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第64話 ネバースノー

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アル達も同じ日に旅立つという事で、先に出るアル達を家の前で見送った

最後までティアは渋っていた

僕達が乗っていく馬車の時間も近づいている為、家を出ることに

「ドンダゴさん、それじゃあ行ってきますね」

「おう、気をつけろよ」

「こっちの赤の布を巻いているのがグレム酒で、青がジュースなので子供達にあげてください」

「ガッハッハ、こいつはいーや。こっちのことは任せておけ」

食料なんかは地下室に日持ちする物は入れていた。お金も金貨2枚渡している、2週間ぐらいあけても平気なように。ドンダゴさんに留守を頼み、僕達も出発した

岩街の西門近くにネバースノー行の馬車が出ているという事で、そこまで歩いて向かう

秋になりかけているこの季節、朝と夜は寒いが昼間はまだまだ暑い

それでも今回は耐熱装備をふんだんに装備している為、かなり涼しい、いや寒いぐらいだ。手袋とスカーフは外しておこう

「あれ?外しちゃうの?ノエル君なりのおしゃれかと思ったのに」

「アハハ、おしゃれじゃないですね。耐熱性なんですが少し寒いので」

「スカーフにも耐熱性ついてるの?」

「はい、メルさんに着けて貰ってきました。シスレーが準備しておいた方がいいって言った耐毒もついてますよ」

「なにそれ!?ずるーー!」

「えっ・・・一応聞きましたよね、その時いらないっていうから」

「言ったけど!みてよ私のマスク!」

「はい見ましたよ、僕のイベントリへ入れましたもん」

シスレーのマスクは、何かの皮を使ったお面のようなマスクだった。耐毒性高そうだなと思ったからよく記憶に残っている

「私もそっちのがよかったー」

「シスレーにしてはごついの使うんだなと思ってましたよ。シスレーはやくあれかぶってくださいよアハハハ」

「このー!マスクは耐毒性能が一番なんだから!」

「ふふメルさんがそこらのマスクよりも僕のスカーフは耐毒性能高いといってました」

「・・・」

「あっ馬車ってあれですかね?」

わちゃわちゃしながらも西門につき1台の馬車が人を乗せて行っている

「シスレー、あれですよね?」

「うんあれだよ、行こう」

馬車の大きさはワンボックスカーほどの大きさで、馬3頭が繋がっていた

御者の所へシスレーが行き、お金を払っていた

「おっけー、うちらが乗り込んだら出発するって」

「わかりました」

定員は6人ほどは乗れるようだ、僕らのほかに先に僕達より少し上そうな2人男女のペアが乗っていて、左側の椅子に座っていたので、僕たちは右側へ。向かい合わせに座るので長時間だと決まずいなと思ってしまう

「シスレー、僕初めて馬車乗るんですよ」

「えぇ!?ほんと!?」

異世界にきてかれこれ5か月か6っか月か、馬車はみていても基本歩いていたなと馬車には乗っていなかった

「はい、なので道中からワクワクしてますよ」

「アハハ、本当いつも楽しそうだよね」

馬車が出発しガタゴトと振動と共に走り出した

「おぉ、かなり響く・・・」

「そういうもんだよ」

馬車の後ろ側は開けており、どんどんセイクリッドストーンが離れていくのが見える。僕は心の中でドナドナを歌いながらその光景をみていた

「君たちも冒険者かい?」

相乗りしている、男性から声を掛けてきた。こいつは恐らくコミュ力たけぇやと思いながらも、シスレーに相手を任せた

「そうですよ、そちらもですか?」

「そうだね、ブルームーンのイクサスだ、こっちがレイラさ」

「レイラよ」

イクサスと名乗った男性は、銀の鎧を身にまとい白いマントをつけいかにも王子様や騎士を連想とさせる装備に無造作に跳ねた金髪の容姿端麗な見た目をしていた

レイラさんも同じ、銀の鎧だが上半身のみで下はミニのスカートに膝まである銀のブーツを履いている。銀髪に少し強気そうな性格が表れている目、こちらもいかにもな姫騎士だった

