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第104話 転生者の食事事情
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マウンテンフロッグの大量発生の討伐が終わり、家にたどり着いたのは夜の8時を回っていた
帰るだけだったので、お酒を飲んでいたということもあり朝遅くおこしたからだった
「はぁー・・・やっとついたぜ・・・」
「みなさんお疲れ様です」
「もうーアルとシスレーが中々起きないから!」
「わたくしは孤児院の様子をみてきますわ、お疲れ様でした」
拠点に戻るとバラバラとした感じになる。
「あっナタリー食事は?何か出しましょうか?」
「ではパンを一つ下さいますか」
何種類か出して、気に入ったやつを2個ほど渡してナタリーは孤児院へ帰っていった
(そういえば窯作ってもらうんだった、シスレーつれてターナー先生のとこ明日いこっかな)
「僕お風呂行きますけど、誰か先入りたい人います?」
「私も入りたいわ、でもちょっと歩き疲れたから後でいいわ」
「分かりました」
「ノエル君、私はお腹ペコペコー」
「俺も肉だけ出してくれ」
みんなに食事を適当にだして、リコールをかけるとお風呂へ
リコールで綺麗になっているとはいえ、気持ち的にあのマザーフロッグで浴びた緑色の体液をちゃんと見える形で洗い流したかった
お風呂からあがり、食事を食べ終えると皆疲れているようで、部屋に早々と戻っていった
コンコン
「はーい」
「やっほー、今日はここで寝るから来たよ」
「僕も窯の事で話があったので丁度よかったです、どうぞ」
シスレーがパジャマに着替えて、部屋にきたので窯をどうするのか聞きたかった
ベッドに並んで座り、シスレーが描いた絵をみながら
「うちとしては、ここを増設してこのスペースに置くのがベストだと思うんだよね~」
「この絵のキッチン他の場所も手加えてます?広くなってるような」
「あっ分かる?前3人でキッチンに立ったら狭かったから、増設するならここもありかなって」
「ふんふん・・・シスレーもまたキッチンに立つってことですか?」
「え?うちのかわりに、サリアさんじゃん」
「・・・なるほど」
「一応予算は金貨20枚って感じでしょうか、明日ターナー先生のとこ一緒に行ってくれます?」
「えーどうしよっかなー?」
シスレーは嬉しそうな顔をして、少し意地悪っぽいことを言うので
「じゃあサリアさんと行きます、サリアさんの方が窯の事詳しそうなので」
そして僕も意地悪にかえす。
「だめだめ!うちが行くって!サリアさん本当にノエル君を第2候補にしようとしてるんだから」
「ほー、僕もアルのようにモテる日がくるとは」
そう冗談をいうとパシパシと頭を叩かれた
翌日、シスレーを連れてターナー先生の所へいくと、以前、拠点の改装をしてくれた職人をまた紹介してもらい、その日のうちに窯の設置と拠点のキッチンの増設が終わった
「サリアさんどうぞ!パン作りお願いします!」
「本当につくるなんて・・・このPTの資金繰りどうなってるのよ・・・」
「いえこれは僕のお金で作ったので」
「これが英雄の卵の経済力なのね・・・やっぱりありね」
サリアさんがそう言い切ると、シスレーはみんなに見えないように僕の腕をつねった
「ねぇねぇサリアはどんなパン作れるの?」
「食べたことある物はだいたい作れるわ。知らない物だとしても味や見た目などを聞いて、少しづつ似せていくことも出来るわね」
「サリアもしかして、料理の天才!?クロワッサンお願い!」
「あっうちは白パンの甘いやつ!」
「俺は肉を挟むとあうやつ頼むわ」
「はい!アルフレッド様!すぐにおつくり致しますわ!皆さんはアルフレッド様のあとね」
それでもサリアはアルファーストなのは変わりない用ですぐに料理に取り掛かる。
僕も窯が出来たらピザを焼きたかったので、広くなったキッチンにサリアさんと並ぶ
「あら?ノエルも作るの?」
「はい、でも生地の作り方が分からなかったので出来ませんでしたが、サリアさん教えてください」
「いいわ、どんなの感じのが作りたいの?」
僕は前世で食べたピザのレギュラー生地の説明をふんわりと説明し、食べた時の様子を伝えた。その時もサリアさんは、アルに頼まれたパンをこねていてその真剣な表情は絵を描いているシスレーと同じように綺麗な物だった
(・・・僕は真剣に何かに向き合ってる人に弱いのだろうか?)
