上 下
126 / 235

第126話 ゴブリンリーダー討伐②

しおりを挟む
翌日、森に入るとゴブリンの数が増えている感じでレインさん達が襲撃をよく受け始め、先頭をフィストに変え僕ら祝福は中衛、後衛に中和の隊列に変えて森を歩き始めた

やはりレインさん達は見通しの悪い場所での奇襲には弱く、何度もアルとシスレーが助けにはいる場面が多かったのだ

フィストが先頭という事になり、アルはミラという女性を気にかけているのかフィストとの距離をそこまで開けずに追従する形になる

「うん?」

シスレーが何かにきずいたように立ち止まるので、僕らもつられて立ち止まる

「どうしましたシスレー」

「う~ん・・・なんか雰囲気おかしくない?」

「雰囲気?」

「なんだろう、何か不自然な感じ。ティアちゃんどう思う?」」

「・・・言われてみれば確かに、木の枝とか不自然に折れてるね。落ち葉も自然に集まった感じじゃない」

僕には二人が言っている意味が分からなかったが、斥候のシスレーと目のいいティアが言っているのだから何かあると思い浮遊盾を浮かばせる

「どうした?早く来いよ」

前方のフィストに追従するアルが僕らがついてきていない事で、こちらを振り返って声をかけてくるので

「アル、こちらへ。シスレーとティアが気になることが」

その言葉にアルも二人の事を信用している為、前方のフィストに声を掛けている時に

ドンと衝撃音が鳴り響いた

その言葉と共に女性の悲鳴が

アルはその女性の悲鳴がミラということが分かり、フィストの方へ走っていく

「あっアル!ティア、シスレー警戒してレインさん達を待って奇襲か罠だと伝えてください」

「分かった」

「気を付けてね!」

罠の可能性を感じレビテーションを発動しアルの方へ駆け抜けると

矢の雨を浴びたのか、ロードさんは体の至るところに矢が刺さり。リゲル君の右足は巨木の下敷きになり、獣人の男性は血を流し倒れていた

「ノ、ノエル!頼む!」

アルはリゲル君の巨木を無理だと分かっていても持ち上げようとしていた

「はい!」

(イベントリ!)
袋をかざし、巨木をイベントリへしまうと

「う・・・僕の足がーーー!」

リゲル君の足は巨木に潰されていた。痛みもあるだろうがその光景にリゲル君は叫び、ミラも泣き崩れていた

すぐにファーストエイドとポーションを使用するが血は止まったが、全回復まではファーストエイドをかけてあげれない。ロードさん達も怪我を負っているため、リゲル君だけにかまっておく場合でもない

