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第65話 ホーク火山

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ネバースノー2日目の朝

朝もここはカラっとした暑さだ

寝起きリコールを掛けて、時計をみると6時30分。4日ほぼ寝て無かったので流石によく寝れた

隣ではいつも通り下着姿で布団を投げ飛ばしているシスレー

あれ?7時出発ならそろそろ起きて準備しなきゃ行けないのではと思い、声を掛ける

「シスレー、朝ですよ。そろそろ準備しないと」

「ううん・・・」

「起きてください、置いていきますよ」

「分かった・・・おはよ・・・」

声では返事をしているが、起き上がろうとしない。これはこのまま2度寝するなと思いウォーターを顔に近づけて・・・パシャんと落とす

「うわぁ!?何!?」

(リコール)

「おはようございます」

「あれびしょ濡れになったかと思ったけど・・・。そっか、ちょっとー、もう少し優しくおこしてよー」

「声かけても起きなかったですもん」

「ゆするとか他にあるでしょ」

「いやぁ・・・それは・・・シスレーなんで寝る時服着てたのに、今脱いでるんですか」

「この姿に気を使ってその起こし方なの?別に少しぐらいなら触っても怒らないから、こっちのが怒るよ」

「まぁ試行錯誤します、ほら着替えてくださいよ」

「もう・・・」

シスレーが装備を付けていくので、僕も耐熱装備を身に着けていく。燃えたら嫌なので浮遊の盾も今日はしまってカバンも持たない。唯一ベルトにつけたポーションが1個入ったポーチだけだ

シスレーよりも早く終わったので、朝食を並べて待機だ

「ノエル君はいつもとほぼ変わらないね」

「はい、シスレーは流石に長袖に長ズボンといつもの軽やかな服装から一変してますね」

「ほんと火山の中暑いんだから・・・」

「あっシスレーこれ、どうぞ」

イベントリからシスレーのマスクを渡す

「いやまだ早いから」

「ちょっとだけ着けて見てくださいよプププ」

「馬鹿にしてるんでしょ!?もう火山の中に入って暑くても助けてあげないんだから!」

お面を持つだけでも、シスレーからはいつものお洒落さとはかけ離れていた

「ふふ、今日は僕の方がスタイリッシュですね」

「くやしーー!うちの方がお洒落に気を使ってるのに」

「そのマスク早くかぶってくださいよアハハ」

「ノエルー、そのスカーフよこせー!」

「アルと同じこといってますよ!?シスレーがアルの悪い影響をうけてる!?」

シスレーにスカーフを取られそうになりながらも、僕らはホーク火山のふもとまで到着した

ホーク火山は岩肌の山々で、木や植物は生えていない

地面はサラサラした土で、踏み出すと足が埋まり少し歩きにくいのだ

「結構歩きにくいよね、これ登っていくだけでもしんどいのに火山の中にはいったらもっとしんどいからね」

「ほー・・・レビテーション」

レビテーションは地上より1cm浮かべる魔法だ。斜面では使ったことなかったけど、平面を歩いているのと変わりなかった。走り回ってもいつも通りだ、この為のレビテーションだったんだ