心の中でそんな事を思いながら、サリアさんに少し見惚れながら生地を何個も作っていき発酵させるようだった。
「発酵済みの生地さえ作っとけば後は焼くだけなんですか?」
「う~ん、そう単純な物じゃないけど基本はそうね」
まぁ素人だし最初はゆっくりでいいか、それよりもサリアにお金を払って作って貰う方がいいのかもしれないなと思う。
翌日、朝おきるとすでにサリアさんは起きていてパンを焼き始めていた
まるでパン屋さんなのではないかと思える程、早起きだ。
「早いですね」
「もちろんよ、アルフレッド様に喜んでもらいたいもの」
結構、健気だなと思い、相手がアルでなかったら直ぐにでもいい人が見つかりそうなのにと思う
パンが焼けるいい匂いが立ちこみ始めると、サリアさんはアルが言っていたパンに挟む肉を作り始めていたが・・・
作り方をみただけでもそれはハンバーグなのだと僕にも分かった
サリアさんは王都暮らしだった為、もしかしたらよその転生者がすでに色々広めていたのかもと思ってしまった。チェスに麻雀があるくらいだからだ
僕がいったピザももしかしてサリアさんは食べたことがあるのではないかと思えたので、お願いした生地に期待が膨らんだ
「何か手伝いますか?」
「そう?じゃあそこの野菜を洗って、このぐらいの大きさにちぎってくれる?」
やはり作っているのはハンバーガーのようで、僕も楽しみになってしまう
パンの匂いにつられてティアも少し早起きをしてきた
「いいにおいーお腹すいたー」
「あと20分は焼かないといけないわね」
「うぅーこんないい匂いさせてお預けなんて・・・」
そこからパンが焼けるまで待つこと20分、その間にサリアさんはハンバーグを完成させていた
窯からやけたパンをみると、まさしくバンズだ
パンに野菜とハンバーグを挟んで行き、ドンドン量をつくっていくと
「ノエル、こっちの孤児院にもっていってくれるかしら」
「孤児院用だったんですね、分かりました」
「ねえー私ももうたべていいー?」
「駄目よ、アルフレッド様に一番に食べて貰いたいわ」
「えー、それなら早くアル起こしてきてよー」
僕は焼き立てのハンバーグをトレイに乗せて、孤児院へ向かった
「あっナタリー、おはようございます」
「おはようございますわ、あら?それは?」
「サリアさんが作ったパンの料理です、孤児院用に作ったみたいです」
「すごく美味しそうですわ、またお礼に子供達にも何かさせますわね」
「あっじゃあマウンテンガエルの解体とかできます?イベントリに沢山入ったままなんですよ。それ使ってまたサリアさんに料理作って貰えるかもしれませんし」
「いいですわね、じゃあ後でお礼ついでに向かわせますわ」
僕の提案にパンと小さく両手を叩くナタリー。
「分かりました、あっじゃあこれ冷めないうちに食べてください」
ナタリーへトレイ事渡し戻ると、アルが起きてきてティアとすでに食べていた
「サリア天才だ、うめぇ!おっノエルも食えよめちゃくちゃうめーから!!」
あのアルが朝から元気だ!?すごくテンションが高い。
「アルフレッド様、天才だなんて///」
「美味しいー、毎日食べれるよ」
ティアも口の周りをケチャップで汚し、パクパクと食べている。だがそんな姿ですらティアは可愛くて綺麗だと思った。
「ノエルもはいどうぞ」
サリアは微かに湯気が出るハンバーガーを僕の前へと持ってくる。焼き立てのハンバーグの匂いが僕の鼻孔をくすぐる。
「ありがとうございます、美味しそう・・・ジュルリ」
渡されたハンバーガーはほかほかで、焼き立てのパンのハンバーガーなんて前世でも食べたことが無く今にもかぶり着きたかったが、シスレーがまだ起きていないようなので一度イベントリへしまう。
