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第201話 ウィズロッドの村
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オーティマスへ続く街道を歩いているが、だれ一人としてすれ違う事がないのに気が付いたのは野営から出発し2時間後
すでに地図では、今進んでいる街道はオーティマスと黒の門を繋ぐ道の為、オーティマスから戦争へ行く人がいるならすれ違ってもいいのにと思うのだが
「クラリアさん、ホルンさん、この道はあまり使われないんですか?」
「そうですねぇ・・・魔法国家の方は街の中で完結する為にあまり出歩かないと言われてますが・・・でも一人もすれ違わないのは変ですね・・・」
「そうっすね、私が知っている限りではすでに帝国は攻撃を仕掛けているっすから・・・オーティマスの人達も参加する予定となっているなら、増援、物資の補給なにか動いててもおかしくないっすけど・・・」
クラリアとホルンの話を聞き、ますます変に思えてくる
「何か考えつくか?」
「いえ・・・全くです。オーティマスは直接の戦争に介入はしようとしてないのでしょうか」
アルに問われても、オーティマスの魔法使いがどう行動しているのか分からない。連れ去ったサーヤさん達がどういう扱いをされているのかさえ分かれば、何か糸口を辿れそうだが・・・今は何も浮かばなかった。
静かな荒れ地の街道を進む。草木の無い大地、今の季節が秋だからとは関係なさそうだ
あるのは向かって右側に朽ちてボロボロになった柵。それが街道だと思わせる唯一の物
その柵をたどり僕達は目的地、オーティマスへと着いたのだった。
魔法国家というだけはあり、その外観は奇妙な物だ
街は3mほどの石壁に囲まれているが、そこから覗く建物の屋根の形、色は様々だ
この世界の建物はどこも前世でいう、中世ヨーロッパ風なつくりだが・・・ここはそうではないようだ
三角屋根、平、宮殿風、住む人が自由に立てたような統一感がない
色も赤から青、黄色に、ピンクと・・・遊園地?と思えそうだった。
「クリス、石はここをまだ向いてるか?」
「はい、ここだと・・・街の東側でしょうか?」
「東側だと、グレントン研究所がありますね・・・」
「なるほど、クラリア君のいうようにその研究所が怪しいわけか」
クリスがもつ矢印は確かに、街の東側をしめしていた。
「この街、東側にも入口があるのか?」
「いえ、あるのは北と今見えている南側っす」
「ふ~ん・・・一応、外から東側の様子をみてみるか」
アルがどことなく、ベクトル石がオーティマス内をしめしているのかを確かめようとしている
「そうですね、僕の推測の隣の西にある村をしめしている可能性もありそうですし」
「・・・それはないだろ」
なんで僕はアルにのってあげたのに、アルは否定するんだよ!
「僕は早くディアナを見つけたい。ここで悠長な事をしている暇も惜しい」
「そうだな、ここまでくればその研究所が当たりだろ」
ほらぁ・・・クリスとグリーンウッドはもう正解にたどり着いた気でいるようだ
ここで言い争っても仕方ないかという気持ちで、アルは別れを口に出した。
「仕方ないか・・・ここでPTは解散だ。俺とノエルはここでお別れだ」
「えっ・・・」
「・・・」
クリスは驚き、グリーンウッドは眉を顰めるがどこか諦めたような顔付
「短い間だったが、4人全員に感謝している。ここから別々でお互いに大事な人を探そう。俺も必ず見つける、そっちも必ず見つけろよ」
「またどこかで」
アルの言葉に僕も短い別れを告げる
「まだ見つけてもいないのにここで解散なのかい!?」
「あぁ、最初から場所にたどり着いたらという話だったからな。じゃあ頑張れよ、ノエル行くぞ」
「えっ・・・待ってください!」
アルは南門へは向かわず、東方面へと歩き出した
僕は預かっているみんなの荷物を取り出す
「あっ、ホルンさん。これ返しておきますね。もし次であっても僕をこれで殴らないで下さいね」
ホルンにもメリケンサックのような武器を返す
「兄貴・・・いっちゃうんすか」
別れを寂しそうにするホルンを見ると、帝国や王国なんて堺がなければいいのにと思う
「はい、次出会う時に敵になっていない事を願いましょう。みなさんお元気で」
僕はそういい残し、アルの後へとついて行った。僕はもう後ろを振り向かず、後は彼らがどのように行動するのかは彼ら次第。
