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184 アンジェリーナ様の本気

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それまでアンジェリーナ様に付き添って参加したお茶会は、騎士団仲間やアンジェリーナ様の古くからのご友人ばかりのお宅で、最初から私にも好意的な方々ばかりだった。

護衛の私はアンジェリーナ様たちとは少し離れた隅で待機していたが、途中からはなぜか皆に囲まれたあれやこれやお菓子やお茶を勧められることも度々あった。

決して胃袋につられて評価したわけではないが、とても楽しかった。

中にはまだデビューしたばかりの未婚の令嬢もいて、彼女たちの話は聞いているだけで楽しかった。
お茶会での話題は流行のファッションや人気の美味しいお店、流行りの演劇や演奏会の話などが主だった。
時折、陛下やキルヒライル様の名前も出てくることがあった。

ハレス子爵は第二近衛騎士団所属なので離宮の警備も担当している。副団長なので勤務に入る時やその任を外れる際には引き継ぎと称してキルヒライル様に直接顔を合わせることも多いらしく、どんな様子だったか当たり障りのない範囲で教えてくれていた。

それがなければ茶会などで噂される殿下についての話にかなり混乱しただろう。

自領で飲まされた薬の後遺症は殆どないそうだが、表向きはまだ健康状態に不安があるようだということになっている。

陛下との喧嘩についても、わざとそう思わせているのだと聞いている。実際に多少の口論があったそうだが、その原因が私の素性をわざと陛下が伏せていたことに対するものだとは皆には知らされていない。

けれどカーマリング侯爵家の茶会はそんな雰囲気は期待できないだろう。

「五日ね………あまり情報収集する時間はないわ」

初めて参加する茶会。カーマリング侯爵家の茶会がどのようなものか、かつてそこに参加したことのある方で、こちらに情報を流してくれそうな方を見つけ、情報を仕入れなければならない。
加えて誰と誰が招待されて、誰が招待されていないか、どれ程の規模なのか、着ていく衣装も重要だ。

「あまり時間がないけれど、やれることはやりましょう。まずは街に出て仕立て屋に行きましょうか」

アンジェリーナ様が手紙を握りしめ立ち上がった。

「新しいドレスを新調なさるのですか?」

すでにアンジェリーナ様の衣装部屋には有り余るほどのドレスが溢れているが、カーマリング侯爵夫人の茶会に挑むための戦闘服ならぬ勝負服を新たに仕立てられるのだろうか。

「うちがよく利用している仕立て屋があるのは知っているわね。そこは王都の貴族の方々も多く御用達にしているところなの。そこへ行けばカーマリング侯爵家の茶会の雰囲気についての情報も手に入るかもしれないわ」

不適な笑いを浮かべて闘争心むき出しにガッツポーズする。

アンジェリーナ様がここまで真剣な表情を見せるのは初めてだった。

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