「アル、ポーションです!ロードさん達も!」

アルは黙ってポーションを受け取り、ロードさんのもとへ

僕はもう一人倒れている獣人の男性のもとへ行き、ファーストエイドとポーションを振りかける

「ごふっはぁ・・・はぁ・・・」

見た所流れていた血が止まり、外傷も塞がった。一命はとりとめたみたいで一安心だ

遅れてティア達がレインさん達を引き連れてきた

「どうしたんだい!」

レインさんが現状把握の為に声を掛けて答えるのはロードさん

「罠にきずかなくてこの様だ・・・申し訳ない」

矢が無数に刺さっていたが、こっちも命に別状はない用だか、少ししんどい様子だ

「罠か・・・やはりゴブリンは狡賢い生き物だな・・・」

「シスレー、ティアまだ罠はありそうか?」

「う~ん・・・あの木とか怪しいかも」

シスレーが指をさすのでティアがその木に矢を撃つと衝撃で杭が飛び出してきた

「これは・・・この森が危険だな・・・」

セーフティーエリアまでの道のりでダメージを負ってしまうが、ゲームではよくあることだがボスに準備万端で挑めないのはなんて辛いものなのだと思う

「アルフレッド、助かったよ。ポーションの代金は帰って払う」

「気にしないで下さい。お互い様です」

アルがロードさんからお礼を言われ、リゲル君達の所へ向かったが、僕は掛ける言葉が見つからない為シスレー達と罠の事で相談することに

「シスレーは罠がある程度分かるんですか?」

「そうだよ、ある程度だから完璧じゃないの」

「罠ってほぼ衝撃とかで反応するものですよね?」

「ゴブリンだから草を結んだものや、落とし穴とかそんなもんだけどね」

ふむふむ古典的だが、きずかなかったら掛かっちゃうか

「さっきみたいに空発動させればいいから、シスレーと私がみつけながら進むのがいいかな?」

罠の解除も古典的な物だと、空発動が解除なのかとまたゲームと違う感覚を覚える

「そうだね、慎重に進めば罠は怖くないし、罠がある所は敵も少ないからね」

ゴブリンのことだ自分達で設置したものにかかる馬鹿なやつもいるのだと思う

アルがリゲル君のところから戻り、僕らで話し合ってたことを伝えるとアルも大きく賛同した

「レインさん、俺たち祝福が先導して森を抜けます。見た所斥候がうちにしかいないようなので」

「そうしてくれると助かるよ」

レインさんも了承し、シスレー先頭のもと僕らは森を進んでいく

シスレーはある程度と言っていたが、100%の確率で罠をみつけそれをティアが空発動で解除を進めた

普通に進むよりも時間は掛かったが昼過ぎにはセーフティーエリアが見えてきた

ロードさんや、もう一人の獣人バングさんの怪我は治り、足を負傷したリゲル君覗いてはほぼ無傷の状態でたどり着くことができたのだ

「よし・・・ここからが本番だ・・・まずはセーフティーエリアにいるリーダーを誘いだそうと思う」

セーフティーエリア内よりも外の方がいいのは分かるが、誘い出す?そんな簡単にできることなのだろうか

「どうするんだ?」

フィストのロードさんが聞くが

「獣人の君たちにそのおとり役を任せたい、ヒューマンよりも足が速いからね」

・・・レインさんの一連の指揮の流れは、危険な役目をフィストにまかせっきりな様に感じていたのだ

「それは断らせてもらう、あの中に何があるか分からない。俺たちは罠を見つけることが出来ないからな」

「中に入る必要はないよ、そとで騒いでくれたら勝手に出てくるよ。やつらはしょせんゴブリンさ」

「・・・それはお前たちが魔法でちょっかいをかけてもいいんじゃないか?」

「魔法といってもMPは有限さ、そんな陽動にMPをさくのは馬鹿らしいと思わないかい?」

レインさんのいう事は正しい、戦略ゲームなどで危険な役目をする部隊もあるがそれは勝つための手段であって作戦だが・・・ここ命が掛かる場面で誰がそんな危険な役目を受けたいのだ

「敵が出てくれば直ぐに引けばいいんだな?」

「そうだよ、じゃないと僕らの魔法が当たっちゃうからね」

「ぐっ・・・キャッツ、バング準備しろ。リゲル、ミラ、お前らも俺たちの後ろへつけ」

その作戦を聞きアルは、ミラたちも陽動に出ることに動揺を隠せない様子だ

「祝福の諸君も敵が出てきたら、まずリーダーを僕らが狙っている隙に取り巻きも一緒に出てきたらこちらに近づかないように頼むよ」

「分かりました」

レインさんは僕らにも支持を出し、このお粗末ともいえる魔法使いがリーダーに勝てるという事を証明したいが為の作戦が始まった

セーフティーエリアの門前に行きつくフィストの5人、そこで雄たけびと盾をガンガン鳴らす音を立て騒ぎ立てる

セーフティーエリアの門がゴゴゴゴゴと上がっていく、その様子にフィストの5人も撤退を始めたのだが

セーフティーエリアの中から矢が飛んできた

「おいおい・・・」

横でアルやシスレーがフィストの事を思い声が漏れている

僕達はセーフティーエリアより50mほど離れた位置で待機していたが、ここまで矢が飛んできそうな雰囲気に僕はクレイの魔法でシスレーとティアの前に土壁を作る。矢ぐらいなら生活魔法でも防げるはずだ

