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第116話 2回目のネバースノー

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「あっここの木の上にもピラーの実がなってるよ」

「了解!」

ブリンクで登り、バナナに似た果物を採取する

「採ってきました、これで10房は採れましたね」

「おう、ギルドは3房の納品だからもう十分か?」

「折角きたんだからもう少し取って帰ろうよ、私これ好きだけど中々市場に回らないから」

「ふ~ん、まぁノエルとティアがいいならいいぜ」

すでにゴルドット水は手に入れて、後はこのピラーの実の採取だけとなっていた

サリアさんがこのピラーを使ったパウンドケーキのようなものが美味しいと言うので、僕は張り切って採取をつづけた

このピラーの実は、山頂付近に自生するピラーの木になるようだが、木の高さも10mを超えている為、普通に木登りして取るには大変そうだ

それに一つの木に2房程度しかない為、登ったり降りたりするのもかなり苦労するだろう

現在一つの木に登り、ピラーを採取しているとしたから歌声とアル達の声が聞こえてきた

「またハーピィでたのかな、急いで降りよう」

下に降りると、倒れているナタリーとサリア。今にも倒れそうなふらふらのシスレーに、平然と弓を撃つティアと剣をふるうアル

「ノエルおせーぞ!」

「すいません!マジックミサイル!」

マジックミサイルを撃つと同時にシスレーの元へブリンクで飛び、抱っこで抱えると、ナタリー、サリアもつれて一カ所に固める

ハーピィは群れで行動するようで誰か一人でも、連れ去ると帰って行ってしまうのだ

一度サリアが狙われて、運ばれようとされていた時は流石に焦ったものだ

ハーピィはマジックミサイルを振り切れるほど、速くは飛べないようでマジックミサイルやティアの矢を当てると地面に落下するのでそれをアルがトドメを刺していく

「ふー、今回もなんとかなったな。ナタリー達をおこしてやれ」

「はい」

気つけ針を刺すと、サリアもナタリーも目を覚まし、僕の腕の中で寝ているシスレーも目を覚ました

「また寝てしまいましたわ・・・申し訳ございません」

「私もだわ・・・」

「うちも、ノエル君に抱えられたら安心してそのまま寝ちゃった」

「まぁ仕方ないよ、ウィンドシールドないんだから」

ハーピィの歌声に掛かるのはだいたいこの3人だった。アルには僕がウィンドシールドを、ティアは自分で、僕の体には効くことがなく、襲われてもなんとかなっていた。ディティマールは状態異常耐性が高いのか耐久値がみんなより高いからなのかは不明だ

