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第124話 サイシアールの現在2

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作戦会議の次の日に僕らは物資の準備を終わらせ、アルは顔合わせと討伐の作戦内容の共有を他2PTとすると、その日のうちに僕らはサイシアールへと旅立ったのだ。

今回は現地集合ということで、サイシアールまでの道のりは4人での移動となった為に、シンさん達のお墓にみんなで寄ることに

「ごめんね、みんな付き合って貰って」

「いや、気にするなよ」

「うんうん、私もコンタクトがどんな感じなのか見たいからね」

今回は3日目の朝に希望泉に行くことに。わざわざ夜に行く必要はないのだ

「へー、綺麗な場所だね。空気もなんというか・・・浄化されているような澄んだ場所」

「そうなの?ノエル君がホーリーライト使ったからかな」

エルフのティアがそんな事をいうと、それっぽくてここは神聖な場所のように思える。こういう泉とかに水の精霊とかがいるもんなんだろうか。

「あれがシンさん達の墓か?立派だな」

「ノエル君が準備してくれたからねー」

シンさん達のお墓はやはり野ざらしの為、あれから2か月ほどだが少し土や枯れ葉などで汚れている。

リコールかけようと手をかざそうとしたが

「あっノエル君まってー、うちが自分で掃除する」

「あっそうですね」

「俺も手伝うぜ、ノエル雑巾だしてくれ」

そこからみんなでお墓掃除をする。アルは前回馬鹿笑いをしてしまった為の罪滅ぼしなのか、それともこういうことには真摯に向き合うのか分からないが手を抜かずに、黙って掃除をしていた。

「みんなありがとう、シン達も喜ぶよ」

最後にお花を手向けると挨拶がてらに魔法を使う事に。

「じゃあコンタクト使いますよ」

「うん」

「コンタクト」

コンタクトを使用すると、お墓の墓石の上に座ったシンさんと手向けた花を触るように目出ているメリアさん、地べたに体育座りでいるエマさんがでてきた。

「うぉ!?あっ失礼。こんにちは」

「え!?」

やはりこの現象は慣れないもんで、突然でてくるのでびっくりしてしまうが・・・僕と同時に横にいるティアも声をあげた

(よぉノエル!)

(子供、はやく慣れろ)

(こんにちは~)

「ノエル、そこにいるのか?」

「いるいる!私みえるんだけど!」

「え?ティア見えるんですか?」

「見えるよ!お墓の上と地べたに座ってる少女と、お花をみてる人!」

ティアが言っている事は本当のようだ、なぜティアがみえているのか不明だが

「なんでティアちゃんも?まぁいいや、これシンとエマがくれた武器で作ったの」

(へー、いいじゃねーか)
(私が光のほうだな、シンは闇だな)
(は?俺が光だろ!)

「あっ消えちゃった!」

「ですね、効果が切れたようです」

少しごちゃごちゃしてしまったが、一応シンさん達の言葉を伝える

「はぁ・・・別にどっちがどっちのとかないのに」

「ですね、それよりティアが見えていたことが気になりますが」

「多分ね、ノエル君を掴んでたから。もしかしたらできるかなって思ったら本当にできちゃったからビックリしたよ。あっでも声は聞こえなかったなー」

「え!?え!?うちもそれやりたい!」

流石ティアだなと思ったが、声がきけずとも姿が見れるってシスレーとしては試したに違いないはずだ

「ちょっと喋る人とか決めときましょうよ、今回は次で最後なので」

「あっ俺一言だけ喋りたい」

「私はいいよ」

「じゃアル君の後はうちが喋るね」

「では」

僕はシスレーとティアの手を握り、アルは僕の肩へ手を置くと

「コンタクト」

さきほどと同じ位置にみんな現れた

「うぉ!?」

「うそ!シン、エマ、メリア!!」

アルやシスレーにも見えているかのような反応をしている

(ぐっやっぱ連続はしんどいわ、次から一回だけで頼むな)
(もう眠い・・・)

「あっ分かりました、あっ早くアル」

「あっそうだな。俺はシスレーのPTのリーダーだ、ノエルと一緒にシスレーを守るから安心してくれ」

アルがそういうと声が聞こえないという事をシンさん達は分かっているように、シンさんとエマは親指をあげグーと表現し、メリアさんはお辞儀をした

アルはそのジェスチャーを見て頭を少し下げる

「うちはねー、いっぱいあるけどねノエル君が幸せにしてくれてるんだー」

(は?なんだこいつ!のろけ話喋りにきたのか!?)
(子供!!ちゃんと躾て!)
(遊んでばっかりじゃ駄目よ)