「ちょっとちょっと、僕を置いていくことはないでしょう」
「うだうだ言ってると・・・俺でも情が湧いてるんだ。あそこで見捨てるような真似は流石に堪えてんだよ」
先先進むアルに声を掛けると、そんな返事をした。
「僕も同じ気持ちですけど、僕らの安全を考えるとここからは少人数で動く方が合理的なので仕方ありませんよ」
「いや、お前と同じ気持ちではない。俺は心からクリス達の安全を願ってる」
「いやいやいや、僕だって!」
何をこいつだけ善人ぶっているのかと返事をするが、アルはすでに僕の事を相手にしない素振りで進んでいく
「・・・まったく、もう。ところでどこに向かってます?オーティマスから離れて行ってますよ?」
東側に行くという事は僕のブリンクで、こっそり街に入るのかと思ったが、アルの進行方向は街からどんどん離れていく
「お前が適当にしょうもないこと言い続けるからよ・・・こっちの村が気になっちまったんだよ」
「しょうもなくはないかと・・・あからさまに怪しい研究所よりも、こういう何もない村の方が怪しまれずに済むじゃないですか」
そりゃ最初は適当にいったけどさ
「あぁ俺もお前のせいでそう思えてきたってことだ。どうせ今その研究所行っても、クリス達と同じ行動してしまうなら先にこっちから調べてもいいかと思えたんだよ」
「素直じゃないですね・・・最初から僕の推測に俺も思うっていえばいいのに。それとクリスさん達が問題起こしそうだから、時間被らせたくないと正直にいいましょうよ」
「・・・これで村に何もなかったら、お前の読みが外れたって事だからな」
「ずるっ!」
クリス達、彼らと6人の旅も良かったが、僕ら2人になると遠慮もない会話が続き、少し息苦しさがあったことから解放されるように僕らは喋った
言い合いをするぐらいが丁度いい僕らの関係。いじりいじられ、たまに頭を下げお礼を述べる。不器用な表現を2人してやる。
前世ではそんな人いなかったなと・・・1年とちょっとで、僕は前世の事が遠い記憶になりつつあった
◇
オーティマスから隣にある小さな村。地図ではウィズロッドという名前の村
徒歩で1時間ほどの距離の為、オーティマスの東側からもすでに村の一部は見えていた。草木、山も川ない荒れ地のど真ん中にあるオーティマス、その横に同じような立地であるこの村
考えれば考えるほど、この村の存在が怪しく思えてきて仕方ない
なぜこんなところに村をつくるのか
「アル、この村不便そうですよね」
「だな、何の為にある村だ?」
「さぁ、人が住む立地とはいえませんよね」
村の入り口前で、僕らはそんな会話をする
だが、この村はその立地からはあまり似つかわしくない雰囲気だ
建物は石づくりやレンガで立派な家が並び、道も石畳が引かれている
村というよりも、小さな街という印象。サイシアールやセイクリッドストーンを小さくした雰囲気なのだ
サイシアールとセイクリッドストーンはダンジョンがあるために栄える街。街が栄えるには必ず理由があるのだ
土地がいい、交通の便がいいなど理由はバラバラでも何かしらあるのが普通・・・
だが、このウィズロッドはどうだ?地図上でも川は遠い、森も僕らがきた採掘場方面と2日掛かりだ。
となると、近くにあるのはオーティマスだけ。そうなると、何かしら繋がりがありそうな気がしてならない。
「・・・俺の推測通り、この村怪しいな」
「いえ、僕の推測通り怪しい気がしますね」
僕の案を横取りしようとするアルに、僕も負けじと僕が最初だと言う
「とりあえず入ってみるか」
「そうですね、外からでは何も分かりませんもんね」
村という規模のだが、立派な石の壁で囲まれている。1mほどの高さだが、この村の規模にしてみたら立派だと思える作りだった
石の壁の1カ所が開かれている部分へ足を運んでいく。門番は立っていない様子から出入りは自由なようだ
石造りのアーチをくぐり、街中へと進む。
「人は・・・普通にいるな」
「ですね、服装からみんな魔法使いっぽい感じではないですね・・・」
なぜかそこが少し・・・違和感を感じる
何がおかしいのかすぐには答えが出ず、アルには言えないまま村の中央と思わしき場所。小さな広場にたどり着く
広場には小さな演説台があるぐらいだ。村の看板なんて物があればいいが見当たらず、正直どこを探せばいいのか見当がつかない
「なぁ気になってるとこ見つけたから行っていいか?」
