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20 学園祭①
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それからジュストが帰ってくるたびに、学園での生活についてアレコレ尋ねた。
それこそしつこいくらいに。
手紙も頻繁にやり取りしていたが、それでも直に話を聞くのはやっぱり違う。
「ギャレットのために、色々頑張ってるよ」
僕に話して聞かせるためにも、自慢の兄でいるためにも、ジュストは勉強に剣の稽古にと努力を続けているという。
元々出来る子が頑張ったら、それはもう尋常じゃないくらい伸びる。
学期の初めての試験はほぼ満点。剣術でも学年でステファンと一、二を争っているらしい。
話に聞くとステファンも怠けているわけではないが、どちらかと言えば緩く努力している程度。なのにジュストと互角とは、ステファンは、さすが主人公補正だ。
レーヌは僕が他の特進の人たちは? と尋ねた時に時折名前が出てくるくらい。
会話もプライベートなことは一切なく、課題を与えられてクジでペアになったとか、その程度。
そこから何かに発展するでもない。
僕の死亡フラグは折れたが、レーヌとの恋愛フラグも立つ気配がない。
「王太子殿下の側近候補になりました」
相変わらず休みの日の朝早く帰ってきて、朝から一緒に朝食を取っていると、いきなりジュストが報告した。
三人で食べかけていた手を止めて、ジュストを見た。
「報告が遅くなってすみません、父上」
怒られると思ったのかジュストが申し訳無さそうに言った。
「い、いや、謝る必要はない」
「そうよ、とても名誉なことですもの。でも、あまりに淡々と話すから、ちょっと意味を理解するのに時間がかかったわ」
嫌味でも何でもなかったが、母上の言葉には激しく同意する一同であった。
王太子の側近候補は、特進に入るより難しいそうだ。
特進は王立学園の生徒であれば、誰彼問わず試験で選ばれる。
その身分は関係ない。
学園の中では爵位より成績で評価されることが多い。
座学でも剣術でも、芸術でもとにかく成績重視。
でも、王太子殿下の側近候補となると、家柄や人格も考慮に入ってくる。
家柄は候補になる絶対条件とは言えないが、そこを考慮するのは、その人の品格に関わってくるからだそうだ。
それでも最終は、本人がどこまで国や王族に尽くせるかの自覚と忠誠心によるらしい
「す、すごいね」
父上から王太子殿下の側近候補について講釈を聞かされ、感嘆の声を漏らした。
「まだ候補です。ステファンや、特進の何人かもいて、最終何人が選ばれるのかもまだ決まっていません」
「しかし、候補になるだけでも凄いことだ」
「ですが、俺は今はモヒナート家の養子ですが、元は孤児です。品格という点では他の人たちの足元にも及びません」
そのことが原因で最終は外されるかも知れない。だからこの件に関して、ジュストは喜んで話すことが出来なかったのだと言った。
「あ、兄上は僕の自慢の兄上です。血の繋がりは関係ありません。それが原因で外されるなら、側近なんてならなくていいです」
ジュストが実の兄ではない。前世の記憶があるので最初から知っていたが、周りはそれを知らない。
それを両親から聞いたのはジュストが学園に入る少し前だった。
「王制を敷き、貴族の立場を考えるならそれも仕方ないが、ギャレットの言うことも一理ある。側近になるのは名誉なことだが、その件で外されるなら無理にならなくていい。ならなくても、私はお前を責めないよ」
「何も今外されたと決まっているわけではありませんでしょ」
「それはそうだな」
「兄上が側近にならなくても、候補になっただけでも凄いことだよ。僕はそれだけでも兄上を尊敬する」
「ありがとうギャレット、ありがとう父上母上。俺のこと、そんな風に受け入れてくれて」
ジュストは安堵し微笑む。
もし側近にならなかったら、責められるだろうかというジュストの不安は、綺麗サッパリ無くなった。
血がつながっていたって、家族がすべて仲がいいとは限らない。
小説ではギャレットである僕が、両親の愛を独り占めしたくて、出来のいい義兄のジュスト嫉妬し、彼を虐め抜いた。
その結果、彼の心も体も傷だらけになり、唯一分かり合えたと思ったヒロインへの執着愛が、激増する。
