非常に好評でした。


「ツユの味見もしてもらったところで、一旦完成です。後は、夕食まで待つだけです。夕食になりましたら、今凍らせてある麺を再び茹でてから食べられるようになります。ということで、一旦解散です。」


 そう言うと、アンジェリカさん達は自分たちの部屋へと戻っていった。あとは夕食を待つのみ、と言いたいところだけど、夕食が素うどんというのも少々味気ないので、もう少し品数を増やしますか、というわけで、他のメニューも作成するべく準備を再開した。

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トリトン陛下「宰相、今日の夕食だが、少し抑えた方がいいかもしれない。」
リトン宰相「と、いいますと、もしや。」
トリトン陛下「ああ、そのもしやだ。( ̄ー ̄)ニヤリ」
リトン宰相「ほほう、それは楽しみですな。( ̄ー ̄)ニヤリ」
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