上 下
215 / 235

第215話 王国冒険者との結末・・・

しおりを挟む
「グハッ!」

僕はその魔法でよろけるが、なんとか踏ん張り倒れることをまのがれた。

振りむいた時に、何かがとんでくるのが分かり、顔を左手でガードすると僕は左手と鳩尾に石の礫を喰らう。

「グッ」

サーヤさんの隣の魔法使いが僕に攻撃をしていた。

そして、僕を更に襲う氷のつらら。僕は横に飛びそれを回避した。

「なんだお前ら!いきなり現れて!おら!」

「ガハッ」

僕が転がった時には、アルは斬りかかってきた冒険者に斬りつけられ、吹き飛ばされていた。

アルの装備は弓と拾った盾だ。それにこの王国の冒険者は強そうな雰囲気をまとっているため、元からアルよりも強いのだろう。

「ウィンドスラッシュ」

「アイスショット」

「ストーンバレット」

だが、僕ら全員を敵とみなした魔法使いたちはそれぞれの魔法を僕や冒険者を襲う。

「くそが!てめーらなんなんだよ!邪魔しやがって!」

僕に飛ばされた石の礫をその伏せたまま転がって躱す。

冒険者は飛んできた氷柱を剣で叩き落すと、魔法を放った魔法使いへと斬りかかった。

ガナートさん!!

グサリとその冒険者はガナートさんのお腹を貫いた。

「ウィンクス!」

貫くと同時に、仲間の名前をよぶガナートさんを切った冒険者。

すると石の礫を飛ばしてきた魔法使いへ、矢が3本怒涛のように体へと刺さった。

「まっまて!」

転がされたアルが、必死に立ち上がり冒険者たちへ叫ぶ。

「は?てめーらは後だ!」

「ウィンドスラッシュ」

カン!

「この最後のやつを殺してからな」

「やめろ!!」

「ウィンクス!やれ!」

すぐに矢は放たれようとしていた。



アイスショット!

僕は殺傷力のあるアイスショットを冒険者に放っていた。

「ぐっ・・・いてぇ!ゴフッ・・・やりやがったな!ダスタン!そいつもオーティマスだ・・・殺せ!」

「ウィンクス!てめぇ!」

僕の魔法はウィンクスの胸へと刺さっているが。即死とまでは行っていない。だが、そのまま矢を放てずに仰向けで倒れた。

ダスタンと呼ばれる冒険者はまっすぐに長い剣を僕へ突き立てるように突進してきた。

ギリギリで突きは躱すが、突いた後にすぐさま剣を払うその攻撃に胸を軽く切り裂かれた

「グハッ・・・」

「ちょこまかと!」

「ウィンドスラッシュ」

カン!