「えっはや!?なんでそんな早く歩けるの!?」

「ふふーん、魔法ですよ浮いているんです」

「もう!ノエル君だけずるいーーー!」

「シスレー早くー」

レビテーションは人には掛けられず、抱っこをすると効果がほぼなくなってしまうのはティアと検証済みだった。シスレーは自力で登るしかなかったのだ

中原までの道は一応坂道になっていて、崖にはロープが張られているので登山道ではあったのだけど結構遠いようだ

「暑いーー・・・」

「シスレー口開けてください、あーん」

「えっ・・あーん」

グレムのジュースをフリーズタッチで凍らせた物を食べやすい大きさに切った物をシスレーの口へ

「あっ冷たくて美味しい」

「たくさん作ってきたので、遠慮なく言ってくださいね」

「ほんと余裕そうなノエル君が憎い・・・リコールお願い」

「リコール」

「ふー・・・魔法掛けて貰った側から汗が・・・」

「ファイト、シスレー!」

「くぅ・・・さっきのもっと頂戴!」

カップにゴロゴロと氷をいれて渡し、そのまま登山道を登ること2時間火山の入り口が見えてきた

「おぉ・・・いかにもな入口が、ドワーフさん達が気合いれて作った感がありますね」

「やっとついた・・・こんなにしんどかったっけ・・・」

「シスレー余裕があればここの絵描いて」

「無理!」

「ですよね・・・」

入口前から熱気がすごい飛んできていた

スカーフを口元にあてると頭全体が涼しくなる。不思議な現象だが気にしない

「熱い・・・これ絶対前より熱くなってるよここ!」

「ほー、だから依頼がでて報酬がよかったのかも知れませんね」

「そんな冷静に分析されてても」

「倒れそうになったら言ってくださいね、装備貸してあげるので」

「うん・・いやだな~この中入るの」

試しにスリップを使ってみると、30秒もしないうちに溶けたので相当熱いようだ

「シスレー、戦闘は僕がやるので、自分の身だけ守ってくださいね。それと僕から離れない様にしてくださいね」

「りょうかい・・・」

「大丈夫、必ず僕が守るので」

一人で行ってもいいのだが、道案内は必要だった。次回から一人でいいように道は覚えておこうと決めた

火山の中にはいるとそこも道はあるが、すぐ隣に真っ赤に燃えた溶岩が流れている

アイスショットを撃ちこむと、一瞬にして溶けてしまっていた

魔物が弱いっていってもかなり危険なエリアなのだと実感し

「シスレー思ったよりもここ危ないですね」

「だからいってるじゃん、観光目的な君がおかしいの」

「手繋いでおきましょう、咄嗟の時にはブリンクするので」

「うん、うわひんやりして気持ちいい」

そこから暑い火山内を抜けていく

シスレーが小声で

「ファイアエレメントが前方の溶岩の中にいるよ」

「強さは?」

「オークと変わらないけど、地形をいかして溶岩とばしたり溶岩の中を自由に動き回るからね」

「分かりました。戦ってみますが、無理なら逃げましょう」

シスレーに位置を教えて貰い、視認出来たためマジックミサイルを飛ばした

エレメンタルにバチンバチンと3個のマジックミサイルが当たると、そいつは溶岩から浮き出してきた

赤いクリスタルのようなひし形の塊が顔、体、腕の部分に引っ付いている形成されているような見た目だ

溶岩を救い上げるようにこちらへ飛ばしてきた

「バリア!」

遠距離を3発弾くという説明だったが、溶岩のしずくが1発とはカウントされておらず全てを防ぎ切った

「アイスショット!」

炎なら水が有効だと思ったが、アイスショットが当たる前にエレメンタルは溶岩に沈み隠れてしまった

「くっマジックミサイル!」

マジックミサイルを続けて発動するも、僕の周りで停滞してしまい、飛んでいかなかった

目標をある程度視認できなければ、追尾効果は反応しないようだ

