16 / 23
ラファエル編
2
しおりを挟む
何のために生きているのか。いっそ母のように死ぬべきかと、思わないではなかったが、僕の心に灯った復讐の炎が、それを思い止まらせた。
死ぬなら、あいつらを道連れにして死んでやる。
そう心に決めていた。
数年が経ち、相変わらず父親は無関心。時折僕を呼び出し、女の服を着せて横に侍らせては喜んでいた。
しかし、一応の勉強や剣や馬術と言った貴族の子息に必要な勉強はさせてくれた。
僕の体が大きくなると、さすがに反撃を恐れてか本妻は暴力を控えるようになったが、暴言は続いていた。
そして、本妻の息子は、勉強も剣も容姿も平凡並で、僕より劣っていることを自覚して、以前にも増して僕に辛く当たっていた。
変わったのは、使用人たちだ。
特に女の使用人たちは、僕の世話をこぞってやりたがった。
本妻たちの目を盗んでは食べ物などを僕に渡し、代わりに僕に触れていく。
時には唇を押し付けてきたり、夜中にこっそり寝ているところに忍び込んできた。
自分の見かけが、女達(時には男たち)にもたらす影響力は凄まじかった。
僕に気に入られようと、女達は熾烈な争いを起こし、やがてそれは本妻の知るところとなった。
僕に少しでも媚びると、すぐに解雇し、次から次へと使用人が入れ替わった。
その度に本妻もその息子も、僕を責めた。僕が望んでしたことではない。勝手に彼女たちが寄ってくるのだと言うことも、本妻たちはわかっていながら、理不尽に僕を責め続けた。
やがて僕は騎士団に入団した。
騎士になりたかったわけではない。はっきり言って、あの家を出られるなら何でも良かった。
しかし、騎士団と言っても男ばかりではなかった。
ここでも少ないとは言え、女はいた。
女達は僕を見た目で判断し、言い寄ってきた。
そして男たちは、嫉妬で僕をいたぶった。
どこに行っても変わらない。
そんな時だ。アニエス・ベルフのことを知ったのは。
死ぬなら、あいつらを道連れにして死んでやる。
そう心に決めていた。
数年が経ち、相変わらず父親は無関心。時折僕を呼び出し、女の服を着せて横に侍らせては喜んでいた。
しかし、一応の勉強や剣や馬術と言った貴族の子息に必要な勉強はさせてくれた。
僕の体が大きくなると、さすがに反撃を恐れてか本妻は暴力を控えるようになったが、暴言は続いていた。
そして、本妻の息子は、勉強も剣も容姿も平凡並で、僕より劣っていることを自覚して、以前にも増して僕に辛く当たっていた。
変わったのは、使用人たちだ。
特に女の使用人たちは、僕の世話をこぞってやりたがった。
本妻たちの目を盗んでは食べ物などを僕に渡し、代わりに僕に触れていく。
時には唇を押し付けてきたり、夜中にこっそり寝ているところに忍び込んできた。
自分の見かけが、女達(時には男たち)にもたらす影響力は凄まじかった。
僕に気に入られようと、女達は熾烈な争いを起こし、やがてそれは本妻の知るところとなった。
僕に少しでも媚びると、すぐに解雇し、次から次へと使用人が入れ替わった。
その度に本妻もその息子も、僕を責めた。僕が望んでしたことではない。勝手に彼女たちが寄ってくるのだと言うことも、本妻たちはわかっていながら、理不尽に僕を責め続けた。
やがて僕は騎士団に入団した。
騎士になりたかったわけではない。はっきり言って、あの家を出られるなら何でも良かった。
しかし、騎士団と言っても男ばかりではなかった。
ここでも少ないとは言え、女はいた。
女達は僕を見た目で判断し、言い寄ってきた。
そして男たちは、嫉妬で僕をいたぶった。
どこに行っても変わらない。
そんな時だ。アニエス・ベルフのことを知ったのは。
137
お気に入りに追加
415
あなたにおすすめの小説

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。


【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

鉄壁騎士様は奥様が好きすぎる~彼の素顔は元聖女候補のガチファンでした~
二階堂まや
恋愛
令嬢エミリアは、王太子の花嫁選び━━通称聖女選びに敗れた後、家族の勧めにより王立騎士団長ヴァルタと結婚することとなる。しかし、エミリアは無愛想でどこか冷たい彼のことが苦手であった。結婚後の初夜も呆気なく終わってしまう。
ヴァルタは仕事面では優秀であるものの、縁談を断り続けていたが故、陰で''鉄壁''と呼ばれ女嫌いとすら噂されていた。
しかし彼は、戦争の最中エミリアに助けられており、再会すべく彼女を探していた不器用なただの追っかけだったのだ。内心気にかけていた存在である''彼''がヴァルタだと知り、エミリアは彼との再会を喜ぶ。
そして互いに想いが通じ合った二人は、''三度目''の夜を共にするのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる