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40 システムエラー?③
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目覚めたギャレットは、両親とジュストから代わる代わる抱きしめられた。
王宮から帰ったばかりのナディアは化粧が剥がれ落ち、黒い涙を流していた。
父とジュストは涙こそ流さなかったものの、心から安堵していた。
化粧を直しに、父も仕事があると二人が出ていき、ジュストと二人になった。
「外泊までしてお見舞いに来てくれてありがとう」
「知らせてもらって良かった。心配したよ。本当にもう大丈夫なのか?」
「うん」
クシャクシャと頭を撫でられ、ニコリと微笑む。
そんなギャレットを愛しそうにジュストが見つめる。
「そうだ、側近の件はどうなったの?」
なんだか照れ臭くなって話題を変えた。
兄としての愛情だろうが、そこに色気のようなものが醸し出され、落ち着かない。
アラサー女子が十代の少年の色気に惑わされるなんて。
「まだ学生だから仮だけどな。剣術大会での成績が決定打だった」
「わあ、おめでとう! さすが兄上だね」
そう言うと、ジュストは変な顔をした。
「兄上か…」
「兄上、どうしたの?」
「いや、何もない。おめでたいのかな。暫く休みの日は王宮に通って側近としての勉強をしなくてはならない」
「え、そうなんだ。ということは…」
「学園から王宮に通って、そこで泊まってまた学園に帰る。つまり、家に帰れるのは長期休暇までお預けだ」
「そんな…」
喜ばしいことなのだろうが、それではジュストとは殆ど会えなくなる。
「学園での成績も今のレベルをキープしなくてはならないから、今以上に忙しくなる。でも、手紙は書くから」
「無理しないで」
寂しいけど、ジュストの輝かしい未来のためだ。そんな我儘は言えない。
「物わかりがいいのはいいが、俺は寂しい。ギャレットはどうなんだ?」
「ぼ、僕だって寂しいよ…でも…我儘は…」
「それを聞いて安心したよ。俺だけがそうだと思っていたから」
「そんなわけない」
「そうか」
頭に置いた手を頬に滑らせ、優しく包み込まれる。
「僕も頑張るよ。勉強も剣術も、兄上にとって恥ずかしくない弟になるから」
「お前こそ、無理するなよ。また熱を出して寝込んで俺たちを心配させるな」
「わかってるよ」
「どうだか」
「あ、ところでステファンは? 彼は候補には?」
「ああ、彼も候補になった。一緒に王宮に通うことになる。他にも二人いるから、四人でね」
ステファンの話題になると、ジュストの表情が少し変わった。彼と何かあったのだろうか。
「王太子殿下が心配されて、お見舞いを贈るとおっしゃっていた。元気になったら王宮に遊びに来いと仰っておられた」
わざとなのか、ジュストは王太子殿下の話を持ち出した。
「あの、レーヌ=オハイエさんはどう?」
「彼女がどう、とは?」
「えっと、剣術大会では迷惑をかけたから」
「あれから特に個人的な話はしていない。彼女も特に俺に話しかけてもこない」
剣術大会ではジュストのことを凄く気にしていたのに?
