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長い夢を見ていた。
誰かの手が私の体に触れると、今まで感じたことのない感覚が体を走った。
風邪を引いたときのような熱っぽさと気だるさ。固くて温かいなにかに抱き締められた時、体の内から何かが奔流となって溢れてくる。
そこに何かが押し入ってきて、一瞬の激痛の後に内側に熱い杭が穿たれた。
「ん………っい……ああ……ん」
痛いと叫びかけ、次に経験したことのない快楽の波が打ち寄せ、体が勝手に弓なりになった。
次にその杭が出たり入ったり、内側を擦りながら動くと、全身が震えた。
「ああ……いい………ああ」
意識せず勝手に口から声が漏れる。
さざ波がどんどん大きなうねりとなり、やがて嵐の海のような巨大な波が押し寄せてきた。
波は何度も何度も押し寄せ、ぐんぐん私を沖へと誘っていく。このまま私はどこへ流されていくのか、心に恐怖が沸き上がる。感じたことのない感覚。訪れたことのない世界へ強引に連れ去れていく。
目から頬に熱いものが流れ、そこに熱く湿り気のある何かが触れる。
その時、一番大きな波が襲いかかり、私を飲み込んだ。
大きな波は次から次へと押し寄せ、右も左も分からなくなり必死にもがいた。必死で何かに掴まろうとして伸ばした腕に誰かが手を伸ばし、きつく握り締め引き上げてくれるのがわかった。
この手にすがれば助かる。この手が導いてくれる。
吹き荒れていた嵐がいつの間にか収まり、ゆっくりと意識が深淵に落ちていった。
「ん……」
体中が怠くて重い。
体の節々が痛い。
足の間が重苦しく、何か太くて大きなものが入っていたような違和感があったが、今はなく、それが残念な気持ちになる。
ゆっくりと目を開けると、そこはいつもの自分の部屋ではなかった。
一旦目を閉じ、もう一度目を開いても景色は変わらない。一体ここは何処だろう。
「目が覚めたんですか?」
柔らかい女性の声がして、体を反転させると目の前によく知る女性が立って私を見下ろしていた。
「メリッサさん……ここは?」
「ここはビッテルバーク家の客間です」
滞在することは決まっていたが、いつの間に移ったのだろう。
「ジーン様の?なぜ………いた」
驚いて起き上がりかけて、思わぬ筋肉痛に顔をしかめた。腰も少し痛い。
「急に動いてはいけません、体も辛い筈です」
「一体………」
私に何があったか知っているようなメリッサさんの口ぶりに、何があったか訊ねようとして、頭の中で甦った光景があった。
「私………何か飲まされて……カーター」
ガクガクと体が震えだした。
「大丈夫です。ジーン様がお救いしました。あの者には殴られたりしたでしょうが、それだけです。怖がる必要はありません」
「本当に?」
優しく腕を撫で下ろされ、確認する。
「ええ、本当に……」
「えっと……私、どれくらい眠っていたのですか?」
ほっとして次にここでどれ程眠っていたのかと考える。カーテンの隙間から射す太陽の光が昼間であることを示しているので、ひと晩眠りこけていたのだろう。
「丸二日間、お眠りになっていました。あの時から既に五日経っております」
「え、そんなに!どうし……」
まさかそんなに経っているとは思わず驚き、自分が飲まされた薬について聞いた話を思い出した。
確か、飲まされたのは媚薬で、飲むと大変なことになると言われた。薬の効果を無くすには、方法はただひとつ。聞かされた話に自分の耳を疑った。
これも薬のせいだろうか。
望む相手がいるかと訊かれ、自分は何と言った?