「おぉ流石ノエル君だね、いいねー」

隣にいるレインさんも横で嬉しそうに魔法を褒め、同じように僕より引く土壁を形成した

獣人3人はやはり足が速く、50mをものともしない速度で撤退をしてくるがリゲル君とミラはそんなことはなくミラが明らかに遅れている。それを苦い顔で見るアル

「姉ちゃん!いそげ!」

「さ、さきにいって!」

リゲル君の叫び声が聞こえてきたと同時に、1本の矢がミラの足に刺さったのが見え、ミラは倒れた

「姉ちゃん!」

リゲル君はミラのもとに駆け寄っていくと同時に

「くそっ!」

「あっアル!バリア!」

アルは飛び出していってしまった

アルが居れ違いでロードさんと入れ替わるように走っていくので、ロードさんも振り返りまたミラたちの元へ戻って行く

「ノエル君、黒の弓」

「はい」

ティアには中距離で矢切れをしない白の弓を用意していたが、ここからセーフティーエリア内のゴブリンを狙い撃つには黒の弓しか届かないのだ。黒の弓をイベントリから取り出しティアに渡す

その間にリゲル君は身を挺してミラを守っているため何本か矢が刺さっている、アルとロードさんも盾をかかげ二人を引っ張るように退却してくる

ティアの放つ矢がセーフティーエリア内に吸い込まれるように飛んでいく

僕は浮遊盾を浮かばせ、アル達の近くに走りクレイで低い壁を何個も作り撤退を援護する

レインさん達の所に戻り、慌ただしくフィストが2人の介護を始める

「二人とも、リーダーがでてくるよ」

ティアがそういうので見えているのだろう。アルもミラが気になるようだが、敵が目前にいるしミラは別PTだ敵に視線を向けた

「よっし!それじゃあここからは僕らにまかせてくれ!ノエル君が撤退用に作ってくれた土壁を使わせてもらうよ」

「はぁ~やれやれ・・・」
いつも通り、気だるげなゴッツさん
「やってやりますかー!」
魔法少女のような雰囲気のリムさん
「うーん~いい運動になるね~」
おっとりとした雰囲気のメイサさん

その4人が堂々の登場のように歩いていく。正直見た目はレインさん以外ぱっとしないが、雰囲気は全員大魔法使いだ

ゴブリンリーダーもセーフティーエリアからのそりのそりとその重たそうなお腹を揺らしながら出てきた

「ゴッツ、リム、メイサ、自分の有効射程にはいったらとにかく撃ち続けるんだ」
「へいへい」
「りょうかーい!」
「は~い」

ゴブリンリーダーの後ろからも取り巻きが出てきているが、見たことないやつもいる

「あの肌の白っぽいのはなんです?」

「あれはハイゴブリンだね、近接も魔法もこなす器用なやつだけどDランクの魔物だからうちらなら適正だよ」

リーダー1体にハイゴブリン3体、ホブゴブリン2体にゴブリンが6体か

「まず敵の後ろをとるぞ、ノエル頼めるな」

「分かりました」

戦いはゴブリンリーダーの呻き声から始まった

ゴブリンリーダーは我先にとその巨体に似合わぬ速度でこちらに走ってくる

レインさんの風魔法のウィンドスラッシュがゴブリンリーダーに当たっているが、当たる前に弾かれている様子だ。レイの時は確かに当たっているが今回は明らかに弾かれていた

その他にも火、水、土の魔法もことごとく弾かれている為・・・初級魔法はやはり弾かれる?と思ってしまう

そのタイミングで治療を終えたフィストも前に出て、中和の横に並んだタイミングで僕らはブリンクでゴブリン達の後ろをとる

「よし・・・向こうは任せるしかない。シスレーはホブゴブリンへ、俺とティアはハイゴブリンだ。ノエルはゴブリンを全部片付けてシスレー、俺達の順番で援護だ」

「おっけー!」
「了解」
「分かりました」

各自散開となり、僕はゴブリンの方へ
(マジックミサイル)

