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第66話 シスレーの短剣

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ネバースノー3日目

オイルスワンプを予定通り見つけれたことで、馬車に予約をいれて空いていたので明日帰ることになった

観光やお土産を今日中に調達する必要があった為、僕は朝から行動したかったが、シスレーが昨日起こせといっていたので起こすことに

「シスレー、起きてください。僕出かけますよ」

下着姿のシスレーを言われた通りゆするが・・・それだけで揺れている

これは目の毒だと思い、ふとんを掛けてから再度ゆすることに

しばらく声を掛けながらゆすっていると目を覚まし

「・・・おはよ」

「お土産とか見に行きますが、どうしますか?疲れているなら寝ていてもいいですよ」

「・・・準備するから待って」

疲れているがシスレーもやはり行きたいようなので、シスレーがゆっくり準備するのを待つ間、朝食の準備をしながら買いたいものリストをまとめていく

シスレーの短剣
溶岩鳥の串焼き
溶岩鳥の温泉卵
ネバースノー産火山酒
あと子供達のお土産になりそうな工芸品

ここら辺かなとまとめる頃には、シスレーも着替えが終わったようだ

「リコール、おはようございますシスレー」

「おはよう、何かいてたの?」

「最低限買う物リストですよ」

僕のメモを見ながら

「ふ~ん・・・うちの短剣が一番上にあるふふふ」

「まぁ一番予算が掛かりそうなので」

「そんなに高いのはいらないからね、いいのがあればよろしくー」

「分かりました!じゃあ朝食食べて、街へ繰り出しましょう!」

「おー!」

シスレーに貸したスカーフは気に入ったのか、今日も付けている。今日は火山に入らないのでいつもの盗賊のような見た目だ、スカーフもやけに似合っているので返せとは言いずらかった

街をぶらぶらみながら、シスレーの武器の予算を金貨12枚と決めて、残り金貨10枚ほどでお土産品を買っていく

ある程度自分用とみんな用にお土産を買えたが、シスレーの短剣だけはいいのが無かった。というより短剣自体が少ないようだ。メインは剣やハンマーが多く、槍や短剣は種類が少なかった

「う~ん・・・さっき行ったあの短剣にしようかな・・・」

「妥協で選んでも愛着湧きますか?」

「そうだよねー・・・」

広場にあるベンチに腰掛けながら、暑さを和らげるためにグレムの氷をほおばる

鍛冶屋はこんなにあるのに・・・シスレー自分で考えてつくってもらえば・・・そうだよ!作ってくれる所探せばいいじゃん!

「シスレーいいこと思いつきました!シスレー欲しい短剣のデザインを考えていてください。ちょっと行ってきます」

シスレーにペンと紙を渡すと

「ちょっちょっとどこいくのよ!」

直ぐに広場にある鍛冶屋に聞いていくと、何件かオーダーメイドも取り扱っているというのだ

本当なら名のあるドワーフの名工に作ってもらいたいが、そんな知り合いはいないので店の雰囲気で一つの店で交渉ができたのだ

シスレーがいるとこへ戻ると、シスレーはナイフを書き上がっていた

「へー以外にシンプルですね」

「でもねここの反り具合とか、刃の長さと柄の長さのバランスや、鍔の形なんかを考えたら無いもんなの」

「じゃあこの通りに作って貰いにいきましょう」

「えぇ!?そのための絵だったの!?」

「ですよ、だって探すより作ってもらう方が早いでしょ」

先ほど交渉した鍛冶屋へ行きシスレーの絵を見せることに

「こういう短剣を作ってもらいたいのですが」

店主はドワーフのバンショウさん、この人があたりかハズレか分からないが快くオーダーメイドを承諾してくれたので不満はない

他の所は自分なりの作品だや、素人がオーダーメイドをせずうちのを買えと頑固な人も多かったのだ

「ほー・・・どんなだと思ったが、使い勝手が良さそうだな」

「シスレーも細かいポイントなど伝えていた方がいいんじゃないですか」

「あぁ、そっちの巨乳の姉ちゃん用か。おうオーダーメイドだからな、先に行ってくれといた方が完成した時に文句や不満が少なくなるからな」

「巨乳・・・まあいいか。ここの持ち手はこんな感じで、刃渡りはこの長さ、反りはこうで」

とシスレーは絵を指さしながら、細かく注文していくと、バンショウさんも絵にその情報をメモしていった

「で、使う素材はどうする?鉄なら金貨1枚、ミスリルなら金貨5枚の作成費用だな。他にも銅やクリスタルなんてあるが実戦向きじゃねーしな。それか使って欲しい素材があるなら、加工の難易度で金額はかわるが」

