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第49話 ドワーフの技術力

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家を購入した翌日、結局家は絵一枚で買えてしまった為に現在分配できるお金は、壺の金貨250枚 報奨金の金貨30枚、情報料の金貨10枚の合計金貨290枚だ

これを5人分とPT資金に分配し一人金貨10枚となった。ナタリーやティアには事後報告になるが、元からみんなに分配するお金は無かったので大丈夫だろうとアルが判断した

この残りの金貨240枚で家具や生活に便利な物、孤児院の改装をするようだ

「なんでも買えちまうな、どこから見に行くよ」

「ターナー先生に教会にも使えるように、孤児院の改装の相談しに行くのがいいですよね」

「そうだな、いくらかかるか分からねーもんな」

孤児院の改装なのだけど、どういう風にすればいいのか分からず、これもターナーさんに相談する事になっていた為、向かうと職人を紹介してくれるそうだ。それをアルとシスレーに任せ、僕はターナー先生の信頼できる部下の方とターナー先生の所有物件へ、リコール周りで岩街を転々と回った

岩街は僕が思ったよりも広く、馬車での移動だったが終わる頃には夜になっていた。ゆっくり街並みを見たかったが、これも仕事だと思いリコールに徹していたのだ

もう宿屋はチェックアウトをしていた為、新しくPT拠点にもどるとアルは孤児院になる予定のとこにいた

「アル戻りましたよ、何してるんですか?」

「あぁ、おつかれ。ターナーさんが口を聞いてくれて明日には施工してくれるようだぜ」

「はやっ!?」

「どうやら大規模な改修は必要ないようだ。それより増設して教会を建てた方がいいんじゃないかってことだから、どこに建てたらいいか模索してんだよ」

住居はもうそのまま使って、教会になる物をこの広い庭に建てる話だった

「じゃあ頑張って考えてくださいね、シスレーはどこですか?」

「は?お前も考えろよ、シスレーも今、絵にかいて考えてるぞ」

「なるほど・・・シスレーと建ててくれる職人さんに任せておくのが丸そうですよ。素人は食事にしましょうよ、ご飯買ってきましたよ。エールも」

「・・・だな!外で食おうぜ、テーブルとイスだしてくれよ」

「いいですね!」

自分の専門分野外のことは任せておくことに限るのだ、イスとテーブルを並べ買って来たもの並べランタンに明かりを灯す

「ノエル、乾杯!」

「かんぱーい!」

椅子に座り、アルはエールを僕は果実水を一気に飲み干す

「ぷはー!いいもんですね、自分の家の庭でこうやって出来るのは!」

「くぅーー、だな!最高の贅沢だぜ」

見上げると夜空が星々で輝き出している

「ここずっと大変でしたが、落ち着くことができましたね」

「だな、何度死にかけたことか。もう思い出したくもないぜ」

ファイアで焚火も作り、肉などもあぶっていく

「こうやってゆっくり暮らすのも悪くないかもですね」

「そうだな・・・そう思うがまだ早いだろ、こんなの30、40になってからでも出来るからな。俺は貴族になる前に古代遺跡やまだ未踏のダンジョンの階層、海の中に眠る海中都市とか行きたいぜ」