ゴブリンはバラバラとしている為、全てを一気に倒すのは難しいがマジックミサイルの感知範囲にさえ入れば簡単に倒せる。マジックミサイルを先うちで停滞させておく

3個のマジックミサイルがゴブリンに飛んでいくと、1匹を簡単に消滅させた

そこでゴブリンは僕らが後ろにいることに気づき、前方のレインさん達に向かうものを止めたやつはこちらに向かってきた

そのまま進んでいってしまったやつは申し訳ないが、フィストか中和に任せるしかない

ゴブリンならスリップでほぼ一網打尽だ
こちらに2匹固まってくるゴブリンはスリップで足止めだ!

スリップから離れたゴブリンはナイフをぶんぶん振り回しながら向かってくるが、直線的な動きならアイスショットで十分だ

(アイスショット!)

ゴブリンの心臓をえぐり消滅させる

近くにホブゴブリン1体もいた為、これはシスレーが担当だったが1匹は僕の方にやってきた

マジックミサイルを放つと持っているこん棒で3発中2発をかき消されたので、あまり有効そうではないようだ

レイを使いたいが、ハイゴブリンもいるためここは省エネでホブゴブリンを倒したいと思いフリーズタッチで近距離戦に持ち込む

躱しながら、浮遊盾で防ぎフリーズタッチを当て続けるとホブゴブリンは消滅していった

スリップにひっかっかっているゴブリンもアイスショットでトドメを刺すと、ゴブリン4、ホブゴブリン1を討伐完了だ

「みんなは、どうだ」

自分の戦闘に集中していた為、周りの様子をみていなかったが、僕には自分の戦いをしながら他者を気に掛けるほど、まだそんな余裕はない。アルの作戦指示から散開してしまった為、みんなバラバラと距離をあけ戦っていたが、真っ先にシスレーを無意識に探していた

僕がみた瞬間に、シスレーはハイゴブリンの石のつぶてをくらいその隙をホブゴブリンの棍棒でふきとばされていた

(ブリンク!レイ!)

シスレーとの距離はさほど離れていなかった為、思うよりも早く魔法をつかっていた。ブリンクで一気にかけよりホブゴブリンを瞬殺していた

「ファーストエイド」

「いてて・・・ごめん、油断しちゃった」

「大丈夫ですか」

「うん、そこまでのダメージじゃなかったから、ファーストエイドで治ってるよ」

普通に返事が返ってきたので一安心だが、シスレーがホブゴブリンでこの状況だアルとティアは!?

アルは盾をかかげ防戦一方で1匹のハイゴブリンにタコ殴りに、ティアは距離も保ちながら魔法矢をうつがハイゴブリンには正面からの攻撃にたやすく防いでいる。そこに魔法に専念しているハイゴブリンの魔法が3人に飛んで行っていたようだ

僕らはゴブリンリーダー用に作戦を練っており、その他の下位生物たちのことは漏れていた。僕らはまだDランク、ハイゴブリンでさえ1対1なら手こずる実力だ・・・レインさんの作戦をお粗末と思っていたが、僕らもまた爪が甘かったようだ

