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13 乙女ゲームの始まり
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その二日後、お嬢様は元気になって戻ってきた。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
「ただいま、コリンヌ」
そう言ってお嬢様は、病み上がりとは思えないくらい、強く私を抱きしめた。
「お嬢様、苦しいです」
「ごめんなさい、久し振りにコリンヌに会えたからつい」
「お嬢様、何だか少し背が伸びましたか?」
成長期なのか、お嬢様の目線が少し高くなっている。
「新しい薬の副作用で、成長が促されたみたいね」
そんな副作用がある薬は初めて聞いた。
お嬢様の病気がなんなのかわからないから、そんなものかと思うしかない。
でも、もしかしたら、お嬢様の病気は珍しいもので、原因や対処法もまだまだ未知数なのかも。
「それより、あなた風邪を引いたりしなかった? 夜中に外をウロウロしていちゃだめでしょ」
二日前の夜のことを聞いたのだとわかった。
「アスラン様にお聞きに?」
「そうよ」
「すみません。でも、アスラン様からお嬢様の様子が聞けて嬉しかったです」
「心配かけてごめんなさい」
「苦しいのはお嬢様です。私に謝られる必要はありません。むしろ私は何も出来ず、歯痒い思いです」
「それでも、こうして私をあなたが出迎えてくれるから、私は頑張ろうと思うの」
「お嬢様」
悪役令嬢の片鱗もない。
優しくて美しいお嬢様の言葉に感動する。
「それより、アスランと話してどうだった?」
「え、ど、どうとはどういう意味ですか?」
「ときめいたりしなかった?」
「え、ま、まさか。生け垣越しに少しお話しただけです。お顔もわかりませんでしたし」
「なかなかハンサムよ。コリンヌのこと、優しい子だって褒めていたし、お似合いだと思うけど」
「か、からかわないでください」
顔が赤くなったのがわかる。
「赤くなってる。可愛い」
「もう、お嬢様ったら」
頬を指でツンツンするお嬢様は、とても楽しそうだった。
そしてついにお嬢様の学園入学の日が来た。
一歳年上のフランシス殿下は、すでに学園に通っている。
今年から生徒会長となられ、生徒会を運営されている。
生徒会は学園長の推薦を受け、立候補する。
日本のように誰でも立候補の資格があるわけではないところが、階級社会というものだ。
学園では身分を笠に着てはいけないという学則がある。
平民でも優秀であれば学費免除で通えることもあり、クラスは成績順で分けられる。
そのため、高位貴族が平民より頭が悪ければ、クラスも下、ということもある。
学園内では、例えば学食などは財力や身分で食べられる物も座る場所も決められている。
サロンと呼ばれる交流の場所も、身分などで立ち入れる場所は分けられている。
しかし、教室や廊下、図書室などでは生徒であれば、自由に立ち入れる。
当然、身分の違う者が入り乱れることになるのだから、いちいち貴族だから、平民だからと空間を分けることもできない。
貴族は、貴族だからと見下してはいけないし、蔑んでもいけない。
平民も、相手が貴族だからとか、王族だからと変に萎縮したり、へりくだってはいけない。
そうでなければ、学園生活など到底成り立たない。
しかし、自然と王族や高位貴族に取り入ろうと、輪が出来るのは至極当然のこと。
派閥が出来るのは致し方ない。
「お嬢様、そろそろ休憩いたしましょうか?」
入学式の前日は入寮の日、朝早くから家を出て、私とお嬢様は荷物を運び込んできて荷解きした。
荷解きは、使用人である私の仕事だったが、どうしても手伝うとお嬢様が言い張るので、小物などの整理をお願いした。
「そうね。大体片付いたし、そろそろ休憩しましょうか」
「それでは、寮の厨房に行って、お茶の用意をしてまいります」
寮は男性女性それぞれに全部で三棟ずつある。一番大きくて部屋数も多い第三寮は、平民や男爵、准男爵の令嬢が多く住む。
二番目に大きい第二寮は、子爵家から伯爵家の令嬢が住む。そして第一寮は、同じ伯爵家でもかなり裕福な伯爵家以上の令嬢が暮らす。
公爵家ともなれば、当然第一寮で、寮での部屋も使用人部屋も併設された、とても豪華なものだった。
建物は三階建で、一階が食堂や寮母の部屋、図書室や居間、厨房などがある。
一階の厨房は、食事をつくる場所で、それとは別に各階にも簡易な厨房があり、お茶を沸かしたりすることが出来るようになっている。
私は魔石の埋め込まれたコンロでお湯を沸かし、お茶の用意をしに行った。
「確かヒロインは平民だから第三寮ね」
廊下から見える他の二つの寮を眺める。
私の知る乙女ゲームの悪役令嬢アシュリー・トレディールは、母と生まれてくる筈だった妹を自分のせいで亡くし、そのせいで父親に疎まれ性格を歪める。
そして家族から得られなかった愛情を、婚約者の王子から得ようと彼に執着する。
王子は学園で平民出身のヒロインと出会い、恋に落ちる。
そこから王子ルートに入れば、悪役令嬢は数々の嫌がらせをヒロインに行い、ついに命まで危険に晒させる。
「大丈夫、お嬢様は悪役令嬢にはならない」
初めは悪役令嬢とともに朽ちる自分の運命を、何とかしたかった。
