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第51話 セイクリッドストーンダンジョン①

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孤児院に子供たちが慣れ2週間が過ぎたころ、みんな思い思いに生活していたある日、アルがみんなを招集した

「よし、一通り落ち着いたからそろそろPTとして活動しようと思う」

「えー・・・まだいいんじゃないかな」

「わたくしもまだ孤児院のことで手一杯で」

「うちものんびり暮らせて、今楽しいんだよね」

なんとも・・・志が同じの人たちが集まっていたのだと思っていたが、優雅な暮らしを手に入れたら人はここまで変わってしまうのか2人はニートになりつつあるではないか

「くそっ!ノエル!お前からもなにかいってやれ!」

「PTの資金無くなりましたよ」

PTのお金は僕のイベントリに入っているのだ、一番安全だからそう決めていた。報酬などで一人金貨10枚を分け、教会の宝物庫で手に入れたものたちもある程度捌くことがでたが、家具や食料などに使い続けるとこの2週間で消えてしまったのだ

「うそ!?」

「どうしてですの!?」

「何にそんな無駄につかったのノエル君!」

「えっ・・・だってみんなよく食べるじゃないですか、それに子供たちも育ちざかりの子は食べますしセイクリッドストーンはサイシアールに比べて物価が高いじゃないですか」

教会は出来て間もないため、そこまでの収益は見込めておらず、孤児院の食費も僕達のPT資金からでていた

「ノエル、よく言った!食べたければ働け!」

「いや一番食費かさんでるのはアルですから、今日からエールはなしですよ」

「おまえっなんてことを!」

アルはよく食べ、よく飲む一番お金を消費している自覚はなかったのだろうか

「そうよアル!食べすぎー、リーダーとしてかせいでこーい」

「あなたのせいで、また子供たちが飢えてしまったら・・・」

「アル君のせいで・・・可哀そう」

ナタリーそれは言っちゃだめだよ・・・その言葉は一番アルにささる

「あっ・・すまねぇ・・・子供たち・・・」

あーあ、この件に関してアルが可哀そうに思えるほど落ち込むのだ

子供たちが美味しそうにごはんを食べている仕草をみるだけでも、アルは泣き顔になってしまうからだ

「みなさんその辺にしてあげてください、流石にアルがぼろ切れに見えてきます」

「ぼろ切れってなんだよ!」

助けてあげてるのに!一緒に攻めればよかった!

「まぁいい!とりあえずそういう事だから、セイクリッドストーンのダンジョン攻略に向かうぞ。一応メンバーは俺、ノエル、ティア、シスレーだ」

「回復役はどうするんですか?僕のファーストエイドではナタリーほどの回復は見込めませんよ」

「そこだよな・・・だけど一応ノエルと回復薬でいってみようと思う。無理そうなら次回からナタリーが参加できるように手段を考えようぜ。だから今回は低層を1泊2日の予定で様子見だな」

「それなら何とかなるかな~、シスレー岩街のダンジョンってどんな感じ?出てくる魔物とか雰囲気は」

この中で岩街のダンジョンに一番詳しいのはシスレーだ

「岩街のダンジョンは坑道のようになっていて、出てくる魔物は大こうもりやスライム、スケルトンにグールかな。壁をほって鉱石を探しながら下へ下へ降りていく感じ」

「ほー、採掘楽しそうですね!」

「楽しそう?どこになにがあるのか分からないよ、それに坑道の中って気を付けないと毒が充満している地帯とかあるから、いつのまにか毒に侵されてたって話はよく聞くね」

「なるほどな、とりあえず1日後の朝に行く予定だ。今日シスレーのアドバイスを基に物資を買ってきてくれノエル」

「買いに行くのはいいですけど、お金は?PT資金はもう銀貨5枚をきってますよ?」

アルがPT資金がないのに物資というので、2週間前までのはぶりのいい生活に慣れてしまっているようだ

「そんなに金がなくなってたのかよ!?仕方ねーな、今回はみんな自腹で準備するか」

「あっ・・・私もう自分のお金、ポーション1個かうぐらいしかないかも・・・」

「うちも・・・銅貨が数枚だけ」

「え!?なんでですか!?結局一人金貨15枚の分配になったじゃないですか」

2人ともそうだけどとゴニョゴニョいっているが聞き取れない、恐らく自分の部屋を快適にする為に色々買ったのだろう

まぁでも女性を助けるのも男の務めかと思い、アルと一緒に用立てしてあげようと思った

「アルどうします?僕達で今回は準備しますか?」

「ノエルわりぃ・・・俺も武器と防具慎重したから金ねーわ」

・・・

「なんだこいつ!?まさか・・・自分のお金が無くなって新しい武器を手に入れたから、早く使いたくてダンジョンに潜りたかったんじゃ!」

「ぐっ・・・ちげーよ!」

「今、ぐっって言いましたよね!もう、みんな自分のお金さえないのにどうやって生活しようと思ってたんですか!?ナタリー言ってあげてくださいよ!」

流石にナタリーはそんな散財していないだろうと思い話を振る

「・・・ノエルさん、すみません。わたくしも子供達の服おもちゃや庭に遊具を増設してしまって、みなさんに貸せるお金が・・・」

「・・・それは・・・まぁ・・・必要でしょうし、今後の投資のような、うん・・・」

ナタリーも少し責め辛い理由を並べられ困った

「まっまぁ、岩街はそんなに物資はいらないよ。今ある物で代用できるから、ポーションさえ買っておけば何とかなるから」

「だよな!何そんなカリカリしてんだよノエルは。それにお前もそんなに金残ってないんだろ?」

「僕は毎日メルさんや、ターナー先生のとこでお手伝いをして、露店で良いものがあれば購入して店主と一緒に売ったりしているので実際お金には困ってませんよ」

「ちっ、せこい小遣い稼ぎしやがって・・・」

「・・・ティア、シスレー、買い物に行きましょう。ポーションや食べ物、必要そうな物資を買いに行きましょう、もちろん奢ります。ナタリーも僕がいない間の孤児院の食料を買いに行きましょう」