「シスレー、立てますか」

「うん、もう平気!」

ポーションは毒などの心配がある為今は温存だ、もう一度ファーストエイドをかけてアル達の援護へ向かう

「ノエル君、先に後ろから魔法だけうってる小賢しいやつからいこう!やられた仕返しがしたいの!」

「分かりました、僕もシスレーを傷つけたやつに怒りが燃えているとこなので」

「トドメはうちにやらせてね!」

「はい!」

シスレーとブリンクでハイゴブリンの後ろへ。魔法を放つハイゴブリンへシスレーが

「疾風!」

シスレーお得意の3連撃、今回は朝日と宵闇の二刀流

ゴブリンの背中に白と黒のエフェクトの様な斬った残像が走り、ハイゴブリンは膝をつく

「ぐお!」

ハイゴブリンは驚きなのか痛みなのか声をあげるが

すかさず僕は膝をついたハイゴブリンへアイスショットの2連撃を打ち込む

「ぐぉぉおお・・・」

ハイゴブリンは今にも消滅しそうな断末魔をあげ

「ソードダンス!」

最近シスレーが覚えた5連撃がハイゴブリンを切り刻み、ハイゴブリンの首が体とずれて行きながら消滅した

「シスレー次です!ティアが掴まってます!」

「いそごう!」

ティアが距離を空けることが出来ず、剣に持ち変えて戦っていたのだろうが・・・ハイゴブリンに馬乗りにされ殴られていた

(ブリンク!)

「はなれろ!」

シスレーを掴みブリンクでとび、ハイゴブリンに突進をして吹き飛ばす。ブリンク後の勢いのままだった為かかなり吹き飛んだハイゴブリンだが、自分にもかなりの衝撃がはしった

「ティアちゃん大丈夫!?」

シスレーがティアに駆け寄り、ティアを起こそうとしていた

「ファーストエイド!」

シスレーが声をあげるので、突進の衝撃を残したまま、僕は立ち上がりすぐにティアにかけよる・・・

あんなに美しい顔のティアの顔には、目に青あざが出来、口がきれて血を流していた。服も剥ぎ取られようとしたのかボロボロで下着が見えている

それでも致命傷はどこにもなく、ファーストエイドであるていど回復できている。だけど僕の計算で今MPを85使ってしまっているのでマジックポーションを飲む

「ファーストエイド!」

「ごふっ・・・ごめん・・・手も足も出なかった・・・」

「ううん!大丈夫!うちらPTだから一緒にあいつを倒そう!」

「ですね、ティアを傷つけた報いをあいつは受けるべきです」

「うん・・ノエル君、黒の弓おねがい!」

ハイゴブリンも立ち上がりこちらを見据えた

イベントリから黒の弓をだし

「私が倒したい」

「はい、僕はもうMPにそんなに余裕がないので僕がヘイトをとるので、シスレーと一緒に仕留めてください」

「うちもさっきMP半分つかったから、まかせたよティアちゃん」

「うん!」

小盾を浮かせず左手に装着し、右手にイベントリの肥やしとなっているどこで手に入れたかわからないショートソードを持つ

「うちが右からいくから、ノエル君は左から!」

「わかりました!」

アルのほうは盾で耐えていて、魔法が飛んでこなくなったので一人でも十分やれている・・・とアルを信じる。ここはMPを少しでも温存して回復に備えるために慣れない武器で戦うが、シスレーもティアもいる

シスレーが先に斬りかかり、そちらに気が向いた隙に、僕も斬りかかる

「この!」

僕が切りかかると同時に、ハイゴブリンは剣に慣れていない僕を分かっていたかのように、カウンターを狙ってきた

流石の反応速度でも、攻撃のあと隙はどうしようもない

ガンッ

小盾でなんとかハイゴブリンの殴りを防ぐが、盾を使ったのも初めてだった為ふんばりがきかずしりもちをついた

ヤバイ!と思ったと同時にシスレーが、ハイゴブリンを斬りつけてハイゴブリンの動きが止まる

「立って!」

シスレーの声ですぐに立ち上がり、また剣と盾を構える

ハイゴブリンは練度の低い僕に狙いを定めたのか、もう一度こちらに連撃のように殴りをくりだしてくるが・・・盾で受けず避けに徹すれば僕には当たらない

無駄に攻撃するよりも避けて、攻撃はシスレーとティアに任せることに・・・ティアから攻撃がとんでこないがティアのことだ何か狙っているのだと思い信じて、僕はハイゴブリンの攻撃を躱すことに専念する