「はい、僕はお手上げ状態だったので頼もしいです」
「いや、たいした事はないと思うがな」
アルについて行く最中、僕はハッとした
すれ違う人、全員武装、防具を身に着けていない。この世界にきて初めての事だった。
兵士、騎士、冒険者どの街でもそんな身なりの人は必ずいた。だがこの街ではまだそんな人達を見かけていないのだ。それが違和感の正体に気が付き・・・更に僕はまた疑問が浮かぶ
この中なら、鎧姿のアルとローブの僕はかなり浮くはずだ・・・だが、誰もそんな疑いの目を向けてはいない様子
一人、うーん、うーんと唸りながらアルについて行っていると、アルは村の西側の一番端、1mほどの石の壁の所へとたどり着いた
「ここですか?」
「あぁ・・・いや・・・気のせいか?」
「何がです?」
アルが思っている事が分からない。
「・・・俺達、西からきただろ?その時に、ここら辺の壁だけずれているような、なんか違うなって思ったけどよ・・・近くで見ても何もねーんだよな。わりぃ勘違いだったようだ」
「ふ~ん・・・」
アルがそういうので、僕も壁を凝視し触ってみるが特に変わりはない。そのまま壁伝いにに北に上がっても何も変わりはなさそうだ
遠くで見ると、違いが分かる感じかなと思い
壁は1mほど、手をついてひょいっとジャンプすれば簡単に飛び越せる高さ
「おい」
「遠くから見て違和感と感じたなら、遠くから見ないと分からないじゃないですか」
アルにそういうと、小走りで村から離れていく。50mほど離れた位置から村の壁を確認する。
う~ん・・・ずれている様子はないけどな・・・
いや、壁の一角の色合いが少し明るい・・・?
それはほんの僅かな物。シスレーやホルンのような斥候からみたら、はっきりと違和感と感じられるのかもしれないが、僕やアルにとっては誤差の範疇。そういう色合いと思い納得してしまうか、アルみたいになんか気になる程度の物だった。
すでに地図では、今進んでいる街道はオーティマスと黒の門を繋ぐ道の為、オーティマスから戦争へ行く人がいるならすれ違ってもいいのにと思うのだが
「クラリアさん、ホルンさん、この道はあまり使われないんですか?」
「そうですねぇ・・・魔法国家の方は街の中で完結する為にあまり出歩かないと言われてますが・・・でも一人もすれ違わないのは変ですね・・・」
「そうっすね、私が知っている限りではすでに帝国は攻撃を仕掛けているっすから・・・オーティマスの人達も参加する予定となっているなら、増援、物資の補給なにか動いててもおかしくないっすけど・・・」
クラリアとホルンの話を聞き、ますます変に思えてくる
「何か考えつくか?」
「いえ・・・全くです。オーティマスは直接の戦争に介入はしようとしてないのでしょうか」
アルに問われても、オーティマスの魔法使いがどう行動しているのか分からない。連れ去ったサーヤさん達がどういう扱いをされているのかさえ分かれば、何か糸口を辿れそうだが・・・今は何も浮かばなかった。
静かな荒れ地の街道を進む。草木の無い大地、今の季節が秋だからとは関係なさそうだ
あるのは向かって右側に朽ちてボロボロになった柵。それが街道だと思わせる唯一の物
その柵をたどり僕達は目的地、オーティマスへと着いたのだった。
魔法国家というだけはあり、その外観は奇妙な物だ
街は3mほどの石壁に囲まれているが、そこから覗く建物の屋根の形、色は様々だ
この世界の建物はどこも前世でいう、中世ヨーロッパ風なつくりだが・・・ここはそうではないようだ
三角屋根、平、宮殿風、住む人が自由に立てたような統一感がない
色も赤から青、黄色に、ピンクと・・・遊園地?と思えそうだった。
「クリス、石はここをまだ向いてるか?」
「はい、ここだと・・・街の東側でしょうか?」
「東側だと、グレントン研究所がありますね・・・」
「なるほど、クラリア君のいうようにその研究所が怪しいわけか」
クリスがもつ矢印は確かに、街の東側をしめしていた。
「この街、東側にも入口があるのか?」
「いえ、あるのは北と今見えている南側っす」
「ふ~ん・・・一応、外から東側の様子をみてみるか」
アルがどことなく、ベクトル石がオーティマス内をしめしているのかを確かめようとしている
「そうですね、僕の推測の隣の西にある村をしめしている可能性もありそうですし」
「・・・それはないだろ」
なんで僕はアルにのってあげたのに、アルは否定するんだよ!