こんなに美味しそうな物、すぐに食べたいが、それでもシスレーと一緒に食べたい・・・そうこの時は思ってしまったのだ。
「シスレーも起こしてきますね」
僕は駆け足気味にシスレーの部屋へ向かった
コンコン
返事はないので、そっとドアを開くといつも通りの姿で、布団を蹴飛ばして寝ている。
「シスレー、おはよう。朝食食べましょう」
「う~ん・・・後でいい・・・ノエル君もおいでまだ寝ようよ」
「サリアさんが焼き立てのパン作ってますよ」
「イベントリにしまってて・・・」
「う~ん・・・そうですか。折角シスレーと朝食を一緒にしたかったのですが、サリアさんと二人っきりで食べてまたお出かけして食材とか買い物いこうかな」
その言葉にガバっと起きるシスレー。
「ちょっとそう言うのやめてよ・・・うなされる夢みるんだから・・・」
「それはごめんなさい、じゃ今日は一緒に寝ましょう。ほら下行きましょう」
「もう・・・今日から一週間はうなされそう」
「・・・まぁいいですけど、ほら焼き立てなので冷めちゃいますよ」
寝ぼけたシスレーを引き連れて降りていく。
「あれ?アル君達ももう起きてるじゃん・・・二人っきりって・・・」
ジトっとシスレーにみられるが、それはシスレーを起こすための誘い文句だった
「アハハほら座ってください」
「もーう、あっでもいい匂いするー、うちも食べたい」
椅子を引いてシスレーを座らせる、まだこのリビングにはパンとハンバーグの匂いが充満していたのだ。
「あっごめんないさシスレーさん、もうなくなってしまったわ」
「えっ・・・」
「あー美味かった!サリアまた作ってくれよこれ、気に入ったぜ」
「私もー、サリアが仲間になって本当に良かったよ」
口の周りをケチャップで汚している、アルとティア。僕がシスレーの部屋に上がる前にはまだ3個ほど残っていたが一人2個づつ食べたようだ
「みんなに喜んで貰えてよかったわ!あっじゃあ私は次の焼く準備するわ」
「えーー?うちのは!?なんで残してくれてないの!?」
「早起きしたやつの特権だろ、起きてこなかったお前が悪い」
「ふー、お腹いっぱい」
「ひどー!?あっノエルー!」
「あー・・・これは僕のですから」
シスレーの傍らでイベントリにしまっていた、僕のハンバーガーを食べようとしたら気づかれてしまった
「うちを起こしたんだから!一口頂戴!」
「・・・一口だけですよ」
確かに起こしたせいもあるが、起こさなかったら起こさなかったで怒る癖にと思うが、ハンバーガーを渋々渡す。一口ぐらいならいいし、その為にシスレーを起こしたのだから。
「モグっあっ美味しい!」
一口といったはずなのに、パクパクと食べ進めるシスレー
「ちょっちょっと!食べすぎ食べすぎ!」
「モグモグ、離せノエルー!これはもううちの!」
「えー!?僕だって楽しみにしてたんですから!じゃあ一口だけ下さいよ!」
「あげませーん!ッパク」
っと最後の大きな一口でハンバーガーは消えてしまった
この件で、僕は2日間シスレーとの接触を断ち、シスレーが懇願して謝ってきたので許した。食べ物の恨みは怖いという事をシスレーに知らしめた事件となったのだった
帰るだけだったので、お酒を飲んでいたということもあり朝遅くおこしたからだった
「はぁー・・・やっとついたぜ・・・」
「みなさんお疲れ様です」
「もうーアルとシスレーが中々起きないから!」
「わたくしは孤児院の様子をみてきますわ、お疲れ様でした」
拠点に戻るとバラバラとした感じになる。
「あっナタリー食事は?何か出しましょうか?」
「ではパンを一つ下さいますか」