彼女の系譜にも赤い目の人が時々生まれると言っていた。だからジュストのことが気になったのか。
「ジュストは、彼女のことどう思うの?」
「どうして彼女のことばかり聞くんだ。ここにいない人がそんなに気になるのか?」
ジュストの声にも瞳にも苛立ちが見える。
もしかして彼女とのことは、まだジュストの心の中に留めておきたいのかも。
そこを無神経なお節介おばさんのように、「あの子いい子なのよ、どう?」みたいに押し売りしようとしてしまったら、放っといてくれと思う。
「ごめんなさい」
「俺こそ、すまない。きつく言い過ぎた。病み上がりなのに」
「う、ううん…」
「とにかく、熱が下がって良かった。今日は特別許可をもらって明日の朝に学園に戻っていいことになっているんだ。夜はゆっくりしよう」
「ほんと!やったー、じゃあ、久しぶりに兄上の部屋で寝ていい?」
「構わないが、蹴飛ばさないでくれよ」
「そんなに寝相悪くないよ」
プクリと頬を膨らませ拗ねた。
そんなギャレットをジュストは心から愛しそうに見つめた。
王宮から帰ったばかりのナディアは化粧が剥がれ落ち、黒い涙を流していた。
父とジュストは涙こそ流さなかったものの、心から安堵していた。
化粧を直しに、父も仕事があると二人が出ていき、ジュストと二人になった。
「外泊までしてお見舞いに来てくれてありがとう」
「知らせてもらって良かった。心配したよ。本当にもう大丈夫なのか?」
「うん」
クシャクシャと頭を撫でられ、ニコリと微笑む。
そんなギャレットを愛しそうにジュストが見つめる。
「そうだ、側近の件はどうなったの?」
なんだか照れ臭くなって話題を変えた。
兄としての愛情だろうが、そこに色気のようなものが醸し出され、落ち着かない。
アラサー女子が十代の少年の色気に惑わされるなんて。
「まだ学生だから仮だけどな。剣術大会での成績が決定打だった」
「わあ、おめでとう! さすが兄上だね」
そう言うと、ジュストは変な顔をした。
「兄上か…」
「兄上、どうしたの?」
「いや、何もない。おめでたいのかな。暫く休みの日は王宮に通って側近としての勉強をしなくてはならない」
「え、そうなんだ。ということは…」
「学園から王宮に通って、そこで泊まってまた学園に帰る。つまり、家に帰れるのは長期休暇までお預けだ」
「そんな…」
喜ばしいことなのだろうが、それではジュストとは殆ど会えなくなる。
「学園での成績も今のレベルをキープしなくてはならないから、今以上に忙しくなる。でも、手紙は書くから」
「無理しないで」
寂しいけど、ジュストの輝かしい未来のためだ。そんな我儘は言えない。
「物わかりがいいのはいいが、俺は寂しい。ギャレットはどうなんだ?」
「ぼ、僕だって寂しいよ…でも…我儘は…」
「それを聞いて安心したよ。俺だけがそうだと思っていたから」
「そんなわけない」
「そうか」
頭に置いた手を頬に滑らせ、優しく包み込まれる。
「僕も頑張るよ。勉強も剣術も、兄上にとって恥ずかしくない弟になるから」
「お前こそ、無理するなよ。また熱を出して寝込んで俺たちを心配させるな」
「わかってるよ」
「どうだか」
「あ、ところでステファンは? 彼は候補には?」
「ああ、彼も候補になった。一緒に王宮に通うことになる。他にも二人いるから、四人でね」
ステファンの話題になると、ジュストの表情が少し変わった。彼と何かあったのだろうか。
「王太子殿下が心配されて、お見舞いを贈るとおっしゃっていた。元気になったら王宮に遊びに来いと仰っておられた」
わざとなのか、ジュストは王太子殿下の話を持ち出した。
「あの、レーヌ=オハイエさんはどう?」
「彼女がどう、とは?」
「えっと、剣術大会では迷惑をかけたから」
「あれから特に個人的な話はしていない。彼女も特に俺に話しかけてもこない」
剣術大会ではジュストのことを凄く気にしていたのに?
彼女の系譜にも赤い目の人が時々生まれると言っていた。だからジュストのことが気になったのか。
「ジュストは、彼女のことどう思うの?」
「どうして彼女のことばかり聞くんだ。ここにいない人がそんなに気になるのか?」
ジュストの声にも瞳にも苛立ちが見える。
もしかして彼女とのことは、まだジュストの心の中に留めておきたいのかも。
そこを無神経なお節介おばさんのように、「あの子いい子なのよ、どう?」みたいに押し売りしようとしてしまったら、放っといてくれと思う。
「ごめんなさい」
「俺こそ、すまない。きつく言い過ぎた。病み上がりなのに」
「う、ううん…」
「とにかく、熱が下がって良かった。今日は特別許可をもらって明日の朝に学園に戻っていいことになっているんだ。夜はゆっくりしよう」
「ほんと!やったー、じゃあ、久しぶりに兄上の部屋で寝ていい?」
「構わないが、蹴飛ばさないでくれよ」
「そんなに寝相悪くないよ」
プクリと頬を膨らませ拗ねた。
そんなギャレットをジュストは心から愛しそうに見つめた。
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