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第153話 逃げ出した冒険者達
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湿地のダンジョン2日目
「ノエル君、おきてー」
「う・・・う~ん・・・おはようございます・・・えっシスレー!?」
朝の目覚めがシスレーの声だった為、気づいた時には飛び上がっていた
「どうしました!?」
「えっ時間だから起こしたんだよ」
周りを見渡すと、サーヤさん達も起きていて飛び上がって起きた僕をポカーンとした表情でみていた
「・・・ふーっ、シスレーに起こされる日がくるとは・・・」
「し、失礼ね!うちだってノエル君より先に起きることだってあるよ!」
「・・・そうですね、はぁービックリした」
ダンジョン内だと予想外のことが起きるものだが、これは予想すらしていなかった
「もういつも無駄に落ち着いているのに、変なとこで焦って・・・ほら、座ってご飯にしよ」
「はーい、何食べますか?」
目玉焼きとベーコンなどの簡単な食事を作りながら
「シスレーよく寝れました?」
「うん、ありがとー」
「それは良かったです、今日も頑張りましょうね」
「ノエル君は疲れてない?」
「もちろん、2日は寝なくても大丈夫そうですよ」
食事をとりおわると、サーヤさん達と今日マッピングする場所をシスレーと地図を広げて共有を始めた
僕は暇になったので、今のうちに装備を準備し、バックパックへイベントリから荷物を分けたりとしていると
「ノエル君、少しいいかしら?」
「はい、なんでしょう」
デックスさん、シスレー、サーヤさん、アンナさんが基本方針を決めていた為、その打ち合わせには僕は入っていなかったのだが今回は僕に用事がありそうだった
「ノエル君、今日これから行こうと思っている場所を決めているんだけどね、ここから先、ここを行こうと思うと恐らく早く見積もって7時間かかるの」
シスレーの横へ行くと、シスレーが持っているダンジョンの構造が掛かれている地図を指さしながら説明を受ける
「はい」
「ここが、次のセーフティーエリアなんだけど、この先とかここの奥とか先に調べようって話なんだけど、木漏れ日の人達はそこから調査してを考えると、往復するまでの物資が足りなくなるんじゃって話で止まっちゃったの」
「なるほど」
シスレーからの説明を受けて、あらかた理解する。今回の調査の依頼は期日は25日となっていた。岩街からダンジョンまで片道6日、往復だと12日。残り13日ほどをダンジョンの探索だと考えた時に、どこかで物資の調達を考えた時には外に出なければいけない。それに休息日も必要なはずだ
あまりスケジュールがない中で、地上とダンジョンを往復するとなると効率が悪いのは明白だった
「それで・・・ノエル君、また頼って申し訳ないのだけど、私達に少しでも分けて貰えるぐらいはあるかしら」
「ありますよ、どのくらいっていうのは難しいですが、一週間分くらいは問題ありませんよ」
「おぉ!さすが魔法使いのにいちゃんだぜ!」
「ほらな!やっぱりノエルなんだよ!」
アンナさんは嬉しそうにヘッドロックの状態で頭をガシガシとしてくる
以前アルにもされたが、今回は女性でリコール後いい匂いもするし、鎧を着る前の為頭に柔らかい物も当たり少し嬉しい。ただシスレーが隣にいるので顔には出さない様に必死だ
「ちょっとアンナさん!」
「ちっなんだよノエルも嬉しそうだからいいじゃねーかよ。なぁ?」
すごい返答に困る・・・嬉しいと言えばシスレーに怒られ、嬉しくないと言われたらこの感触が頭から離れていくのか
「ちょっとアンナ離しなさい。話が続けれないわ」
それでもサーヤさんが本題を再開する為に、声をかけるとアンナさんも大人しく引っ込む
「じゃあここからはノエル君の物資を買う形にしたいと思うのだけど、一日一人銀貨1枚、PT全員で銀貨5枚を日数分払うってことでどうかしら?少し安いと思うかもしれないけど・・・」
「え?一人一日銀貨1枚?そんないい食事は用意できないですよ?」
一人一食銅貨3枚となると結構いい物になるなと考えてしまう。作り置きのサリアのご飯ならそれくらいの金額をとれるが今回はそのままの素材だ
「ノエル君、いいのこれで。サーヤさんそれでお受けいたします」
シスレーがまた話が噛み合わなくなる前に間をとって決めようとするのが伺え