「僕は早くディアナを見つけたい。ここで悠長な事をしている暇も惜しい」
「そうだな、ここまでくればその研究所が当たりだろ」
ほらぁ・・・クリスとグリーンウッドはもう正解にたどり着いた気でいるようだ
ここで言い争っても仕方ないかという気持ちで、アルは別れを口に出した。
「仕方ないか・・・ここでPTは解散だ。俺とノエルはここでお別れだ」
「えっ・・・」
「・・・」
クリスは驚き、グリーンウッドは眉を顰めるがどこか諦めたような顔付
「短い間だったが、4人全員に感謝している。ここから別々でお互いに大事な人を探そう。俺も必ず見つける、そっちも必ず見つけろよ」
「またどこかで」
アルの言葉に僕も短い別れを告げる
「まだ見つけてもいないのにここで解散なのかい!?」
「あぁ、最初から場所にたどり着いたらという話だったからな。じゃあ頑張れよ、ノエル行くぞ」
「えっ・・・待ってください!」
アルは南門へは向かわず、東方面へと歩き出した
僕は預かっているみんなの荷物を取り出す
「あっ、ホルンさん。これ返しておきますね。もし次であっても僕をこれで殴らないで下さいね」
ホルンにもメリケンサックのような武器を返す
「兄貴・・・いっちゃうんすか」
別れを寂しそうにするホルンを見ると、帝国や王国なんて堺がなければいいのにと思う
「はい、次出会う時に敵になっていない事を願いましょう。みなさんお元気で」
僕はそういい残し、アルの後へとついて行った。僕はもう後ろを振り向かず、後は彼らがどのように行動するのかは彼ら次第。
「ちょっとちょっと、僕を置いていくことはないでしょう」
「うだうだ言ってると・・・俺でも情が湧いてるんだ。あそこで見捨てるような真似は流石に堪えてんだよ」
先先進むアルに声を掛けると、そんな返事をした。
「僕も同じ気持ちですけど、僕らの安全を考えるとここからは少人数で動く方が合理的なので仕方ありませんよ」
「いや、お前と同じ気持ちではない。俺は心からクリス達の安全を願ってる」
「いやいやいや、僕だって!」
何をこいつだけ善人ぶっているのかと返事をするが、アルはすでに僕の事を相手にしない素振りで進んでいく
「・・・まったく、もう。ところでどこに向かってます?オーティマスから離れて行ってますよ?」
東側に行くという事は僕のブリンクで、こっそり街に入るのかと思ったが、アルの進行方向は街からどんどん離れていく
「お前が適当にしょうもないこと言い続けるからよ・・・こっちの村が気になっちまったんだよ」
「しょうもなくはないかと・・・あからさまに怪しい研究所よりも、こういう何もない村の方が怪しまれずに済むじゃないですか」
そりゃ最初は適当にいったけどさ
「あぁ俺もお前のせいでそう思えてきたってことだ。どうせ今その研究所行っても、クリス達と同じ行動してしまうなら先にこっちから調べてもいいかと思えたんだよ」
「素直じゃないですね・・・最初から僕の推測に俺も思うっていえばいいのに。それとクリスさん達が問題起こしそうだから、時間被らせたくないと正直にいいましょうよ」
「・・・これで村に何もなかったら、お前の読みが外れたって事だからな」
「ずるっ!」
クリス達、彼らと6人の旅も良かったが、僕ら2人になると遠慮もない会話が続き、少し息苦しさがあったことから解放されるように僕らは喋った
言い合いをするぐらいが丁度いい僕らの関係。いじりいじられ、たまに頭を下げお礼を述べる。不器用な表現を2人してやる。
前世ではそんな人いなかったなと・・・1年とちょっとで、僕は前世の事が遠い記憶になりつつあった
◇
オーティマスから隣にある小さな村。地図ではウィズロッドという名前の村
徒歩で1時間ほどの距離の為、オーティマスの東側からもすでに村の一部は見えていた。草木、山も川ない荒れ地のど真ん中にあるオーティマス、その横に同じような立地であるこの村
考えれば考えるほど、この村の存在が怪しく思えてきて仕方ない
なぜこんなところに村をつくるのか
