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第200話 色々とあったが、やるべき事の為に

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採掘場を抜けている最中も、抜けた後も人とは一切であう様子はなかった

「なぁここでは人は誰も働いていないのか?」

「そうっすよ、通った道の通りっす。もう獲れる鉱石は一切ないっす」

「だとよ、ノエル。どう思う?」

「なぜ兄貴に話をふるっすか?」

「ノエルは壁についている魔鉱石を採れるからな。王国にあるダンジョンも他の奴らがとれない物を取りつくしているぜ」

「すげーっす兄貴!流石っす!」

「・・・たまたま丁度いい魔法があったので、アルは少し言い方を覚えた方がいいと思いますよ」

無人の採掘場は捨てられた場所のようで、手入れはもう何年もされていない様子だ。

僕も急ぐ旅でなければ、鉱石の一個や二個とりたい気持ちはあったが我慢したのだ。

「クリス、どの方角いけばいい?」

採掘場の入り口からアルは尋ねる。

「はい、えっとこの方角は・・・」

クリスは首に掛かるベクトル石を取り出し、方角を指さすため

「北西ですね、ここからは少しペースを上げましょう」

コンパスを取り出した僕が方角を確かめながら地図を開く

やはり攫われた人達は、魔法国家方面へといる様子だが・・・近づいてくると、僕が適当に言ったことが当たっていそうな気がするがもう少し様子を見ることにした。

採掘場があるという事で、ここからは獣道ではあるが人が手を加えていた箇所もあり道と呼べる部類だった。

道中で、僕が置いた残りのトランスワードも返ってきて、帝国の洞窟の事を知らせれて一安心だった。

「明日の夕方には、オーティマスに着く予定っすね」

山越えが終わりを見せ、獣道を抜け街道へと続く道をみつけるとホルンがそういう。

「ここからは用心しねーといけないな」

「ですね、一応予定通り街道を進むんですよね?」

街道を進むか脇道の森を進むかの話し合いはすでにしてあった。

「だな、いずれ荒野になるだろ。ここまでくれば俺達が王国側だと疑うやつも少ないはずだから逆にコソコソするより堂々と行こうぜ」

アルの言い分はそういうので、アルの判断に任せる事にしている。堂々とと、そうは言っているが、はやる気持ちも分かるのだ。

街道を進み、日が傾き辺りは暗くなる。街道にでた時はまだ緑が生い茂る平原だったが、徐々に草木はなくなり土や岩がむき出しの荒れ地へとたどり着いた頃だった

山から流れる水は、王国側に伸び、帝国側に流れていない事からやせた大地となっているようだ。こういうのをみると帝国領が少し不遇に思えた

大岩を背に、僕ら6人の最後の野営が始まった

僕はアルへ進言している、クリスと行動するのはベクトル石のが示す場所がオーティマスだと分かれば、オーティマスへ入る前にクリス達とはそこで、さよならした方がいいと

クリスはいいやつだ、だがその優しさが全て裏目にでている。その為に早々にこの臨時PTを解散させておきたいのだ

明日オーティマスに入る前に、街をぐるっと一周する。様子見ということだが、本当にベクトル石がオーティマス内をしめすか判断するためだ

ブリンクがあれば、街一周するのそんなに時間は掛からない

その事をいつアルが打ち明けるか分からないが、僕らの旅はここまでとなっている予定なのだ

「アル、もうすぐですね」

「あぁ・・・いや、まだ魔法国家にいるとはかぎらない」

「ですが、必ず手掛かりはありますよ。隅から隅まで全て頂いてでも情報を探ってみせますよ」

「・・・ククク、そうだな。お前がやる気なのに、俺が後ろ向きじゃいみねーよな」

アルは不安な気持ちと、もうすぐだという期待の気持ちを交差させる顔をずっとしていた。それはアルらしくソワソワとしている。

だけどもうここまで来たのだ。僕は必ずサーヤさんを見つけるという覚悟を持ってアルに注げているのだ

そんなアルも僕の言葉に笑って、不安な気持ちを払拭した

臨時PTの最後の夜は静かな物だった。これがずっと続くのだと、今日が最後ではないという雰囲気が漂っている

クラリアやホルン、出会いの場と王国側と帝国側という境遇だったがそれなりに楽しくやれた。それに有益な情報もいくつも貰った。戦争が終わり、また帝国と王国の間を行き来できる時が普通にくるのであれば、その時は古い友人や知り合いのような感じで再会できるだろうか。

クリスとグリーンウッド、探しているディアナという人との間柄はしらないが。彼らも僕らと離れた後にディアナを救い、王国でバッタリと出会えばお酒の一杯でも一緒に酌み交わす事が出来るだろうか。

自分で思った事が、これほどまでに現実味がなく夢物語のように思えてくるのはどうしてだろう・・・

彼らの面倒をみるために一緒に行動している訳では無かった、それでも彼らは力不足。この帝国という僕も未知の国ではあまりに小さな存在だ。

明日僕とアルと別れると、彼らだけで上手くいかないと分かっている。それでも僕はサーヤさんを助け、アルがまた心から笑うようになるために彼らを見捨てる決断をし、アルに進言していたのだ

短い期間だった、山あり谷ありとまさに言葉通りの道中。クリスとグリーンウッド、クラリア、ホルンが今楽しく笑いながら火を囲んでいる姿を、僕は寂しく見つめるのだった。
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