アルの言葉にビクンと体が反応した

「古代遺跡!?海中都市!?なんですか、その男の夢がつまってそうな響きは!」

「ククク知らねーのかよ、いいだろう教えてやるよ」

そこでまだ知らぬこの世界の不思議をアルに聞いた。やはりアルとは気の合う仲間なのだと感じて楽しい時間が過ぎていたが・・・

「ちょっと!二人ともなに楽しくご飯食べながらお喋りしてるのよ!こっちに無茶な仕事なげといて!」

シスレーを忘れていた

「あっ・・・シスレー悪い、一緒にくうか?」

「何飲みますか?暑いので冷えた飲み物も出しますよ」

「もう!お腹ペコペコ!アルフレッド、肉!ノエル、エール!」

「おっおう、今から炙るな・・・」

「はっはい!どうぞ!」

シスレーの勢いに、アルまでもがどこか気を使っている

ゴクゴクゴクとエールを喉に流す音の後に

「ぷはーーーー!このエールが冷えて美味しいことでノエル君は許した、アルフレッド丁度いい火加減と味付けをしなさい」

「ノエル調味料だせ!あのうまいたれ!」

「どうぞ」

アルが火加減を見て、たれを豪快に上から垂らすとそのたれが火に垂れて、空腹をくすぐるいい匂いが漂ってきた

「シスレー出来たぞ」

モグモグモグと咀嚼をした後にやっといつも通りの顔になったシスレー

「アル君も合格、まったく仕上げたと思ったらこの仕打ちは無いよね」

「いや俺だってどこがいいか考えてたんだが・・・ノエルが帰ってきて・・・あっノエルがシスレーや職人に任せておけばいいって言ったからだ!」

「ちょちょっと!アル何ぼくのせいにしてるんですか!」

何が気の合う仲間だ!こんな裏切をするやつが気の合う仲間なわけがない

「ふ~ん・・・まぁもういいよ、一応書いたの見てくれる?」

「はい!ぜひ!」

シスレーが描いていたのは構図とかでなく、風景画だ。この孤児院になる予定の場所に、まだない教会を想像し良さそうな場所に描いていた。内装の絵も描いていてイメージが湧きやすかった

「うま!?」

「まじかよ・・シスレーってこんなに絵が上手かったのか」

アルはシスレーの絵を始めてみたのだが、やはり素人でもシスレーの絵は上手だと分かるのだ

「ふふーん、素直な反応で嬉しいよ」

「これでほぼ決まりでいいんじゃないですか?後は建てる職人さんがいいようにしてくれるでしょ、教会のデザインもとてもいいと思います!」

「だな、これなら誰も文句いわねーわ」

「良かったー、頑張ったかいがあるよ。でも集中して肩こっちゃったし、まだお腹ペコペコ。それに飲み足りないよ」

「ノエル、エール出して肩揉んでやれ!俺は肉やく!」

「了解です!」

この拠点づくりの一番の功労者になったシスレーに、僕達二人は頭が上がらなかったのだ

翌日からシスレーの絵をもとに職人に伝えると、ある程度想像できたようですぐに取り掛かるとのことだ

「シスレーのおかげで順調に進みそうですね」

「ほんと助かったぜ、後は予算も金貨200枚で足りそうらしいぜ」

「そのことで、ひとつわがまま言っていい?」

「なんだ?出来ることならいいぞ」

「こっちのPT拠点の方も少し内装とか手を加えてもらっていいかな?お金があまりそうならなんだけど」

「いいぞ、家具や食料も買わなければいけないからな、残り金貨40枚のうち20枚ってとこか?」

「いいの?ありがとうー!じゃあうちここについてるから」

「おう、じゃあ頼むわ」

「よろしくお願いします」

僕達はシスレーに孤児院と拠点を任せる事になったのだ、PT拠点も内装をいじるそうなので邪魔になるといけないので僕達は街に出ることになった

「なんか久しぶりだな、こんなあいた時間は」

「え?いつもゴロゴロしてたんじゃないですか?」

「ゴロゴロってなんだよ。休息だろ。お前みたいに死にそうになりながら、次の日に歩き回るようなやつはいねーんだよ」

「・・・ものは言いようですね、やる事何かありますか?」

「いや、特に何も考えつかねーな。お前は?」

結局今日だって、家を追い出されなければゴロゴロしていただろうなと思い、のどまで出そうになったが飲み込んだ

「PT資金ほぼなくなりそうなので、教会の宝物庫で手に入れた剣や宝石類、それとスキルブックが結構あるのでそれを店主に聞いて使ったりして、お金に変えれるようにしませんか」