「あっはい・・・よく言っておきます」

その後もシスレーには声が聞こえない為、色々と喋りをつつけるが

(シスレーがなんかいってるがもういい、この森を南に向かったダンジョンで死者や呪いにかかるやつが多いからな、気をつけろよー)
(魔物じゃないやつもいるから気を付けて)

シンさん達はそんな言葉を残し消えて行った

「あっ・・・あっという間・・・」

「だな」

「でもアルの言葉伝わってたね」

「ですね、それと喋ってた内容伝えますね」

シンさん達の言葉をみんなに伝えると

「えー、別にのろけ話じゃないけどな~。元気だよって言いたいだけだったのに」

「・・・そこじゃねーだろ。シンさん達がいってたのって最近見つかったっていう湿地帯のダンジョンだよな」

「恐らくそうですね、魔物じゃないってことは人でしょうか?」

「呪術師かな~。最近みなかったけど、いたらめんどくさいな~」

「ティアちゃんの最近ってどのぐらい?」

「ふふ、内緒ー」

僕も少し気になったが、ティアは年齢のことになるとはぐらかすのだ

とりあえずの事は終わったため、湿地のダンジョンが気になるが今回はサイシアールのゴブリンリーダーだ。気持ちを切り替えるようにアルが出発を促す

「よし、じゃあサイシアールへ行くか!」

「シン、エマ、メリア、バイバーイ」

「お邪魔しましたー」



その後1日後にサイシアールへと到着したのだった

「なんか草木が少なくなったな」

「ですねー、それに人が多いような」

前回来た時は、地面のレンガの隙間から雑草が伸び散らかしジャングルのような感じで、建物も崩れていたのがここ北門付近では修復が始まっているのだ

「前回の調査でサイシアールはまだ有用だと証明されたのかな?それとも湿地のダンジョンへ行く通り道だから?」

「両方だろ、ある程度魔物を一層したからこれからまた活気づくかもな」

北門から時計塔のある広場へ続く道、周りではコンコンと大工さんたちが修復している音や、恐らく低ランクの冒険者が草抜きや掃除などをしている

店主の店もショーウィンドウのガラスは割られているが、店の中は綺麗に片づけられていた

時計塔の広場が一番賑わっている感じで、宿屋や酒場が開いていたり道具屋も空いているようだ

「おいおい、すげーな。まだ1年しかたってないのによ」

「ですね~・・・怖くないのでしょうか」

「商人はそういう所は冒険者より、肝が座ってるよねー」

「でもいいじゃん、今日はテントじゃなく屋根があるとこに泊まれそうで」

時計塔の広場にいるのは、ほぼ冒険者だろう。皆鎧に武器を携えているからだ、前回の調査で質より量ということで冒険者を募り100人前後での調査隊を1度送り出しているそうなのだ

その名残で残っているのか不明だが、サイシアールのダンジョンはお金や食料に困らない為EランクやDランクの冒険者はダンジョンに入れると分かればサイシアールに留まるのも分かる気がする。また湿地のダンジョンもサイシアールからなら徒歩3日ほどのようだ。

広場の近くにギルドもあるが、そこも改装され外から見ても冒険者の出入りがある為、ギルドとして機能し運営されているようだ。

時計塔へブリンクで登り、街を一望すると復興されているのは北門から広場、南門までの北から南までの一直線の大通のみで、東門と西門付近はまだ草花が生い茂り、建物は半壊状態のままだった。

「ん?どこいってた?」

「時計塔です。上から街の様子をみてきてました」

「どうなってたの?」

「整備されているのは北門から広場、南門でしたね。西や東はほぼ手付かずでした」

「ふ~ん、南は湿地のダンジョンへ行くからだよね」

「そうだろうな、ギルドでも湿地のダンジョン関連の依頼が多いからな。サイシアールが一番近い街だしな。とりあえず中和とフィストと合流しようぜ。ギルド集合になってるからもしかしたら伝言とかあるかもしれねーしな」