「ありがとうございます、では今日の昼食からお願いします」
そういい銀貨5枚を受け取った
困惑しながらも、シスレーがいいというならいいのかと思いながら、袋に手を伸ばし
「え?朝はもう食べました?いりません?」
りんごやパンなどを取り出すと
「いるいる!ずっと腹減ってたんだよな!いつもノエル達ばっかりいいもんくってやがって」
アンナさんはすぐにりんごを手に取り、シャクリといい音を立ててかじりついた
「みなさんは?」
「おれも貰うぜ」
アンナさんをかわきりにみんな食事を我慢していたかのように、出したパンなどを食べ始めた。最初のシチュー以降同じ物を食べていなかったが、木漏れ日のみんなは食料が付きかけていたんだなと気が付いた。昨夜サーヤさんもBLTをパクパク食べていたのも、美味しい+空腹だったんだと納得できた
方針が決まった為、ゆっくりとした朝食をとると2日目の探索へと向かうのだった
セーフティーエリアから出る時に、丁度夜空のロールさん達が僕らがいるセーフティーエリアへと向かってきていた
「よぉ坊主たち!お前らは今出発か?」
「はい、ロールさん達は休憩ですか?」
「あぁ、もう20時間は歩きっぱなしだぜ。いったん休息だガハハ」
「うわぁ大変ですね」
「そうよ、後少し後少しってロールがいうもんだから、結局後戻りするタイミングがずれて・・・もう物資もきれてお腹ペコペコよ」
奥まで行ったら、後少し後少しってなる気持ちもわかるな~
「まぁそういうなよフェリニカ。じゃあメンバーも疲れてるからそれじゃあな!坊主たちも気をつけろよ!」
「はいそれでは!あっフェリニカさん、お腹すいてるのでしたらこれどうぞ、みなさんにも分けてあげてください」
白い小袋にパンやりんごにトマトにベーコンなど、そのままでも食べれる物を渡す
「え?いいの?うわぁいっぱい入ってるわ!」
「はい、ご存じの通りいっぱい持ってきているので」
「わりぁな坊主と姉ちゃん!」
ロールさんはその大きなごつい手で僕の頭はガシガシと撫でた
「ありがとうノエル君、シスレーちゃん」
「いえいえ、うちは何もしてませんよ」
先頭の僕とシスレーが手を振りロールさん達と通り過ぎると、ロールさん達はすれ違いざまにサーヤさんやアンナさん達に声を掛けていたのが聞こえた
「おい、どんくさと鼻たれ、坊主と姉ちゃんにあんまり甘えんなよ」
「アンナも迷惑かけてないだろうね」
3人とも、昨日今日との出来事で図星をつかれているかのように、ロールさん達の言葉にうまく反応しきれず、僕達がその様子を見ているとサーヤさんは気まずそうに笑っているのだった
「ロールさん達といると、サーヤさん達も新人の冒険者に見えるね」
「ですね」
シスレーと少し小声で喋り、本日向かう2個目のセーフティーエリアへ足を進めた
開けた階段を下へ下へどんどんと下り、市民街のような間を抜けていくようだ
家々が引っ付いている構造で、たまに路地などもあり、家の中から戦闘音や声も聞こえるためよその冒険者が探索している様子が至るとこに感じられる
両脇にその建物が並んだ大きな道をひたすら真っすぐ進むだけとなり、少し警戒心がとける
「ここは人が多いですね」
「だね、結構人気スポットなのかな、地図もここらは埋まってる感じだし」
この市民街は鮮明に地図の詳細が掛かれている為に、ほとんどの部分が埋まっているのだ
市民街を1時間ほど歩き続け、前方にまた階段を見つけたシスレーが地図を確認し
「サーヤさん、ここの部分だけ埋まってませんがどうしますか?」
「そうねぇ・・・行ってみて行き止まりなら探索し、まだ道が続いてそうなら、本来の予定の道にもどりましょうか」
「了解です」
サーヤさんの指示を煽り、市民街のシスレーの持っている地図に描かれていない部分を目指すことに
と言っても本来のルートよりも右側に10分ほどそれた道へ進むだけとなっており、右に進み始めた時点でこの行き止まりの先が見えていた
「扉があるね」
「ですね、扉の先に誰も入ってないってことなのでしょうか」
ガシャン!ドドドドド
そんな何か割れる音と走ってこちらに近づいてくる音がが前方の扉から聞こえ、少し立ち止まる
「今の音なんでしょう?」
「う~ん、何か割れた音だよね。それと・・・何人かが逃げている音?」
シスレーにそう言われ、僕はその場の空気が冷たくなっているのを感じた
えっ・・・この感じ・・・ゴースト!