「アル、この村不便そうですよね」
「だな、何の為にある村だ?」
「さぁ、人が住む立地とはいえませんよね」
村の入り口前で、僕らはそんな会話をする
だが、この村はその立地からはあまり似つかわしくない雰囲気だ
建物は石づくりやレンガで立派な家が並び、道も石畳が引かれている
村というよりも、小さな街という印象。サイシアールやセイクリッドストーンを小さくした雰囲気なのだ
サイシアールとセイクリッドストーンはダンジョンがあるために栄える街。街が栄えるには必ず理由があるのだ
土地がいい、交通の便がいいなど理由はバラバラでも何かしらあるのが普通・・・
だが、このウィズロッドはどうだ?地図上でも川は遠い、森も僕らがきた採掘場方面と2日掛かりだ。
となると、近くにあるのはオーティマスだけ。そうなると、何かしら繋がりがありそうな気がしてならない。
「・・・俺の推測通り、この村怪しいな」
「いえ、僕の推測通り怪しい気がしますね」
僕の案を横取りしようとするアルに、僕も負けじと僕が最初だと言う
「とりあえず入ってみるか」
「そうですね、外からでは何も分かりませんもんね」
村という規模のだが、立派な石の壁で囲まれている。1mほどの高さだが、この村の規模にしてみたら立派だと思える作りだった
石の壁の1カ所が開かれている部分へ足を運んでいく。門番は立っていない様子から出入りは自由なようだ
石造りのアーチをくぐり、街中へと進む。
「人は・・・普通にいるな」
「ですね、服装からみんな魔法使いっぽい感じではないですね・・・」
なぜかそこが少し・・・違和感を感じる
何がおかしいのかすぐには答えが出ず、アルには言えないまま村の中央と思わしき場所。小さな広場にたどり着く
広場には小さな演説台があるぐらいだ。村の看板なんて物があればいいが見当たらず、正直どこを探せばいいのか見当がつかない
「なぁ気になってるとこ見つけたから行っていいか?」
「はい、僕はお手上げ状態だったので頼もしいです」
「いや、たいした事はないと思うがな」
アルについて行く最中、僕はハッとした
すれ違う人、全員武装、防具を身に着けていない。この世界にきて初めての事だった。
兵士、騎士、冒険者どの街でもそんな身なりの人は必ずいた。だがこの街ではまだそんな人達を見かけていないのだ。それが違和感の正体に気が付き・・・更に僕はまた疑問が浮かぶ
この中なら、鎧姿のアルとローブの僕はかなり浮くはずだ・・・だが、誰もそんな疑いの目を向けてはいない様子
一人、うーん、うーんと唸りながらアルについて行っていると、アルは村の西側の一番端、1mほどの石の壁の所へとたどり着いた
「ここですか?」
「あぁ・・・いや・・・気のせいか?」
「何がです?」
アルが思っている事が分からない。
「・・・俺達、西からきただろ?その時に、ここら辺の壁だけずれているような、なんか違うなって思ったけどよ・・・近くで見ても何もねーんだよな。わりぃ勘違いだったようだ」
「ふ~ん・・・」
アルがそういうので、僕も壁を凝視し触ってみるが特に変わりはない。そのまま壁伝いにに北に上がっても何も変わりはなさそうだ
遠くで見ると、違いが分かる感じかなと思い
壁は1mほど、手をついてひょいっとジャンプすれば簡単に飛び越せる高さ
「おい」
「遠くから見て違和感と感じたなら、遠くから見ないと分からないじゃないですか」
アルにそういうと、小走りで村から離れていく。50mほど離れた位置から村の壁を確認する。
う~ん・・・ずれている様子はないけどな・・・
いや、壁の一角の色合いが少し明るい・・・?
それはほんの僅かな物。シスレーやホルンのような斥候からみたら、はっきりと違和感と感じられるのかもしれないが、僕やアルにとっては誤差の範疇。そういう色合いと思い納得してしまうか、アルみたいになんか気になる程度の物だった。
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