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64 じっくりと※
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大学四年間を過ごした1LDKのハイツを引き払い、就職が決まった職場に近い2DKアパートに引っ越した時、慣れるまで目が覚めるとまだ前のハイツにいると寝ぼけて勘違いした。
でも不思議と生まれ育った家と勘違いすることはなかった。
この世界に来てからそうやって目が覚めることが多い。
レインズフォード家での私の部屋は、そんなかつての部屋がいくつ入るのかと思うくらいに広かった。
ここはその部屋でもない。
目が覚めると目の前に仰向けに寝ているアドルファスさんの右横顔があった。
日本人よりずっと高い鼻梁に高い頬骨。髪と同じ白銀の眉に長いまつ毛。閉じた唇は薄すぎず肉感的。男らしい顎のライン。一晩経ったのに髭が生えていないのはこの世界の人だからだろうか。
枕に広がる美しい白銀の髪に触れ、シーツから覗くがっしりとした肩のラインに目を落とした。
「観察は終わりましたか」
目を閉じたまま少し掠れた声で彼が言った。驚くとこちらに顔を向けてきた。
「お、起きてたんですか?」
「眠りは浅いんです」
アイスブルーの瞳が私を優しく見つめる。
親密な夜を過ごした二人の間に流れる甘い空気を感じ、昨夜のことを思い出した。
◇◆◇◆
膝立ちになったアドルファスが服を脱いでいく。
昨夜見た傷だらけの裸体が目の前に現れた。
部屋の灯りが傷だらけの鍛え上げた体に陰影をつくる。
レディ・シンクレアとディーターさん、そしてクムヒム神官だけが知っていた彼の傷。
頭から着衣を脱ぐときに持ち上がった白銀の長い髪が彼の体に落ちていく。化学繊維が使われていないからか、それとも魔力が宿るからか、彼の髪はまったく静電気の影響を受けず、灯りを受けてキラキラと輝いてファサリと落ちて行った。
「綺麗」
「え?」
思わず心の声が漏れた。
「この体のどこが綺麗だと?」
身体能力に優れているのか、彼の耳は聞き逃さなかった。私の言葉に不思議そうな顔をして自分の体を見下ろしている。
「傷一つないから綺麗だとは限りません」
手を伸ばして彼の髪に触れる。魔力の宿った髪は痛みもなく枝毛なんてものもない。
「熟練の職人の手がゴツゴツしているからこそ、素晴らしい作品が作られるように、その傷はあなたが身を挺して人々を護った証拠でしょ。それは誇っていいと思います。だから綺麗でいいんです」
「他の人にそう言われたら、からかっていると思ったでしょうが、あなたに言われると素直にそう思えます」
額をこすりつけ、鼻にキスをして、唇を重ねる。
音を立てて深い口づけを続けながら彼の手が首筋を撫で、鎖骨から胸へと辿り着く。
「あ…」
大きな手に胸を包まれ優しく揉みしだかれる。手のひらで乳房を押し潰しながら親指と人差し指で乳首を摘んだ。
「ん…」
唇が手が通った順に下りていき、もう片方の胸の尖端を口に含む。ざらついた舌が乳輪を舐め回し、力強く吸われる。
「あ…」
彼の頭の後ろに手を回し、ぐっと自分の胸に引き寄せると、胸を口に含みながら私を見上げる彼の目と視線がぶつかる。
「ん…あ…ああ、」
ピンと勃った乳首を甘噛みされ、脚の間に手が挿し込まれた。そこはすでに湿り気を帯び、すんなりと彼の指を受け入れた。
彼の長い指が入り口を掻き回すと、ぐちょぐちょとした音が聞こえてきた。
「あ、はあ…あ…」
まるで楽器を奏でるように、中指と人差し指で私の中を掻き回しながら、親指が時折クリトリスを弾く。同時に両方の乳房を交互に舐められ、私の体はビクビクと震えた。
「ユイナ…綺麗だ」
アドルファスさんは何度もそう繰り返す。
これまでの彼氏たちはここまで前戯に時間をかけたことはない。ひと通り胸を触って手で濡れてきたのを確認するとすぐに挿入してきた。ひどい時は、ローションを使って無理やり挿入してきたこともある。
アドルファスさんはじっくりと手と口で丁寧に体を開いていく。
さらさらと長い髪が肌の上を滑るのさえ、私の官能を誘っている。
「アドルファスさん…」
「アドルファスだ」
「ア、アドルファス…」
「気持ちいいですか?」
「ん…気持ち…いい」
初めて体を重ねるのに、彼は私が気持ちいいと感じるところを的確に探り当て攻める。女性のことを知り尽くしている。それは彼がきっとたくさんの女性を抱いてきたからだろう。
「アドルファスも…気持ちよくなって」
私ばかり彼にしてもらっているのを申し訳なく思った。
「大丈夫です。こうしてあなたに触れられるだけで充分です」
「でも…それでは…」
「気にしないで。私もこうして女性の体を堪能するのは随分久しぶりなんです。だから、じっくりと味あわせてください」
「あ…」
口を塞がれそれ以上は何も言えなかった。
「あ…ん…あ…ああ…」
散々口と手でいかされ頭の芯がぼーっとなった頃、ようやく彼がズボンをおろした。
「…!!」
すっかり勃ちあがった大きくて太い棹がこちらを向いている。その先端は滲み出た精液で光り輝いている。
ごくり