でも、今ではお嬢様には愛する人と幸せになってもらいたいと、心から思っている。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
「ただいま、コリンヌ」
そう言ってお嬢様は、病み上がりとは思えないくらい、強く私を抱きしめた。
「お嬢様、苦しいです」
「ごめんなさい、久し振りにコリンヌに会えたからつい」
「お嬢様、何だか少し背が伸びましたか?」
成長期なのか、お嬢様の目線が少し高くなっている。
「新しい薬の副作用で、成長が促されたみたいね」
そんな副作用がある薬は初めて聞いた。
お嬢様の病気がなんなのかわからないから、そんなものかと思うしかない。
でも、もしかしたら、お嬢様の病気は珍しいもので、原因や対処法もまだまだ未知数なのかも。
「それより、あなた風邪を引いたりしなかった? 夜中に外をウロウロしていちゃだめでしょ」
二日前の夜のことを聞いたのだとわかった。
「アスラン様にお聞きに?」
「そうよ」
「すみません。でも、アスラン様からお嬢様の様子が聞けて嬉しかったです」
「心配かけてごめんなさい」
「苦しいのはお嬢様です。私に謝られる必要はありません。むしろ私は何も出来ず、歯痒い思いです」
「それでも、こうして私をあなたが出迎えてくれるから、私は頑張ろうと思うの」
「お嬢様」
悪役令嬢の片鱗もない。
優しくて美しいお嬢様の言葉に感動する。
「それより、アスランと話してどうだった?」
「え、ど、どうとはどういう意味ですか?」
「ときめいたりしなかった?」
「え、ま、まさか。生け垣越しに少しお話しただけです。お顔もわかりませんでしたし」
「なかなかハンサムよ。コリンヌのこと、優しい子だって褒めていたし、お似合いだと思うけど」
「か、からかわないでください」
顔が赤くなったのがわかる。
「赤くなってる。可愛い」
「もう、お嬢様ったら」
頬を指でツンツンするお嬢様は、とても楽しそうだった。
そしてついにお嬢様の学園入学の日が来た。
一歳年上のフランシス殿下は、すでに学園に通っている。
今年から生徒会長となられ、生徒会を運営されている。
生徒会は学園長の推薦を受け、立候補する。
日本のように誰でも立候補の資格があるわけではないところが、階級社会というものだ。
学園では身分を笠に着てはいけないという学則がある。
平民でも優秀であれば学費免除で通えることもあり、クラスは成績順で分けられる。
そのため、高位貴族が平民より頭が悪ければ、クラスも下、ということもある。
学園内では、例えば学食などは財力や身分で食べられる物も座る場所も決められている。
サロンと呼ばれる交流の場所も、身分などで立ち入れる場所は分けられている。
しかし、教室や廊下、図書室などでは生徒であれば、自由に立ち入れる。
当然、身分の違う者が入り乱れることになるのだから、いちいち貴族だから、平民だからと空間を分けることもできない。
貴族は、貴族だからと見下してはいけないし、蔑んでもいけない。
平民も、相手が貴族だからとか、王族だからと変に萎縮したり、へりくだってはいけない。
そうでなければ、学園生活など到底成り立たない。
しかし、自然と王族や高位貴族に取り入ろうと、輪が出来るのは至極当然のこと。
派閥が出来るのは致し方ない。
「お嬢様、そろそろ休憩いたしましょうか?」
入学式の前日は入寮の日、朝早くから家を出て、私とお嬢様は荷物を運び込んできて荷解きした。
荷解きは、使用人である私の仕事だったが、どうしても手伝うとお嬢様が言い張るので、小物などの整理をお願いした。
「そうね。大体片付いたし、そろそろ休憩しましょうか」
「それでは、寮の厨房に行って、お茶の用意をしてまいります」
寮は男性女性それぞれに全部で三棟ずつある。一番大きくて部屋数も多い第三寮は、平民や男爵、准男爵の令嬢が多く住む。
二番目に大きい第二寮は、子爵家から伯爵家の令嬢が住む。そして第一寮は、同じ伯爵家でもかなり裕福な伯爵家以上の令嬢が暮らす。
公爵家ともなれば、当然第一寮で、寮での部屋も使用人部屋も併設された、とても豪華なものだった。
建物は三階建で、一階が食堂や寮母の部屋、図書室や居間、厨房などがある。
一階の厨房は、食事をつくる場所で、それとは別に各階にも簡易な厨房があり、お茶を沸かしたりすることが出来るようになっている。
私は魔石の埋め込まれたコンロでお湯を沸かし、お茶の用意をしに行った。
「確かヒロインは平民だから第三寮ね」
廊下から見える他の二つの寮を眺める。
私の知る乙女ゲームの悪役令嬢アシュリー・トレディールは、母と生まれてくる筈だった妹を自分のせいで亡くし、そのせいで父親に疎まれ性格を歪める。
そして家族から得られなかった愛情を、婚約者の王子から得ようと彼に執着する。
王子は学園で平民出身のヒロインと出会い、恋に落ちる。
そこから王子ルートに入れば、悪役令嬢は数々の嫌がらせをヒロインに行い、ついに命まで危険に晒させる。
「大丈夫、お嬢様は悪役令嬢にはならない」
初めは悪役令嬢とともに朽ちる自分の運命を、何とかしたかった。
でも、今ではお嬢様には愛する人と幸せになってもらいたいと、心から思っている。
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