「てめーも鬱陶しいんだよ!ウィンクス!」

「・・・悪い、うごけねぇ・・・」

くそっ・・・MPがない・・・ポーションなんてこいつ飲ませてくれないだろうし、アルもひどく斬りつけられ立っているのがやっとのようだ

サーヤさんのウィンドスラッシュを安々と弾き返すこいつに真正面から、マジックミサイルやアイスショットを撃ってもMPの無駄になるだけだ

「や、やめろ。俺達は王国側だ・・・こっちの女も攫われた魔法使いの一人だ・・・ゴフッ」

アルが切られた胸を押さえつけ、説得しはじめた

「知るか!そいつが攫われたやつか知らねーが、こいつらの魔法で俺の仲間一人がすでに死んでんだよ!」

そういうとフラフラのアルへと突進していく、ダスタン。

「ウィンドスラッシュ」

「うぜーんだよ!」

機械のようにウィンドスラッシュを撃ち続けるサーヤさんへ、ダスタンはナイフを投げつけた。

ナイフは肩へと突き刺さり、よろけながら倒れるサーヤ

「・・・お前!」

「雑魚が!てめーも王国側とか信用できるか!死ね!」

アルは頼りない盾を構えだが・・・

カンとその突進を受け止めた

「チッいっちょ前にスキルか」

アルは大防御を使い突き刺しを弾き替えしていたが、そこからダスタンは連続斬りを放ちアルが持つ盾を弾き飛ばす。

最後に足払いをするように、足を切りつけられるとアルは体制を崩した。

「ぐっ、信じてくれ・・・敵じゃない・・」

すでに致命傷を最初の一撃で受けていたアルは、力なくダスタンを見てそう呟いた。

「死ね、雑魚」

足を切られ、片膝で立つアルの首の位置は、切り落とす位置に丁度いい高さにあった。

ダスタンは剣を振り被り、アルの首を落とそうと切れ味の良さそうな剣がアルの首へと向かっていこうとする


ズシャリと血が噴き出しながら、ドサリと首が落ちる。




「アル・・・」



ダスタンの体は首を追うように倒れて行った。

オリハルコンの剣はほぼ何の抵抗も感じる事なかった。

「お、おせーって・・・」

「手が震えて上手くポーションの蓋が空けれませんでした。ごめんなさい」

僕はアルが作ってくれている時間でポーションを飲もうとしていたが、僕もウィンドスラッシュやストーンバレットを受け、僕らより強いやつから切り裂かれていたのだ。

そんな直ぐに動ける状態ではなかったが、なんとかマジックポーションを飲むとブリンク後からオリハルコンの剣で首を跳ねていた。

「ダ・・・スタ・・ン」

アイスショットを胸に受けたやつが、立ち上がろうとしている。

すぐにオリハルコンの剣を構え僕はウィンクスへと突進し胸を貫く。

「ガッ・・・」

崩れるようにウィンクスは倒れて行った。

アルの所へ戻り、アルへとポーションを渡すと

「サーヤだ・・・」

ただのポーションでは回復しきれていないが、よろよろとサーヤさんを確認しに動くアルに続き僕も後を追う。

僕もかなりHPが減っている感覚だが・・・MPも心もとない為ファーストエイドを我慢していた。

2人で急いではいるが、よろよろと横向きで倒れているサーヤさんの所まで歩みよる。

「サーヤ、サーヤ・・・」

「まずは、解除からですよ・・・これを」

サーヤさんは肩にナイフが当たっただけだ、死にはしていないと思う。それよりも目を覚まし、ウィンドスラッシュを撃たれる方が厄介なのだ。

「あぁ・・・」

アルは僕からスクロールを受け取り、すぐにスクロールを開くとリリースと唱えた。

サーヤさんから青黒い瘴気のようなものが、抜けていき始めた。

「カハッ・・・」

瘴気が抜けると、サーヤさんは一度咳のようなものを吐く

「サーヤ!」

「アル・・・サーヤさんは生きてますよ。ガナートさんは駄目でしたが・・・他の人達がくるかもしれません、ここから逃げましょう・・・」

僕はダスタンに斬られた部分を抑えながら言う。

「あぁ・・・」

アルも体の痛みを耐えながら、サーヤさんを抱き起す。

残り少ないMPを使い、僕らはブリンクで戦線を離脱していった・・・
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説や歴史の英雄話好きの高校生の洲河 慱(すが だん) いつものように幼馴染達と学校帰りに公園で雑談していると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は素晴らしいジョブとスキルを手に入れたのに僕のは何だこれ? 王宮からはハズレと言われて追い出されそうになるが、幼馴染達は庇ってくれた。 だけど、夢にみた迄の異世界… 慱は幼馴染達とは別に行動する事にした。 自分のスキルを駆使して冒険する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 現在書籍化されている… 「魔境育ちの全能冒険者は好き勝手に生きる!〜追い出した癖クセに戻って来いだと?そんなの知るか‼︎〜」 の100年前の物語です。 リュカが憧れる英雄ダン・スーガーの物語。 そして、コミカライズ内で登場する「僕スキなのか…」がこの作品です。 その作品の【改訂版】です。 全く同じな部分もあれば、新たなストーリーも追加されています。 今回のHOTランキングでは最高5位かな? 応援有り難う御座います。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い

八神 凪
ファンタジー
   旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い  【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】  高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。    満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。  彼女も居ないごく普通の男である。  そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。  繁華街へ繰り出す陸。  まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。  陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。  まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。  魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。  次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。  「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。  困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。    元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。  なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。  『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』  そう言い放つと城から追い出そうとする姫。    そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。  残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。  「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」  陸はしがないただのサラリーマン。  しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。  今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――

異世界でハズレスキル【安全地帯】を得た俺が最強になるまで〜俺だけにしか出来ない体重操作でモテ期が来た件〜

KeyBow
ファンタジー
突然の異世界召喚。 クラス全体が異世界に召喚されたことにより、平凡な日常を失った山田三郎。召喚直後、いち早く立ち直った山田は、悟られることなく異常状態耐性を取得した。それにより、本来召喚者が備わっている体重操作の能力を封印されずに済んだ。しかし、他のクラスメイトたちは違った。召喚の混乱から立ち直るのに時間がかかり、その間に封印と精神侵略を受けた。いち早く立ち直れたか否かが運命を分け、山田だけが間に合った。 山田が得たのはハズレギフトの【安全地帯】。メイドを強姦しようとしたことにされ、冤罪により放逐される山田。本当の理由は無能と精神支配の失敗だった。その後、2人のクラスメイトと共に過酷な運命に立ち向かうことになる。クラスメイトのカナエとミカは、それぞれの心に深い傷を抱えながらも、生き残るためにこの新たな世界で強くなろうと誓う。 魔物が潜む危険な森の中で、山田たちは力を合わせて戦い抜くが、彼らを待ち受けるのは仲間と思っていたクラスメイトたちの裏切りだった。彼らはミカとカナエを捕らえ、自分たちの支配下に置こうと狙っていたのだ。 山田は2人を守るため、そして自分自身の信念を貫くために逃避行を決意する。カナエの魔法、ミカの空手とトンファー、そして山田の冷静な判断が試される中、彼らは次第にチームとしての強さを見つけ出していく。 しかし、過去の恐怖が彼らを追い詰め、さらに大きな脅威が迫る。この異世界で生き延びるためには、ただ力を振るうだけではなく、信じ合い、支え合う心が必要だった。果たして彼らは、この異世界で真の強さを手に入れることができるのか――。 友情、裏切り、そしてサバイバルを描いた、異世界ファンタジーの新たな物語が幕を開ける。

処理中です...