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第63話 出稼ぎ

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ウェッジコートから戻ってはや3週間が経ち、残暑が残る9月後半の頃

やはりブレッド村が襲われたという事で、小麦の値段が徐々に上がっている様に感じていた

僕たちは変わらずに日帰りや1泊2日でのダンジョン攻略を進め、休みの時は一人でダンジョンで潜りお金を稼いでは、食料以外にもポーションや薬草などもドンドン買いだめを進めている

それでも僕達がダンジョンで取れる鉱石が徐々に少なくなってきていた。やはりブリンクで採れるところは数に限りがあり探すのも苦労し始めたので、フィーバータイムが終わりを告げ始めていた

それをアルも感じ始めているし、もとより祝福あげが滞っているのだ

その夜アルが久しぶりにPTを招集することになった

「久しぶりにダンジョン以外にも依頼を受けてみようと思う。だから今日みんなを集めた」

「なんでー?今でも十分活動できているじゃないかな」

「わたくしも教会も軌道に乗り始めて大事な時期ですの」

「うちも現状で満足してまーす」

「・・・ノエル説明してやれ」

頭を振りながら僕に話をふってくるアル

「はい、岩街でとれる鉱石が徐々に少なくなってきてます。前は一度潜れば金貨5枚の稼ぎはありましたが、今は金貨2枚となってます。少ない時は金貨1枚です」

「まだまだ十分じゃないかな」

「うんうん、うちも余裕だと思うよ」

「ブレッド村が盗賊に襲われ、サイシアールのダンジョンも今は入れない為、両方の影響で食料が高騰してます。今りんご1個いくらかしってますか?ティア」

「りんごだよね?前は鉄貨1枚だったから鉄貨3枚とか?」

「今は鉄貨5枚ですよ」

「まぁノエルがごちゃごちゃ説明したが、依頼を見繕ってきたから受ける物をきめるぞ」

ごちゃごちゃって・・・アルがふったくせに!