昨日、教会でゴーストと出会った時の事を思い出し
「シスレー、どこかにゴースト・・・ゴーストから逃げているとかかもしれませんよ」
「え?分かるの?」
「はい、体が冷たい感じにさらされました」
「ふんふん・・・うちは感じないけど・・・サーヤさんノエル君が近くにゴーストがいるかもしれないと言っているので警戒を」
「分かったわ、ホルド、ガナート頼むわよ」
シスレーは僕を信じ、サーヤさん達に伝えていると
音が聞こえてきていた、前方の扉が勢いよく開かれて
「うぁわぁぁぁーー」
「ひっにげろー」
「どけ!じゃまだ!」
男3人が怒号のような悲鳴をあげながら家から出てきた
「どうしました?」
シスレーが声を掛けるが
「どけどけ!」
「じゃまだ!」
「わっ」
シスレーを殴りつけるように握り拳を突き出し、突き飛ばすように走り去っていこうとするが、シスレーは素早くかわし、予想外のことに冒険者一人がこけた
こけた冒険者を見もせず、他の2人はそのまま走り去っていき
「大丈夫ですか?」
次は僕が声を掛けると
「ひっ!お、おまえらも早くにげろ!レイスだ!」
どもる冒険者の言葉で聞き取れたのが、レイスという単語だった
「ガナート、ゴーストよ!一撃でいくわ!」
僕とシスレーがこけた冒険者に構っていると、ゴーストが扉から1体出てきていた。恐らく冒険者はこのゴーストに追われていたようだ
「あぁタイミングは任せる!」
一度ゴーストに手痛くやられてしまっていた為、サーヤさん達もゴーストの認識を改めて2人同時に攻撃をすることに決めていた
「3、2、1、ソニックスラスト!」
「アイスアロー!」
風の砲撃と、氷の矢がゴーストのもやのような体を瞬時に散り散りにすると、魔石が地面に落ちるのを確認した
「なんだよ、余裕じゃねーか!」
「流石サーヤさんだな」
一瞬の間にゴーストを倒してしまい、僕はまたこけている冒険者へ
「あれがレイスですか?」
「ち、ちげーよ!奥にいるんだよ!なぁあんたら強いなら頼む!奥に仲間の神官と魔法使いをおいてきたんだ!頼む助けてやってくれよ!」
そう言い残し、その冒険者も走って僕らから離れて行った
「仲間を見捨てたんですかね」
「そうみたいだね・・・仕方ないとはいえモヤモヤするね」
「・・・僕はあまり人の事をとやかく言える立場ではないので」
恐らく僕も命の危険が迫れば一人で逃げてしまうのではないかと、今でも逃げ腰の姿勢は変わって無いようなきがしていた
「シスレーさん達、今の私もきいてました。助けに行きましょう」
「えっレイスって言ってましたよね、大丈夫なんですか?」
シスレーよりも先に聞き返していた、まさか助けに行くという判断をするとは思わなかったからだ
「なんとかなるわ」
「・・・」
「大丈夫だってノエル、サーヤもガナートもレイスなんかにおくれはとらないって」
今の言動から、僕はあまり木漏れ日の人達を頼りにしていないと思わせてしまったに違いない
それを察してアンナさんが声を掛けてくれたが上手く返事が出来なかった
「ノエル君、サーヤさんがなんとかなるって言ってるんだから信じよう。今のうちらのリーダーなんだから」
「わかりました、そうですね」
恐らくサーヤさんは僕やシスレーの力も含めてなんとかなると言っているはずだ。ここで僕だけわがままな行動をすると、なんとかなった事も出来なくなってしまい最悪の結末が頭をよぎり、シスレーの言葉に了承した
「ノエル君、今までの事で頼りないと思われたのならそれは私の落ち度よ。でも、今は信じて」
「はい」
短く返事だけをすると、盾を浮遊させマジックミサイルを停滞させて戦う準備を
「ノエル君、このお守りもっておきなよ」
「いえ、それはシスレーが持っていてください。危なくなったら一人で逃げてくださいよ」
「危なくなったらノエル君が助けてよ、うち以外も出来たらね」
「・・・分かりました」
シスレーは笑顔でそういうが、明らかに合理的な判断な為キャシーさんから貰ったかまぼこ板をポーチの中に忍ばせる
「みんな準備は出来たかしら」
サーヤさんが突入の合図を出すと、みな黙ってうなずいた
冒険者たちが出てきた後に閉まったドアを、デックスさんと僕とで押し開けるとギギギと少し重たいドアが開かれていく
「ノエル君、おきてー」