「もうピラーの実はいいだろ、このまま降りてネバースノー目指そうぜ」

「ですね、18房とれたので十分です」

ここで今回の最終目的地ネバースノーを目指すことになった

「ノエル君、また助けてくれたんだね」

「もちろんですよ」

「ちょっと、そこの二人!イチャイチャしてますわよ!」

隊列的にナタリーとシスレー、僕は後方にいるので僕らの様子がナタリーには苦痛のようだ

「えー、お礼いってるだけなんだけどな」

「むむむ・・・そうですが、こうムカムカするといいますか・・・」

「やっぱりナタリーちゃんもいい人はやく見つけたら、心に余裕が・・」

パシンと頭をはたかれるシスレー

「余計なお世話ですわ!」

「いたぁ・・・」

「まぁ今のはシスレーが悪いですよね・・・」

「はぁ・・・わたくしだって、いい人がいればノエルさんみたいに助けてもらいたいですわ・・・」

「ナタリーちゃん、それは無理だよ。ノエル君みたいに強くて優しい人そうそう・・・」

またパシンと叩かれるシスレー

「いたい・・・」

「そんな事わかってますわ!」

「ナタリーも危険が迫れば、僕が助けますよ」

「ありがとうございますわ・・・はぁ・・・」

その後も口を挟む隙がなくなり、僕は二人の様子を見ておくしかなかった

山を下りた付近で日がくれ始めた為、森を抜けたあたりで野営をすることに

「はぁー・・・疲れましたわ・・・主に精神的に・・・」

「ナタリーごめんね」

「いえ、ノエルさんは割と普通というか変わってないのですが・・・シスレーはサイシアールから戻ってきた時から綺麗になって自信に溢れているというか」

元から体力が無いナタリーだが、シスレーのせいで心まで疲れている様子だ

「う~ん・・・あっじゃあこうしましょう!ネバースノー行ったら僕が全部奢りますよ、日ごろの労いも込めて宿も一番いいとことって、一番いい物食べましょうよ」

「まぁいいのでしょうか?」

「いいですよ、欲しい物もなんでも言ってくださいね。いっぱい楽しみましょう」

「はぁ・・・シスレーが羨ましいですわ・・・」

「え?うちが何?」

「なんでもありませんわ!シッシッ」

シスレーも悪気はなさそうな様子が、余計にナタリーに響くのだろうな

「あっアルー、このPTの副リーダーって誰?」

夕食の時に思い出したかのように、ティアが聞いた

「ノエルだろ」

「だよねー、ほらノエル君だって」

さも当然のように言うが、初耳だ

「僕ですか?僕はティアかナタリーだと思ってましたよ・・・今決めましょうよ」

「あ?そうなのか?」

「ナタリーは誰だと思ってました?」

「え?ノエルさんですわ」

「えぇ・・・」

「もうみんなノエル君だと思ってるじゃん、決定!よろしく副リーダー」

「・・・すごい嫌なんですが」

「仕方ねーよ、なんだかんだで頼りになるんだから。信頼の証だろ」

「そういわれると、断り辛い・・・この流れ・・・あっみんな押し付けようとしてますね!!」

アルが僕に優しい言葉をかける時は、だいたい裏があるのはもう分かっていたことだ。そう何度もかかってたまるか!

「ち、ばれたか」

「もうちょっとだったのにー」

「アルフレッド様の演技は完璧でしたわ」

やはりそうだったようだ、いつこんな罠があるか常に警戒しておかないといけないよ

「全く・・・僕が副リーダーになったら厳しくしますよ?みんなに何も買ってあげれませんし、宿も一番安い宿などにしますね。まずは無駄な経費削減を目指してPT運営をしますよ」