「私はシスレー、こちらはノエルです」

「ノエルです」

僕も一応挨拶だけすると、また外の景色を楽しむことに

それからシスレーとブルームーンの二人が世間話や、依頼の事など話をしている他所に僕は歩いたり、御者の横に座ったりと一日目は自由に過ごした

歩いた方がはやいと思われる速度だった為、村などには付けず野宿のようだった

テントを張り、焚火を囲い食事を始める

「馬車ってあんなに座ってるのがしんどいもんだと思いませんでした」

「だからウロチョロしてたんだ」

「もう明日から歩きません?疲れちゃいますよ」

「むりむり!?歩く方が疲れるって!」

「えぇ・・・まぁシスレーが疲れるなら仕方ないですね」

馬車は揺れるし、おしりが痛くなりずっと座ってはいられない。クッションなんて物もないから・・・クッションか、何かクッション替わりになるものなかったかな?

「見張りどうしよっか?」

「シスレー今から朝の4時ぐらいまで寝ててください、そこで交代して2時間寝るんで」

「だめだめ!ちゃんと休息しないと」

「いえ本当は寝なくても大丈夫なので、明日は村でゆっくり休みます」

「・・・いいの?」

「アルと二人の時はそうしてましたよ」

「アル君もか・・・分かったそうさせてもらうね」

テントに入り、マットや毛布を取り出し着替えを出し終えて

「何かあれば声を掛けるので、シスレーも用事があれば言ってくださいね」

「うん、ありがとう。おやすみ」

「おやすみなさい」

シスレーはテントに入っていき、僕はテントの前に椅子を移動させて小盾を浮遊させておく。ブルームーンの二人は馬車を挟み反対側、御者は馬車の中へいるようだ

ブルームーンの二人に対する感想は普通のイケメンと美女のPTだ、御者も普通のおじさんだ。この辺りは初めてきたが魔物も少ないようで、今日戦ったのも3匹のゴブリンだけだった。それでもブレッド村の経験やシスレーの元メンバーの事を考えたら、僕は他人を信用しなくなっていた

月が雲で隠れ真っ暗な夜、ファイアの魔法は欠かさず炊いている。夜は冷え込み、ローブを緑の汎用性に着替えて紅茶をすすりながら朝がくるのをじっとまった

朝方になり日が出てくるの見ながら、時間を確認するとすでに5時を過ぎていた。思いのほか何も起きなかったので一安心だ

特段疲れていないし、眠らなくても大丈夫なのでこのまま出発までシスレーを起こさないでおこうと決めた

小腹が空いてきたので、朝食の準備をしているとシスレーがテントから出てきた

「ごめーん!寝すぎちゃった!」

「いいですよ、僕も気づいた時にはもう5時を過ぎていたので」

「今日はたくさん寝ていいからね!」

「いえ、大丈夫なので。朝食たべてテントを片付けましょう」

中間地点の村を経由し、もう一泊野宿をして何事もなくネバースノーへ昼過ぎには到着した

「じゃあねシスレー君、ノエル君」

「はい、イクサスさん達もまたどこかで」

シスレーが挨拶をするので僕もお辞儀だけをして、馬車から離れた

イクサスさん達の行先はネバースノーでは無く、まだこの先のウェスト地方を超えた帝国領だったようだ

「やっと着きましたねー!ここがネバースノーですか・・・名前通り暑いですね」

ネバースノーに着くあたりから徐々に暑くなってきているのを感じていた、待ちゆく人も薄着が多く、土の色も赤みがかって町全体が赤く見えた

「ふふ、やっと喋り始めたね。道中あんなに静かだったのに」

「まぁ・・・それはいいじゃないですか!宿をとって早速街を探索しに行きましょう」

「いいね。宿はねー、赤砂園って所にしようかな。ついてきてー」

シスレーについて行きながら、街をみるがここはドワーフだらけだった。セイクリッドストーンも多かったが、ここの非ではない。恐らくドワーフ9、他種族1に感じ、ドワーフ以外はよそ者判定できるほどだ