サイシアールは拠点としても立地的に有用な場所なので、このまま復興すると今年中に去年の様子と同じようになるのではないかと思うが・・・僕は住みたいとは思えないな

アルに続いてギルドに入ると

「おぉノエル君もきたかい!」

「あっレインさんお久しぶりです、今回もよろしくお願いします」

「あぁ、よろしく頼むよ」

レインさんは中和の力のリーダー、風属性の魔法使いだ

魔法使い至上主義の中にいる為、魔法が使える僕には優しく声を掛けてくれるが他のみんなには事務的にしか接することがなく少し居心地が悪い

「ノエルー、げんきー」

「やっほー、久しぶり~」

「メイサさんにリムさんもお久しぶりです」

この二人はレインさんから僕を勧誘するように色仕掛けのような事を仕掛けてくるが・・・僕はシスレーにティア、ナタリーと女性への見た目のハードルがあがっている為、こんな事でなびくわけがなかった

軽く会釈をすると、シスレーが僕の手を引くので向こうも下がっていく。今回はティアもいるために流石にティアには勝てないと踏んだのだろう。

「レインさん、フィストのメンバーにはあってるのか?」

「あぁ彼らも今日到着してね、渡り鳥の小宿っていうとこに泊まってるよ」

「そうか、じゃあ予定通り明日の朝6時に出発でいいんだな」

「あぁ予定通りだ」

アルがレインさんと明日の予定の最終確認を行っているので、僕らはサイシアールのギルドを見て回る

僕がギルド登録をした受付のお姉さんの席には、今はごつい男の人が受付をしていた

建物は同じだが、雰囲気は全く違い、あの和気あいあいとした雰囲気はまだない

買い取りをしてくれたドワーフさんのとこは、まだ買取カウンター自体が閉まっていた

依頼ボードも・・・サイシアールの掃除と湿地のダンジョンで取れる素材かな?そんなのがチラホラだけある為、街自体は復興の兆しがあるが、まだサイシアールのギルドとしてはこれからなのだというのが分かる。

「何もないねー」

「ですね、湿地のダンジョンの依頼もここじゃなく他の街の方が多く出ているようですね」

「住民がいないと依頼も出ないもんね、これからだよきっと」

依頼ボードの前で喋っているとアルもレインさんと打ち合わせを終えて合流

「明日の6時にギルドのダンジョン前に集合だ。俺たちも宿屋にいこうぜ」

「僕サイシアールを見て回りたいのですが」

「宿とってからでいいだろ」

「分かりました」

広場の近くはほぼ宿屋となっているようで、中和とフィストは渡り鳥の小屋ということでそこを避けて宿屋を決めた


僕とシスレー、ティアで広場に隣接している道具屋などを見て回り、夜には宿屋と併設された酒場で4人で食事となる

「中和の女の子たち、やけにノエル君に近かったのなんで?」

「でしょ!あのメイサやリムって女いつもそうなの!」

「魔法使いを集めてるので勧誘ですよ」

「PTリーダーを目の前にしても勧誘するとか、ああいう感じが魔法使いっぽいよな」

「あっそれ分かるー、なんかずれてるんだよね」

「私が魔法使えるの内緒だよー」

「いやティアはエルフなんだから魔法使えて当たり前みたいな感じあるだろ。レインさん普通にティアは何属性の魔法使うのかって探り入れてきてたぜ」

「あちゃー、知性がにじみ出てたかー」

「それを言ったら僕もあふれ出てますね!」

「・・・」

「なんで黙るんですか」

こんな他愛ない話をしているが、明日は格上の相手に挑む討伐依頼だ。みんなに緊張感は感じられないのはいいことだった

「フィストの人達はどんな人ですか?」

「あー、リーダーはロードさんっていう20代半ばの獣人の男だな。他は顔合わせにきてねーから分からない」

「獣人ですか、あまり見かけませんね」

「獣人は連合国におおい種族だからねー、わざわざ海を渡ってこっちで冒険者をする人は少ないんだよ」

「でも獣人はヒューマンより力も強いし早いからな恐らくつえーぞ、それにシスレーより速いんじゃねーか?」

「ちょっと獣人と比べないでよ」

「まぁ悪い人じゃなかったから安心しろノエル」

「アハハ・・・どうしても知らない人達は、ガロ達のことが頭をよぎってしまいますね」

明日も朝早いという事で早々に切り上げて、僕らは眠りについた
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