「副リーダーなんていらないね」

「わたくしもそれがいいと思いますわ」

「アルフレッド様が一番ですわ」

「だね、ノエル君は自由にしとかないとうちと行動できないもんね」

結論は副リーダーなんていらないということになったが、アル不在の時の決定権は一応僕がまとめるということで落ち着いた

話は変わり、ナタリーの恋人探しの話になり

「ナタリーはこのPTでティアの次にもてるんじゃねーの?サイシアールでも声をよく声かけられてたよな」

「くっ・・・このPTの美女たちは何がそんなに不満なのかしら・・・」

ギリギリと爪を噛むサリア

「わたくしの話はいいじゃありませんか」

こいう話は苦手だったがみんながいるので少し自分も楽しくなる

「ナタリーはどんな人が好きなんですか?」

「いえ・・・わたくしは・・・」

「子供に好かれる人っていってたよ」

「ちょっとティア!」

「おー、ナタリーらしいですね。子供に好かれる・・アルとか、ドンダゴさん?」

子供に好かれるというポイントだけ抑えているのがこの二人しか思い浮かばず、言葉にすると

「ノエルさん!ドンダゴさんはあんまりじゃなくて!」

「あっごめんなさい。あっサリア、ドンダゴさんも英雄ですよ」

「あら?こちらにも喧嘩売ってるの?」

「えぇ・・・ごめんなさい」

女性の建前の好きな人というのがあると後からシスレーがこそっと教えてくれたのだった



翌日の昼前にネバースノーに到着したのは昼過ぎだった

「なんか近かったですね」

「まぁな、街道進むよりは距離的に短くなるからな」

前回ネバースノーに来た時は、秋口だったが。今回は夏前だ

かなり暑さをましていて、僕はそっとスカーフを巻くのだった

「それにしてもあちーなここは・・・宿どうする?」

「ナタリーどこがいいとかありますか?」

「わたくしはどこでもいいですわ、よく知らないので」

「はーい、紅葉館がいいな!」

ティアが紅葉館がいいという事になり、そこに行くことに

「ティアはネバースノーきた事あるんですか?」

「ううん、初めてだよ。暑いねーここ」

「ですねー、前は秋に入ってたのでここまでじゃありませんでしたが」

「それにシスレーとペアルックなんてして・・・熱さをましちゃうよ」

「あってみんなの分もありますよ、熱耐性ついてるので涼しいですよ」

「ほんと!?貸して!」

ティアにスカーフを渡すと、気持ちよさそうに首に巻いていた

「えー、どうして貸しちゃうの・・・折角おそろいだったのに」

「シスレー、自分達だけいい思いはしちゃいけないよ」

「ティア、なぜスカーフを巻いて逆に涼しそうなのかしら?」

「あっナタリーにはこっちのスカーフを貸しますね」

燕の王子様になった気分で、ティアとナタリーにも装備を渡していく

「涼しいですわね、これでネバースノーがたのしめそうですわ」

「それは良かった、2人はポートランド一緒に行けてないので今回は尽くしますからね、なんでも言ってください」

「流石ー!今回はシスレーだけに独占させないようにしよう」

「ですわね、ノエルさんがこう言ってくれてますので存分に甘えさせてもらいますわ」

「えぇーーー・・・」

紅葉館に着くと、周りの建物よりひときわ大きい宿だった

「おぉ大きいですね」

「メルさんが一番いい宿って教えてくれたの」

高級宿なだけあり、1室が大きく、窓からはだだっぴろい火山地帯が広がっていた

宴会用の大きな部屋に、寝るとこ用に2部屋

みんなで1室借りれば十分な広さだ。その分1泊銀貨8枚と割高だが払えないことはないので即決した

「みんな一緒で良かったんですか?分けてもお金の心配はいりませんよ?」

「私はアルフレッド様と一緒の方がいいわ」

「折角みんなで来たんだから一緒でいいよ、部屋も広いしね。あっでもシスレーとノエル君は一緒の部屋で寝ちゃだめだよ」

「ねっねませんよ!」

「え?ねないの?」

ティアは楽しそうにからかってくるが、ナタリーはまたかと呆れた顔をしていた

「ノエル、武器に見にいこーぜ。飯や風呂にはまだ時間があるだろ」

「いいですよ」

「あっじゃあうちもいくー」

「アルフレッド様、私もお供しますわ」

「じゃあナタリー、先に私達は天然湯でゆっくりしない?」

「そうですわね、夕食はどうしますの?」

「ここの宿、ご飯も美味しいってメルさんが言ってたよ」

「じゃあ6時までに帰ってくるので、みんなで食べましょう」

「おう、じゃあ後で集合だな。ノエルいこーぜ」

僕達は2つに分かれて観光をすることに

前回来た時よりも、ネバースノーは活気が満ちていた。恐らくこれが本来のネバースノーなのだろう。前回は岩窟龍のせいで天然湯がとまっていたから客が少なかったのだと思う

「しっかし、至るとこに鍛冶職人だな。この暑さに炉の熱で・・・お前らあつくないのか」

そういうアルが僕ら3人を振り向くと

「まぁ普通じゃない?」

「アルの汗の量、みているこっちが暑くなりますよ」

「アルフレッド様、汗に濡れて色気も・・・」

涼しい顔をした3人だ

「・・・ノエル!俺にもよこせよ!」

「仕方ないですね、汗で汚さないでくださいよ」

アルにもスカーフを渡す

「ふーーーー、最初からよこせよな。女たちには率先して渡すくせによ」

「女性は汗でベトベトになるの嫌だと思うので」

「俺だって嫌だが?」

「あれ?そうなんですか?この暑さの中歩き続け、宿に戻って天然湯で汗を流したあとにキンキンに冷えたエールをグイっと・・・どうですか?」

「・・・確かに悪くねーな。帰りは外すか」

「うちもそれがいい!」

「私もアルフレッド様と一緒の事をやりますわ」

ビアガーデンなんてものがあれば、このネバースノーはもっとエールでも盛んな街になるだろうなと思う

基本アルが寄りたい武器屋によりながら、アルのおねだりを回避しつつ4人でネバースノーを歩き回った

「あの両手剣、あそこでしか打ってねーんだとよ!ノエル買うしかねーだろ!」

「欲しいなら自分で買えばいいじゃないですか。それにそんなの言ったもん勝ちですよ」

アルは武器のことに関しては、目がふしあなのようだ

「金貨3枚だぞ!安宿にしたら、買えるじゃねーか」

「いやいや、ならアルだけ安宿に泊まればいいじゃないですか。絶対あの武器に金貨3枚の価値はないですよ」

「ちっ・・・、ケチなやつだな」

「・・・明日、炎熱結晶探しやめようかな~。シスレー二人でまえ言ったホーク火山の天然湯いきませんか?」

「いいねー!やったー!」

「冗談だって!ほら宿に戻って風呂はいろーぜ!」

肩を組まれて、そのまま引きずられる様に宿にもどった

部屋に戻ると、ティアもナタリーもくつろぎながらボードゲームをしている

「おかえりー」

「おう」

「戻りましたー。アル天然湯行きましょう!」

今回の一番は結局これだ!露天風呂に早く入りたいのだ

「そうだな、ティア達わるいな。もう少し待っててくれ」

「いいですわ、どうやら夕食はこのお部屋に持ってきてくださるそうなので」

おぉ!前世の旅館っぽい!