「いいじゃねーか!行こうぜ!」

PT拠点から店主がいる倉庫はそう遠くはなかった。歩いて20分ほどの距離なので利便性がいい

ドンドンドン

「こんにちはー」

倉庫についてドアを叩くと店主が出てきた

「おう、お前らか、中に入れよ」

僕らをみてすぐに中に通された。店主は岩街にきて毎日何をしているんだろうかと、疑問におもったので後で覚えてたら聞こう

「おじゃまします」

「ここが店主の想い人が貸してくれた倉庫か」

「おい!アルフレッド!」

アルはいきなり店主を茶化すので僕も笑ってしまった

「悪い冗談だよ、人には秘めた思いがあるもんな。ノエルが女騎士に焦がれているように」

「ちょちょっと!アル!なんで僕を巻き込むんですか!」

「ククク、店主をからかった時にお前が笑っていたからついな」

「ほー坊主も弱み握られてるんだな・・・同士よ」

「弱みって訳ではないですが・・・」

「まぁいいその事はほんと他言するなよ、今日きた理由もきいてやるから」

「話がはやくて助かるぜ、ノエル並べてくれ」

「はい」

前に一度店主にみせた品々とスキルブックをだして、まずスキルブックを鑑定してもらった

剣術 ブリッツアタック 突進
槍術 一閃突き 突進
弓術 インタービット
短剣術 疾風 クロークダガー
無属性魔法 バリア マジックミサイル ファーストエイド
火属性魔法 ファイアボルト
風属性魔法 ストーム
生活魔法 ライト コールド
法術 オールヒール

合計13冊がスキルブックで、まだ本はあったがスキルブックに似た偽物だった

悪い事を考えるやつがいるもんだと感心してしまった

「ノエル、スキルブックはお前にやるといったが・・・ブリッツアタックくれないか」

「いいですよ、その為に全部売らずにアルと一緒にきたのですから」

「サンキュー!これで覚えれたら俺のスキルも増えるぜ!」

「店主、どんな魔法やスキルかおしえてくれませんか」

「いいぜ、どれから説明する?」

店主の説明をきいてスキルブックは剣術のブリッツアタックはアルに、弓術はティア、短剣術はシスレー、法術はナタリー、無属性と生活魔法は僕が貰い残りは店主へ提供した。ここにいないメンバーがもう持っているスキルだった場合はまた提供すると伝えたのだ

「お前無属性も使えるようになってたんだな」

「はい、そのおかげで蜘蛛の魔物を倒せました」

「ふ~ん、そうか。で、残りはこっちだよな」

アルは宝物庫のお宝を指さした

「店主どうやったら売れますか?」

「大通りの露店にお前たちも出せばいいじゃねーか、それか俺が買い取ることはできないが、代わりに売ってやろうか?」

「え?いいんですか?」

「あぁ俺も商売の目途が立ってきたからな、露店を丁度開こうと思ってたからその一角にお前たちの物も置いといてやるよ」

「おぉ!いいじゃないですか」

「店主、いくらとるつもりだ?」

僕がその気になっていたが、アルは売る手数料を聞いた

「スキルブック貰ったからな・・・5回露店開くまではただでいいぞ。それを超えたら売った金額の20%貰うってのでどうだ?」

「5回までただか・・・よしのった!それ開くとき俺たちも誘ってくれよ」

アルも商売やお金のことになると気合がはいるのだ

「いいぜ、じゃあ明日の朝に一回やってみるか」

「分かった、朝一番でノエルが行くから、俺は9時ぐらいに行く」

「・・・まぁいいですけど」

自分は朝一番で行くとはいわないあたりがアルらしいが、僕もどうせ起きているしそうなるのは正論なのだがなぜか腑に落ちなかった

「じゃあ俺手続きして、販売許可と場所をきめてくるな、ちょっとまっててくれ」

店主は早足に倉庫を出て行った

「許可とかやっぱりいるんですね」

「だな、待っている間ひまだからスキルブック使っちまうか」

「ですね」

アルは無事ブリッツアタックを覚え、僕も新しくバリア、マジックミサイル、ファーストエイド、ライトを覚えたのだ

「このスキルブックを使って覚えれた時って、高揚感が満ち溢れるな」

「分かります、ライト」

光の球体が浮かびあがり、薄暗かった倉庫は明るくなった

「ちっ俺もはやく試し打ちしてーのに」

攻撃スキルは室内では危ないので、ライトなどの生活魔法とかしか試せないのでアルが羨ましがっていた

「まぁこれも魔法使いの特権ですよ、バリア」

「こいつ!調子にのりやがって・・・」

魔法の試し内をしながら待っていると、店主が帰ってきて場所を伝えられた。後は店主のアドバイスで価格をある程度決めて明日に備えた後に、うずうずしているアルと一緒に街の外へスキルを試し打ちに出かけた

