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第1章

信じる者と信じられる者

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今日もまた、当たり前のようで当たり前出ない朝がシュレディンガーの猫の気まぐれのごとく離散的にやってきた。
夢半ば現実に意識が放浪する中、ゆっくりと立ち上がり、脳の覚醒に時間を割いてみるが、眠気が揶揄に寵愛してくる。今日は、目覚めが悪いらしい。曇った視界の中ふと前にある時計に目をやると、時計の針は、せっかちに秒針を働かせ、遅刻のお知らせを丁寧に教えてくれる。刹那、アドレナリンを触媒に焦燥感が体を滂沱の滝の如く動かした。昨日のうちに、準備をしとけば良かったと後悔しながら、支度を済ませてら家を出る。さながらパルクール選手のようにサドルに飛び乗りペダルを漕ぐ。いつものように追い風と接吻を交わしながら、学校に向かう。信号が歩みを止めなかったこともあり、思っていたよりも早く、学校についた。教室に入るなり、定位置の窓側の席に我が物顔で座り込む。どうだと言わんばかりに、周りを見渡すと、箱は、余裕を持て余していた。ここで、我に帰り、人数の少なさに違和感を感じる。1限目の授業は、一般教養だった。入学して3ヶ月がたち、みなそれぞれに大学を知り始めていた。
大学は、単位を取れれば卒業できる。各授業の教授ごとに、取り方は、異なるが、教養科目は一概に首席を取らない傾向にあるらしく、3ヶ月たった今、まじめに来ている人数は、入学当初の5分の1を切り、その1人である俺も最近は、サボり気味である。特にやることもないので、本を読むことにする。本は、想像力を掻き立て、自分を本意に非現実導いてくれる一番手軽なツールだ。友達が、人並みより多くないおれは、よく本を読んできた。だからというわけではないが、本は、好きである。100ページほど読んだところで、1限目が終わる。本に栞を挟み、立ち上がったところで、声をかけられた。心の落ち着く優しい声だ。吉野ねねに違いない。振り向くと、期待通り、吉野ねねが手を振っていた。これが青春かと、喜びで高鳴る心を抑え込み、ポーカーフェイスで返事をする。吉野ねねは、日本三大財閥の一つである吉野財閥の令嬢で、高校時代の唯一の女子友達である。カバディやらない?彼女は、満面の笑みで、俺を新入生歓迎会のビラ配りをするかののうに、毎度、同じテンションでサークルの勧誘をしてくる。何にでも、影響されやすい彼女は、テレビで見た、カバディの動きにどハマりし、大学に入るなり、カバディ部を立ち上げた。しかし、部員数が4人と少くないが故会うたびに勧誘してくるのだ。吉野ねねと同じサークルに入れるなら、是非ともそうしたいが生憎、バトミントンサークルに所属しており、それは、叶わない。すまないと断りを入れ、俺は、教室を後にした。吉野ねねと違い2限のない俺は、朝食をとってないことを思い出すと、ルーソンに足を運んだ。
今では、一日のルーティンとなったウイダーとジャミンティーの在庫数を確認し、思わず笑みを浮かべる。241(ニシイ)円で会計を済ませ、無言で仕事する定員に会釈し店をでる。 
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