皎き忌み子と太陽の皇子

七夜かなた

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第一章 巡礼の街

22*

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 イルジャの唇が首筋に触れ、少し甘噛みしながら、舌先でチロチロと舐められる。
 射精を終えたイルジャのものは、まだアルブの股の間にあり、今は少し落ち着いている。

「ん、イルジャ…」
「上手にイケたな」
「イルジャも…」
「ああ、アルブのお陰で…」
「でも、まだ…」

 経験はなくても、最低限の知識はある。
 イルジャとアルブは、本当の意味ではまだ繋がっていない。アルブの後孔に彼は手を触れなかった。

「今はこれでいい」

 後ろからアルブを抱きしめて、囁いた。

「だけど…僕は別にかまわ……」
「アルブを傷つけなくない。ここまで出来ただけで俺は満足だ」
  
 アルブの唇に、指を当てて言葉を遮った。

「アルブの気持ちがわかっただけで十分だ。こういうのは無理は禁物だ。きちんと準備して慣らしてからでないと、後々大変だからな」
「……あ」

 もう一方の手が腰骨から臀部を擦り、肉を掻き分けてアルブの蕾を優しく突いた。
 
「俺のを受け入れるなら、それなりに覚悟がいる」

 確かに自分のものより大きくて太いイルジャのものを受け入れるのは、そう簡単ではないだろう。
 
「イルジャ…あ、あ…」

 指先でグリグリと皺のひとつひとつを解すように触れられ、アルブは思わず声を漏らした。
 
「アルブは才能があるな。指で解しただけで、感じているのか」
「だ、だって…そ、そんなところ…んん」

 一度は収まった興奮が蘇り、陰茎が張り詰める。
 
「んん、あ、イルジャ…あ…」

 前と後ろを攻めたれられ、アルブは身を捩って甘い吐息を漏らした。

「イキたいならイっていいぞ」
「あ、んんあぁ」

 後孔に指が一本挿し込まれた。
 アルブは全身に力が入ってピンと、体を伸ばした。

「や、ああ、イルジャ…嘘つき…しないって…」

 そこはお預けだと言ったのに、指を挿れられるとは思わず、涙目で抗議した。

「悪い…そのつもりだったが…アルブがあまりに可愛くて…反応がいいから」
 
 少しも悪いと思っていない顔で、ニヤリと笑う。

「でも、最後までしないつもりなのは本当だ。だから指くらいは許してくれ」
「ん、あぁぁ!!!」

 指がグイッと曲がって指先が中からある部分に触れ、アルブの体にその日一番の衝撃が走り抜けた。

「イ、イル…ジャ、ああぁぁ」
「アルブ、感じるのか」

 硬くなったペニスをゆるりと撫で付けられるのと同時に、指先が再び同じ場所を刺激する。
 あまりの快感に、口を大きく開けて喘いだ。
 
「あ、ん、あぁんうっ……ふ、あぁ」

 同じところを始めは軽く、そしてゆっくりと何度も突かれて、アルブの体はガクガクと小刻みに震える。さっき達して射精したのとはまた違う快感の波に、アルブは翻弄された。

「ここが気持ちいいのか」
「や、あぁ、あ、ふ……はぁ…い、いあ」

 繰り返されるイルジャの手の動きに苛まれ、アルブは声にならない呻きを漏らす。

「はわぁぁっ…あぁ」 

 目の前がチカチカして、アルブは背中を思い切り仰け反らせた。

「アルブ、こっちを向いて」

 深く考えられないまま、言われたとおりイルジャのほうに顔を向けると、自ら舌を突き出した。
 そこにイルジャが舌を絡めて、深い口づけを交わす。
 イルジャとはさっきも口づけを交わし初めではないのに、なぜかさっきまでのとは違う気がした。
 イルジャに唇を塞がれ、ペニスを扱かれ、後孔を中を刺激され、アルブの体を戦慄が走り抜けた。
 
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