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第3章
第72話 結婚?
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「そなたは何を言っている? この城の中で人が殺されたのだぞ。そのような状況で願う内容ではない」
「貴方たちは、私を化け物として扱っています。それなのに、都合の良いときだけ私を人間扱いしないでください。不愉快ですから」
ソフィーの言葉に、国王は目線を合わせることなくため息を吐いた。
「何故、いきなり結婚したいなどと言う」
「貴方、馬鹿なんですか? 私が結婚したいからしたいと言っただけです」
「何故結婚したいのだ」
「そんなの、決まっているではないですか。マリアが好きだからです。だから、私は皆に宣言したい。彼女は私のものだと。だから彼女を傷つけることは許されないと、全ての人間にそう認識させたいのです」
その発言を聞き、アレンは笑い出す。
「なるほど、その女を守りたいかソフィー。化け物らしい発想だが、人間らしくもある。これは傑作だな」
ひとしきり笑った後、アレンは国王に顔を向ける。
「父上、俺は賛成だ。マリアのことは、それなりに把握している」
カーチスはマリアの表情を伺い、尋ねる。
「マリアさんは、ソフィーと結婚したいのでしょうか?」
――そんなの、分からない。分からないが、マリアは反射的に頷いてしまう。
「そうですか、ならば、僕も賛成です。彼女との付き合いはそれほどありませんが、それでも、僕は信頼しています」
国王はしばらく目を閉じ、思案する。
「セラ、お前が一緒にいると言うことは、この件について賛成した――と言うことなのだな」
「そう受け取って貰って構わないわ」
「マリア」
国王に名を呼ばれ、マリアは背筋を伸ばす。
「そなたのことは、セラから話は聞いておる。だからそれなりに信頼はしておるが、結婚の許可を与えられる程ではない。だから、そなたを信じるのではなく、彼女と息子たちの判断を信じよう」
そう言って、国王は頭を下げる。
「娘のことを、頼む」
マリアは国王の予想外の行動に、反応が遅れ、まごついた。
「それでは、明日は派手に催しが開催されると思って良いのですね。私は国中の人間に少しでも早く伝えたいのです、マリアは私のものだと」
そう言って、ソフィーは満足気な顔をする。
「急にできるわけがないだろう。少し考えれば分かることだ。今日は我々だけで儀式を行う。そしてそなたには明日、行って貰わねばならぬところがある。盛大な式はその後だ」
「意味が分かりません、何故行かねばならないのですか?」
「そういう決まりなのだ。先代の精霊の子もそこへ行き、試練を受けた。そこで祝福を受け、子を成す神具を授かった」
「そこへ、マリアとふたりでですか?」
「ひとりで行ってもらわねばならん。そこには精霊の子以外、入れぬ聖域だと聞く」
「それはどれぐらいの時間がかかるものなのですか?」
「4、5日ほどだと聞いている」
ソフィーは眉を顰める。
「……馬鹿なんですか? その間に、マリアの身に何かがあったらどうするのですか」
「そのために、今日の夜、血の儀式を行う。それでマリアを守ることはできよう」
ソフィーは難色を示す。
「それが納得できぬというならば、この話はなしだ。婚約など認めない」
「……分かりました。場所はどこなのですか?」
「後でとある物を渡す。それは王家の秘宝のひとつだ。それが、そなたに道を示すだろう」
「そうなのですね、分かりました」
「それで良いな、オーランド」
「ええ、構いませんとも。儀式の準備は僕の方で行います。開始時刻に関しては僕の使い魔に連絡をさせましょう」
オーランドはじっとマリアを眺める。
「何です?」
今日はやたら見られる日だなぁーと、マリアは思う。
「先程まで、僕が口を挟める瞬間がなかったので今更ですが、僕もお二人の結婚には大賛成ですよ。何せ僕は、マリアさんの大ファンですから」
オーランドはそんなふざけたことを言った。
「でも、本当に今でいいのかしら? 敵の目的も、実力も把握できていない状態で、ソフィー様を外に出すのはあまり宜しくないと思うのだけれど」
聖女は王に尋ねた。
とてもじゃないが、あれで終わりだとはとても思えないからだ。
「たかが4、5日でなにができる? それにこちらもただ指を咥えて待つだけではない。色々と秘策はある」