何種類か出して、気に入ったやつを2個ほど渡してナタリーは孤児院へ帰っていった
(そういえば窯作ってもらうんだった、シスレーつれてターナー先生のとこ明日いこっかな)
「僕お風呂行きますけど、誰か先入りたい人います?」
「私も入りたいわ、でもちょっと歩き疲れたから後でいいわ」
「分かりました」
「ノエル君、私はお腹ペコペコー」
「俺も肉だけ出してくれ」
みんなに食事を適当にだして、リコールをかけるとお風呂へ
リコールで綺麗になっているとはいえ、気持ち的にあのマザーフロッグで浴びた緑色の体液をちゃんと見える形で洗い流したかった
お風呂からあがり、食事を食べ終えると皆疲れているようで、部屋に早々と戻っていった
コンコン
「はーい」
「やっほー、今日はここで寝るから来たよ」
「僕も窯の事で話があったので丁度よかったです、どうぞ」
シスレーがパジャマに着替えて、部屋にきたので窯をどうするのか聞きたかった
ベッドに並んで座り、シスレーが描いた絵をみながら
「うちとしては、ここを増設してこのスペースに置くのがベストだと思うんだよね~」
「この絵のキッチン他の場所も手加えてます?広くなってるような」
「あっ分かる?前3人でキッチンに立ったら狭かったから、増設するならここもありかなって」
「ふんふん・・・シスレーもまたキッチンに立つってことですか?」
「え?うちのかわりに、サリアさんじゃん」
「・・・なるほど」
「一応予算は金貨20枚って感じでしょうか、明日ターナー先生のとこ一緒に行ってくれます?」
「えーどうしよっかなー?」
シスレーは嬉しそうな顔をして、少し意地悪っぽいことを言うので
「じゃあサリアさんと行きます、サリアさんの方が窯の事詳しそうなので」
そして僕も意地悪にかえす。
「だめだめ!うちが行くって!サリアさん本当にノエル君を第2候補にしようとしてるんだから」
「ほー、僕もアルのようにモテる日がくるとは」
そう冗談をいうとパシパシと頭を叩かれた
翌日、シスレーを連れてターナー先生の所へいくと、以前、拠点の改装をしてくれた職人をまた紹介してもらい、その日のうちに窯の設置と拠点のキッチンの増設が終わった
「サリアさんどうぞ!パン作りお願いします!」
「本当につくるなんて・・・このPTの資金繰りどうなってるのよ・・・」
「いえこれは僕のお金で作ったので」
「これが英雄の卵の経済力なのね・・・やっぱりありね」
サリアさんがそう言い切ると、シスレーはみんなに見えないように僕の腕をつねった
「ねぇねぇサリアはどんなパン作れるの?」
「食べたことある物はだいたい作れるわ。知らない物だとしても味や見た目などを聞いて、少しづつ似せていくことも出来るわね」
「サリアもしかして、料理の天才!?クロワッサンお願い!」
「あっうちは白パンの甘いやつ!」
「俺は肉を挟むとあうやつ頼むわ」
「はい!アルフレッド様!すぐにおつくり致しますわ!皆さんはアルフレッド様のあとね」
それでもサリアはアルファーストなのは変わりない用ですぐに料理に取り掛かる。
僕も窯が出来たらピザを焼きたかったので、広くなったキッチンにサリアさんと並ぶ
「あら?ノエルも作るの?」
「はい、でも生地の作り方が分からなかったので出来ませんでしたが、サリアさん教えてください」
「いいわ、どんなの感じのが作りたいの?」
僕は前世で食べたピザのレギュラー生地の説明をふんわりと説明し、食べた時の様子を伝えた。その時もサリアさんは、アルに頼まれたパンをこねていてその真剣な表情は絵を描いているシスレーと同じように綺麗な物だった
(・・・僕は真剣に何かに向き合ってる人に弱いのだろうか?)
