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すんでのところで、私は床に直撃は免れた。
でも、床にぶつかった方が良かったかもしれない。
だって、床に落ちてもうまく躱せば怪我をしなくて済んだだろうけど、国見唯斗の腕に落ちたら、ただではすまない気がする。
「あ、ありがとう…ございます」
「どういたしまして」
「あの、も、もう大丈夫……ですから…その」
がっちり腕を回され、ピタリと体がひっつく。胸がぎゅっと彼の胸に押し潰され、いやでも意識してしまう。
身内とは言え、血の繋がりのない男性。しかもなぜか、私のことを口説こうとしている男性に抱きしめられて、意識せずにはいられない。
「1%」
「え?」
「1%でも、俺の腕に抱かれてときめいているなら、付き合わない?」
「へ? な、ななな何を言って…」
「旭ちゃんが望むなら、俺の体使って」
「つ、使う、体をって…な、何を…」
「森本と小林だっけ? このままでいいの?」
そう言われると、私は言葉に詰まった。
「お父さん…親には相談出来ないんでしょ?」
それについても、返事ができない。
「旭ちゃんに必要なのは、君を全面的に肯定してくれる人間。もちろん、人は間違いを犯す。全てを肯定は出来ないけど、この件に関しては君は何も悪くない。一方的に言われたままでいいの?」
「でも、私…」
国見さんの腕の中で、私は色んな感情が渦巻いていた。
怒り、悲しみ、憤りと言った負の感情もあれば、トキメキ、安心感、喜びと言った正の感情まである。
何より自分より年上の男性の、安定した落ち着きと頼りになる存在感が、私の中で大きかった。
「でも、どうしたら…」
「君はただ、俺に身を委ねてくれればいい。俺が悪いようにはしない」
一体何をどうするつもりなのかわからないけど、彼には揺るぎない自信があるようだ。
「その…犯罪めいたことは…」
念の為、暴力に訴えるとか違法なことではないかと確認する。
「安心して。そんなことはしない。まあ、ちょっと、権力? みたいなものは使うかもだけど」
素直に安心はできないが、それを聞いて少しほっとする。
「色々と…ありがとうございます」
それでも彼がいなかったら、今頃自分は鬱々として底辺まで落ち込んで、一人で悲嘆にくれていただろう。
国見さんが居てくれたことで、落ち込んでいる時間も殆どなかった。
「じゃあ、契約成立だね」
私を抱く腕の力が少し強くなる。
「ということで、契約の証をもらってもいいかな?」
「契約の証?」
捺印でもするのかと思っていると、彼の顔がぐっと近づき、唇が重なった。
「……ん…んん」
フレンチトーストの甘さと、コーヒーの香りが混じったキスに私は思考を奪われた。
彼の猛撃に、私はタジタジになる。名前とか年齢くらいしか知らないのに、展開の速さについていけなかった。
でも、床にぶつかった方が良かったかもしれない。
だって、床に落ちてもうまく躱せば怪我をしなくて済んだだろうけど、国見唯斗の腕に落ちたら、ただではすまない気がする。
「あ、ありがとう…ございます」
「どういたしまして」
「あの、も、もう大丈夫……ですから…その」
がっちり腕を回され、ピタリと体がひっつく。胸がぎゅっと彼の胸に押し潰され、いやでも意識してしまう。
身内とは言え、血の繋がりのない男性。しかもなぜか、私のことを口説こうとしている男性に抱きしめられて、意識せずにはいられない。
「1%」
「え?」
「1%でも、俺の腕に抱かれてときめいているなら、付き合わない?」
「へ? な、ななな何を言って…」
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「でも、私…」
国見さんの腕の中で、私は色んな感情が渦巻いていた。
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何より自分より年上の男性の、安定した落ち着きと頼りになる存在感が、私の中で大きかった。
「でも、どうしたら…」
「君はただ、俺に身を委ねてくれればいい。俺が悪いようにはしない」
一体何をどうするつもりなのかわからないけど、彼には揺るぎない自信があるようだ。
「その…犯罪めいたことは…」
念の為、暴力に訴えるとか違法なことではないかと確認する。
「安心して。そんなことはしない。まあ、ちょっと、権力? みたいなものは使うかもだけど」
素直に安心はできないが、それを聞いて少しほっとする。
「色々と…ありがとうございます」
それでも彼がいなかったら、今頃自分は鬱々として底辺まで落ち込んで、一人で悲嘆にくれていただろう。
国見さんが居てくれたことで、落ち込んでいる時間も殆どなかった。
「じゃあ、契約成立だね」
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「ということで、契約の証をもらってもいいかな?」
「契約の証?」
捺印でもするのかと思っていると、彼の顔がぐっと近づき、唇が重なった。
「……ん…んん」
フレンチトーストの甘さと、コーヒーの香りが混じったキスに私は思考を奪われた。
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