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4 新たな関係①
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まだこの頃はギャレットはジュストを実の兄だと思っていた。
実の兄弟ではないと知るのはジュストが学園に入る頃だ。
昔からギャレット(もちろんわたしが記憶を思い出す前の)は何かにつけ、ジュストの持ち物をほしがった。
自分のお皿にあるものがまだあるのに、ジュストの食べているものをほしがる。まだろくに文字を読めもしないのに、ジュストが読んでいる本を読みたがる。
そしてその日は、ジュストが練習用に買って貰った剣を持たせろとジュストに迫った。
「刃物だしギャレットにはまだ重くて持てないよ」
食べ物も本も、ジュストは困った顔をしながらも譲ってくれた。
ジュストの分を食べてお腹がいっぱいになって、自分の分を食べきれなくなった時には、黙って食べかけのギャレットの分を食べてくれた。
本だって、ギャレットが飽きるのをじっと横で辛抱強く待っていた。
結局殆ど読めなくて、やっぱりいらないとジュストに押し付けることになった。
でも、その時は最初から駄目だと突っぱねた。
練習用とは言え、刃物は危険だし、五歳のギャレットが持てるわけがない。
結局、持ち上げようとしてふらついてゴツンと派手に転んで地面に頭をぶつけてこのざまだ。
ジュストも助けようと動いたが間に合わず、まだまだ頭の方が比重が大きくかったため、頭からすっ転んだ。
ここで小説なら「ジュストが僕を突き飛ばした」と言って彼を悪者にして、ジュストは両親の叱責を買うのだ。
しかもその時の傷が残り、普段は髪の毛で隠れて見えないが、後頭部に三日月ハゲが出来てしまった。
ギャレットはことあるごとに傷のことを持ち出し、ジュストを虐めることになる。
ジュストは侯爵の実の子でないという負い目があり、それをずっと我慢する。
前世を思い出すのがもう少し早ければ、怪我をせずに済んだのにと悔やむところだが、それがきっかけで思い出したんだから、必要な出来事だったのだろう。
でも、ここからはわたしのターンだ。我儘ギャレットはアサラー社畜の根性でギャフンと捻じ伏せる。
「ち、違うよ。僕が悪いんだ」
「ギャレット?」
明らかにその発言にジュストは驚いて、目を見開いている。
びっくりした顔もカワイイ♡ カシャッ、今日の一枚いただきました。
「ぼ、僕…ジュストお兄ちゃんの持っていた剣がほしいって言ったんだ。危ないからってお兄ちゃんは止めたのに、お兄ちゃんが出来るなら僕も出来ると思って…でも、重くて転んじゃったの」
「まあ、ギャレット」
「そうだったのか」
「ごめんね、ジュストお兄ちゃん」
両親から離れてジュストの前に行き、頭をペコリと下げる。
「お、お兄…ちゃん?」
頭の上から戸惑ったようなジュストの呟きが聞こえる。
「あら、そう言えば、ギャレットがジュストのことをお兄ちゃんって呼ぶの初めてじゃない?」
「え?」
「そ、そうだな…そう言えば」
「それに、謝るだなんて、それも初めてじゃないかしら」
うそ…ギャレット、あんたどんだけ酷いのよ。心の中で毒づく。
五歳にして初めての謝罪。そしてお兄ちゃん呼び。
そりゃあ戸惑うわよね。
何ともバツが悪いけど、恐る恐るジュストを見上げた。
まだ戸惑いを隠せないらしく、呆然としている。
「ごめんなさい。ジュストお兄ちゃん、これからちゃんとお兄ちゃんの言うことをきちんと聞いていい子になります。もう我儘は言いません。だから、今回だけ、許してください」
ギャレットの天使の顔で、お願いポーズをしてあざとく言ってみた。
「ジュスト、すまない、ギャレットもこうやって反省している。許してやってくれ」
「ギャレットの我儘に、ほんとによく付き合ってくれてありがとう」
両親も後押ししてくれる。
「う…うん」
ボソリとそう言い、頷いた。
「ありがとう、ジュストお兄ちゃん、大好き!」
思わず抱きつく。これは合法。心はアラサーでも周りから見れば弟が兄に抱きついているだけ。
少年らしいほっそりした、でもしっかり骨のある体はやっぱり男の子だ。
「まあ、そんなギャレット初めて見るわ」
「ようやく、本当の兄弟らしくなった」
グリグリとジュストの胸に頭を擦付け、大好きを連発すると、ポンポンと頭を撫でてくれた。
ギャーッ ポンポンだって、麗しの兄弟愛。
心の中でそう叫ぶと、何やら鼻からヌルリとしたものが出てきた。
「え?」
ジュストから慌てて体を離す。
「わあ、ギャレット! 鼻血が」
ジュストの服に真っ赤な染みが出来ている。あまりの興奮に鼻血が出たらしい。
それからまた鼻血が止まるまで大騒ぎだった。
