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74 明らかになる真実③
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襲ってきたのが農民。しかも場所はシェルテーレとの国境。嫌な予感しかしない。
「あの、父上、ベルンの息子は、えっと、マグナスだったけ? 彼はジュストの瞳のことを『悪魔の瞳』って言っていたんです。彼は例の教化に影響を受けていると思います」
「『シャイユカルド教』か。あの教団はジュストを助けたときに崩壊した。幹部の殆どは処刑された」
「シャイユカルド教」はシャイユカルドという人物が発端らしい。
彼は平民だったが、圧倒的カリスマ性で忽ち多くの信者を集めたという。
その多くが農民達だった。
「だけど、全員じゃないよね」
「確かに、取り逃した者はいる。ギャレットは『シャイユカルド教』が関与していると思うのか?」
「少なくともマグナスは影響を受けています。残党がいるなら、ベルン辺境伯の庇護を受けているのかもしれません」
「ギャレットの説も一理ある。ジュスト以外の者は見つかっているのに、彼だけどこにもいない。遺体も・・」
「ベルンに、シャイユカルド教。彼らが手を組んだのなら、ジュストは大丈夫なのでしょうか」
「ジュストを救い出したときも、彼らはジュストを殺さず痛めつけていた。彼らは殺すのが目的ではない。苦しむ姿を見て自分たちが優位に立っていることを楽しむのだ」
「悪質だな」
王太子殿下がそう言い、全員が頷いた。
「だが、もしそうならまだ望みはある。彼らの居場所を突き止めればいい。そこにきっとジュストもいるはずだ」
「父上がジュストを見つけた場所は? 確かブルムとか言う名前の・・」
「ブルムの教会か? あそこはしかし、今回シェルテーレの災害で一番被害が酷かったと聞く。というか、ギャレットに私はそこまで話したか? ジュストを助けたとは話したが、どこかまで言ったか?」
「そ、それは・・ジュストが・・」
小説を読んだから知っているとは言えず、慌てて取り繕った。
「ジュストがお前にそこまで話していたとは、つくづくお前達は仲が良いな。ジュストは昔のことを憶えていなくて、私が救い出したときはまるで生気がなかった。続く虐待の痛みに心を閉ざすことで耐えていたんだろう。ギャレットが生まれて、お前の泣き声に反応するようになるまで、ほとんど無気力だった」
「私も憶えている。保護されたばかりのジュストは、ただ息をしているだけで人形と変わらない状態だった。それがギャレットが生まれて、お前がジュストの手をぎゅっと握ると、彼は笑っていた」
「そ、そうなの・・」
初めて聞く話だった。ジュストがそんな状態だったなんて。そしてジュストに笑顔を取り戻させたのがギャレット。
「お前とジュストは出会う運命だったんだろうな。ギャレットがいたからジュストは人としての感情を取り戻した」
「ジュストの恩人はモヒナート侯爵だけでなく、ギャレットもだったのか」
「ありがとう、私の兄を助けていただいて」
レーヌが涙ぐんでお礼をラファイエとギャレットに言った。
「あの、父上、ベルンの息子は、えっと、マグナスだったけ? 彼はジュストの瞳のことを『悪魔の瞳』って言っていたんです。彼は例の教化に影響を受けていると思います」
「『シャイユカルド教』か。あの教団はジュストを助けたときに崩壊した。幹部の殆どは処刑された」
「シャイユカルド教」はシャイユカルドという人物が発端らしい。
彼は平民だったが、圧倒的カリスマ性で忽ち多くの信者を集めたという。
その多くが農民達だった。
「だけど、全員じゃないよね」
「確かに、取り逃した者はいる。ギャレットは『シャイユカルド教』が関与していると思うのか?」
「少なくともマグナスは影響を受けています。残党がいるなら、ベルン辺境伯の庇護を受けているのかもしれません」
「ギャレットの説も一理ある。ジュスト以外の者は見つかっているのに、彼だけどこにもいない。遺体も・・」
「ベルンに、シャイユカルド教。彼らが手を組んだのなら、ジュストは大丈夫なのでしょうか」
「ジュストを救い出したときも、彼らはジュストを殺さず痛めつけていた。彼らは殺すのが目的ではない。苦しむ姿を見て自分たちが優位に立っていることを楽しむのだ」
「悪質だな」
王太子殿下がそう言い、全員が頷いた。
「だが、もしそうならまだ望みはある。彼らの居場所を突き止めればいい。そこにきっとジュストもいるはずだ」
「父上がジュストを見つけた場所は? 確かブルムとか言う名前の・・」
「ブルムの教会か? あそこはしかし、今回シェルテーレの災害で一番被害が酷かったと聞く。というか、ギャレットに私はそこまで話したか? ジュストを助けたとは話したが、どこかまで言ったか?」
「そ、それは・・ジュストが・・」
小説を読んだから知っているとは言えず、慌てて取り繕った。
「ジュストがお前にそこまで話していたとは、つくづくお前達は仲が良いな。ジュストは昔のことを憶えていなくて、私が救い出したときはまるで生気がなかった。続く虐待の痛みに心を閉ざすことで耐えていたんだろう。ギャレットが生まれて、お前の泣き声に反応するようになるまで、ほとんど無気力だった」
「私も憶えている。保護されたばかりのジュストは、ただ息をしているだけで人形と変わらない状態だった。それがギャレットが生まれて、お前がジュストの手をぎゅっと握ると、彼は笑っていた」
「そ、そうなの・・」
初めて聞く話だった。ジュストがそんな状態だったなんて。そしてジュストに笑顔を取り戻させたのがギャレット。
「お前とジュストは出会う運命だったんだろうな。ギャレットがいたからジュストは人としての感情を取り戻した」
「ジュストの恩人はモヒナート侯爵だけでなく、ギャレットもだったのか」
「ありがとう、私の兄を助けていただいて」
レーヌが涙ぐんでお礼をラファイエとギャレットに言った。
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