圧倒的存在感に言葉を失った。あれが今から私の中に入ってくる。あんなので掻き回されたら、私はどうなってしまうのか。
「怖いですか?」
私の顔に浮かんだ表情に気づいて彼が尋ねた。
でも不思議と生まれ育った家と勘違いすることはなかった。
この世界に来てからそうやって目が覚めることが多い。
レインズフォード家での私の部屋は、そんなかつての部屋がいくつ入るのかと思うくらいに広かった。
ここはその部屋でもない。
目が覚めると目の前に仰向けに寝ているアドルファスさんの右横顔があった。
日本人よりずっと高い鼻梁に高い頬骨。髪と同じ白銀の眉に長いまつ毛。閉じた唇は薄すぎず肉感的。男らしい顎のライン。一晩経ったのに髭が生えていないのはこの世界の人だからだろうか。
枕に広がる美しい白銀の髪に触れ、シーツから覗くがっしりとした肩のラインに目を落とした。
「観察は終わりましたか」
目を閉じたまま少し掠れた声で彼が言った。驚くとこちらに顔を向けてきた。
「お、起きてたんですか?」
「眠りは浅いんです」
アイスブルーの瞳が私を優しく見つめる。
親密な夜を過ごした二人の間に流れる甘い空気を感じ、昨夜のことを思い出した。
◇◆◇◆
膝立ちになったアドルファスが服を脱いでいく。
昨夜見た傷だらけの裸体が目の前に現れた。
部屋の灯りが傷だらけの鍛え上げた体に陰影をつくる。
レディ・シンクレアとディーターさん、そしてクムヒム神官だけが知っていた彼の傷。
頭から着衣を脱ぐときに持ち上がった白銀の長い髪が彼の体に落ちていく。化学繊維が使われていないからか、それとも魔力が宿るからか、彼の髪はまったく静電気の影響を受けず、灯りを受けてキラキラと輝いてファサリと落ちて行った。
「綺麗」
「え?」
思わず心の声が漏れた。
「この体のどこが綺麗だと?」
身体能力に優れているのか、彼の耳は聞き逃さなかった。私の言葉に不思議そうな顔をして自分の体を見下ろしている。
「傷一つないから綺麗だとは限りません」
手を伸ばして彼の髪に触れる。魔力の宿った髪は痛みもなく枝毛なんてものもない。
「熟練の職人の手がゴツゴツしているからこそ、素晴らしい作品が作られるように、その傷はあなたが身を挺して人々を護った証拠でしょ。それは誇っていいと思います。だから綺麗でいいんです」
「他の人にそう言われたら、からかっていると思ったでしょうが、あなたに言われると素直にそう思えます」
額をこすりつけ、鼻にキスをして、唇を重ねる。
音を立てて深い口づけを続けながら彼の手が首筋を撫で、鎖骨から胸へと辿り着く。
「あ…」
大きな手に胸を包まれ優しく揉みしだかれる。手のひらで乳房を押し潰しながら親指と人差し指で乳首を摘んだ。
「ん…」
唇が手が通った順に下りていき、もう片方の胸の尖端を口に含む。ざらついた舌が乳輪を舐め回し、力強く吸われる。
「あ…」
彼の頭の後ろに手を回し、ぐっと自分の胸に引き寄せると、胸を口に含みながら私を見上げる彼の目と視線がぶつかる。
「ん…あ…ああ、」
ピンと勃った乳首を甘噛みされ、脚の間に手が挿し込まれた。そこはすでに湿り気を帯び、すんなりと彼の指を受け入れた。
彼の長い指が入り口を掻き回すと、ぐちょぐちょとした音が聞こえてきた。
「あ、はあ…あ…」
まるで楽器を奏でるように、中指と人差し指で私の中を掻き回しながら、親指が時折クリトリスを弾く。同時に両方の乳房を交互に舐められ、私の体はビクビクと震えた。
「ユイナ…綺麗だ」
アドルファスさんは何度もそう繰り返す。
これまでの彼氏たちはここまで前戯に時間をかけたことはない。ひと通り胸を触って手で濡れてきたのを確認するとすぐに挿入してきた。ひどい時は、ローションを使って無理やり挿入してきたこともある。
アドルファスさんはじっくりと手と口で丁寧に体を開いていく。
さらさらと長い髪が肌の上を滑るのさえ、私の官能を誘っている。
「アドルファスさん…」
「アドルファスだ」
「ア、アドルファス…」
「気持ちいいですか?」
「ん…気持ち…いい」
初めて体を重ねるのに、彼は私が気持ちいいと感じるところを的確に探り当て攻める。女性のことを知り尽くしている。それは彼がきっとたくさんの女性を抱いてきたからだろう。
「アドルファスも…気持ちよくなって」
私ばかり彼にしてもらっているのを申し訳なく思った。
「大丈夫です。こうしてあなたに触れられるだけで充分です」
「でも…それでは…」
「気にしないで。私もこうして女性の体を堪能するのは随分久しぶりなんです。だから、じっくりと味あわせてください」
「あ…」
口を塞がれそれ以上は何も言えなかった。
「あ…ん…あ…ああ…」
散々口と手でいかされ頭の芯がぼーっとなった頃、ようやく彼がズボンをおろした。
「…!!」
すっかり勃ちあがった大きくて太い棹がこちらを向いている。その先端は滲み出た精液で光り輝いている。
ごくり
圧倒的存在感に言葉を失った。あれが今から私の中に入ってくる。あんなので掻き回されたら、私はどうなってしまうのか。
「怖いですか?」
私の顔に浮かんだ表情に気づいて彼が尋ねた。
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