「じゃあサリアさん、うちらもいこっか」

「折角だし私ももう一回いこっかなー、部屋にいるだけでも暑いから汗かいたよ」

「そうですわね、わたくしも行きますわ」

天然風呂に行くが、そこは正しく露天風呂だった。岩に囲まれたお湯に木か竹で囲まれた柵、雰囲気のある場所だ

「うわ~、すごいですね!」

「だな、それにここの湯はあんまり臭くないな」

硫黄の卵の腐った匂いが少し薄く、なにかまろやかな感じだ。これも高級宿だからなのか、湯の成分が違うのか分からないが、落ち着く匂いだった

「ですね!」

去年、お預けをくらったぶん、温泉の期待のハードルが上がっていたが、十分にハードルを飛び越えた物だった

かけ湯をするが少し熱い程度だが、丁度いい。すぐさまお風呂につかり足を伸ばす

「結構熱いな・・・いや熱すぎるぞ・・・」

アルが足を入れて、浸かるのに躊躇っている状況で

「え?そうですか?」

熱いが恐らく43度ぐらいで、少し熱いぐらいだ。僕には丁度いい

「皮膚まで化け物か・・・」

「ほら、浸かってしまえばそのうち慣れますよ」

「くっそ・・・」

アルは浸かってはち、浸かっては立を何回か繰り返した後ようやく落ち着いた

「はぁー・・・日頃の疲れが抜けていくようです・・・」

「お前に疲れなんてないだろ」

「失礼なっ!僕ほど働いて、PTの為に身を粉にしてるのも珍しいと思いますが!」

柵の向こう側から、シスレー達の声も聞こえるので隣同士なのだろう。向こうはキャッキャッと女性らしく楽しそうだ

「アル、お酒飲みます?この火山酒って天然湯に浸かりながら飲むのが最高らしいですよ」

「おっ!いいじゃねーか・・・いや・・・ずっと水分を我慢してたんだ、ここは後から飲むエールまで我慢するぜ」

「あっそうでしたね、のぼせる前に出ましょうか」

20分ほどゆっくりとお湯に浸かることも珍しかったが、いつまででもゆっくり出来そうな雰囲気に僕もアルも立ち上がることを渋っていた

「ふーー、熱いと思ったが今じゃ丁度いい温度だったな。出た後涼しく感じるな」

「ですね、僕も早くキンキンに冷えた飲み物を・・・」

今の状況は、コーヒー牛乳を一気飲みしたい気分だ・・・しちゃうか?アルに合わせる必要はないか

着替える前に、裸で腰にタオルを巻いた状況だ

イベントリから取り出して

ゴクゴクゴクッ

喉を鳴らし、その冷たい水分が火照った体にしみわたるように体をめぐる

「ぷはーーーーーおいしい!」

その様子を見て我慢できなくなったアルは

「おっおい!俺にもくれよ!!なんだその旨そうな飲み物は!」

「え?普通のコーヒー牛乳ですよ。エールはいいんですか?」

「あぁ・・・いや無理だ!それくれよ!」

わざわざ牛乳瓶っぽいのを探して、この為様に準備していていたが、異世界人にもこの良さがわかるようだ

「くううーーーーうめーー!エールよりこっちの方がうめーんじゃねーか」

「ふふ、天然湯の後はこれが一番ですよ」

「何知った被ってんだよ、はじめてだろーが」

風呂上りに王道の事をやり、満足した僕達は部屋にもどると、女性達は揃っていて食事がすでに準備されていた

「アル達おそーい!」

「わりぃ!おっ美味そうじゃねーか」

「遅くなってすいません」

「ノエル君、こっちおいでー」

シスレーに呼ばれ、隣に座る。目の前には会席料理の様な物が並べられている

みんな食事に手を付けずに、僕達をまってくれていたようだ

冷えたエールをみんなに渡し

「よし!じゃあ明日ノエルがオイルスワンプを採ってきたら、依頼3つを達成ということで前祝だな!かんぱい!」

「「かんぱーい」」

シスレーとサリアはエールを一気にゴクゴクゴクと流し込んだ。僕達はコーヒー牛乳を飲んだが、こっちの二人は我慢していたのだろう

「ぷはーー、美味しい!」

「我慢した甲斐があったわ」

「だな」

「いや、アルは我慢できてないじゃないですか」

「隣でうまそうに飲まれたら無理だろ」

「え?何か飲んだの?」

「はい、これを準備していたので。火照った体に最高ですよ」

「えー私もそれ欲しかった!」

「みんなの分一応準備してたんですけどね、渡すチャンスがありませんでした」

「うちとサリアさんは我慢してたのにー!」

