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第112話 報酬の分配

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サイシアールから帰還して2日が立った日

前日に拾ったスキルブックや武器を店主にみて貰いお金に変えたり、騎士団長さんから矢や食料を分けた分に色を付けた分を合わせた追加報酬をもらい金貨40枚ほどになった。

今日は外が雨の為、みんな拠点から出ずにリビングや部屋でごろごろした日となっていた

「雨ってうちきらーい」

「私もー、ジメジメして気分が落ち込む」

「そうかしら私は、結構好きよ」

キッチンでサリアさんは僕とクッキーを作りながら、みんなでだべっている状態だ

「ねえねえノエル君、ドロップ品や報酬お金にかえたんだよね?」

「はいかえてきましたよ、金貨43枚になりましたよ。スキルブックは結構残しているので売れば金貨60枚は行ってるそうです」

「すごいわ・・・」

「今日暇だし、その報酬均等に分配じゃなくてゲームで勝ち取りにしない?」

「あっ面白そう!」

「いいですわね、ちょうど頼まれたお菓子も焼き上がりそうですわ」

「ふ~ん・・・それ僕が全部貰っていいってことですか?」

「えっノエル君は審判やディーラーだよ?」

腑に落ちない・・・でも、僕が入れば不平不満だらけになるのは目に見えているので承諾。

「・・・仕方ないですね、アルに聞いてきますね」

「よろしくー」

アルに説明するとのりのりで返事がきた。


ナタリーは参加していないので、僕に金貨7枚、PT資金に金貨5枚。残り31枚を1位15枚、2位10枚、3位5枚、4位1枚の分配に決まった。

「ノエル、邪魔すんなよ?」

「しませんよ・・・逆に仲間外れにされてるのが気に入りませんが」

「えーいいじゃん、ほらここ座りなよ」

「ティアちゃん何サラっと近くに置こうとしてるの?こっちだよノエル君」

「ノエル、何か他に食べたいものあるの?作ってあげるからここに座ってよくてよ」

またもや第2回モテキがきたようだ

時間があるという事で今回は麻雀での勝負をするようだ

ジャジャラとかき混ぜる音から勝負は始まった。

僕はシスレーとティアの間に座り、サリアさんのクッキーを食べながら読書をしつつ様子をみていた。

(サクサクで美味しいな~)



「リーチ!」

シスレーの先制リーチから始まった。シスレーは僕がいなければ本当に運がいいようで、運が絡む勝負は勝ち越している印象だ。

「わりいなシスレー、ツモだ!」

「くっ・・・」

「流石ですわアルフレッドさま!」

ここでも、サリアさんはアルを持ち上げているが・・・

「おら!とおれ!」

「あっロンですわ」

アルにも躊躇わず直撃をくらわせている。

「はい!シスレーそれはとおりませーん」

「えぇ~!?」

今日に限ってシスレーは調子が悪い用で、現在びりになっていた

「・・・ノエルく~ん、一回代打ちしてー」

「僕はいいですが・・・」

シスレーの頼みにチラっとみんなを見る。

「おい!シスレーずるすんな!」

「絶対だめ!」

「ですわよ、シスレーさん往生際がわるいですわ」

「と言ってますよ」

「そこを何とか、お願い!」

シスレーがウルウルとした目でお願いしてくる。そんな演技だと分かった表情でも僕には効いしまう。

「・・・じゃあリーチの時一回ツモっていいですか?その時点棒と一緒に・・・僕の金貨1枚かけるので」

ただでは無理だと分かっているので、身を削る形にする。

「・・・一回だけだぞ」

「それ私も使いたい!」

「そうね、みんな平等に使えるならいいわ」

だがそれは悪手だったかもしれない。

「・・・僕になんのメリットが・・・」

もし失敗すれば、ただただ僕が金貨を減らすだけとなるのだ。

「は?シスレーだけなんで甘やかすんだよ」

「そうだそうだー!」

「美人優遇反対よ」

みんなの勢いに負ける、それに贔屓と思われてもいけない為にみんなの意見を僕は飲む。

「シスレーもそれでいいですか?」

「うん、許す」

シスレーの為だからやったのに、なんでデメリットしかない事しなきゃいけないんだと思うが惚れた相手だ、仕方ないのだ。



コトコトっと局は進んで行く。今か今かと僕も出番を少し期待するように待っていた。

「リーチ!ここだよノエル発動!」

「はい、金貨1枚リーチ!」

「くそ上がられるぞ!」

「誰かとめて!」

「私は無理ですわ!」

ゴゴゴゴゴっと効果音が僕の後ろで鳴り響いてそうな雰囲気から、牌に手をかけて・・・

「はいきた!ツモ!」

「いえーい!さすがー!これで逆転よ!」

結局僕は少しでもゲームに混ざれているという事でのりのりだった。シスレーとハイタッチをしてゲームを楽しむ

「くっそっ・・・もうシスレーに手貸すなよ!」

「くぅ~・・・」

昼ぐらいから始めた勝負も、3時を回っていた。みんなで騒いでいたら雨の音も気にならなくなっていたのだ。


オーラスになり

「リーチ!ノエル君!」

「はい!ティア勝ちましょうね!金貨一枚リーチ!」

アルとサリアさんも早々に僕のツモ権利をつかってあがっていたが、ティアは最後の最後まで残していたようだ。そのおかげで現在最下位となっていた。

「げっここでかよ!ノエルさがってろよ!」

「裏切者ー!」

「くっ美人にはゲームぐらいは勝ちたいわ!」

最後の牌を引き・・・

「ティア!逆転ですよ!ツモ!」

「やったー!」

「こんなことがあるのかよ・・・」

「まけた~・・・ノエル君きらい!」

「結局最下位ですわ・・・」

今回はティア、アル、シスレー、サリアさんの順番で勝敗が決まった

「何かっちゃおうっかなー」

「負けたが、こういう分配もわるくねーな」

ティアはもちろん、アルも1位を逃したからといって、2位だ。十分な金額をとっているので上機嫌なのだ

「ぐっ・・・ノエル君のせいで・・・」

「死ぬ思いして頑張ったのに・・・金貨1枚・・・」

3位はまだいいが4位の金貨1枚は流石に可哀そうだと思う。

「サリアさん、これあげるので元気だしてくださいね」

1冊のスキルブックを渡す

「えっ・・・これはなに?」

「召喚術のスキルブックですよ、店主なんていってたかな~?力強化っていってたような。覚えたら召喚した物の能力が勝手にあがるようですよ」

「えぇ!?これ金貨10枚はするわよ!?」

「みたいですね、だから売らずにとっておきました。これあげるので次も頑張りましょうね」

「救われたわ!ありがとう」

「へー、よかったなサリア」

僕がサリアさんに施しをしたので、期待のまなざしでシスレーが見てきていたが、シスレーには何もなかった

「そろそろ私、食事の準備にするわ。楽しいわねこういう分配も」

「まとまった金額の時はこれやるか!」

「いいねー!」

「あっサリアさん手伝いますよー」

「ちょっとちょっと!うちにはないの!?」

「金貨5枚手に入ってるじゃないですか」

こういう所でシスレーだけ優遇しないようにと心がけた行動だった。

その日の夜、シスレーは僕の部屋にきてグチグチと言われたのは言うまでもなかった
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