心の中でそんな事を思いながら、サリアさんに少し見惚れながら生地を何個も作っていき発酵させるようだった。
「発酵済みの生地さえ作っとけば後は焼くだけなんですか?」
「う~ん、そう単純な物じゃないけど基本はそうね」
まぁ素人だし最初はゆっくりでいいか、それよりもサリアにお金を払って作って貰う方がいいのかもしれないなと思う。
翌日、朝おきるとすでにサリアさんは起きていてパンを焼き始めていた
まるでパン屋さんなのではないかと思える程、早起きだ。
「早いですね」
「もちろんよ、アルフレッド様に喜んでもらいたいもの」
結構、健気だなと思い、相手がアルでなかったら直ぐにでもいい人が見つかりそうなのにと思う
パンが焼けるいい匂いが立ちこみ始めると、サリアさんはアルが言っていたパンに挟む肉を作り始めていたが・・・
作り方をみただけでもそれはハンバーグなのだと僕にも分かった
サリアさんは王都暮らしだった為、もしかしたらよその転生者がすでに色々広めていたのかもと思ってしまった。チェスに麻雀があるくらいだからだ
僕がいったピザももしかしてサリアさんは食べたことがあるのではないかと思えたので、お願いした生地に期待が膨らんだ
「何か手伝いますか?」
「そう?じゃあそこの野菜を洗って、このぐらいの大きさにちぎってくれる?」
やはり作っているのはハンバーガーのようで、僕も楽しみになってしまう
パンの匂いにつられてティアも少し早起きをしてきた
「いいにおいーお腹すいたー」
「あと20分は焼かないといけないわね」
「うぅーこんないい匂いさせてお預けなんて・・・」
そこからパンが焼けるまで待つこと20分、その間にサリアさんはハンバーグを完成させていた
窯からやけたパンをみると、まさしくバンズだ
パンに野菜とハンバーグを挟んで行き、ドンドン量をつくっていくと
「ノエル、こっちの孤児院にもっていってくれるかしら」
「孤児院用だったんですね、分かりました」
「ねえー私ももうたべていいー?」
「駄目よ、アルフレッド様に一番に食べて貰いたいわ」
「えー、それなら早くアル起こしてきてよー」
僕は焼き立てのハンバーグをトレイに乗せて、孤児院へ向かった
「あっナタリー、おはようございます」
「おはようございますわ、あら?それは?」
「サリアさんが作ったパンの料理です、孤児院用に作ったみたいです」
「すごく美味しそうですわ、またお礼に子供達にも何かさせますわね」
「あっじゃあマウンテンガエルの解体とかできます?イベントリに沢山入ったままなんですよ。それ使ってまたサリアさんに料理作って貰えるかもしれませんし」
「いいですわね、じゃあ後でお礼ついでに向かわせますわ」
僕の提案にパンと小さく両手を叩くナタリー。
「分かりました、あっじゃあこれ冷めないうちに食べてください」
ナタリーへトレイ事渡し戻ると、アルが起きてきてティアとすでに食べていた
「サリア天才だ、うめぇ!おっノエルも食えよめちゃくちゃうめーから!!」
あのアルが朝から元気だ!?すごくテンションが高い。
「アルフレッド様、天才だなんて///」
「美味しいー、毎日食べれるよ」
ティアも口の周りをケチャップで汚し、パクパクと食べている。だがそんな姿ですらティアは可愛くて綺麗だと思った。
「ノエルもはいどうぞ」
サリアは微かに湯気が出るハンバーガーを僕の前へと持ってくる。焼き立てのハンバーグの匂いが僕の鼻孔をくすぐる。
「ありがとうございます、美味しそう・・・ジュルリ」
