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212 団長と秘書官
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「そう畏まらなくていい。咎めている訳ではない。誰を待っている?」
「はい、えっと………」
あれ?ウィリアムさんって階級何だった?と思っていると後ろからウィリアムさんがやってきた。
「すまない。待たせたな……って団長……」
近づいてきたウィリアムさんが私の側にいる人物を見て驚く。
「ウィリアム、お前の知り合いか?」
「はい」
「ドルグラン、どういうことだ?一般人をこんなところに連れてきて、騎士団の規律を乱すつもりか」
セインと呼ばれた人が私がこの場にいることについてウィリアムさんを叱責する。
どうやらこの辺りは騎士団員でなければ通ってはいけない場所らしい。
ここで待てと言ったのはウィリアムさんだが、私のせいで上官から怒られるのは申し訳ない。
「ごめんなさい、ウィリアムさん……私が来たから」
「ローリィが気にしなくていい。ここで待てと言ったのは俺だしな」
ウィリアムさんはそう言って私を気遣って言ってくれた。
「申し訳ございません。団長。セイン様もお許しください。そんなつもりはありませんでしたが、私が軽率でした。ですが、こちらはローリィ・ハインツ、決して怪しいものではありません。少々事情がございまして、ここへ連れて参りました」
「ローリィ・ハインツ?」
「はじめまして、ローリィ・ハインツです」
団長ということはここで一番偉い人、ウィリアムさんの上司。私は深々とお辞儀をした。
「ローリィ・ハインツ?」
団長が何度も私の名前を繰り返し呟く。
「団長、どうされましたか?」
「ああ、団長は彼女の名前を耳にしたことがありましたね。彼女がローリィです。ローリィ・ハインツ。王弟殿下のところでメイドをやっていた子です。それと、今表に父も来ておりまして」
ウィリアムさんの言葉でもう一度頭を下げる。
団長が私の名前に何故反応するのか、説明の最後に付け加えた言葉で理解した。
団長も私が公爵家に雇われていたことをご存知なのだ。
「モーリスもか……懐かしいな。そうか、彼女は……」
「団長、お時間が…」
「あ、ああそうだな」
まじまじと私を見つめる団長の後ろから会議に遅れることを気にする秘書官が声をかける。
「事情があると言ったな、会議が終わったらなるべく、早く戻る。詳しく報告しなさい」
団長はそう命令して秘書官の方とともに王宮へと向かった。
「団長は私のことをご存知なのですか?」
ウィリアムさんの上官なのだから当然とも言えるが、どこまで私のことを聞いているのだろう。
「王都の公爵邸での襲撃事件もご存知だ。クリスたちが使用人のふりをして護衛に入ったこともね。君のことも……何やら変わったメイドだとか殿下がおっしゃっていたみたいだから。名前を覚えていらっしゃったのだろう」
「変わったメイド?」
「心当たりあるだろう?」
「……まあ」
ヨガをやったり紅茶を入れたり、マッサージもさせていただいた。
「それより、さっきの男はどうする?とりあえずさっき目が覚めて取調室へ移したが」
「取り調べはウィリアムさんにお任せします……私はどこか別のところで待たせてもらってもいいでしょうか」
「わかった。部屋を用意しよう。親父と一緒に待っててくれ」
ウィリアムさんはそう言って段取りを済ませ、ようやくかつての部下から解放された師匠と合流した。
「はい、えっと………」
あれ?ウィリアムさんって階級何だった?と思っていると後ろからウィリアムさんがやってきた。
「すまない。待たせたな……って団長……」
近づいてきたウィリアムさんが私の側にいる人物を見て驚く。
「ウィリアム、お前の知り合いか?」
「はい」
「ドルグラン、どういうことだ?一般人をこんなところに連れてきて、騎士団の規律を乱すつもりか」
セインと呼ばれた人が私がこの場にいることについてウィリアムさんを叱責する。
どうやらこの辺りは騎士団員でなければ通ってはいけない場所らしい。
ここで待てと言ったのはウィリアムさんだが、私のせいで上官から怒られるのは申し訳ない。
「ごめんなさい、ウィリアムさん……私が来たから」
「ローリィが気にしなくていい。ここで待てと言ったのは俺だしな」
ウィリアムさんはそう言って私を気遣って言ってくれた。
「申し訳ございません。団長。セイン様もお許しください。そんなつもりはありませんでしたが、私が軽率でした。ですが、こちらはローリィ・ハインツ、決して怪しいものではありません。少々事情がございまして、ここへ連れて参りました」
「ローリィ・ハインツ?」
「はじめまして、ローリィ・ハインツです」
団長ということはここで一番偉い人、ウィリアムさんの上司。私は深々とお辞儀をした。
「ローリィ・ハインツ?」
団長が何度も私の名前を繰り返し呟く。
「団長、どうされましたか?」
「ああ、団長は彼女の名前を耳にしたことがありましたね。彼女がローリィです。ローリィ・ハインツ。王弟殿下のところでメイドをやっていた子です。それと、今表に父も来ておりまして」
ウィリアムさんの言葉でもう一度頭を下げる。
団長が私の名前に何故反応するのか、説明の最後に付け加えた言葉で理解した。
団長も私が公爵家に雇われていたことをご存知なのだ。
「モーリスもか……懐かしいな。そうか、彼女は……」
「団長、お時間が…」
「あ、ああそうだな」
まじまじと私を見つめる団長の後ろから会議に遅れることを気にする秘書官が声をかける。
「事情があると言ったな、会議が終わったらなるべく、早く戻る。詳しく報告しなさい」
団長はそう命令して秘書官の方とともに王宮へと向かった。
「団長は私のことをご存知なのですか?」
ウィリアムさんの上官なのだから当然とも言えるが、どこまで私のことを聞いているのだろう。
「王都の公爵邸での襲撃事件もご存知だ。クリスたちが使用人のふりをして護衛に入ったこともね。君のことも……何やら変わったメイドだとか殿下がおっしゃっていたみたいだから。名前を覚えていらっしゃったのだろう」
「変わったメイド?」
「心当たりあるだろう?」
「……まあ」
ヨガをやったり紅茶を入れたり、マッサージもさせていただいた。
「それより、さっきの男はどうする?とりあえずさっき目が覚めて取調室へ移したが」
「取り調べはウィリアムさんにお任せします……私はどこか別のところで待たせてもらってもいいでしょうか」
「わかった。部屋を用意しよう。親父と一緒に待っててくれ」
ウィリアムさんはそう言って段取りを済ませ、ようやくかつての部下から解放された師匠と合流した。
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