ファイアフライの卵の納品 金貨4枚
オイルスワンプの納品 金貨5枚

「この2つをうけようと思う」

「えー・・・これ受けるならまだダンジョンで鉱石探しのほうが効率いいよ」

「オイルスワンプって火山地帯の泥じゃん・・・やだな~」

「ファイアフライの巣ってかなり見つけにくいのではありませんか?」

「こいつら・・・今回は全員参加だ!孤児院もドンダゴさんと店主に頼んだからナタリーお前も参加だぞ!」

ブーブーと女性陣からブーイングを受けている

「それと、ティアがいったようにこれなら鉱石探しの方が効率いいっていうのはそうだ、だからPTを2人と3人の2つに分ける」

それを聞いて、3人は絶対参加ならばと意見を言い始める

「・・・ノエル君のチームにいれてほしい」

「ずるい!うちもノエル君のチームがいいよ」

「わたくしもですわ」

「ふふアル不人気ですね」

「てめぇ!お前の人徳じゃなくて、魔法のおかげだろ」

「うっ・・・」

「でもお前らがそういうと思ったから争いを避けるために、俺とノエル、お前らの3人だな」

「アルずるい!アル一人とノエル君と私達3人の1人と4人でいいじゃん!」

「女性3人PTって危ないよ・・・うち・・・」

「アル!シスレーの事ノエルさんから聞いてますわよね!」

「わりぃシスレー・・・」

シスレーは多分演技だが、アルには効果抜群のようだ

みんなの意見を聞いて、僕も提案があるので言ってみることに

「あのその依頼2人と2人でいって僕は一人ダンジョンに潜った方が稼げそ・・・」

僕がしゃべっている途中で何を言いたいか分かったようで、アルが言葉をかぶせてくる

「仕方ねー、くじできめるか!」

「しょうがないね!」

「うん平等にね!」

「ですわね!」

「えっ僕の意見きいてま・・・」

「アル早く、くじ作ってー」

「うんうん、ノエル君がしょうもない事いいそうになってるから!」

「急いでくださいませ!」

僕が喋ろうとすると3人に睨まれるので、その後は黙ってくじをまった

「よし俺が1、ノエルが2だからな。引いてくれ」

それでも結局アルと僕は別れる判断をしたようなので、アルも我慢したなと心の中で褒めた

「1・・・はぁー・・・」

「2だ!やったー」

「1ですわ・・・」

チーム分けが決まった。アル、ティア、ナタリーチームと僕、シスレーチームだ

「そんなあからさまに落ち込むなよ・・・俺だってノエルと一緒に楽したいんだからよ!」

もう隠す気もないアルの言葉に早く話を終わらせたいようだ

「じゃあノエルはオイルスワンプでいいか?たくさん運べるだろ」

「僕はどっちでもいいですよ」

「じゃあ決まりだな。お互い出発は3日以内にしようぜ、ドンダゴさんや店主に予定伝えなきゃいけないからな」

「分かりました。じゃあシスレーよろしくお願いしますね」

「うんよろしくー!」

上機嫌なシスレーとは裏腹に落ち込んでいる3人・・・僕もイベントリが無ければこうなっているだろうと思う

「ノエル君私の部屋おいで、オイルスワンプがある場所とか教えてあげるよ」

落ち込んだ3人がリビングで静かにしているので、シスレーが場所をかえようと言ってくれた

「はい、アル達も僕に預けている物で欲しいのがあれば言っておいてくださいね。では」

拠点の2回へはリコールを掛けにくる以外は上がることが無くなっていた

シスレーの部屋に入るのも拠点紹介でティアに見せた時以来だった

「どうぞー」

「おじゃましまーす。おぉ!」

以前は青系統で統一されていたが、今では紫やオレンジなども加わってマジックアワーのような感じになっている

「シスレーはセンスがありますね」

「ありがとう、結構部屋にお金つぎこんじゃってるからね。適当に座ってくれるかな」

適当に座るが難しいのだが、長椅子があるのでそれに腰掛ける

「じゃあまず、うちらが取ってくるオイルスワンプって何か分かる?」

シスレーが聞きながら僕の横に座る

「う~ん、名前的に油なのか泥なのか・・・って感じで知りません」

「そっか。じゃあ最初から説明かな」

シスレーはやはり何でも詳しかった

オイルスワンプというのはウェスト地方にある、ホーク火山付近で採れる泥のことだった。この泥は美肌効果があり貴族に人気の物らしいのだ

ホーク火山自体はそこまで危なくないエリアで、このDランクでも余裕で倒せる魔物が生息しているようだ。だがその暑さゆえに訪れる冒険者は少ないようだった

「まぁ過酷なとこだけど、ホーク火山のほとりにネバースノーっていう村があるんだけど、そこで天然のお風呂とかあるからそれを楽しみに行こうね」

天然のお風呂!?つまり温泉ってこと!!

「天然のお風呂ですか!?すっごい楽しみになってきました!」

「ノエル君綺麗好きだもんね、溶岩どりの串焼きも美味しいし、溶岩卵なんてのも美味しんだよねー。最初しぶったけど結構いい依頼かも」

「ふむふむ・・・そのネバースノーには何日でいけるんですか?」

「う~ん、馬車で4日かな」

「分かりました!明日ちょっと一人で旅行資金稼いできますので、出発は明後日にしましょう!」

「旅行って・・・資金集めに依頼いくのに、それ以上の資金を準備で貯めそうな勢いなんだけど」

「ふふ、僕と一緒になった事後悔させませんよ!依頼はさっと終わらせて観光を楽しみましょう!」

「すでにノエル君と一緒で良かったと思ってるから、とりあえずうちも準備しておくからね」

ふふこれは楽しくなってきたぞー、それに今回はアルでなく美女と二人旅だ。ブレッド村が残念だった為に今回は楽しもうと決めたのだった

次の日、朝からダンジョンにもぐり少し危険な場所も頑張ってほり資金に金貨15枚を貯めた

これで自由に使えるお金は金貨23枚と十分なはずだ

メルさんにも耐熱性の手袋とブーツ、耐熱耐毒両方ついた口元を覆えるスカーフをエンチャントしてもらい、また少し岩街を空けると報告も忘れずに
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