渡されたハンバーガーはほかほかで、焼き立てのパンのハンバーガーなんて前世でも食べたことが無く今にもかぶり着きたかったが、シスレーがまだ起きていないようなので一度イベントリへしまう。
こんなに美味しそうな物、すぐに食べたいが、それでもシスレーと一緒に食べたい・・・そうこの時は思ってしまったのだ。
「シスレーも起こしてきますね」
僕は駆け足気味にシスレーの部屋へ向かった
コンコン
返事はないので、そっとドアを開くといつも通りの姿で、布団を蹴飛ばして寝ている。
「シスレー、おはよう。朝食食べましょう」
「う~ん・・・後でいい・・・ノエル君もおいでまだ寝ようよ」
「サリアさんが焼き立てのパン作ってますよ」
「イベントリにしまってて・・・」
「う~ん・・・そうですか。折角シスレーと朝食を一緒にしたかったのですが、サリアさんと二人っきりで食べてまたお出かけして食材とか買い物いこうかな」
その言葉にガバっと起きるシスレー。
「ちょっとそう言うのやめてよ・・・うなされる夢みるんだから・・・」
「それはごめんなさい、じゃ今日は一緒に寝ましょう。ほら下行きましょう」
「もう・・・今日から一週間はうなされそう」
「・・・まぁいいですけど、ほら焼き立てなので冷めちゃいますよ」
寝ぼけたシスレーを引き連れて降りていく。
「あれ?アル君達ももう起きてるじゃん・・・二人っきりって・・・」
ジトっとシスレーにみられるが、それはシスレーを起こすための誘い文句だった
「アハハほら座ってください」
「もーう、あっでもいい匂いするー、うちも食べたい」
椅子を引いてシスレーを座らせる、まだこのリビングにはパンとハンバーグの匂いが充満していたのだ。
「あっごめんないさシスレーさん、もうなくなってしまったわ」
「えっ・・・」
「あー美味かった!サリアまた作ってくれよこれ、気に入ったぜ」
「私もー、サリアが仲間になって本当に良かったよ」
口の周りをケチャップで汚している、アルとティア。僕がシスレーの部屋に上がる前にはまだ3個ほど残っていたが一人2個づつ食べたようだ
「みんなに喜んで貰えてよかったわ!あっじゃあ私は次の焼く準備するわ」
「えーー?うちのは!?なんで残してくれてないの!?」
「早起きしたやつの特権だろ、起きてこなかったお前が悪い」
「ふー、お腹いっぱい」
「ひどー!?あっノエルー!」
「あー・・・これは僕のですから」
シスレーの傍らでイベントリにしまっていた、僕のハンバーガーを食べようとしたら気づかれてしまった
「うちを起こしたんだから!一口頂戴!」
「・・・一口だけですよ」
確かに起こしたせいもあるが、起こさなかったら起こさなかったで怒る癖にと思うが、ハンバーガーを渋々渡す。一口ぐらいならいいし、その為にシスレーを起こしたのだから。
「モグっあっ美味しい!」
一口といったはずなのに、パクパクと食べ進めるシスレー
「ちょっちょっと!食べすぎ食べすぎ!」
「モグモグ、離せノエルー!これはもううちの!」
「えー!?僕だって楽しみにしてたんですから!じゃあ一口だけ下さいよ!」
「あげませーん!ッパク」
っと最後の大きな一口でハンバーガーは消えてしまった
この件で、僕は2日間シスレーとの接触を断ち、シスレーが懇願して謝ってきたので許した。食べ物の恨みは怖いという事をシスレーに知らしめた事件となったのだった
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