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30 知らなかった世間の常識②
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異性同士でなく同性同士でも結婚できると聞いて、ここはTL小説なのか?と思わず疑ってしまった。
確かに性の多様性LGBTは否定しない。
「元は王族が発端でその時の王が、同性の意中の相手と結婚したいがために性別についての記述を撤廃したと言われている。所謂職権乱用だな。それから時折政略的な意味で、適齢の男女がいない場合に女性同士、男性同士で縁を結ぶこともある。本当に跡継ぎが必要なら互いに代理婚をして別の相手に子を産ませ世継ぎを設けたようだ」
この世界で生まれ育って九年。記憶が蘇った五歳からまだ四年しか経っていない。
この世界の常識も殆ど知らなかっ。
なんだか裏設定のような情報に思わず前のめりに聞き入ってしまった。
「そなたにはまだ早い話だったか。だいたいこの話は思春期に親から聞くことが多い。そなたはまだその年齢ではないから、このことを知っていることは秘密にしておけ。私がまたモヒナートに怒られる。弟に余計なことを吹き込んだとな」
「そんな、殿下を怒るなど、兄はしません」
しかし、親から聞く話を今ここで聞かされてしまって良かったんだろうか。
いけないことしている気分になる。
「面と向かって言わずとも、無言であの赤い目で冷ややかに見られるのだ。文句を言われるより堪える」
「う、それは…」
さっきの対戦の際に見せた応援に対する塩対応を思い出す。
「兄が失礼致しました」
思わず頭を下げる。
「側近候補の話は聞いたか?」
「はい。大変名誉なことだと、喜んでおります」
話がいきなり側近候補の話になった。
「王が間違った政治を行おうとした時、諌める者がいなければその王は暴君となり、歴史の汚点となる。そうなれば国は滅びかねない。わかるか?」
「はい」
「もちろん学業においても優秀なのは大事な要素であるが、他の貴族の子息でも条件を満たす者は大勢いる」
「そうなのですか」
「だからモヒナートのように、時には誰であろうと冷ややかに対応できる者が必要なのだ。彼の場合は私だけでなく、他の者にも同じ態度だから、特別とは言えないがな。唯一例外はアベリーだな」
「聞いているととても失礼なことをしているように思いますが、兄は教室で浮いているのでしょうか」
あの黄色い歓声を見ればそうとは言えないが、友達がステファンだけ? ステファンも幼馴染というだけで、友達と言えるか疑問だけど。
「浮いているというより、遠巻きに皆が眺めているというか、私のほうがまだ親しみ易いと思われていそうだ。話しかければ返事はするが、自分から話の輪に入ることはないな」
「そ、そうですか…」
よく送ってくる手紙にはそんなこと書いていなかったし、ステファンも教えてくれなかった。もしかして口止めされていたのかな。
「殿下、そろそろお時間です」
「ああ、わかった。すまないな、こんなところで立ち話をして」
お手洗いの前だったのを思い出した。
「い、いえ、色々お話をお伺いできて良かったです」
「側近のことはまだ決定ではないが、私は彼を推している。他にも候補がいて、決めるのも一人だけではないから、可能性は高い」
「作用でございますか。ありがとうございます」
「ああ、城に来いというのは社交辞令ではない。近いうちに招待するからそのつもりで」
そう言って殿下はまたもや颯爽と立ち去っていった。
「知らなかった。同性婚ありなんだ」
殿下が立ち去った方角を見ながら、そう呟いた。
まだまだ小説内では語られなかった設定があるようだ。
でもジュストはレーヌと結ばれる。ギャレットは殺されないようになればそれでいい。それがハッピーエンドな終わりだ。
席に戻ると「遅かったわね」とナディアが言った。
「ステファンは二回戦も勝ったわ」
さすが主人公だ。
「もうすぐジュストの二回戦よ」
ちょうど戻ってきた時に戦っていた組が終わり、ジュストが再び現れた。
確かに性の多様性LGBTは否定しない。
「元は王族が発端でその時の王が、同性の意中の相手と結婚したいがために性別についての記述を撤廃したと言われている。所謂職権乱用だな。それから時折政略的な意味で、適齢の男女がいない場合に女性同士、男性同士で縁を結ぶこともある。本当に跡継ぎが必要なら互いに代理婚をして別の相手に子を産ませ世継ぎを設けたようだ」
この世界で生まれ育って九年。記憶が蘇った五歳からまだ四年しか経っていない。
この世界の常識も殆ど知らなかっ。
なんだか裏設定のような情報に思わず前のめりに聞き入ってしまった。
「そなたにはまだ早い話だったか。だいたいこの話は思春期に親から聞くことが多い。そなたはまだその年齢ではないから、このことを知っていることは秘密にしておけ。私がまたモヒナートに怒られる。弟に余計なことを吹き込んだとな」
「そんな、殿下を怒るなど、兄はしません」
しかし、親から聞く話を今ここで聞かされてしまって良かったんだろうか。
いけないことしている気分になる。
「面と向かって言わずとも、無言であの赤い目で冷ややかに見られるのだ。文句を言われるより堪える」
「う、それは…」
さっきの対戦の際に見せた応援に対する塩対応を思い出す。
「兄が失礼致しました」
思わず頭を下げる。
「側近候補の話は聞いたか?」
「はい。大変名誉なことだと、喜んでおります」
話がいきなり側近候補の話になった。
「王が間違った政治を行おうとした時、諌める者がいなければその王は暴君となり、歴史の汚点となる。そうなれば国は滅びかねない。わかるか?」
「はい」
「もちろん学業においても優秀なのは大事な要素であるが、他の貴族の子息でも条件を満たす者は大勢いる」
「そうなのですか」
「だからモヒナートのように、時には誰であろうと冷ややかに対応できる者が必要なのだ。彼の場合は私だけでなく、他の者にも同じ態度だから、特別とは言えないがな。唯一例外はアベリーだな」
「聞いているととても失礼なことをしているように思いますが、兄は教室で浮いているのでしょうか」
あの黄色い歓声を見ればそうとは言えないが、友達がステファンだけ? ステファンも幼馴染というだけで、友達と言えるか疑問だけど。
「浮いているというより、遠巻きに皆が眺めているというか、私のほうがまだ親しみ易いと思われていそうだ。話しかければ返事はするが、自分から話の輪に入ることはないな」
「そ、そうですか…」
よく送ってくる手紙にはそんなこと書いていなかったし、ステファンも教えてくれなかった。もしかして口止めされていたのかな。
「殿下、そろそろお時間です」
「ああ、わかった。すまないな、こんなところで立ち話をして」
お手洗いの前だったのを思い出した。
「い、いえ、色々お話をお伺いできて良かったです」
「側近のことはまだ決定ではないが、私は彼を推している。他にも候補がいて、決めるのも一人だけではないから、可能性は高い」
「作用でございますか。ありがとうございます」
「ああ、城に来いというのは社交辞令ではない。近いうちに招待するからそのつもりで」
そう言って殿下はまたもや颯爽と立ち去っていった。
「知らなかった。同性婚ありなんだ」
殿下が立ち去った方角を見ながら、そう呟いた。
まだまだ小説内では語られなかった設定があるようだ。
でもジュストはレーヌと結ばれる。ギャレットは殺されないようになればそれでいい。それがハッピーエンドな終わりだ。
席に戻ると「遅かったわね」とナディアが言った。
「ステファンは二回戦も勝ったわ」
さすが主人公だ。
「もうすぐジュストの二回戦よ」
ちょうど戻ってきた時に戦っていた組が終わり、ジュストが再び現れた。
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