これは治療なのだ。薬や注射が嫌だと言って、拒むのはおかしい。治りたくないなら別だが、それよりこの体の内に渦巻く熱を何とかして欲しい。熱い蛇のようなものが身内を駆け回っているような感覚だった。
それが今は嘘のように失くなり、すっきりとしている。
「メリッサさん……私……そんなに長い間寝ていたんですか?」
「…………ロータフさんが説明したことを覚えていらっしゃいますか?何を飲まされたか、どうすれば助かるのか」
メリッサさんの言葉にびくりとする。
「…………じゃあ………」
うっすらと記憶に残る誰かの熱い体。下腹部に残る誰かの感触。あれは夢でも妄想でもない現実。
「ジーン様です」
彼の感触を思いだし訳もわからず涙が溢れた。
嬉しいのか悲しいのか……それともただただ自分の身に起こった不幸を憐れんでいるのだろうか。
誰かの手が私の体に触れると、今まで感じたことのない感覚が体を走った。
風邪を引いたときのような熱っぽさと気だるさ。固くて温かいなにかに抱き締められた時、体の内から何かが奔流となって溢れてくる。
そこに何かが押し入ってきて、一瞬の激痛の後に内側に熱い杭が穿たれた。
「ん………っい……ああ……ん」
痛いと叫びかけ、次に経験したことのない快楽の波が打ち寄せ、体が勝手に弓なりになった。
次にその杭が出たり入ったり、内側を擦りながら動くと、全身が震えた。
「ああ……いい………ああ」
意識せず勝手に口から声が漏れる。
さざ波がどんどん大きなうねりとなり、やがて嵐の海のような巨大な波が押し寄せてきた。
波は何度も何度も押し寄せ、ぐんぐん私を沖へと誘っていく。このまま私はどこへ流されていくのか、心に恐怖が沸き上がる。感じたことのない感覚。訪れたことのない世界へ強引に連れ去れていく。
目から頬に熱いものが流れ、そこに熱く湿り気のある何かが触れる。
その時、一番大きな波が襲いかかり、私を飲み込んだ。
大きな波は次から次へと押し寄せ、右も左も分からなくなり必死にもがいた。必死で何かに掴まろうとして伸ばした腕に誰かが手を伸ばし、きつく握り締め引き上げてくれるのがわかった。
この手にすがれば助かる。この手が導いてくれる。
吹き荒れていた嵐がいつの間にか収まり、ゆっくりと意識が深淵に落ちていった。
「ん……」
体中が怠くて重い。
体の節々が痛い。
足の間が重苦しく、何か太くて大きなものが入っていたような違和感があったが、今はなく、それが残念な気持ちになる。
ゆっくりと目を開けると、そこはいつもの自分の部屋ではなかった。
一旦目を閉じ、もう一度目を開いても景色は変わらない。一体ここは何処だろう。
「目が覚めたんですか?」
柔らかい女性の声がして、体を反転させると目の前によく知る女性が立って私を見下ろしていた。
「メリッサさん……ここは?」
「ここはビッテルバーク家の客間です」
滞在することは決まっていたが、いつの間に移ったのだろう。
「ジーン様の?なぜ………いた」
驚いて起き上がりかけて、思わぬ筋肉痛に顔をしかめた。腰も少し痛い。
「急に動いてはいけません、体も辛い筈です」
「一体………」
私に何があったか知っているようなメリッサさんの口ぶりに、何があったか訊ねようとして、頭の中で甦った光景があった。
「私………何か飲まされて……カーター」
ガクガクと体が震えだした。
「大丈夫です。ジーン様がお救いしました。あの者には殴られたりしたでしょうが、それだけです。怖がる必要はありません」
「本当に?」
優しく腕を撫で下ろされ、確認する。
「ええ、本当に……」
「えっと……私、どれくらい眠っていたのですか?」
ほっとして次にここでどれ程眠っていたのかと考える。カーテンの隙間から射す太陽の光が昼間であることを示しているので、ひと晩眠りこけていたのだろう。
「丸二日間、お眠りになっていました。あの時から既に五日経っております」
「え、そんなに!どうし……」
まさかそんなに経っているとは思わず驚き、自分が飲まされた薬について聞いた話を思い出した。
確か、飲まされたのは媚薬で、飲むと大変なことになると言われた。薬の効果を無くすには、方法はただひとつ。聞かされた話に自分の耳を疑った。
これも薬のせいだろうか。
望む相手がいるかと訊かれ、自分は何と言った?
これは治療なのだ。薬や注射が嫌だと言って、拒むのはおかしい。治りたくないなら別だが、それよりこの体の内に渦巻く熱を何とかして欲しい。熱い蛇のようなものが身内を駆け回っているような感覚だった。
それが今は嘘のように失くなり、すっきりとしている。
「メリッサさん……私……そんなに長い間寝ていたんですか?」
「…………ロータフさんが説明したことを覚えていらっしゃいますか?何を飲まされたか、どうすれば助かるのか」
メリッサさんの言葉にびくりとする。
「…………じゃあ………」
うっすらと記憶に残る誰かの熱い体。下腹部に残る誰かの感触。あれは夢でも妄想でもない現実。
「ジーン様です」
彼の感触を思いだし訳もわからず涙が溢れた。
嬉しいのか悲しいのか……それともただただ自分の身に起こった不幸を憐れんでいるのだろうか。
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