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第五章
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ジゼルの反応を確かめながら、ユリウスは彼女の全身に触れる。
手から腕、肘、肩、それから首筋、顎へと手を這わせていった。
そして耳を人差し指と親指で挟み、耳を弄りだした。
骨がある部分を親指と人差し指で摘んで引っ張る。
そうかと思えば耳たぶを擦り合わせ、指を穴に差し込んできた。
ぞくりと肌が粟立つ。
(な、なに…これ、ただ耳を触っているだけなのに)
己の体に起こった反応に、ジゼルは戸惑う。
「ユ、ユリウス、そこは」
「ここも性感帯と言って、性的に感じる部分だそうだ」
「せ、せい…」
「ファーガスが言うには、人の体には感じる部分がいくつもあるそうた。手もそうだし、耳もそうらしい」
医者のファーガスが言うなら、本当のことだろう。
「あ、あ…んん、や、そ、そんな…」
耳にユリウスの温かい息が吹きかけられると、ジゼルはびくりとなった。
「どうだ? 何か感じるか? いや、愚問だな」
「や、そんな…ところで話すのは…あ、ああ、や、そんな、あ」
ユリウスが囁き、息を吹きかけると同時にパクリと口に含み、湿り気を帯びたものが耳の穴に差し込まれた。
ぴちゃぴちゃと水音が直接耳に響く。耳を喰みながら舌先が耳穴を出たり入ったりする。それと同時に指と指を絡められ愛撫される。
それと共にジゼルの全身に痺れが走り、お腹の奥から足の付根に疼きが広がる。
「は、あ…んん…は、あ…」
逃れようと体を反らそうとするが、頭を抱え込まれていて、動くことも出来ない。しかもしゃぶられていない方の耳も、耳朶を引っ張られたり指を耳穴に差し込まれたりする。
「あ、ユリ…あ、ああ」
外耳を軽く歯で噛まれて、ジゼルはユリウスの膝の上で軽く跳ねた。
耳からユリウスの口が離れ、そのまま舌先が首筋を這い、軽く歯が当てられた。
「あ、ユリ…ユリウス」
チリリと甘美な痛みが走る。走ったわけでもないのに、ジゼルの心臓は早鐘を打ち、心臓が今にも口から飛び出そうだ。
「今、どう感じましたか?」
首筋から僅かに唇を離してユリウスが囁く。頭がぼーっとして、何を聞かれたのか一瞬わからなかった。
「不快でしたか? それとも何か感じましたか?」
どう答えていいかわからず、その問いにジゼルはふるふると頭を振った。
「それは、不快だったということ?」
「わ、わかりません…だ、だけど…その…あの…」
自分の体に起こった反応について、どう言えばいいのかわからずジゼルは言葉を探した。
「大丈夫、ゆっくりでいいから、慌てずに。ほら、深呼吸して」
そんなジゼルの頭にそっと手を添えて、ユリウスは自分の方へ引き寄せた。
子をあやすようによしよしとジゼルの頭を撫で、彼女を落ち着かせる。
「もう一度聞く。何を感じた?」
決して押し付けるのではなく、ジゼルの中から答えが見つけ出せるように、ユリウスは辛抱強く問いかける。
「あの…体を…痺れのようなものが走って……」
さっきの自分の体に起こった現象について、ジゼルはポツリポツリと語りだした。
「その…肌が…ぞわりとなって、お腹の…おへその下辺りが何だか疼いて…」
全身をユリウスに委ね、ジゼルは彼から伝わる体温を感じていた。
随分長い間、こうして人と肌を寄せて体温を感じることなど、ジゼルになかった。
王族は赤子の頃から個室を持ち、一人で寝る。
側に乳母が控えていて、泣けばあやしてくれるが、基本は一人だ。
結婚してからも、ジゼルはドミニコと同じ寝台で寝ることはなかった。互いに別の部屋で寝る。誰かが側にいると眠れないとドミニコが言ったからだ。ただ睦事の時はドミニコがジゼルの所へやってきて、やることを済ませると、さっさと自室へ引き上げる。
ドミニコが自室でしないのは、体液などで汚れた寝台で寝たくないからだ。
ジゼルもそんな寝台で寝るのがいやだった。彼女がその後ソファで寝ていたことなど、ドミニコは知る由もない。知っていたとしても、彼は気にしなかっただろう。
「でも、不快とは思いませんでした」
ジゼルは己からそっと指を絡めたままの、ユリウスの手にもう一方の手を乗せた。
あの感覚を何と呼ぶかはわからないが、それか嫌悪ではなかったことは、はっきりわかる。
「あなたの手は温かい。人の手の温もりが気持ちいいと思ったのは、久しぶりです」
「気持ちいい。そう思ったなら、ちゃんとあなたは感じていたということだ。俺はあなたを気持ち良くさせたかったのだから。気に入ってくれたか?」
「あれが…あなたの言う前戯…なのですか?」
「まだあれはほんの序の口だ。まだ口づけもしていないだろう」
それを聞いてジゼルはユリウスの顔を見上げた。
「そう言えば…そうですね。しないのですか?」
「なんだ。してほいのか?」
見上げたジゼルの顎を軽くユリウスが捉える。
「え、あ、あの…そ、そう言うわけでは…」
そんなジゼルをユリウスが優しい目で見返す。
「お望みならして差し上げるが。嫌なら…」
「いえ、そ、そんな…んん」
ジゼルがすべて言う前に、ユリウスの唇が彼女の口を塞いだ。
彼の口づけは、ドミニコの強く押し付けたものと違い、そっと包み込むようなものだった。