しかし、惜しみ無く愛情を与えられた今のジュストは、自身に満ち溢れていて、眩しい程だった。
それこそしつこいくらいに。
手紙も頻繁にやり取りしていたが、それでも直に話を聞くのはやっぱり違う。
「ギャレットのために、色々頑張ってるよ」
僕に話して聞かせるためにも、自慢の兄でいるためにも、ジュストは勉強に剣の稽古にと努力を続けているという。
元々出来る子が頑張ったら、それはもう尋常じゃないくらい伸びる。
学期の初めての試験はほぼ満点。剣術でも学年でステファンと一、二を争っているらしい。
話に聞くとステファンも怠けているわけではないが、どちらかと言えば緩く努力している程度。なのにジュストと互角とは、ステファンは、さすが主人公補正だ。
レーヌは僕が他の特進の人たちは? と尋ねた時に時折名前が出てくるくらい。
会話もプライベートなことは一切なく、課題を与えられてクジでペアになったとか、その程度。
そこから何かに発展するでもない。
僕の死亡フラグは折れたが、レーヌとの恋愛フラグも立つ気配がない。
「王太子殿下の側近候補になりました」
相変わらず休みの日の朝早く帰ってきて、朝から一緒に朝食を取っていると、いきなりジュストが報告した。
三人で食べかけていた手を止めて、ジュストを見た。
「報告が遅くなってすみません、父上」
怒られると思ったのかジュストが申し訳無さそうに言った。
「い、いや、謝る必要はない」
「そうよ、とても名誉なことですもの。でも、あまりに淡々と話すから、ちょっと意味を理解するのに時間がかかったわ」
嫌味でも何でもなかったが、母上の言葉には激しく同意する一同であった。
王太子の側近候補は、特進に入るより難しいそうだ。
特進は王立学園の生徒であれば、誰彼問わず試験で選ばれる。
その身分は関係ない。
学園の中では爵位より成績で評価されることが多い。
座学でも剣術でも、芸術でもとにかく成績重視。
でも、王太子殿下の側近候補となると、家柄や人格も考慮に入ってくる。
家柄は候補になる絶対条件とは言えないが、そこを考慮するのは、その人の品格に関わってくるからだそうだ。
それでも最終は、本人がどこまで国や王族に尽くせるかの自覚と忠誠心によるらしい
「す、すごいね」
父上から王太子殿下の側近候補について講釈を聞かされ、感嘆の声を漏らした。
「まだ候補です。ステファンや、特進の何人かもいて、最終何人が選ばれるのかもまだ決まっていません」
「しかし、候補になるだけでも凄いことだ」
「ですが、俺は今はモヒナート家の養子ですが、元は孤児です。品格という点では他の人たちの足元にも及びません」
そのことが原因で最終は外されるかも知れない。だからこの件に関して、ジュストは喜んで話すことが出来なかったのだと言った。
「あ、兄上は僕の自慢の兄上です。血の繋がりは関係ありません。それが原因で外されるなら、側近なんてならなくていいです」
ジュストが実の兄ではない。前世の記憶があるので最初から知っていたが、周りはそれを知らない。
それを両親から聞いたのはジュストが学園に入る少し前だった。
「王制を敷き、貴族の立場を考えるならそれも仕方ないが、ギャレットの言うことも一理ある。側近になるのは名誉なことだが、その件で外されるなら無理にならなくていい。ならなくても、私はお前を責めないよ」
「何も今外されたと決まっているわけではありませんでしょ」
「それはそうだな」
「兄上が側近にならなくても、候補になっただけでも凄いことだよ。僕はそれだけでも兄上を尊敬する」
「ありがとうギャレット、ありがとう父上母上。俺のこと、そんな風に受け入れてくれて」
ジュストは安堵し微笑む。
もし側近にならなかったら、責められるだろうかというジュストの不安は、綺麗サッパリ無くなった。
血がつながっていたって、家族がすべて仲がいいとは限らない。
小説ではギャレットである僕が、両親の愛を独り占めしたくて、出来のいい義兄のジュスト嫉妬し、彼を虐め抜いた。
その結果、彼の心も体も傷だらけになり、唯一分かり合えたと思ったヒロインへの執着愛が、激増する。
しかし、惜しみ無く愛情を与えられた今のジュストは、自身に満ち溢れていて、眩しい程だった。
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