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第175話 知らない間に

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僕達が食事を終えて、宿にたどりつくと宿のラウンジにサリアが待っていた

ただ、俯いて丸くなっている様子に少し嫌な予感がするが

「サリアさん無事でよかったー」

「二人とも!大変なの!」

シスレーが先に声を掛けると、サリアは僕らに何か必死に伝えようと喋って、身振り手振りで話をしてくれているが要領が掴めずただ大変ということしか分からない

「ちょっちょっと落ち着いてサリアさん、アル君達はどうしたの?」

「爆発!ドンって!アルフレッド様とサーヤが!」

「サリア、爆発でアルとサーヤさんが怪我したんですか?」

「ううん、連れていかれたの!!」

「連れていかれた?」

「二人とも?」

「もう!ちがうの!きて!!」

気が動転している人とはこんなにも意思疎通が出来ないのか、僕らがサリアを落ち着かせようとゆっくり喋れば喋るほど、サリアはサリアで伝わらないもどかしさで余計に焦りをみせている

拉致があかない様子に、サリアはシスレーの手を掴むと走り始めた

僕らは顔を見合わせて、それについて行くことになったのだ

サリアは一つの教会まで走っていくと、教会内には結構な人であふれている。恐らく爆発に巻き込まれた魔法使いの人達だろうか?

「おい!やっときたか!お前らどこいってたんだよ!」

教会にはいると、アンナさんは肩に包帯を巻き、折角買ったドレスがボロボロになっていた

「アンナさん大丈夫!?」

「あぁ私は無事だ」

怪我をしている様子だが、回復魔法がある為そこまで重症というほどではなさそうだ

「アンナさんアル達は?」

「こっちだ」

アンナさんに連れられて、一室にいくとベッドで寝かされているアルの姿があった

「アル!」

「死んじゃいねーよ、ただ結構な怪我だから意識はまだ戻ってないな」

「そうですか、よかった。ファーストエイド」

教会の人が回復してくれていると思うが、心配な為自分でも回復をかけておく

「あれ、サーヤさんとガナートさんはどこ?」

「・・・連れ去られた」

「え?」

「連れ去られたんだよ!魔法国家のやつらにな!」

「お静かに願います」

アンナさんが声を荒げると、隣のベッドに倒れている人に魔法を施している神官の方に注意される

「すいません、サリア、アルの側にいてくださいね。僕らはアンナさんに何が起きたのか聞きますので」

サリアはそっと、アルの隣に座るとアルの手を握ってうなずいた

「アンナさん場所かえよ」

「・・・おう」

シスレーもアンナさんを落ち着かせるように、背中にそっと手をおいて外へと誘導した

魔法国家・・・どこだよそれ・・・というか、サーヤさんまた事件に巻き込まれて・・・アルが主人公ならサーヤさんは悲劇のヒロインなのだろうな・・・

サーヤさんを不憫に思いながら教会の外の中庭へと移動した

「うちら、魔法使いの集会で爆発があった事しかしらないんですよ」

「どこいたんだよ、入ったとたんに出て行きやがって」

「それは僕が貴族と交流するのが嫌な為に、貴族のお家と聞いてすぐに出ました。その後、近場の6階建ての屋上で食事をしてました」

「・・・こっちは大変だったのによ!」

「何が起きたんですか?」

アンナさんの説明で事件が起きたのは、ランスミリザ家当主、モルガン・ランスミリザからの挨拶があった時だったようだ

舞台で魔法使いの発展を望む言葉を述べ終わると、赤のローブに包まれた魔法使いと思われる4人組が挨拶の途中に檀上にあがると

モルガンに一度跪き、ほかにも緑のローブのやつらがいたるところにいきなり現れた

それと同時に、緑のローブをきたやつらが魔法使いたちを掴むとその場から消えちまったんだ

消えた!?長距離テレポートってこと!?

次々と消えていく魔法使いにアルフレッドはサーヤを守ろうとして、素手で抵抗しようとして魔法で焼かれちまってたな

私もサーヤを守ろうと、近くにいこうとしたが私の目の前でローブの男はスクロールのような物を広げるとサーヤはその場から消えちまっていたんだ

スクロール・・・?よく魔法が込められた一回きりの使い捨ての魔法だろうか

その後だ、檀上にいた赤のフードのやつらが爆発の魔法をこっちに使ってきやがって

爆発の衝撃で少し気を失ったみたいだが、私はすぐに目を覚まして周りを確認したらこの様ってわけさ

アンナさんは説明を終わると悔しそうな顔をしていた

「ランスミリザ公爵も一緒に消えたんですか?」

「あぁ」

「なぜそのローブの人達が魔法国家の人達だと?」

「魔法使いを攫って、他のやつらは殺そうとしたんだ。そう思うのが普通だろ、それにそいつらが来ていたそのローブは魔法国家オーティマスの象徴とされる服だとよ」

確証があるわけではないのか、う~ん・・・アルが起きたら探しに行くというだろうな・・・

「そのローブの人達はどうやって、魔法使いか魔法使いじゃないのかを判別したのでしょう」

「しらねーよ」

もうアンナさんから聞き出せる情報は無さそうだった為、アンナさんも疲れている様子にしばらくそっとしてあげることに

「アンナさん、少し休んでください」

僕がそういうと地べたに座りこみ、深いため息をはいた

シスレーを誘導しアルのいる病室へともう一度向かう

「どうやらすごい事になっていたみたいですね」

「だね・・・呑気にしていた自分が憎いよ・・・」

「それは知らなかったので仕方ないです、と自分にも言い聞かせてます。それに僕らがあの段階で駆けつけても何もできていないでしょう」

「・・・そうだね」

これもサーヤさんにしたら不運だが、僕からしたらシスレーを事件に巻き込まなくてすんだ為に運が良かった結果となった

それにこれぐらいの大ごとなのだ、国が動き出すに違いなかった為僕は今すぐに、特段何かをしようとするつもりはなかった

病室ではまだ眠っているアルの姿が

「事情はわかったかしら・・・」

「うん、サリアさんも少し休んだら」

「私は大丈夫よ、どこも怪我はしてないから」

サリアは召喚士だ。召喚士は連れ去る計画に無かったのかな?ということはやはり何か判別できる類のものがあるのだろうか・・・

「アルが目覚めるまではどうしようもできませんね」

「だね・・・」

こういう時にリーダーの意見や指示が欲しいのに・・・僕にはその力がなく、僕達はまだ目をつむっているリーダーの隣で佇む事しかできなかった
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