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49 友達以上恋人未満の関係①
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「改めて、卒業おめでとう」
卒業とともに寮も退寮となるため、式の日ジュストは夕方にモヒナート家に帰ってきた。
そして改めてラファイエやナディアが卒業を祝う。
「ありがとうございます。それから素晴らしい贈り物、ありがとうございます。でもよろしいのですか、俺、いえ、私に家紋の印を授けてくださるなんて」
「お前も立派に成人し、学園を卒業した。独り立ちには十分だ」
「本当なら成人のお祝いにあげようと思っていたのだけど、他国にいてそのお祝いも出来なかったから。遅くなってごめんなさい」
「いえ、ありがとうございます」
ジュストの社交界デビューは半年前だったが、帰国が遅れてしまっため、パーティやお祝いには参加できなかった。
モヒナート侯爵が成人と卒業祝いにとジュストに用意したのは家紋の封蝋。モヒナート家の家紋と家紋入りの筆記用具。これからジュストが出す手紙には家紋入りの便箋と封蝋が使用できる。
それは彼がモヒナートの名を公的にも使えるということだ。
それから新しく衣装をいくつか揃えた。王宮に出仕するジュストが見劣りしないように、モヒナート家の財力を示す意味もある。
「卒業してすぐ出仕とは、少しも休む暇がないな」
ジュストは明日にはもう王宮に通い出す。
「せっかく兄上も家に戻って、一緒に過ごせると思ったのに」
「学園を卒業するまで猶予を頂いていたので、これ以上お待たせはできない。それに早く一人前になりたい。少しでも王太子殿下のために役にたちたい」
「その心構えは立派だが、そんなに気負っては余裕を失くして些細なミスをするものだ。気をつけなさい」
ジュストの仕事に対する心構えにラファイエが褒めながらも、注意する。
それを聞いて前世のまだ仕事を始めたばかりの気持ちを思い出した。
そうだ。最初はわたしもそんな気持ちを持っていた。
でも、目の前の仕事に振り回されているうちに、いつの間にか忘れていた。
「それから帰ってすぐにパーティーとは、慌ただしいな」
卒業式の翌日は学園主催のパーティーが開かれる。ご令嬢たちの支度に時間がかかるため、式の後すぐではなく翌日なのだ。
「はい。ですが、初日ですし、早めに帰ってきます。それからオハイエ伯爵家に迎えに行きます」
卒業生たちと学園の教師たちが参加するパーティーには、男女ペアで参加する。
ジュストのパートナーはレーヌだった。
パートナーが必要なことも、相手がレーヌだということも、ギャレットがそれを知ったのはさっきのことだった。
「兄上は、彼女と婚約を考えていらっしゃるのですか」
「いや、パートナーは誰でも良かった。彼女は同じクラスだったから、他の令嬢よりも話しやすかった。それだけだ」
まさか、彼女がジュストの恋人に?と思ったけど、違ったようだ。
でも彼女がジュストにとって誰よりも親しい女性だと言うことは間違いない。
「それは友達以上恋人未満の恋人よりってこと?」
「そんなんじゃない」
「え、じゃあ、どういうこと?」
「彼女は……同級生だ」
少し間があってからジュストが答えた。
「同級生」以外の言葉を口にしようとしたのか、そこに「同級生」以上の関係があるような気がした。
「彼女と俺が恋愛関係になることはない」
極めつけがその言葉だった。
「え、どうして? 彼女がそう言ったの?」
「どうして俺と彼女が『恋人』になるかならないかが気になる?」
「え、それは、だって、ぼ、僕の義姉上になる人かも…」
「ジュストは彼女に姉になってほしいの?」
「え、べ、別にそういうわけでは…」
レーヌとジュストとの仲がパーティーでパートナーになるくらい親しくなっていたのを、ギャレットは知らなかった。
一年半留学して王立学園を休学していたのに、いつの間に?
しかしそれよりも、学園にいた時ほどではなかったが、ギャレットとずっと手紙のやり取りをしていたのに、そんなこと、ひと言も書かれていなかった。
しかも、相手がレーヌだと知り驚いたのはギャレットだけで、両親は前から知っていた節がある。
(ジュストが、父上達には話していた? なのに僕には秘密にしていた?)