「う・・・う~ん・・・おはようございます・・・えっシスレー!?」
朝の目覚めがシスレーの声だった為、気づいた時には飛び上がっていた
「どうしました!?」
「えっ時間だから起こしたんだよ」
周りを見渡すと、サーヤさん達も起きていて飛び上がって起きた僕をポカーンとした表情でみていた
「・・・ふーっ、シスレーに起こされる日がくるとは・・・」
「し、失礼ね!うちだってノエル君より先に起きることだってあるよ!」
「・・・そうですね、はぁービックリした」
ダンジョン内だと予想外のことが起きるものだが、これは予想すらしていなかった
「もういつも無駄に落ち着いているのに、変なとこで焦って・・・ほら、座ってご飯にしよ」
「はーい、何食べますか?」
目玉焼きとベーコンなどの簡単な食事を作りながら
「シスレーよく寝れました?」
「うん、ありがとー」
「それは良かったです、今日も頑張りましょうね」
「ノエル君は疲れてない?」
「もちろん、2日は寝なくても大丈夫そうですよ」
食事をとりおわると、サーヤさん達と今日マッピングする場所をシスレーと地図を広げて共有を始めた
僕は暇になったので、今のうちに装備を準備し、バックパックへイベントリから荷物を分けたりとしていると
「ノエル君、少しいいかしら?」
「はい、なんでしょう」
デックスさん、シスレー、サーヤさん、アンナさんが基本方針を決めていた為、その打ち合わせには僕は入っていなかったのだが今回は僕に用事がありそうだった
「ノエル君、今日これから行こうと思っている場所を決めているんだけどね、ここから先、ここを行こうと思うと恐らく早く見積もって7時間かかるの」
シスレーの横へ行くと、シスレーが持っているダンジョンの構造が掛かれている地図を指さしながら説明を受ける
「はい」
「ここが、次のセーフティーエリアなんだけど、この先とかここの奥とか先に調べようって話なんだけど、木漏れ日の人達はそこから調査してを考えると、往復するまでの物資が足りなくなるんじゃって話で止まっちゃったの」
「なるほど」
シスレーからの説明を受けて、あらかた理解する。今回の調査の依頼は期日は25日となっていた。岩街からダンジョンまで片道6日、往復だと12日。残り13日ほどをダンジョンの探索だと考えた時に、どこかで物資の調達を考えた時には外に出なければいけない。それに休息日も必要なはずだ
あまりスケジュールがない中で、地上とダンジョンを往復するとなると効率が悪いのは明白だった
「それで・・・ノエル君、また頼って申し訳ないのだけど、私達に少しでも分けて貰えるぐらいはあるかしら」
「ありますよ、どのくらいっていうのは難しいですが、一週間分くらいは問題ありませんよ」
「おぉ!さすが魔法使いのにいちゃんだぜ!」
「ほらな!やっぱりノエルなんだよ!」
アンナさんは嬉しそうにヘッドロックの状態で頭をガシガシとしてくる
以前アルにもされたが、今回は女性でリコール後いい匂いもするし、鎧を着る前の為頭に柔らかい物も当たり少し嬉しい。ただシスレーが隣にいるので顔には出さない様に必死だ
「ちょっとアンナさん!」
「ちっなんだよノエルも嬉しそうだからいいじゃねーかよ。なぁ?」
すごい返答に困る・・・嬉しいと言えばシスレーに怒られ、嬉しくないと言われたらこの感触が頭から離れていくのか
「ちょっとアンナ離しなさい。話が続けれないわ」
それでもサーヤさんが本題を再開する為に、声をかけるとアンナさんも大人しく引っ込む
「じゃあここからはノエル君の物資を買う形にしたいと思うのだけど、一日一人銀貨1枚、PT全員で銀貨5枚を日数分払うってことでどうかしら?少し安いと思うかもしれないけど・・・」
「え?一人一日銀貨1枚?そんないい食事は用意できないですよ?」
一人一食銅貨3枚となると結構いい物になるなと考えてしまう。作り置きのサリアのご飯ならそれくらいの金額をとれるが今回はそのままの素材だ
「ノエル君、いいのこれで。サーヤさんそれでお受けいたします」
シスレーがまた話が噛み合わなくなる前に間をとって決めようとするのが伺え
「ありがとうございます、では今日の昼食からお願いします」
そういい銀貨5枚を受け取った