ジゼルの唇をそっと喰み、啄む。
ジゼルはそっと目を閉じ、彼の唇の感触に意識を集中させた。
手から腕、肘、肩、それから首筋、顎へと手を這わせていった。
そして耳を人差し指と親指で挟み、耳を弄りだした。
骨がある部分を親指と人差し指で摘んで引っ張る。
そうかと思えば耳たぶを擦り合わせ、指を穴に差し込んできた。
ぞくりと肌が粟立つ。
(な、なに…これ、ただ耳を触っているだけなのに)
己の体に起こった反応に、ジゼルは戸惑う。
「ユ、ユリウス、そこは」
「ここも性感帯と言って、性的に感じる部分だそうだ」
「せ、せい…」
「ファーガスが言うには、人の体には感じる部分がいくつもあるそうた。手もそうだし、耳もそうらしい」
医者のファーガスが言うなら、本当のことだろう。
「あ、あ…んん、や、そ、そんな…」
耳にユリウスの温かい息が吹きかけられると、ジゼルはびくりとなった。
「どうだ? 何か感じるか? いや、愚問だな」
「や、そんな…ところで話すのは…あ、ああ、や、そんな、あ」
ユリウスが囁き、息を吹きかけると同時にパクリと口に含み、湿り気を帯びたものが耳の穴に差し込まれた。
ぴちゃぴちゃと水音が直接耳に響く。耳を喰みながら舌先が耳穴を出たり入ったりする。それと同時に指と指を絡められ愛撫される。
それと共にジゼルの全身に痺れが走り、お腹の奥から足の付根に疼きが広がる。
「は、あ…んん…は、あ…」
逃れようと体を反らそうとするが、頭を抱え込まれていて、動くことも出来ない。しかもしゃぶられていない方の耳も、耳朶を引っ張られたり指を耳穴に差し込まれたりする。
「あ、ユリ…あ、ああ」
外耳を軽く歯で噛まれて、ジゼルはユリウスの膝の上で軽く跳ねた。
耳からユリウスの口が離れ、そのまま舌先が首筋を這い、軽く歯が当てられた。
「あ、ユリ…ユリウス」
チリリと甘美な痛みが走る。走ったわけでもないのに、ジゼルの心臓は早鐘を打ち、心臓が今にも口から飛び出そうだ。
「今、どう感じましたか?」
首筋から僅かに唇を離してユリウスが囁く。頭がぼーっとして、何を聞かれたのか一瞬わからなかった。
「不快でしたか? それとも何か感じましたか?」
どう答えていいかわからず、その問いにジゼルはふるふると頭を振った。
「それは、不快だったということ?」
「わ、わかりません…だ、だけど…その…あの…」
自分の体に起こった反応について、どう言えばいいのかわからずジゼルは言葉を探した。
「大丈夫、ゆっくりでいいから、慌てずに。ほら、深呼吸して」
そんなジゼルの頭にそっと手を添えて、ユリウスは自分の方へ引き寄せた。
子をあやすようによしよしとジゼルの頭を撫で、彼女を落ち着かせる。
「もう一度聞く。何を感じた?」
決して押し付けるのではなく、ジゼルの中から答えが見つけ出せるように、ユリウスは辛抱強く問いかける。
「あの…体を…痺れのようなものが走って……」
さっきの自分の体に起こった現象について、ジゼルはポツリポツリと語りだした。
「その…肌が…ぞわりとなって、お腹の…おへその下辺りが何だか疼いて…」
全身をユリウスに委ね、ジゼルは彼から伝わる体温を感じていた。
随分長い間、こうして人と肌を寄せて体温を感じることなど、ジゼルになかった。
王族は赤子の頃から個室を持ち、一人で寝る。
側に乳母が控えていて、泣けばあやしてくれるが、基本は一人だ。
結婚してからも、ジゼルはドミニコと同じ寝台で寝ることはなかった。互いに別の部屋で寝る。誰かが側にいると眠れないとドミニコが言ったからだ。ただ睦事の時はドミニコがジゼルの所へやってきて、やることを済ませると、さっさと自室へ引き上げる。
ドミニコが自室でしないのは、体液などで汚れた寝台で寝たくないからだ。
ジゼルもそんな寝台で寝るのがいやだった。彼女がその後ソファで寝ていたことなど、ドミニコは知る由もない。知っていたとしても、彼は気にしなかっただろう。
「でも、不快とは思いませんでした」
ジゼルは己からそっと指を絡めたままの、ユリウスの手にもう一方の手を乗せた。
あの感覚を何と呼ぶかはわからないが、それか嫌悪ではなかったことは、はっきりわかる。
「あなたの手は温かい。人の手の温もりが気持ちいいと思ったのは、久しぶりです」
「気持ちいい。そう思ったなら、ちゃんとあなたは感じていたということだ。俺はあなたを気持ち良くさせたかったのだから。気に入ってくれたか?」
「あれが…あなたの言う前戯…なのですか?」
「まだあれはほんの序の口だ。まだ口づけもしていないだろう」
それを聞いてジゼルはユリウスの顔を見上げた。
「そう言えば…そうですね。しないのですか?」
「なんだ。してほいのか?」
見上げたジゼルの顎を軽くユリウスが捉える。
「え、あ、あの…そ、そう言うわけでは…」
そんなジゼルをユリウスが優しい目で見返す。
「お望みならして差し上げるが。嫌なら…」
「いえ、そ、そんな…んん」
ジゼルがすべて言う前に、ユリウスの唇が彼女の口を塞いだ。
彼の口づけは、ドミニコの強く押し付けたものと違い、そっと包み込むようなものだった。
ジゼルの唇をそっと喰み、啄む。
ジゼルはそっと目を閉じ、彼の唇の感触に意識を集中させた。
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