いたるところで鉄を打っているカンカンという音や、熱された鉄が水につかるジュっという音、火が燃え盛る音と鍛冶をしていることが明らかに分かってしまう

通りの両脇はほぼ鍛冶や工芸品を扱っているのだと分かり、足をついつい止めてしまう

「ノエル君後からにしようよ、宿とれなくなっちゃうよ」

「あっすいません」

「ふふ、よかった普通に戻ってくれて」

「えっ?何かおかしかったですか?」

「う~ん、気を張っているようで少し近寄りがたかったかな?」

「・・・寝てなかったからですかね?いいじゃないですか」

「だから寝ていいよっていったのに!」

僕はブルームーンの二人が、信用できなくてこの4日間ほぼ寝ていなかった。なぜ信用できないのかずっと分からなかったのだけど、どこか雰囲気がというしか理由が無かった

謎のまま二人とは別れたが、もう出会いたくないのだけは確かだった

シスレーに案内された赤砂園という宿につき、部屋に着くと一息いれた

「ふぃーー、宿とれたのでどこいきます!」

「いやいや依頼依頼!」

「えっすぐにホーク火山でしたっけ?いけるんですか?」

「うん、この街の後ろに見える山々がそうだよ、ホーク火山地帯が正式な名前かな?」

「じゃあ色んな場所で、オイルスワンプって泥は採れるってことですか?」

「うーん、採れる場所はきまってるかな?火山の中原まで登ると色んな所に入口があるから、火山の中に入って採取場所まで行かなきゃいけないの」

「その場所は今からでも行けます?」

「・・・往復考えたら明日のほうがいいかもね」

「ほら!じゃあ街を見て回りましょうよ。あっ疲れてます?僕一人でいってきていいですか?」

「・・・うちもいく」

「無理しなくてもいいですよ?」

「いくの!」

結局今日はこのネバースノーを軽く観光することになったのだ

滞在期間は3~4日と決めていた為、少しでも見て回りたかったのだ

「天然のお風呂とやらはどこですかね」

「それねー、至る場所にあるから歩いてたら見つかるよ」

「ふんふん、あっあそこいい匂いがします!」

「ちょっと早いって待って待って!」

露店では溶岩どりの串焼きが売っていて、シスレーがお勧めだと言っていたやつだ

「すいません2本ください」

「おっまいどー、兄ちゃん美女連れて観光かい?」

「はい、そんな所ですね。初めてきたのですが、この溶岩どりの串焼き以外にもおすすめの物やいい場所ってどこですか?」

「まぁ一番は天然風呂だな!でもここ2か月前ぐらいから天然の湯がでねーからどこもやってねーんだよ、タイミング悪かったな兄ちゃん」

「えぇ!?ほんとですか!?」

「残念だったな。ほら!串焼きだ、銅貨2枚だ」

お金を渡し、シスレーに1本渡し食べ歩きを始める

「シスレー・・・お風呂やってないんだって!」

「うん、うちも聞いてたよ。まぁそういうこともあるよ」

「くぅー!モグモグ・・・すごい歯ごたえ」

怒りを溶岩どりにぶつけたが、ゴムを食べてるような弾力だった

味付けは塩コショウとシンプルなのだが、この鳥本来のうまみのようなものが噛めば噛むほど染み出てくる

「この噛み応えが癖になるんだよねー」

「ですね!美味しい!シスレーは何か見たいとこありますか?僕は天然風呂がないと分かり一気に無くなりました・・・」

「アハハそんなに楽しみにしてたんだ、うちはねー・・・武器がみたいな、誰かさんが買ってくれるっていう約束を反故にしてなければ」

「・・・あっ」

ティアに弓を買って余ったお金で、シスレーにも買うと約束していたが、結局まだ買えて無かったのだ

「あって、忘れてたんだ。ティアちゃんには買うのにやっぱうちは後からのメンバーだから優劣感じるな~」

「そ、そんな事はありませんよ!丁度鍛冶屋いっぱいあるので、じっくりいいの見て回りましょうよ」

「ふ~ん」

目を細められて見られるが、ティアとシスレーは同じようにしているはずだ。ティアの方が少し、甘え上手というか男の扱いが上手なのだ

「ほらほら行きましょう」

シスレーの背中を押して鍛冶屋を見て回ったが

結局その日はいいダガーは無く、赤砂園に収穫もなく戻ってきただけだった

「明日は何時に出発しますか?」

「そうだねー、7時頃でる予定にしようかな」

「分かりました、では明日に備えて寝ましょう」

「うん、今日はゆっくり寝てね。後、明日朝はやくおきても出歩かないこと」

「うっ・・・はい」

旅の朝の散歩は僕の楽しみでもあったのに・・・先に釘を刺されてしまった
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