「これからも、よろしくね、お兄ちゃん」
布で鼻を抑えながらそう言うと、ジュストははにかんだように笑った。
実の兄弟ではないと知るのはジュストが学園に入る頃だ。
昔からギャレット(もちろんわたしが記憶を思い出す前の)は何かにつけ、ジュストの持ち物をほしがった。
自分のお皿にあるものがまだあるのに、ジュストの食べているものをほしがる。まだろくに文字を読めもしないのに、ジュストが読んでいる本を読みたがる。
そしてその日は、ジュストが練習用に買って貰った剣を持たせろとジュストに迫った。
「刃物だしギャレットにはまだ重くて持てないよ」
食べ物も本も、ジュストは困った顔をしながらも譲ってくれた。
ジュストの分を食べてお腹がいっぱいになって、自分の分を食べきれなくなった時には、黙って食べかけのギャレットの分を食べてくれた。
本だって、ギャレットが飽きるのをじっと横で辛抱強く待っていた。
結局殆ど読めなくて、やっぱりいらないとジュストに押し付けることになった。
でも、その時は最初から駄目だと突っぱねた。
練習用とは言え、刃物は危険だし、五歳のギャレットが持てるわけがない。
結局、持ち上げようとしてふらついてゴツンと派手に転んで地面に頭をぶつけてこのざまだ。
ジュストも助けようと動いたが間に合わず、まだまだ頭の方が比重が大きくかったため、頭からすっ転んだ。
ここで小説なら「ジュストが僕を突き飛ばした」と言って彼を悪者にして、ジュストは両親の叱責を買うのだ。
しかもその時の傷が残り、普段は髪の毛で隠れて見えないが、後頭部に三日月ハゲが出来てしまった。
ギャレットはことあるごとに傷のことを持ち出し、ジュストを虐めることになる。
ジュストは侯爵の実の子でないという負い目があり、それをずっと我慢する。
前世を思い出すのがもう少し早ければ、怪我をせずに済んだのにと悔やむところだが、それがきっかけで思い出したんだから、必要な出来事だったのだろう。
でも、ここからはわたしのターンだ。我儘ギャレットはアサラー社畜の根性でギャフンと捻じ伏せる。
「ち、違うよ。僕が悪いんだ」
「ギャレット?」
明らかにその発言にジュストは驚いて、目を見開いている。
びっくりした顔もカワイイ♡ カシャッ、今日の一枚いただきました。
「ぼ、僕…ジュストお兄ちゃんの持っていた剣がほしいって言ったんだ。危ないからってお兄ちゃんは止めたのに、お兄ちゃんが出来るなら僕も出来ると思って…でも、重くて転んじゃったの」
「まあ、ギャレット」
「そうだったのか」
「ごめんね、ジュストお兄ちゃん」
両親から離れてジュストの前に行き、頭をペコリと下げる。
「お、お兄…ちゃん?」
頭の上から戸惑ったようなジュストの呟きが聞こえる。
「あら、そう言えば、ギャレットがジュストのことをお兄ちゃんって呼ぶの初めてじゃない?」
「え?」
「そ、そうだな…そう言えば」
「それに、謝るだなんて、それも初めてじゃないかしら」
うそ…ギャレット、あんたどんだけ酷いのよ。心の中で毒づく。
五歳にして初めての謝罪。そしてお兄ちゃん呼び。
そりゃあ戸惑うわよね。
何ともバツが悪いけど、恐る恐るジュストを見上げた。
まだ戸惑いを隠せないらしく、呆然としている。
「ごめんなさい。ジュストお兄ちゃん、これからちゃんとお兄ちゃんの言うことをきちんと聞いていい子になります。もう我儘は言いません。だから、今回だけ、許してください」
ギャレットの天使の顔で、お願いポーズをしてあざとく言ってみた。
「ジュスト、すまない、ギャレットもこうやって反省している。許してやってくれ」
「ギャレットの我儘に、ほんとによく付き合ってくれてありがとう」
両親も後押ししてくれる。
「う…うん」
ボソリとそう言い、頷いた。
「ありがとう、ジュストお兄ちゃん、大好き!」
思わず抱きつく。これは合法。心はアラサーでも周りから見れば弟が兄に抱きついているだけ。
少年らしいほっそりした、でもしっかり骨のある体はやっぱり男の子だ。
「まあ、そんなギャレット初めて見るわ」
「ようやく、本当の兄弟らしくなった」
グリグリとジュストの胸に頭を擦付け、大好きを連発すると、ポンポンと頭を撫でてくれた。
ギャーッ ポンポンだって、麗しの兄弟愛。
心の中でそう叫ぶと、何やら鼻からヌルリとしたものが出てきた。
「え?」
ジュストから慌てて体を離す。
「わあ、ギャレット! 鼻血が」
ジュストの服に真っ赤な染みが出来ている。あまりの興奮に鼻血が出たらしい。
それからまた鼻血が止まるまで大騒ぎだった。
「これからも、よろしくね、お兄ちゃん」
布で鼻を抑えながらそう言うと、ジュストははにかんだように笑った。
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