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第170話 PTでの役割

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王都へ出発となり、移動は馬車となる。

木漏れ日と祝福の4人の貸し切りだが、9人は手狭な為僕やアルなどは交代で歩きながらの移動となった

「アル、こんな事とは言い方がよくないですが、そろそろ冬の支度を始めないと」

去年の事を考えると、この秋口には準備を始めないと間に合わなくなる可能性があるのだ

「まだはやいだろ、11月までは動けるんだからよ」

「僕、今年は拠点にいないつもりでいますよ?知りませんよ?」

「は?お前いきなりそんな事いうとかずるいだろ」

「僕に任せっきりなのがいけないんですよ。知りませんからね」

「くっそ、わかったよ。これが終わったら準備はじめればいいんだろ」

「はい、最初からそういえばいいんですよ」

今回僕は湿地のダンジョンで冬を過ごそうと思っているのだ。湿地のダンジョン内は夏でも暑さをそこまで感じなかった為に季節感がないと思える

僕にばっかり頼るのもよくないと思い、今年はみんなに食料や物資は自分達で準備させようと思っているので早めに伝えておくのだ

「なんの話してるのー?」

シスレーもアルの声を聞きつけ、馬車から降りてきた

「冬の準備をそろそろはじめてはどうかと伝えてます」

「そうなの?ちょっと早いんじゃない?」

「今回はみんなで準備をしてもらおうと思っているので、僕は自分の分しか準備するつもりがないんですよ」

「えー、そうなのー?仕方ないかー」

「シスレーお前そんな事言って、結局ノエルに甘えるつもりだろ。ノエルもシスレーには甘くする予定なんだろ」

「アチャーばれたか」

「シスレー、僕は今回冬の間、出かけようと思っているので本当に準備しないと駄目ですよ」

「えぇ!?どこいくの!うちも行くよ!」

「それは・・・おいおい説明しますが・・・シスレーだけ連れて行けば、他の人もくるっていいそうですから」

「いいじゃん!みんなで行けるならみんなで行こうよ!」

「それはみんながちゃんと準備したら伝えますよ。でも、僕ばっかりに頼るのはよくないと木漏れ日のみなさんと行動したら気づかされましたよ。みんな自分に必要な物資は各自で揃えてます」

「それが普通だけど~・・・ノエル君といると楽を覚えてたらもう後戻りできない!」

「だよな、今更そんな風にいっても甘やかしたお前の責任だろ」

「えぇ僕のせい!?ふ~ん・・・そういう考えならPT資金の管理もしませんよ」

「資金、物資担当だろ!今更そんなこと許されるかよ」

「いつからそんな担当に!?僕は魔法使いなので戦闘担当ですよ!?」

このPTの担当とかはっきりと決められてはない。みな自分が出来ることや得意な事を率先してやっているだけであってそれはその人の好意からなのだ

「戦闘担当はみんなやってるだろ!サリアは食事担当、俺は交渉、事務手続き担当、シスレーは情報収取担当、ナタリーは教会運営担当、ティアは採取、剥ぎ取り担当と各自きまってるじゃねーか、今更何いってんだよ」

「うえっ!?僕は資金物資担当をおります!別の担当に配置換えを希望します!」

「じゃあ俺と交渉、事務手続きかわれよ。俺の代わりに貴族に酒わたしてこい」

「それはおかしい!リーダーのやるべき仕事です!」

「じゃあお前がリーダーやれ!」

「なら最初からお酒なんて返しにいきませんけど!ティアとシスレーに渡す分のお酒プレゼントして終わりです」

「は?そしたらサーヤが困るだろーが」

「じゃあアルが慰めてあげてください」

僕らが言い合いをしてしまったので、サリアも心配そうに馬車から降りて様子をみにきた

「どうしましたの?」

「うん?いつもの二人の喧嘩だよ」

「アルフレッド様とノエルってホント仲いいわね」

「だねー」

何をのんきな事をと思っているが

「サリアは勝手に料理担当にされてますがいいんですか?」

「私?料理は好きよ、それにみんないつも美味しいって食べてくれるのだから文句なんてないわ」

「そうですか・・・。シスレーも情報収集担当っていつからそんなことに」

「あー、うちも調べもの嫌いじゃないし新しい知識が身につくのも自分の為になるから、うちに向いてる仕事かも」

・・・確かに、2人の話をきくとそれぞれ適材適所でPTに必要なことをいつも無償でしてくれているのだ

「ほらなお前だけなんだよ、わがまま言ってるのは」

「ナタリーの教会担当もおかしくないですか!?」

「そうか?最近だと資金繰りもうまくいって、こっちに逆に渡してるじゃねーか。お前は教会運営できるのか?」

「そうですが・・・じゃあティアは!?」

「狩りに行くと、率先して薬草や果実の採取、魔物の剥ぎ取りをしてくれるよな?お前剥ぎ取りするのか?ティアみたいに綺麗にできるのか?」

今回はアルの言い分は正しかった・・・皆が皆、いろんな面で仕事をしていたのだ。好意でやっているのかもしれないがそれがPTとして必要な事だった。それはもう担当といっても差し支えないほどに

僕だけ物資担当で不公平だと思っていたが、それぞれPT内でも自分にできることを全うしてくれていたのだ

「くっ・・・僕が間違ってました・・・冬の準備は僕が責任をもってやります」

「ほらな、わがまま言うんじゃねーぞ」

「えっでもみんなに比べてノエルの負担」

「サリアさんいいの」

「サリア、いいんだよ」

「えっそう・・・」

サリアが何か言いかけたが、僕の考えが至らなかった方が大きく気にならなかった

「アル・・・すいません」

「あぁ、物資担当これからも頼むな」

アルは僕の謝罪に満足そうに笑顔を向けている為、僕はそれにこたえるように大きく返事をした

「はい!」

シスレーとサリアがどんな気持ちなのか分からないが、僕を可哀そうな物をみる目つきをし馬車へと戻って行ったのだった
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