手詰まりになってしまったが、恐らく奇襲してくるはずだ。シスレーもそれを分かっているかの様に

「ノエル君、うちは後ろを警戒するね」

「はい、出てきたらすぐに一度ブリンクで距離とるので」

しっかりシスレーの手を握り、奇襲に備えた

溶岩はボコボコと常に泡立ち沸騰している、波紋のような動きで察知することは出来そうにない為、反応勝負だ

・・・

「うしろ!」

シスレーがそう叫ぶのですぐにある程度決めていた、ブリンク先へ

元居た位置は溶岩が降り注いでいた後が

エレメンタルを視認すると僕の周りにいたマジックミサイル達が勢いよく飛んでいく

その攻撃を受けてエレメンタルは動かなくなると、繋がっていた部分がはずれバラバラと崩れた

「ふー、これでオークと同じですか」

「まぁこんな地形じゃなかったら大した事ないからね、お疲れ様」

「確かに溶岩が強いだけですもんね、あれ回収したほうがいいですか?」

「うーん、どっちでもいいかな?あんまり珍しい魔物じゃないから」

たいした事ないのなら、シスレーがしんどそうなので余計な時間を割くのもと思い

イベントリへ回収せず、そのまま目的地へ向かっていくことに

ここの火山の中は生き物が生きて行ける環境ではないようだ、生物らしい生物が少ないのだ

溶岩鳥の串焼きを食べたので、そいつもいるかと思ったが、どうやら外に生息しているようだった

「そろそろ着くころかな・・・熱い・・・」

ここでの活動時間は装備がないと1分も持たないだろう、準備をしていても20分歩いた今、シスレーは倒れそうになっている

「そこの出口を出たとこにあるよ・・・急ごう」

どうやらオイルスワンプは火山の中ではなく、一度外に出たとこにあるようだった

火山の中はほぼ一本道だが、溶岩を挟んだ向こう側にも洞窟のような入口が何か所かあり、通れそうな道はあったことから昔は通れていたが、溶岩が流れそこまでの道を飲み込んだようにも見て取れた

そんな気になる道を行きたいが、シスレーの体力が持たないだろうと思い、まずは外に出ることを優先してオイルスワンプを手に入れることになった

出口が見える頃にはシスレーはフラフラで熱中症のような症状になりかけていたが、なんとか外に出ることが出来た

外も暑いことは熱いが、火山の中よりは何倍もましな暑さだ

山々に囲まれた場所に出てきたが、ここに出るためには山をてっぺんまで登って下るか、火山の中を突き進むかどちらかしかないようだ

「もう駄目・・・倒れそう・・・」

布を水で濡らしフリーズタッチで凍らせて物をシスレーの首元へ

「ここからちょっと下ったところに、オイルスワンプがあるから・・・少し休憩してからで・・・」

ゲームだと熱い場所にいたら体力が徐々に減るなと思い、ファーストエイドを掛けておく

「一人で行ってもいいんですが、魔物の心配もあるので・・・ブリンク使ってゆっくり行きますか」

「うん・・・ごめんね足引っ張っちゃって。ノエル君一人の方がよかったね」

「いえいえ、道案内は必要なので僕一人では無理ですよ」

シスレーの手を繋いで、ブリンクを10回ほど使い少しずつ下山していく

休憩を挟みながら、700m降りたぐらいでオイルスワンプがある予定の場所に到着したようだが

「確かここにあったはずなんだけど・・・ないね・・・」

「う~ん、どんな感じであるんですか」

「水が溜まっていいる場所があってね、その水というかお湯なんだけどその下にオイルスワンプが溜まってるの」

お湯・・・温泉の下がオイルスワンプになってるってことなのかな

「なるほど・・・ネバースノーも天然の湯がないと言ってましたよね」

う~ん・・・簡単な採取品を取りに来ると、何か問題がありその問題を解決しないと手に入れれないというのはアルアルなのだが、僕の身に起こらなくてもいいじゃないかと思ってしまう

