令嬢娼婦と仮面貴族

七夜かなた

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新婚旅行編

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「ん………」

頬に優しく触れる何かがメリルリースの意識を浮上させた。

「気がついたか?」

暖炉にアレスティスが背を向ける形で横たわり、メリルリースに寄り添っているので、彼女は彼の体の影になっている。

あれから体制を変えながら、三度アレスティスがメリルリースに精を放ち、最後にメリルリースは意識を手放した。

「どれくらい眠っていましたか?」

最初に着ていたワンピースが着せられている。

「ほんの一時間ほどだ」

最近では気を失うまで抱かれたことはほとんどなかったが、ここまでの気疲れと呑んだワインがきいたようだ。

「どうする? もう一度温泉に入るか?」

お酒も適度に抜けているので入浴には支障はないだろうが、この気だるげな感じで横たわっているのも捨てがたい。

「もう少し……こうしていていいですか?」

「君の好きにするといい」

頭頂部にキスを落とし、さらにメリルリースを抱き寄せる。
抱き合った後の互いの香りを吸い込むと、収まった筈のアレスティスの性欲がまたぶり返す。

「優しくしてくれるなら……大丈夫よ」

今すぐはメリルリースの負担になると、深呼吸して押さえ込もうとしたが、それに気づいたメリルリースの手が、頭をもたげた下腹部の先に触れた。

「無理していないか? 私なら……二度とできないわけでは……」
「さっきのような体制は厳しいけど、私も……アレスティスが欲しい」

アレスティスの裸の胸に顔を寄せて、今度はメリルリースがそこに印をつけた。

始めの頃はなかなか上手に出来なかったが、今ではコツを掴んで時折こうして印を付ける。

アレスティスと違い吸う力が弱いので、色も薄くすぐに消えてしまうが、付いた印に手をやりアレスティスが微笑んだ。

「では、遠慮しないぞ。あちらを向いてくれるか?」

メリルリースがアレスティスに背中を向けると、生え際に手を入れて髪をかき上げ、首筋に口づけを落とす。

首筋に吸い付きながら背後から胸に手を回して、胸を揉みしだき、胸からお腹、そして足の付け根へと伸びていった。

「あ……ん」

片方の手で後ろから股を割り、上側になっている右脚を持ち上げ、開いた脚の付け根に指を滑り込ませた。

「あ……ああ……んんっ」

アレスティスの舌が首筋から耳の裏を舐め、メリルリースが首を捻って唇を重ねた。

蜜口に差し込まれた指三本を中で縦横無尽に動かしてかき混ぜ、メリルリースの感じる部分をつついたりしながら、解していく。

「もういいか」

シーツの隙間から聞こえる水音とメリルリースの声で判断したアレスティスは、指の代わりにそり立った後ろから突き刺した。

「あああっ」

背後から突かれ、メリルリースが喘ぎ声とともに呑み込んだアレスティスのものを締め付けた。

アレスティスが腰を動かし、肌と肌がぶつかる音と、溢れるメリルリースの蜜が空気を含み泡立つ音が互いの声に混じって響いた。

後ろから回されたアレスティスの指がメリルリースの膨らんだクリトリスを摘まみ上げたと同時に、メリルリースが背中を仰け反らせた。

「メリルリース」
「アレスティス」

互いに切ない声で名前を呼びあいながら、アレスティスはメリルリースの中に精を放ち、それを全て搾り取るように、締め付けた。

「辛くないか?」

熱い吐息を放ち、まだ中に入ったままでアレスティスが囁いた。

「大丈夫……」

後ろ手にアレスティスの頭を引き寄せ、自分を抱え込むアレスティスの腕に手を重ねる。

鼓動が激しく打ち付け、しっとりと汗ばんでいる。

「もう少し……このまま」
「愛しているよ。メリルリース」

今さっき抱き合った余韻に酔いしれるメリルリースの額に唇を寄せて、アレスティスが愛を囁いた。

「私も……愛しているわ」

それから三日間、二人は昼間は外を散歩したり離宮の近くにある街へと出掛けたりしながら、夜は激しく愛し合った。

あの領地で過ごした日々のように。


そして三日間の蜜月を過ごしてから十ヶ月後、メリルリースはアレスティスの黒髪とメリルリースのハシバミ色の瞳を受け継いだ女の子を出産した。

間違いなく『青の離宮』で授かったその子はブルーデンスと名付けられ、息子同様アレスティスとメリルリースの宝物になった。





読んでくださり、ありがとうございます。
一人目が授かり婚でしたので、二人目はハネムーンベイビーがいいかなと思って新婚旅行編にしました。

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