僕が攻撃もせず避けるだけとなり、ハイゴブリンは激怒しているように攻撃が大振りになり始める。まさに思うつぼだ

そこにシスレーがダメージを蓄積させ、動きすらも悪くなっていく

「ごおおおお!!!!・・・・」

ハイゴブリンが怒りを爆発させたように、雄たけびをあげながら力を増すような雰囲気をまとったかと思う刹那

1本の緑に輝く閃光がハイゴブリンの体を突き抜けて行った。体に空いた穴を確認するかのように動きながらハイゴブリンは消滅した

その緑の閃光が何か僕にはわかりティアの方を向くと、ガッツポーズをしたティアがこちらに向いていた

悠長にしている場合ではない、次はアルだ!

そう思っていたがアルは一人でハイゴブリンを仕留たのか、アルの側にハイゴブリンはいない。だがアルもうつ伏せで倒れている

「アル!」

アルに駆け寄り、抱き起すと息はしているがティアよりも顔面に殴打後が多く体の見える所も赤く腫れあがっている

「・・・そっちはだいじょうぶか」

喉もやられたのか、口の中を切ったのか分からないが上手く喋れておらず活舌も悪い

「はい、シスレーもティアも軽傷で済んでます。取り巻きは全て倒しました。ポーションです」

ポーションのふたを、右手の親指でキュポンと音を立ててあけ、アルに飲ます

「ふー・・・死にかけたが一人でも倒せたぜ」

「流石です」

アルの装備は丸盾と魔法エンチャントのロングソードだった。オリハルコンは盾と併用するには片手で扱わないといけないが今のアルには両手ではないとその能力をはっきできないようで、この装備となっていた

シスレーもティアに肩を貸し、こちらに歩いてくる

「アル大丈夫?」

「ティアこそ大丈夫か・・・悪いな俺が1体すらまともにひきつけれねーから」

「私こそ・・・弓が全く当たらなくて・・・ごめんね」

お互いに顔や体についた、ファーストエイドで癒えていない傷をみている

「ティアとシスレーもマジックポーションか回復ポーション飲んでください。まだリーダーは健在のようです」

「そうだね、回復ポーションもらうね」

「うちはマジックポーション飲むよ」

中和とフィストがどのように動いているのか分からないが、ここから見えるのはゴブリンリーダーが飛んだり跳ねたりと自由に動いている姿だけだ

「アル、ポーションだけじゃどれぐらい回復できてます?僕も残りMPが少なくて先ほどマジックポーション飲んだのであまり回復してあげれないのですが」

「・・・悪い、回復一度頼む」

やはりアルはかなり無理をしていたようでポーションだけではまだ動けない様子だが、それは仕方ない。というよりダメージを負った状態で一人でハイゴブリンを倒したのは勝算するべきだった

「悪くなんてないですよ、ファーストエイド」

ここで自動回復分をいれてMPは残り20ほどかな・・・あまりに心もとないMPにゴブリンリーダーを中和とフィストが倒してくれるという淡い期待をもってしまう

「動けるようにはなったが、少し体は重たいか・・・」

「どうするの私達もリーダーの討伐を手伝うの?」

「どれくらいフィストと中和がリーダーを削っているかだね」

こういう時の判断はアルだ、ここで僕らの役目はおわったと思い傍観するか援護するか、撤退するかも自由だ

「正直言って・・・俺は思い上がっていた。リーダーを倒しにきているのだからハイゴブリンなどは余裕だと、だが俺たちの実力じゃあハイゴブリンでもやっとだ。ましてやリーダーなんて今は無理じゃねーかとおもっちまってる」