「何か繋がっている原因があるのかな?」

温泉をせき止めている何かしらの要因はあるだろうが・・・わざわざ自ら解決しにいくほど僕は主人公ではない

「ありそうですが・・・他のオイルスワンプが取れる場所は知ってますか?」

「あるかもしれないけど、うちが知っているのはここだけだよ」

「そうですか、今日は一度戻りましょうか。原因を探って解決するより、他の場所を探すほうが早そうですし」

温泉に入れないのは残念だが、問題解決は他の人に任せるのが僕の判断だった

「またここくるの・・・」

「そうですよね~。道もある程度わかったので、次は一人でもいいですよ」

「それだとうちのいる意味が・・・う~ん・・・」

「まぁ帰ったら考えましょう、ここも暑いでしょう」

もう一度崖を登り、火山入口の前でMP回復をまってから火山の中へ

「はぁ・・・後一回我慢だ・・・」

僕も熱いのは熱いが、そんな生死を分ける熱さではない。メルさんの耐熱耐性が優秀なのが分かる

「道のりは分かったので、ブリンクで少しは距離を稼ぎましょう」

「・・・少し希望がみえてきた」

シスレーが火山の中に入る為にマスクを取り出しているので、自分のスカーフを外して

「あとこれ使ってください」

シスレーにスカーフを巻いた

「涼しい!?火照った顔から熱が引いていく・・・ありがとう!」

「スカーフ外しただけで一気に汗が・・・よくこんな熱さを我慢してましたね」

「ノエル君やっぱりバケモンなんだと勘違いしてたけど、今回は装備が優秀だったんだね」

「そんな失礼な事を・・・シスレーのマスク貸してください」

「いいよ、はい」

皮のマスクを装着するが・・・息苦しい・・・それに自分の息が漏れて行かないから暑すぎるぞ・・・

すぐにマスクは外した

「こんなの着けてみんな火山にはいるなんて・・・」

「それが普通なんだよ、こっちのスカーフがおかしいの」

「暑いけど、肺を守るためには仕方ないのかな」

「ふふ結構似合ってるじゃんアハハ」

シスレーはスカーフのおかげでずいぶん余裕がでてきたようだ

「シスレー、スカーフで大丈夫そうなら1っカ所寄り道してもいいですか?通路の溶岩を挟んだ先の道へ行きたいのですが」

「いいよ、よくそんなとこ見てたね。そんな余裕うちには無かったよ」

「まぁ普通の人はいけない場所なので、気にしていないでしょうね」

マスクをつけ直し火山の中に入ると、熱気が肺を焼くほどの暑さだ。ほぼマスクの効果を実感できない

「う・・」

「大丈夫?」

コクコクと頷き、さっさと道を進むことに

「ここの先行ってみましょう」

溶岩を挟んだ向かい側を指さす

「ほんとだ、同じような出口が。いってみよう」

ブリンクで溶岩を渡りその通路を進む。壁にはオレンジ色の鉱石がチラホラ見えるので何かの鉱石なのかもと3個ほど採取をした

特別何かある訳でなく同じファイアエレメントを倒しながら、進んだ先はさっきと同じように外に繋がっていた

「ふーーー熱い!」

すぐにマスクを取り外して、氷を一つ口の中へ

「このスカーフ火山の中でも、全然余裕だったよ!」

「帰ったらメルさんにお礼しておかなければいけないですね」

「だね!・・・あっみて!あそこ水がみえない!?」

シスレーが下の方に指をさしているので、僕もそっちを確認すると確かに水が張ってある場所が

「ありますね!いってみましょう!」

ここは人の手があまり入っていないような為、登山道なんてのは無く、すべてがブリンク頼みな場所に感じた

ブリンクを使い下山し、目的の天然湯っぽい場所に到着。あとはオイルスワンプがあることを願うばかりだ

「これどうやって水が熱くないかや、害がないかを調べるんですか?」

少し硫黄っぽい匂いがする為に明らかに温泉っぽいが、無害か有害かまでは分からない

「この薬草を落としてみて、黒く変色したら毒がある可能性が高いってことぐらいしから分からないね、温度は少しすくって触ってみるしか方法はないよね」

そういってシスレーは薬草をお湯におとした

「そういうの準備してくれてたんですね、任せっぱなしですみません」

「ううん、これは普通の薬草だからね。みんな持ってるものだよ」

しばらくその薬草のはっぱ一枚がお湯に浮いているのを見ていたが、変色する気配はなかった

「毒はなさそうだね」

「じゃああとは温度ですね。これは僕が調べますよアイスショット」

氷のつららをお湯に入れると、じょじょに溶けている様子からそこまでの熱はなさそうだった

「う~ん、めちゃくちゃ熱くはなさそうですね」

手袋を取り、恐る恐るだが手を入れてみる

「あっ・・・ちょうどいい温度です。でも・・・下まで手が届かなさそうですね。中に入ってみますね」

「う、うん。気を付けてね」