食事が進むにつれて、徐々にお酒も進んでいく様子だ

「おっこの鳥肉、うめーな!」

「ノエルさん、エールのおかわりお願いしますわ」

「アルフレッド様、気に入りましたのなら私の分を差し上げますわ」

「ノエル君、酔っちゃったー。あっちいこー」

「ナタリーどうぞー。いやいや、僕まだ全然食べてないのですが」

「あっシスレー罰金!」

6人なのに、すごいガヤガヤしている。まとまった話をしないのが僕ららしいと言えば、僕ららしい

「明日は私達どうするの?」

「ノエル、火山は一人でいくのか?」

「そうですね、僕一人でパパっと行く方が安全ですし、速いです」

「だよな、じゃあ任せるわ」

「えー、うちも行くつもりだったのに」

「シスレー、オイルスワンプの天然湯までに、火山を登らなきゃいけないんですよ?」

「あっ・・・お留守番してまーす」

「炎熱結晶も頼むぞ」

「探してみますが、無かったとしても怒らないで下さいよ」

「いーや、見つかるまで帰ってくるなよ!」

「厳しっ!?」

「そうよノエル、アルフレッド様が英雄になる為に必要なものなのだから必死に探しなさい」

「ちょっとーアル君もサリアさんもーノエル君を虐めないでよ」

明日の予定も決まり、食事もお酒もドンドン進んでいく

「もう、私は女として自信がないわ・・・」

「サリアどうしたんですか?」

「お風呂一緒に入ってから、あんな感じになっちゃった」

「あぁ・・・まぁ・・・頑張れとしかいえませんね」

シスレーやティアのスタイルと自分のスタイルをまじまじと見比べてしまったのだろう

「サリアさん、あまり気にしない方がよろしいですわ」

「くっ・・・アルフレッド様~、女として一番重要な物はなんでしょうか~」

「あっ?めんどくせー質問してくんなよ」

「えー私もききたーい」

「チっ・・・強さだな」

アルは恐らくサーヤさんを思い出し、心や精神の強さという意味でそういったのだろう。でもそれを分かっていないサリアはまともに受け取り

「流石アルフレッド様、外見ではないということですわね!」

「サリア、恐らくアルはサーヤさ」

「ノエル黙って!」

「あっはい」

「ノエル君は女性の何をみてるの?」

ティアが僕にふってきた、確かに自分が振られたらめんどくさい質問だったが、僕はそういわれ前世での好みのタイプでなく、シスレー達の事がうかんでいた

「・・・何かに真剣に取り組んでいる横顔です」

「なんだそれ?」

「具体的に言うと、シスレーが絵を描いている時とか」

「エヘヘー」

「もう!のろけ話はいりませんわ!」

「これ3日ほど火山内を歩かせた方がいいわ」

僕がすぐに思い浮かんだのはシスレーだったが、でもサリアやナタリーにもそういう表情があった

「のろけとかじゃなくて・・・サリアが料理を教えてくれて貰った時や、ナタリーが子供達と接してる時もすごい綺麗な表情してるんですよね」

「あぁ・・・ノエルがいいたい事分かった気がするな。好きなことをしている時の表情って確かに綺麗だよな」

「まぁ///」

「ノ、ノエルのくせに・・・でもアルフレッド様も共感しているのなら」

「ちょっと、ちょっとーノエル君私はないのー?」

「もちろんありますよ。ティアはいつも綺麗ですけど、弓を撃ってる時が一番ですね!僕が一番好きだった表情はサイシアールの時計塔で必中の弓と呟いて撃った時はカッコよさと綺麗さを両立してました!」

「嬉しいけど、少し恥ずかしいかも」

「なにみんなに言ってるの!そこはうちだけでいいじゃん!それにティアちゃんだけ具体」

その後は逆に女性達のタイプの様なものを聞き

「私は特にないかなー?あっでも私より強い人は絶対だね」

「わたくしは前も言いましたが、子供に好かれる人がいいですわね」

「うちは、さっと現れて助けてくれる人」

「私は英雄ね」

こんな話も普段しない為、逆に新鮮な話だった。食事も終わり、麻雀やカードをしながら広い部屋で雑魚寝を始めてしまった。

こんなにくつろげるのも、旅行のだいご味なのだろうと僕も明日に備えて一人部屋に戻りゆっくりと寝たのだった


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