みんなアルの言葉を黙って聞いている

「中和の魔法がリーダーに全く効いてなかったことからして、フィストじゃ恐らくリーダーを倒せない。ここは撤退が正しい判断だと思うが・・・」

そこまでいい、後の言葉があると思うが、言葉に詰まっている様子だ

「正しいが、ミラを助けたいとかですか?」

「・・・そうだ」

「アル。シスレーとティアを危険に晒すほどの物でしょうか?」

「いや・・・だから俺一人で行く」

「ふ~ん・・・」

正直僕は撤退を選びたかった、万全の状態ならまだしもアルとティアは回復しきれていない。リーダーがどれぐらい削れているかも分からない今、まだ僕らはリーダーに気づかれていないからだ

僕の様子にアルは決心がついたように言葉を口にした

「ノエル、2人を安全に地上へ送ってくれ」

「?」

「なんでここでとぼけた顔するんだよ」

「なんで僕しか見てないんですか?僕は正直アルを置き去りにしようかと考えてましたが、シスレーとティアは戦う気でいますよ」

ティアは黒の弓の弦を引っ張り、調整しているかのようにし。シスレーは腰に黄昏もセットし屈伸をしている

「え?戦わないの?」

「リーダー倒すために準備したのに?」

僕やアルよりもよっぽど心がタフな二人。ハイゴブリンにいいようにされたのに自信があるようだ

「僕はアルは置き去りにしますが、シスレーとティアは置き去りにしないので二人が戦うなら戦いますよ」

「ノエル・・・いいのかティア、シスレー」

「ミラって人がどうとか知らないけど、リーダーを倒す準備はしてきたじゃん」

「うんうん、最初から祝福だけで倒す予定で作戦考えてきたんだから。他が削ったか削ってないか関係なかったね」

「だ、そうです。僕はリスクは負いたくないのですが・・・冒険者ならたまにはいいかもと思います。ファーストエイド」

この作戦会議で5分ほど経っていた為、アルに回復を掛ける。僕もまたレイクペイントとメルトゴーレムを倒せた経験から心が強くなっている事を感じる

「・・・ありがとう、みんな」

珍しくアルがお礼をいい、頭をさげた

「鳥肌が・・・」

「お前こっちが真剣に言ってんのによ!」

「まぁまぁ二人とも早くいくよ!まだフィストたちが頑張ってるんだから!」

「そうだな!行くぞ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

不眠騎士様、私の胸の中で(エッチな)悦い夢を【R18】

冬見 六花
恋愛
「店主、今日も俺を抱きしめてくれないか…?」 枕屋を営むアンナの元を訪れたのは不眠症で悩む褐色の肌の騎士様、レナード。 急遽始まった不眠治療はなかなかうまくいかないものだったが、ようやく見つけた治療法は眠る前に彼を抱きしめてあげることだった。すると夜な夜な眠っているレナードとの淫靡な行為が始まってしまい……―――― 【女子力低めな巨乳美人枕屋店主 × とある悪夢(無自覚)で悩むオカン系スパダリ騎士様】 ◆拙作「美形司書さんは絶倫肉体派」と同じ世界観のお話。 ◆単独でお楽しみいただけますが、一部「美形司書さん」のネタバレがあります。

婚約者の様子がおかしい。明らかに不自然。そんな時、知り合いから、ある情報を得まして……?