そう言った後、王は笑う。
「我々の城の中で喧嘩を売ったこと、後悔させてやろうではないか」
「貴方たちは、私を化け物として扱っています。それなのに、都合の良いときだけ私を人間扱いしないでください。不愉快ですから」
ソフィーの言葉に、国王は目線を合わせることなくため息を吐いた。
「何故、いきなり結婚したいなどと言う」
「貴方、馬鹿なんですか? 私が結婚したいからしたいと言っただけです」
「何故結婚したいのだ」
「そんなの、決まっているではないですか。マリアが好きだからです。だから、私は皆に宣言したい。彼女は私のものだと。だから彼女を傷つけることは許されないと、全ての人間にそう認識させたいのです」
その発言を聞き、アレンは笑い出す。
「なるほど、その女を守りたいかソフィー。化け物らしい発想だが、人間らしくもある。これは傑作だな」
ひとしきり笑った後、アレンは国王に顔を向ける。
「父上、俺は賛成だ。マリアのことは、それなりに把握している」
カーチスはマリアの表情を伺い、尋ねる。
「マリアさんは、ソフィーと結婚したいのでしょうか?」
――そんなの、分からない。分からないが、マリアは反射的に頷いてしまう。
「そうですか、ならば、僕も賛成です。彼女との付き合いはそれほどありませんが、それでも、僕は信頼しています」
国王はしばらく目を閉じ、思案する。
「セラ、お前が一緒にいると言うことは、この件について賛成した――と言うことなのだな」
「そう受け取って貰って構わないわ」
「マリア」
国王に名を呼ばれ、マリアは背筋を伸ばす。
「そなたのことは、セラから話は聞いておる。だからそれなりに信頼はしておるが、結婚の許可を与えられる程ではない。だから、そなたを信じるのではなく、彼女と息子たちの判断を信じよう」
そう言って、国王は頭を下げる。
「娘のことを、頼む」
マリアは国王の予想外の行動に、反応が遅れ、まごついた。
「それでは、明日は派手に催しが開催されると思って良いのですね。私は国中の人間に少しでも早く伝えたいのです、マリアは私のものだと」
そう言って、ソフィーは満足気な顔をする。
「急にできるわけがないだろう。少し考えれば分かることだ。今日は我々だけで儀式を行う。そしてそなたには明日、行って貰わねばならぬところがある。盛大な式はその後だ」
「意味が分かりません、何故行かねばならないのですか?」
「そういう決まりなのだ。先代の精霊の子もそこへ行き、試練を受けた。そこで祝福を受け、子を成す神具を授かった」
「そこへ、マリアとふたりでですか?」
「ひとりで行ってもらわねばならん。そこには精霊の子以外、入れぬ聖域だと聞く」
「それはどれぐらいの時間がかかるものなのですか?」
「4、5日ほどだと聞いている」
ソフィーは眉を顰める。
「……馬鹿なんですか? その間に、マリアの身に何かがあったらどうするのですか」
「そのために、今日の夜、血の儀式を行う。それでマリアを守ることはできよう」
ソフィーは難色を示す。
「それが納得できぬというならば、この話はなしだ。婚約など認めない」
「……分かりました。場所はどこなのですか?」
「後でとある物を渡す。それは王家の秘宝のひとつだ。それが、そなたに道を示すだろう」
「そうなのですね、分かりました」
「それで良いな、オーランド」
「ええ、構いませんとも。儀式の準備は僕の方で行います。開始時刻に関しては僕の使い魔に連絡をさせましょう」
オーランドはじっとマリアを眺める。
「何です?」
今日はやたら見られる日だなぁーと、マリアは思う。
「先程まで、僕が口を挟める瞬間がなかったので今更ですが、僕もお二人の結婚には大賛成ですよ。何せ僕は、マリアさんの大ファンですから」
オーランドはそんなふざけたことを言った。
「でも、本当に今でいいのかしら? 敵の目的も、実力も把握できていない状態で、ソフィー様を外に出すのはあまり宜しくないと思うのだけれど」
聖女は王に尋ねた。
とてもじゃないが、あれで終わりだとはとても思えないからだ。
「たかが4、5日でなにができる? それにこちらもただ指を咥えて待つだけではない。色々と秘策はある」
そう言った後、王は笑う。
「我々の城の中で喧嘩を売ったこと、後悔させてやろうではないか」
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