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15 そして物語は始まる②
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急に起こされて、まだ寝ぼけている状態でジュストを見る。
「元気にしていたかい?」
そんな僕をジュストはぎゅっと抱きしめた。
「え、兄上…なんで?」
「なんでって、今日は土曜日だよ」
「それは知っているよ。でも、まだお陽さまが昇ったばかりだ。早すぎない?」
「家に帰るのが待ち遠しくて、朝食も食べずに出てきた」
「え、でも家から馬車が迎えに行くことになってたんじゃ…」
「貸馬車で帰ってきた。ロバーツとすれ違うといけないから、それも考えて早く来たんだ」
ロバーツは我が家の御者の名前。ジュストが学園に行くときも送って行った。土曜日のいつ迎えに行くかも、その時に話していた筈。
「な、何かあったの?」
帰ってくるのはわかっていたが、早くて昼前だと思っていたのに、ギャレットが知らないことがあるのだろうか。
「ギャレットに早く会いたかったからに決まっている」
そうしてまたもや強く抱きしめてくる。
「あ、兄上…くるし…」
「ご、ごめん、嬉しくてつい」
少し力は緩んだけど、相変わらず抱きしてめたままだ。
ほんの数日離れただけなのに、大げさだなと思いながら、そこまで思ってくれていることに悪い気はしない。
「お帰りなさい、兄上」
こちらからも優しく抱擁を返すと、「ただいま」と再び囁いた。
「手紙、ありがとう。うれしかったよ」
「うまく書けてた?」
「ギャレットからの手紙なら、どんなのでもうれしいよ」
「それは駄目だよ。間違いがあったらちゃんと添削してくれないと」
「じゃあ、次からはそうするよ」
そう言って笑うジュストは、たった数日離れていただけなのに、すごく大人びて見えた。
この年齢の男の子ってちょっと目を離すと、すぐに大人になる。
声も少し前は変声期でガラガラしてたのに、今はとても落ち着いた声音で、耳に心地良い。
体つきもしっかりしてきて、ひょろりとした少年はいつの間にか大人へと日々変化を遂げている。
「さあ、今日と明日はギャレットの好きなことをして遊ぼう」
「その前に、着替えて朝食を食べよう。お父様たちにはもう会ったの?」
「まだだ。一番にギャレットに挨拶したかったんだ」
はにかみながらそう言うジュストは、ドキュンとするほど可愛かった。
急いで着替えて(ジュストが手伝うと言って聞かなった)、朝食を食べに一階へ降りると、両親がすでに待ち構えていた。
「お帰りなさい、ジュスト」
「お帰り」
「ただいま、父上、母上」
「随分早いな。昼前になると思っていたのに」
同じことを父上も言う。
「よほど家が恋しかったのね」
「はい、そうです」
ジュストは素直にそれを認める。
「明日の夕方までゆっくりできるんでしょ?」
「ステファンが迎えに来てくれて、一緒に戻ることになっています」
「ステファン、寮で同室なんですってね」
「はい」
「それで、クラス編成はどうなったんだ」
入学式の後に実施される試験が学園での最初の試験で、その結果、上位から順番にクラス編成されていく。
「結果をすぐに知らせてくれるかと待っていたんだが、大丈夫だったのか」
「私達はあなたが最下位のFクラスでいいのよ」
お母様はどうやらジュストが試験の結果が悪いのを気にして連絡してこなかったと思っているみたいだ。
最下位から上がっていく方がやりがいがあるだの、剣術でも頑張ればいいだの。二人で言っている。
「お父様お母様、家庭教師のミハイラ先生だって、兄上は賢いって褒めていたでしょ。兄上は僕の大好きな兄上が最下位なわけないじゃないですか」
真剣に怒る。小説でもジュストは頭が切れる人物で利口だと書かれていた。
色々と設定か変わっているけど、そういうところのカスタマイズは変わっていない。
「ギャレット、ありがとう、大丈夫ですよ父上、俺もステファンも無事に特進クラスに選抜されました」
