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21 悪役令嬢のその後
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「それで、ようやく呪いを解呪することに成功した。だからようやく男に…本当の姿に戻れる」
「本当に、呪いは解けたのですか?」
呪いがあったことにも驚き、実はお嬢様が男だったことにも驚いた。
「ああ、父上とも確認した。これでこの先、私やビアンカの子どもが呪いに脅かされることはない」
「お嬢様…あ、いえ、アシュレイ様のお子様」
王子との婚約は破棄された。
そもそも同性同士なのだから、この婚約は無効になる。
これからアシュレイ様はどこかの令嬢と婚約し、そして結婚するのだ。
お嬢様にならずっと仕えることが出来るが、お坊ちゃまとでは、そうはいかないだろう。
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「え?」
聞き間違いだろうか。
「アシュレイ様の子を産む? 誰が?」
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「そ、それは…」
「嫌なら今言って」
「い、嫌…ではありま…」
最後まで言わせてもらえず、私の唇はお嬢様…アシュレイ様の唇に塞がれた。
こうして悪役令嬢は婚約破棄され、新たな幸せを手に入れた。
乙女ゲームとしてはハッピーエンドと言えるこも知れない。
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