困惑しながらも、シスレーがいいというならいいのかと思いながら、袋に手を伸ばし
「え?朝はもう食べました?いりません?」
りんごやパンなどを取り出すと
「いるいる!ずっと腹減ってたんだよな!いつもノエル達ばっかりいいもんくってやがって」
アンナさんはすぐにりんごを手に取り、シャクリといい音を立ててかじりついた
「みなさんは?」
「おれも貰うぜ」
アンナさんをかわきりにみんな食事を我慢していたかのように、出したパンなどを食べ始めた。最初のシチュー以降同じ物を食べていなかったが、木漏れ日のみんなは食料が付きかけていたんだなと気が付いた。昨夜サーヤさんもBLTをパクパク食べていたのも、美味しい+空腹だったんだと納得できた
方針が決まった為、ゆっくりとした朝食をとると2日目の探索へと向かうのだった
セーフティーエリアから出る時に、丁度夜空のロールさん達が僕らがいるセーフティーエリアへと向かってきていた
「よぉ坊主たち!お前らは今出発か?」
「はい、ロールさん達は休憩ですか?」
「あぁ、もう20時間は歩きっぱなしだぜ。いったん休息だガハハ」
「うわぁ大変ですね」
「そうよ、後少し後少しってロールがいうもんだから、結局後戻りするタイミングがずれて・・・もう物資もきれてお腹ペコペコよ」
奥まで行ったら、後少し後少しってなる気持ちもわかるな~
「まぁそういうなよフェリニカ。じゃあメンバーも疲れてるからそれじゃあな!坊主たちも気をつけろよ!」
「はいそれでは!あっフェリニカさん、お腹すいてるのでしたらこれどうぞ、みなさんにも分けてあげてください」
白い小袋にパンやりんごにトマトにベーコンなど、そのままでも食べれる物を渡す
「え?いいの?うわぁいっぱい入ってるわ!」
「はい、ご存じの通りいっぱい持ってきているので」
「わりぁな坊主と姉ちゃん!」
ロールさんはその大きなごつい手で僕の頭はガシガシと撫でた
「ありがとうノエル君、シスレーちゃん」
「いえいえ、うちは何もしてませんよ」
先頭の僕とシスレーが手を振りロールさん達と通り過ぎると、ロールさん達はすれ違いざまにサーヤさんやアンナさん達に声を掛けていたのが聞こえた
「おい、どんくさと鼻たれ、坊主と姉ちゃんにあんまり甘えんなよ」
「アンナも迷惑かけてないだろうね」
3人とも、昨日今日との出来事で図星をつかれているかのように、ロールさん達の言葉にうまく反応しきれず、僕達がその様子を見ているとサーヤさんは気まずそうに笑っているのだった
「ロールさん達といると、サーヤさん達も新人の冒険者に見えるね」
「ですね」
シスレーと少し小声で喋り、本日向かう2個目のセーフティーエリアへ足を進めた
開けた階段を下へ下へどんどんと下り、市民街のような間を抜けていくようだ
家々が引っ付いている構造で、たまに路地などもあり、家の中から戦闘音や声も聞こえるためよその冒険者が探索している様子が至るとこに感じられる
両脇にその建物が並んだ大きな道をひたすら真っすぐ進むだけとなり、少し警戒心がとける
「ここは人が多いですね」
「だね、結構人気スポットなのかな、地図もここらは埋まってる感じだし」
この市民街は鮮明に地図の詳細が掛かれている為に、ほとんどの部分が埋まっているのだ
市民街を1時間ほど歩き続け、前方にまた階段を見つけたシスレーが地図を確認し
「サーヤさん、ここの部分だけ埋まってませんがどうしますか?」
「そうねぇ・・・行ってみて行き止まりなら探索し、まだ道が続いてそうなら、本来の予定の道にもどりましょうか」
「了解です」
サーヤさんの指示を煽り、市民街のシスレーの持っている地図に描かれていない部分を目指すことに
と言っても本来のルートよりも右側に10分ほどそれた道へ進むだけとなっており、右に進み始めた時点でこの行き止まりの先が見えていた
「扉があるね」
「ですね、扉の先に誰も入ってないってことなのでしょうか」
ガシャン!ドドドドド
そんな何か割れる音と走ってこちらに近づいてくる音がが前方の扉から聞こえ、少し立ち止まる
「今の音なんでしょう?」
「う~ん、何か割れた音だよね。それと・・・何人かが逃げている音?」
シスレーにそう言われ、僕はその場の空気が冷たくなっているのを感じた
えっ・・・この感じ・・・ゴースト!