四季
恋愛
婚約者の様子がおかしい。 明らかに不自然。 ※展開上、一部汚い描写などがあります。ご了承ください。m(_ _)m

伯爵令嬢の秘密の愛し子〜傲慢な王弟は運命の恋に跪く

コプラ
恋愛
♡ドラマティックな愛憎劇の果ての超絶溺愛ハッピーエンド♡ たまにはこんな王道ラブロマンスで世界観に浸ってみてはいかがでしょう♡ ★先行ムーンにて日間連載ランキング最高位3位→2位(new❣️) お気に入り500new❣️ありがとうございます♡ 私の秘密は腕の中の可愛い愛し子にある。 父親が誰なのか分からない私の愛する息子は、可愛い笑顔で私を癒していた。伯爵令嬢である私はこの醜聞に負けずに毎日を必死で紡いでいた。そんな時に現れたあの男は、私が運命だと幼い恋を燃え上がらせた相手なの? 愛し子を奪われるくらいなら、私はどんな条件も耐えてみせる。夢見がちな私が一足飛びに少女から大人にならなくてはならなかった運命の愛が連れてきたのは、元々赤の他人同然の正体を明かされた大人の男との契約結婚生活だった。 燃え上がった過去の恋に振り回されて素直になれない二人のその先にあるのは?

ダメダメ妻が優しい夫に離婚を申し出た結果、めちゃくちゃに犯される話

小野
恋愛
タイトル通りです。

物語のようにはいかない

わらびもち
恋愛
 転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。  そう、言われる方ではなく『言う』方。  しかも言ってしまってから一年は経過している。  そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。  え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?  いや、そもそも修復可能なの?   発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?  せめて失言『前』に転生していればよかったのに!  自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。  夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。

アルファポリスでホクホク計画~実録・投稿インセンティブで稼ぐ☆ 初書籍発売中 ☆第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞(22年12月16205)

天田れおぽん
エッセイ・ノンフィクション
 ~ これは、投稿インセンティブを稼ぎながら10万文字かける人を目指す戦いの記録である ~ アルファポリスでお小遣いを稼ぐと決めた私がやったこと、感じたことを綴ったエッセイ 文章を書いているんだから、自分の文章で稼いだお金で本が買いたい。 投稿インセンティブを稼ぎたい。 ついでに長編書ける人になりたい。 10万文字が目安なのは分かるけど、なかなか10万文字が書けない。 そんな私がアルファポリスでやったこと、感じたことを綴ったエッセイです。 。o○。o○゚・*:.。. .。.:*・゜○o。○o。゚・*:.。. .。.:*・゜。o○。o○゚・*:.。. 初書籍「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」が、レジーナブックスさまより発売中です。 月戸先生による可愛く美しいイラストと共にお楽しみいただけます。 清楚系イケオジ辺境伯アレクサンドロ(笑)と、頑張り屋さんの悪役令嬢(?)クラウディアの物語。 よろしくお願いいたします。m(_ _)m  。o○。o○゚・*:.。. .。.:*・゜○o。○o。゚・*:.。. .。.:*・゜。o○。o○゚・*:.。.

最低ランクの冒険者〜胃痛案件は何度目ですぞ!?〜

恋音
ファンタジー
『目的はただ1つ、1年間でその喋り方をどうにかすること』  辺境伯令嬢である主人公はそんな手紙を持たされ実家を追放された為、冒険者にならざるを得なかった。 「人生ってクソぞーーーーーー!!!」 「嬢ちゃんうるせぇよッ!」  隣の部屋の男が相棒になるとも知らず、現状を嘆いた。  リィンという偽名を名乗った少女はへっぽこ言語を駆使し、相棒のおっさんもといライアーと共に次々襲いかかる災厄に立ち向かう。  盗賊、スタンピード、敵国のスパイ。挙句の果てに心当たりが全くないのに王族誘拐疑惑!? 世界よ、私が一体何をした!?  最低ランクと舐めてかかる敵が居れば痛い目を見る。立ちはだかる敵を薙ぎ倒し、味方から「敵に同情する」と言われながらも、でこぼこ最凶コンビは我が道を進む。 「誰かあのFランク共の脅威度を上げろッッ!」  あいつら最低ランク詐欺だ。  とは、ライバルパーティーのリーダーのお言葉だ。  ────これは嘘つき達の物語 *毎日更新中*小説家になろうと重複投稿

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

処理中です...