ミスリル金貨5枚か、僕のは金貨2枚だったからそれなりにオーダーメイド料はするらしいが、そこまで高い物では無かった

「う~ん、ミスリルかな~」

「あっこれ使えますか?」

手袋をはめて、秘湯に行くまでに手に入れたオレンジ色の鉱石を袋から取りだすそぶりでイベントリから出した

その鉱石をバンショウさんが見ると

「ん!?炎燃結晶か!これまた懐かしい物もってきたな!」

「炎燃結晶?」

「あぁ!昔はよくホーク火山で採れていたが今は数が少なくなっちまったし、ホーク火山に入るやつもめっきり減っちまったからな」

「たまたま見つけたのですが、これも使えますか?」

「あたりめーよ、昔はそれを使った武器が流行ってたんだぜ」

「おぉ!シスレーどうですか?」

「うん!これつかって作ってもらいたいです」

「よっしゃ、これ後何個もってるか?」

「後2個です、足ります?」

「短剣だけなら足りるぜ、これならミスリルと同じ金貨5枚でいいな」

「いまから作業するから、今日の夜には出来てるからな」

「それは良かったです、明日の朝出るので今日の夜に取りに来ますね」

「おう!代金はその時だ、じゃあまた後でな!」

バンショウさんは絵と炎燃結晶もち僕らを追いやるように工房の中へと消えて行った

「なんかやる気になってくれて良かったですね」

「出来るのが待ち遠しいー」

時間にして昼の2時ぐらいに全ての用事が終わった

「シスレー明日からまた馬車の旅なので、宿に戻ってゆっくりしますか?」

「ノエル君はどうするの?」

「僕はお金に余裕が出来たので、その分何か買おうかとブラブラします」

「じゃあうちも行く」

「じゃあのんびりと行きましょう」

そう言って歩き出すと、手を握られたので

「えっブリンクはしませんよ?」

「分かってるよ、つないじゃだめ?」

「ふふ僕もそんな気分だったのでこれで行きましょう」

この旅でいっきにシスレーとの距離が近くに感じ嬉しかった。やはりシスレーはまだ新メンバー的な位置にいてシスレー自体も遠慮しているふしがあったのだ

僕も美人と手を繋いで歩くことに優越感に浸りそうになったが、最初の一軒目で姉弟だと勘違いされて身の程を知った

ゆっくりとお茶をしたり、ネバースノー饅頭などを買いただただ観光をしていると

ネバースノーのギルド前に通りかかると10人ほどの人が集まっている

通りがかった時ににホーク火山へ調査へ行くようだと話の節々で聞き取れたが、それだけだった。特に気にすることもなく鍛冶屋との約束の時間となりシスレーの短剣を迎えに行くことに

シスレーがはやる気持ちを押さえているのが見えるが、すごくうれしそうだ

「バンショウさーん、注文した短剣をとりにきましたー」

鍛冶屋へ着き、声を掛けると奥から1本の短剣を持ってでてきた

「きたか、完成してるぜ。これだ」

短剣を机の上に置いたが、鞘にいれている

「もってみてもいいですか?」

「おう、確認してくれや」

シスレーが鞘に入った短剣をぬくと、その刀身は夕日のような綺麗なオレンジと黄色だった

「綺麗・・・」

シスレーは呟くと、ナイフを握り、重みや感触を確かめ軽く振って鞘に戻した

「素晴らしい出来です!とても気に入りました」

「おう、よかったぜ。それは炎燃結晶の性質上、火のエンチャントがついてるからな。刀身触る時は気を付けなよ」

「えぇ!?それ早くいってくれないと僕触るとこでしたよ」

「炎燃結晶だと当たり前の事だったから忘れてたぜ。俺の腕もあるが10回しようしたら魔力がきれちまうからな、MPを使ってチャージしたら再使用できるぜ」

「魔力切れたらどうなるんですか?」

「普通のナイフとして使えるぞ、そのオレンジの色が消えて鉄みたいな色になるってだけだ」

僕とバンショーさんが話をしている間もシスレーは鞘から抜いてはナイフをみて嬉しそうな顔をしていた

「ではお代の金貨5枚と、あの鞘も燃えない素材で作られてるってことですよね?」

「あれはおまけでいい、またきてくれよ」

「ありがとうございます、大事に使わせてもらいます」

シスレーも会話に参加して、別れをいい僕達は宿へ戻ることに

「うへへへ、この色いいねー」

「良かったですね、いいのが出来て」

恐らくバンショウさんは名工ではない。それでも満足いくものを作ってくれたことに文句はない。シスレーがこんなに嬉しそうなのだから

「指輪に続いて、こんないいもの貰えて・・・うちはノエル君に何をしたらいいの?」

「う~ん・・・特に見返りは求めてないですよ。昨日天然湯で十分もらいました」

「ふふ、そっか。今度は拠点で一緒に裸で入ろうね」

「えぇ!?そっちじゃなくて絵のほうです!」

「ふふからかいがいあるなー」

「もう!」

まぁ流されるのも悪くないかと思いながら、手を繋いで歩いた帰り道だった
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