昨日、教会でゴーストと出会った時の事を思い出し
「シスレー、どこかにゴースト・・・ゴーストから逃げているとかかもしれませんよ」
「え?分かるの?」
「はい、体が冷たい感じにさらされました」
「ふんふん・・・うちは感じないけど・・・サーヤさんノエル君が近くにゴーストがいるかもしれないと言っているので警戒を」
「分かったわ、ホルド、ガナート頼むわよ」
シスレーは僕を信じ、サーヤさん達に伝えていると
音が聞こえてきていた、前方の扉が勢いよく開かれて
「うぁわぁぁぁーー」
「ひっにげろー」
「どけ!じゃまだ!」
男3人が怒号のような悲鳴をあげながら家から出てきた
「どうしました?」
シスレーが声を掛けるが
「どけどけ!」
「じゃまだ!」
「わっ」
シスレーを殴りつけるように握り拳を突き出し、突き飛ばすように走り去っていこうとするが、シスレーは素早くかわし、予想外のことに冒険者一人がこけた
こけた冒険者を見もせず、他の2人はそのまま走り去っていき
「大丈夫ですか?」
次は僕が声を掛けると
「ひっ!お、おまえらも早くにげろ!レイスだ!」
どもる冒険者の言葉で聞き取れたのが、レイスという単語だった
「ガナート、ゴーストよ!一撃でいくわ!」
僕とシスレーがこけた冒険者に構っていると、ゴーストが扉から1体出てきていた。恐らく冒険者はこのゴーストに追われていたようだ
「あぁタイミングは任せる!」
一度ゴーストに手痛くやられてしまっていた為、サーヤさん達もゴーストの認識を改めて2人同時に攻撃をすることに決めていた
「3、2、1、ソニックスラスト!」
「アイスアロー!」
風の砲撃と、氷の矢がゴーストのもやのような体を瞬時に散り散りにすると、魔石が地面に落ちるのを確認した
「なんだよ、余裕じゃねーか!」
「流石サーヤさんだな」
一瞬の間にゴーストを倒してしまい、僕はまたこけている冒険者へ
「あれがレイスですか?」
「ち、ちげーよ!奥にいるんだよ!なぁあんたら強いなら頼む!奥に仲間の神官と魔法使いをおいてきたんだ!頼む助けてやってくれよ!」
そう言い残し、その冒険者も走って僕らから離れて行った
「仲間を見捨てたんですかね」
「そうみたいだね・・・仕方ないとはいえモヤモヤするね」
「・・・僕はあまり人の事をとやかく言える立場ではないので」
恐らく僕も命の危険が迫れば一人で逃げてしまうのではないかと、今でも逃げ腰の姿勢は変わって無いようなきがしていた
「シスレーさん達、今の私もきいてました。助けに行きましょう」
「えっレイスって言ってましたよね、大丈夫なんですか?」
シスレーよりも先に聞き返していた、まさか助けに行くという判断をするとは思わなかったからだ
「なんとかなるわ」
「・・・」
「大丈夫だってノエル、サーヤもガナートもレイスなんかにおくれはとらないって」
今の言動から、僕はあまり木漏れ日の人達を頼りにしていないと思わせてしまったに違いない
それを察してアンナさんが声を掛けてくれたが上手く返事が出来なかった
「ノエル君、サーヤさんがなんとかなるって言ってるんだから信じよう。今のうちらのリーダーなんだから」
「わかりました、そうですね」
恐らくサーヤさんは僕やシスレーの力も含めてなんとかなると言っているはずだ。ここで僕だけわがままな行動をすると、なんとかなった事も出来なくなってしまい最悪の結末が頭をよぎり、シスレーの言葉に了承した
「ノエル君、今までの事で頼りないと思われたのならそれは私の落ち度よ。でも、今は信じて」
「はい」
短く返事だけをすると、盾を浮遊させマジックミサイルを停滞させて戦う準備を
「ノエル君、このお守りもっておきなよ」
「いえ、それはシスレーが持っていてください。危なくなったら一人で逃げてくださいよ」
「危なくなったらノエル君が助けてよ、うち以外も出来たらね」
「・・・分かりました」
シスレーは笑顔でそういうが、明らかに合理的な判断な為キャシーさんから貰ったかまぼこ板をポーチの中に忍ばせる
「みんな準備は出来たかしら」
サーヤさんが突入の合図を出すと、みな黙ってうなずいた
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秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
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