「いいのー?優しいなー」

「これが甲斐性のある男か・・・」

「助かりますわー」

「俺は!?なんでメンバーに含まれてないんだよ!」

「ポーションだけでいいなら一人で買ってくればいいじゃないですか、ではみなさん行きましょう」

僕はアルに別れを告げて、美女3人を引き連れ買い物に出かけた

シスレーのアドバイスの元、最低限必要な物とあったら便利な物を聞いて必要物資を揃えた後家に戻ると、必死に謝るアルがいたので僕はもう一度アルと買い物に出かけ、準備をしたのだった

久しぶりのダンジョンということで、戦闘の勘が鈍っていないといいが・・・それは僕だけに限らずみんなに言えることだった。アルだけたまに素振りをしているのを見かけたが、恐らく誰一人訓練などはしていなかったからだ

少しの不安を抱いて、ダンジョン攻略に臨むのだった

岩街のダンジョンはなんとあの気になっていた宮殿にあるらしいのだ

どうやらそこが坑道の入り口となっているようだ

坑道という事でダンジョン内はかなり暗いらしい。入口に近ければは明かりがついているようだが、徐々に潜っていけば人気も少なくなり明かりもなくなり、光源は必要不可欠のようだった。

道はほぼ一本道となっていて、分かれ道もあるが正解の道以外は行き止まりになっているそうだ

坑道には完全に階層のようなくくりは無いらしく、大雑把に低階層、中階層、下層、最下層の4つに分類されているらしい、しきりになるような目印もないらしく何となく出てくる魔物や手に入る鉱石で判断しているようだ

シスレーから簡単に説明を受けたが、広いだけで毒に気を付ければそう難しいことはないとのことだった

今回は様子見なので資源探しの方をメインにしている。レベルもあげたいところだがナタリーがいないので、積極的に狩りはしないのだ。シスレーのレベルは6、アルとティアが4、ティアは討伐隊で屋根上からゴブリンを狙撃していた時に上がったからだ。そして僕が3だ

宮殿がある丘を登っていく

「みんなセイクリッドストーンのダンジョン初めてなら、ここに早く案内してあげればよかった。ダンジョンに入らなくても色々売ってるので楽しいよ」

「俺は武器と武具を新調した時はここで買ったぜ、色々あって面白いよな」

「私も一人で散歩してる時にきたよー、ついつい色々なもの買ってお金なくなっちゃった」

「なんだみんなやっぱり来てたんだ、驚くと思ったのに」

そんな当たり前のようにここに足を運んだ会話をしていたが、僕は一度もきていなかった

「はい!僕は初めてです」

「ほんと?じゃあお姉さんが色々おしえてあげよう!」

すっかりガイド役が板についたシスレーに何があるかとか、雰囲気なんかを聞きながら坂道を上り終えると、宮殿の全容が見えた

3mの白い壁に囲まれ、門をくぐると大きな広場となっていた。一直線に伸びた白い道、その道の周りには綺麗な緑の芝生が敷き詰められその上に屋台のような店が並んでいる。道の先にはこれも白で出来た大きな噴水があり、動物のような白色の石像が飾りとしておかれている

その噴水の奥には遠くからでも見えていた宮殿のメインが建っている。アラビアンナイトに出てきそうな、クレムリン宮殿のようなふくらんだ屋根が特徴的だった。建物自体は白色で、ふくらんだ屋根だけ金色に輝いていた。

もうこの雰囲気だけ期待が膨らみ、今日はこの屋台だけみて帰ればいいのではないかと思ってしまうが、ダンジョンの事も気になるのだ

「どこが坑道の入り口なんですか?この雰囲気と坑道はかなりかけ離れてますね」

「ふふそうだよね。ダンジョンは宮殿の中だよ、行こっ」

と言っても気になるので、通り過ぎながら立ち止まらず見てみるが、商店区のような雑貨ではなく、戦闘用の武器や防具、スキルブックにポーションや薬草などがメインに並んでいるようだった。

露店を通り過ぎ、宮殿の入り口で警備をしている兵士へ冒険者カードを見せると中へ入れてくれるために、宮殿のドアというより門を開けてくれ中に踏み入れた

「うわ!?なにこれ!?」

「すげー雰囲気だな、これは」

「すごいアンバランスですね・・・」

「だよね」

僕らの反応にシスレーはくすりと笑う

僕達がみた光景は中に入ると、広い一つの部屋に正面の壁が岩肌だったのだ、その壁に穴が空いていてそこがダンジョンの入り口のようで冒険者が入って行ったり、出てきたりしている

はっきりいってしまえば、この宮殿はハリボテだった。ダンジョンの入り口の見栄えをよくする為の様に思えるものだった

「あの穴が入口でいいんだよな?」

「そうだよ、どう驚いた?」

「そりゃあな、何の為の宮殿なんだよ」

「なんでだろうね」

入口に向かいながら歩いていく、この入口もかなり広いし高い、坑道というより洞窟って感じだ。
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