「特進クラスですって!」
ジュストの発言に、三人一緒に驚いた。
「元気にしていたかい?」
そんな僕をジュストはぎゅっと抱きしめた。
「え、兄上…なんで?」
「なんでって、今日は土曜日だよ」
「それは知っているよ。でも、まだお陽さまが昇ったばかりだ。早すぎない?」
「家に帰るのが待ち遠しくて、朝食も食べずに出てきた」
「え、でも家から馬車が迎えに行くことになってたんじゃ…」
「貸馬車で帰ってきた。ロバーツとすれ違うといけないから、それも考えて早く来たんだ」
ロバーツは我が家の御者の名前。ジュストが学園に行くときも送って行った。土曜日のいつ迎えに行くかも、その時に話していた筈。
「な、何かあったの?」
帰ってくるのはわかっていたが、早くて昼前だと思っていたのに、ギャレットが知らないことがあるのだろうか。
「ギャレットに早く会いたかったからに決まっている」
そうしてまたもや強く抱きしめてくる。
「あ、兄上…くるし…」
「ご、ごめん、嬉しくてつい」
少し力は緩んだけど、相変わらず抱きしてめたままだ。
ほんの数日離れただけなのに、大げさだなと思いながら、そこまで思ってくれていることに悪い気はしない。
「お帰りなさい、兄上」
こちらからも優しく抱擁を返すと、「ただいま」と再び囁いた。
「手紙、ありがとう。うれしかったよ」
「うまく書けてた?」
「ギャレットからの手紙なら、どんなのでもうれしいよ」
「それは駄目だよ。間違いがあったらちゃんと添削してくれないと」
「じゃあ、次からはそうするよ」
そう言って笑うジュストは、たった数日離れていただけなのに、すごく大人びて見えた。
この年齢の男の子ってちょっと目を離すと、すぐに大人になる。
声も少し前は変声期でガラガラしてたのに、今はとても落ち着いた声音で、耳に心地良い。
体つきもしっかりしてきて、ひょろりとした少年はいつの間にか大人へと日々変化を遂げている。
「さあ、今日と明日はギャレットの好きなことをして遊ぼう」
「その前に、着替えて朝食を食べよう。お父様たちにはもう会ったの?」
「まだだ。一番にギャレットに挨拶したかったんだ」
はにかみながらそう言うジュストは、ドキュンとするほど可愛かった。
急いで着替えて(ジュストが手伝うと言って聞かなった)、朝食を食べに一階へ降りると、両親がすでに待ち構えていた。
「お帰りなさい、ジュスト」
「お帰り」
「ただいま、父上、母上」
「随分早いな。昼前になると思っていたのに」
同じことを父上も言う。
「よほど家が恋しかったのね」
「はい、そうです」
ジュストは素直にそれを認める。
「明日の夕方までゆっくりできるんでしょ?」
「ステファンが迎えに来てくれて、一緒に戻ることになっています」
「ステファン、寮で同室なんですってね」
「はい」
「それで、クラス編成はどうなったんだ」
入学式の後に実施される試験が学園での最初の試験で、その結果、上位から順番にクラス編成されていく。
「結果をすぐに知らせてくれるかと待っていたんだが、大丈夫だったのか」
「私達はあなたが最下位のFクラスでいいのよ」
お母様はどうやらジュストが試験の結果が悪いのを気にして連絡してこなかったと思っているみたいだ。
最下位から上がっていく方がやりがいがあるだの、剣術でも頑張ればいいだの。二人で言っている。
「お父様お母様、家庭教師のミハイラ先生だって、兄上は賢いって褒めていたでしょ。兄上は僕の大好きな兄上が最下位なわけないじゃないですか」
真剣に怒る。小説でもジュストは頭が切れる人物で利口だと書かれていた。
色々と設定か変わっているけど、そういうところのカスタマイズは変わっていない。
「ギャレット、ありがとう、大丈夫ですよ父上、俺もステファンも無事に特進クラスに選抜されました」
「特進クラスですって!」
ジュストの発言に、三人一緒に驚いた。
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