「ふー・・・強力なスキルを手に入れてしまったぜ」

「なんですかあの3段突きは、早くて見えませんでしたよ」

「ノエルのマジックミサイルも強かったな、あれは役に立ちそうだ」

「まさかオークがマジックミサイル1回で倒せるとは思いませんでした」

2人で今日の成果を話しながら、帰路についた。今夜もオーク肉があるのでBBQになりそうだ

「ノエル・・・見えるか・・・」

「はい・・・幻でなければ、恐らく同じものが見えてます」

PT拠点に着くと、隣の孤児院に教会が建っていたのだ。シスレーの絵の通りの場所、絵のデザイン通りに

「建物って一日で建つものなのでしょうか」

「いや・・・そんなはずないと思うが・・・」

そこでシスレーが教会から出てきた

「あっおかえりー、どう?なんか一日で出来たみたい」

「お、おうそのようだな」

「ただいまです、これハリボテじゃないですよ」

「中もしっかり出来てるよ、入ってみてごらん」

シスレーに連れられ、中も確認するがイメージ通りの教会だった。ステンドグラスまでついている

部屋アビリティ鑑定ができる部屋もあり、しっかりしていた

「す、すげー・・・これがドワーフの技術か」

「はい、驚愕です」

「どうかな?」

「すごいいいと思います」

「これは・・・立派すぎて逆にナタリーが遠慮しそうだな」

「それはよかった、次に孤児院見に行こう!」

シスレーは孤児院もどうやらいじっていたようだ

でも中に入る前からもう変わっていた

外には家庭菜園が出来る畑が出来、ブランコが設置されていた

アルもそれを確認しても任せた手前何も言わなかった

中に入るとかなり変わっていたのだ、間取りが変わっている食堂に大きな部屋、その隣にも大部屋のリビングと小さい部屋を一つの大きな部屋。孤児院がどんな物か知らないが、子供達が集まるのに適した間取りとなっていた

「どう?結構いい感じになったよね?」

「はい、子供たちが伸び伸びと遊べそうですし、作業するにもいいんじゃないでしょうか」

「じゃあ最後に拠点へいこー」

拠点へ到着すると、こちらは何がかわっているのか分からないが、昨日よりか変わっているのは確かだ

「どこか変わってそうなんですけど、どこが変わっているのか分かりません・・・」

「俺もわからねーわ」

「だろうね、こっちはちょっとづつ変えただけだから。当然だよ、こっちきて、ここに力いれたから」

そう連れてこられたのは浴室だった

「え!?大きい!」

「なんだこれ!」

「うちお風呂好きだから、広いだけで何も凝ってない作りだったのでデザイン性をいれてみたの」

貴族が入りそうな雰囲気に、もとから3人はいれてそうな浴槽が5人は入れるほどの大きさになった

「シスレー、ちなみにこれ全部でいくらしたんですか?」

「金貨210枚丁度にしてくれたよ、思ったよりも教会が安くできたみたいだから」

予算内に全てをぶち込んだようだ

「・・・すげーわ、明日ノエルとリビングの家具も頼む。共有スペースはシスレーに任せたい」

「確かに・・・これは僕らでは無理ですね」

「ほんと?いいの自由にして?」

「あぁ、金貨10枚分だけどな」

「うわ~楽しみ!ノエル君明日よろしく!」

「はい、お供します!」

僕達はシスレーのセンスに脱帽し、拠点づくりは丸投げしたのだった
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