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47 卒業後の人生②
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「ああ、ジュストさまぁ、一年半もいらっしゃらなかったのに、今日で見納めなんて…」
「ステファン様も、いらっしゃらない間にますます素敵になられたわ」
卒業式の会場の保護者観覧席の端に座っているので、隣にいる在校生達の話し声がよく聞こえる。
「ジュスト様、俺たちの心の師」
そこに野太い声も混じっていることにちょっと引く。
「ジュストったら後輩たちの心を鷲掴みね」
「ステファンこそ」
ステファンの家族も今回は出席していて、ナディアたちと共に式を見守る。
保護者観覧席と在校生席は卒業生たちの後ろになるため、ここからは頭しか見えない。
一人一人名前を呼ばれて学園長から卒業証書をもらっていく。
授与は下のクラスから順に行われるので、特進のジュストたちは最後の方だ。
結局ステファンもジュストも、三年間成績を落とすとこなく特進に在籍し続けた。
試験でも学年一位、二位を争い、今のところジュストが十勝三敗だった。
そして、卒業生代表のスピーチは、ジュストがすることになっている。
剣術大会ではレーヌの家族は誰も来ていなかった。家族の中でレーヌは冷遇されているので、そういう行事には非協力的なのだろう。
でもさすがに今日くらいは来ているとは思う。
「ステファン=アベリー」
「はい」
先にステファンが呼ばれた。
「ああ、ステファン様」
「ス・テ・キ」
女生徒の間からため息がもれる。
「おにーちゃまぁ」
「だめよ、カレン」
ステファンの輝く銀髪が見えると、カレンが声をあげ、周りから微笑ましい視線が向けられる。キャトリン夫人が恥ずかしそうに娘の口を塞いだ。
「レーヌ=オハイエ」
「はい」
名前は家名順なので、一人挟んでレーヌが呼ばれた。
ステファンは頭が見えたが、レーヌの背の高さではギャレットからは見えない。
「オハイエ嬢、どうやらお城勤めされるらしいわ」
「女官になられるの?」
「どうやら違うそうよ。王太子様からの特別計らいで、王太子様の執務室で勤務されるらしいわ」
「え、じゃあ、ステファン様やジュスト様と同じところ?」
「くやしい、三年間お二人と同じ教室にいて、また一緒なの」
「でも、そういう話し、聞こえてきませんでしたわ。お二人と恋人になる可能性はないのでは?」
「けれど、ジュスト様たちも、オハイエ嬢もまだ婚約者がいらっしゃらないでしょ、どうなるかわかりませんわ。もしかしたら私達の知らないところで、密かにお付き合いをされているかもしれませんわ」
そんな話が聞こえてきた。
レーヌって、働くの?
壇上に上がってきたレーヌは美しさに更に磨きがかかっていた。
けれど、ステファンとも、もちろんジュストとも誰とも恋愛フラグが立っていない。
それはステファンたちもにも言えることだけど。
ジュストとレーヌの婚約話は、向こうに打診する前にジュストの強固なまでの拒否により、霧散した。
モヒナート侯爵があんなジュストは初めて見た。と、何度も言うくらい、ジュストの抵抗は激しかった。
でもそれはレーヌに限ってのことではない。
ジュストには山のように縁談話が舞い込んできたが、そのどれも断ってほしいと、相手が誰かも聞かずに言った。
「何か考えでもあるのか?」
侯爵が尋ねたが、ギャレットが成人するまでは放っておいてくださいと、珍しく頼み込んてきたので、侯爵夫妻もそれ以上追求しなかった。
「ステファン様も、いらっしゃらない間にますます素敵になられたわ」
卒業式の会場の保護者観覧席の端に座っているので、隣にいる在校生達の話し声がよく聞こえる。
「ジュスト様、俺たちの心の師」
そこに野太い声も混じっていることにちょっと引く。
「ジュストったら後輩たちの心を鷲掴みね」
「ステファンこそ」
ステファンの家族も今回は出席していて、ナディアたちと共に式を見守る。
保護者観覧席と在校生席は卒業生たちの後ろになるため、ここからは頭しか見えない。
一人一人名前を呼ばれて学園長から卒業証書をもらっていく。
授与は下のクラスから順に行われるので、特進のジュストたちは最後の方だ。
結局ステファンもジュストも、三年間成績を落とすとこなく特進に在籍し続けた。
試験でも学年一位、二位を争い、今のところジュストが十勝三敗だった。
そして、卒業生代表のスピーチは、ジュストがすることになっている。
剣術大会ではレーヌの家族は誰も来ていなかった。家族の中でレーヌは冷遇されているので、そういう行事には非協力的なのだろう。
でもさすがに今日くらいは来ているとは思う。
「ステファン=アベリー」
「はい」
先にステファンが呼ばれた。
「ああ、ステファン様」
「ス・テ・キ」
女生徒の間からため息がもれる。
「おにーちゃまぁ」
「だめよ、カレン」
ステファンの輝く銀髪が見えると、カレンが声をあげ、周りから微笑ましい視線が向けられる。キャトリン夫人が恥ずかしそうに娘の口を塞いだ。
「レーヌ=オハイエ」
「はい」
名前は家名順なので、一人挟んでレーヌが呼ばれた。
ステファンは頭が見えたが、レーヌの背の高さではギャレットからは見えない。
「オハイエ嬢、どうやらお城勤めされるらしいわ」
「女官になられるの?」
「どうやら違うそうよ。王太子様からの特別計らいで、王太子様の執務室で勤務されるらしいわ」
「え、じゃあ、ステファン様やジュスト様と同じところ?」
「くやしい、三年間お二人と同じ教室にいて、また一緒なの」
「でも、そういう話し、聞こえてきませんでしたわ。お二人と恋人になる可能性はないのでは?」
「けれど、ジュスト様たちも、オハイエ嬢もまだ婚約者がいらっしゃらないでしょ、どうなるかわかりませんわ。もしかしたら私達の知らないところで、密かにお付き合いをされているかもしれませんわ」
そんな話が聞こえてきた。
レーヌって、働くの?
壇上に上がってきたレーヌは美しさに更に磨きがかかっていた。
けれど、ステファンとも、もちろんジュストとも誰とも恋愛フラグが立っていない。
それはステファンたちもにも言えることだけど。
ジュストとレーヌの婚約話は、向こうに打診する前にジュストの強固なまでの拒否により、霧散した。
モヒナート侯爵があんなジュストは初めて見た。と、何度も言うくらい、ジュストの抵抗は激しかった。
でもそれはレーヌに限ってのことではない。
ジュストには山のように縁談話が舞い込んできたが、そのどれも断ってほしいと、相手が誰かも聞かずに言った。
「何か考えでもあるのか?」
侯爵が尋ねたが、ギャレットが成人するまでは放っておいてくださいと、珍しく頼み込んてきたので、侯爵夫妻もそれ以上追求しなかった。
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