卒業とともに寮も退寮となるため、式の日ジュストは夕方にモヒナート家に帰ってきた。
そして改めてラファイエやナディアが卒業を祝う。
「ありがとうございます。それから素晴らしい贈り物、ありがとうございます。でもよろしいのですか、俺、いえ、私に家紋の印を授けてくださるなんて」
「お前も立派に成人し、学園を卒業した。独り立ちには十分だ」
「本当なら成人のお祝いにあげようと思っていたのだけど、他国にいてそのお祝いも出来なかったから。遅くなってごめんなさい」
「いえ、ありがとうございます」
ジュストの社交界デビューは半年前だったが、帰国が遅れてしまっため、パーティやお祝いには参加できなかった。
モヒナート侯爵が成人と卒業祝いにとジュストに用意したのは家紋の封蝋。モヒナート家の家紋と家紋入りの筆記用具。これからジュストが出す手紙には家紋入りの便箋と封蝋が使用できる。
それは彼がモヒナートの名を公的にも使えるということだ。
それから新しく衣装をいくつか揃えた。王宮に出仕するジュストが見劣りしないように、モヒナート家の財力を示す意味もある。
「卒業してすぐ出仕とは、少しも休む暇がないな」
ジュストは明日にはもう王宮に通い出す。
「せっかく兄上も家に戻って、一緒に過ごせると思ったのに」
「学園を卒業するまで猶予を頂いていたので、これ以上お待たせはできない。それに早く一人前になりたい。少しでも王太子殿下のために役にたちたい」
「その心構えは立派だが、そんなに気負っては余裕を失くして些細なミスをするものだ。気をつけなさい」
ジュストの仕事に対する心構えにラファイエが褒めながらも、注意する。
それを聞いて前世のまだ仕事を始めたばかりの気持ちを思い出した。
そうだ。最初はわたしもそんな気持ちを持っていた。
でも、目の前の仕事に振り回されているうちに、いつの間にか忘れていた。
「それから帰ってすぐにパーティーとは、慌ただしいな」
卒業式の翌日は学園主催のパーティーが開かれる。ご令嬢たちの支度に時間がかかるため、式の後すぐではなく翌日なのだ。
「はい。ですが、初日ですし、早めに帰ってきます。それからオハイエ伯爵家に迎えに行きます」
卒業生たちと学園の教師たちが参加するパーティーには、男女ペアで参加する。
ジュストのパートナーはレーヌだった。
パートナーが必要なことも、相手がレーヌだということも、ギャレットがそれを知ったのはさっきのことだった。
「兄上は、彼女と婚約を考えていらっしゃるのですか」
「いや、パートナーは誰でも良かった。彼女は同じクラスだったから、他の令嬢よりも話しやすかった。それだけだ」
まさか、彼女がジュストの恋人に?と思ったけど、違ったようだ。
でも彼女がジュストにとって誰よりも親しい女性だと言うことは間違いない。
「それは友達以上恋人未満の恋人よりってこと?」
「そんなんじゃない」
「え、じゃあ、どういうこと?」
「彼女は……同級生だ」
少し間があってからジュストが答えた。
「同級生」以外の言葉を口にしようとしたのか、そこに「同級生」以上の関係があるような気がした。
「彼女と俺が恋愛関係になることはない」
極めつけがその言葉だった。
「え、どうして? 彼女がそう言ったの?」
「どうして俺と彼女が『恋人』になるかならないかが気になる?」
「え、それは、だって、ぼ、僕の義姉上になる人かも…」
「ジュストは彼女に姉になってほしいの?」
「え、べ、別にそういうわけでは…」
レーヌとジュストとの仲がパーティーでパートナーになるくらい親しくなっていたのを、ギャレットは知らなかった。
一年半留学して王立学園を休学していたのに、いつの間に?
しかしそれよりも、学園にいた時ほどではなかったが、ギャレットとずっと手紙のやり取りをしていたのに、そんなこと、ひと言も書かれていなかった。
しかも、相手がレーヌだと知り驚いたのはギャレットだけで、両親は前から知っていた節がある。
(ジュストが、父上達には話していた? なのに僕には秘密にしていた?)
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