出戻り王女の恋愛事情 人質ライフは意外と楽しい

七夜かなた

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第六章

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 今さっきの体を突き抜けた快感だけでも、ジゼルには十分刺激的だったが、それをユリウスは「軽く」と言った。

(まさか、まだあれ以上の快感があるの? そんなのを味わったら私、どうなるの?)

「ジゼル? どうした?」 

 固まってしまったジゼルの様子に気づいたユリウスが、彼女の肩を揺すった。

「あ、あれ…か、軽いって…」
「ああ、そうか。初めてだったんだな」

 ジゼルの言葉になっていない口調に、ユリウスは彼女の動揺の理由を察し、微笑みかけた。

「でもこれで、あなたもちゃんとイけることが証明されたんだ」
「あ!」

 ピンと勃ち上を向いていたジゼルの乳首を、ユリウスが指先で弾く。
 たったそれだけのことなのに、ジゼルの体にゾクゾクと衝撃が走り抜け、肌がゾワリと粟立った。
 そしてまたもやお腹の奥から脚の付け根に向かって、何かが流れ出る。

(うそ、私、失禁…⁉)

 尿意など感じていないのに、何が流れ出るというのだろう。

「あ、あの…ユリウス…私…」
「どうした?」
「その…私…その…」
 
 もじもじと、ジゼルは脚を擦り合わせ、ユリウスを見る。
 自分が赤子のようなお漏らしをしてしまったなんて。
 しかも、こんな大事な時に…何て言えばいいのだろう。

「ああ、すまない。気づいてやれなくて」

 ユリウスは潤む目で見つめてくるジゼルの様子に、ユリウスは何かに気づいたらしい。

「こっちも触ってほしいのだな。今すぐ脱がせてやろう」
「え!」

 ユリウスはおヘソの辺りまで引き下げられていたジゼルの服を、一気に引き下ろした。

 服とコルセットを剥ぎ取られ、ジゼルはショーツ一枚の姿になる。

「ああ、こんなに濡らして、ちゃんと感じているな」

 ユリウスは、傷より先にまず濡れたことで布地が張り付いた、脚の間の部分を見て言った。 

(まさか…これが、お母様の言っていた、濡れるということ?)

 嫁入り前の基礎知識として、母から教えられた言葉に対し、男性の性器を挿入されるなんて痛くないのかと、ジゼルは尋ねた。
 母は「もちろん痛いけど、女性の体はちゃんと受け入れられるように出来ているわ。恐れず夫に身を任せればいいの。そうすれば、あなたの体は反応して、受け入れるために濡れるから」と言った。

 その「濡れる」という意味が、ジゼルには理解できなかった。
 ドミニコから吐き出される精液で、確かにジゼルのあの部分は「濡れた」が、母はそれがジゼルの身に起こるように言っていた。
 いつまで経っても痛みしか感じなかったが、それもその筈だ。ジゼルはドミニコの愛撫とも呼べない乱暴な扱いでは、濡れていなかったのだ。

 何が悪かったのか、もはやわからないが、ドミニコには感じなかったものを、ユリウスはジゼルから簡単に引き出したことになる。

「あ、や、そこは…」

 ユリウスの指が、布地の上から張り付いたせいで形がくっきり見えている、ジゼルの秘所を軽く撫でた。
 その刺激にジゼルの体が反応し、また体の奥からジワリと液が滲み出る。

「は、あ…ユリウス…あ」
 
 指の腹で割れ目に沿って撫でられ、ジゼルは喘いだ。

「気持ちいいか?」
「んんん、そんなとこ…あ、ああ」

 腰が浮いて、更に刺激を求めるかのように、ジゼルは自らユリウスの指に押し付けた。
 指が微かに食い込んた。

「……!!」

 悲鳴のようなものが口から漏れそうになり、ジゼルは両手で口を塞ぎ、爪先をキュッと丸めた。 

「ほらまた、我慢しなくていいんだ。俺はあなたの声が聞きたい。素直な反応が見たいんだから」

 ジゼルの手首を優しく掴んで、口を塞いでいた手をどかしたユリウスの視線が、ジゼルの濡れて布地が張り付いた場所から、右脇腹に移る。

「これが…さっき言っていた傷か?」

 ジゼルの返事を待たず、周りの皮膚とは違うミミズ腫れのようになった傷に、ユリウスがそっと触れた。
 
 お酒が入っていた瓶の縁の形に合わせ、それは半月の形を作っていた。

 ジゼルはぎゅっと目を閉じて、その形を何度もなぞるユリウスの指の動きを感じていた。
 彼の瞳に、憐れみや同情が浮かんでいたらどうしよう。
 そう思って怖くて目を開けられない。

「ドミニコめ…八つ裂きにしても足りない」

 そんな声がユリウスから聞こえてきて、ジゼルは思わず目を開けた。

 そこにあったのは、僅かな灯りの中で、全身から怒りを放つユリウスの姿だった。
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