服を脱いでシャツと下着だけの姿に、リコールで乾かせることが出来るから濡れても構わない

ゆっくりとだが足を入れると、かなり深いように感じる。足が地面についたあたりでぬるっとした感触が足にまとわりついたのは僕の胸の位置までの高さまで使った時だ

「足がぬるぬるしたもので覆われてるので、泥ありそうですよ!」

「採取してみて、触った感じで分かると思うから」

イベントリからギルドで預かった採取用の小瓶を取り出して、潜って中に泥を入れてみる

「ぷはっどうですかこれ」

泥をいれた小瓶をシスレーに渡すと、シスレーが小瓶に指をいれて肌触りを調べて

「うん、オイルスワンプだよ!」

「分かりました!ドンドンいれていきます」

その後ギルドへ納品分5個とお土産用に10個詰め終わった

「ふー、よかったですね。オイルスワンプあって」

仕事も終わり後はのんびりモードに入り、ゆっくりと温泉を堪能する。お湯の中を歩いてみると浅いとこもあり、座ってつかるとこを見つけたのだ

「だねー、うちも入ろうっかな~」

「あっそうですよね。出て向こういってるので、ゆっくり入ってください」

「ううん、いいよ一緒で。ノエル君みたいに全部脱がなくてもリコールで乾かし貰えるなら」

「そうですか、シスレーがいいならどうぞ」

シスレーが服を脱いで、下着だけの姿になりお湯につかった

「はぁーーさいこー!」

「いや脱ぎすぎでしょ・・・」

「なんで?今更じゃない、朝もみてるじゃん。ノエル君もシャツ脱いだら?気持ちいいよ」

「それはそうかもしれませんが・・・流石に目のやり場に困るというか」

「ふふ見たいの?」

「・・・」

すごい複雑な感情が僕の中で渦巻いていた、見たいという気持ちと興味が全くないという気持ちが入り乱れ、自分でもこの思考が気持ち悪く感じるほどぐるぐる回った

「えいっ」

シスレーは僕に見せつけるようにブラを外したのだ。何が起こったのか分からなく僕の思考は一瞬とまったが、僕の視線は1点を集中してみていた

「はい、おしまい」

シスレーはそういってお湯からでると、淵に腰掛けてオイルスワンプを全身に塗り始めていた

何をしゃべればいいのか分からず、僕はただその光景を黙ってみていた

「ノエル君には刺激が強すぎたかな~、今日いろいろ助けてくれたお礼だよ」

いつも通りからかうような表情をしているが、泥を塗り終わっても、形は丸わかりだ

「えっと・・・アハハ」

「背中塗ってくれない?」

「あっはい」

すごくドキドキするシチュエーションに、さっきまでのぐるぐる回っていた感情は消え、緊張してしまった

恐る恐る触りながら、ペタペタと塗るというよりも張り付けていくようなぎこちない手つき

「もっとがっしり触っても怒らないから」

「慣れてないので・・・」

「そういう所はちゃんと年齢相応な反応なんだね」

僕はそのミッションをやり遂げて、もういいやと思いシャツを脱いでもう一度湯舟に使った

「シスレーあんまりからかわないで下さいよ」

「ふふお礼だって言ったよね、次またきたら触らせてあげるね」

「シスレー!」

「ごめんごめん、そんな怒らなくても」

「まったく・・・でもそれとは別にここって僕以外はほぼこれませんよね。隠れた秘湯って感じでまた来たいですね」

「だねー、他の所みたいに干上がらなければいいね」

そういいながらシスレーは湯舟につかり泥を取り除いていく。泥がお湯とまざり丁度よい感じでお湯が濁って僕の視線を遮る

「シスレーここの絵描いてくれませんか?」

「いいよ、特徴ないからすぐに描けそうだから後で一緒に描こう」

「一緒にですか?シスレーが描くの見てますよ」

「せっかく教えてるのに、こういう所で描かないと経験つめないよ」

「そうですが・・・今日は見ておきますよ。何がおこるか分からないので警戒しておきます」

「ふ~んそっか、じゃあパパっとかいちゃおっかな」

シスレーはそういうと立ち上がりお風呂を出ていく

「ちょっと!まえまえ!」

「あっサービス」

「・・・ありがとうございます。満足したので、早く隠してくださいよ」

「もっと喜ぶと思ったのになっ」

シスレーはブラをつけると、その恰好のまま画材道具を要求したが、もう見てしまったので僕も何も言わず、リコールだけかける

僕も湯舟から出ると、シャツだけきてリコールを掛けると、冷たいグラムジュースを渡す

「ぷはーーーおいしー」

「ですね!やっぱお風呂の火照った体を冷ますのに冷たい飲み物は最高です!」

絵を描き始めたシスレーは、先ほどとは別人のような顔つきになり、少しドキっとしてしまった

シスレーが絵を描き終わり、名前がホーク火山秘湯の湯と表示されるのを確認して僕達が下山するのだった
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