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第39話 再開は、時に思わぬすれ違い

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どれくらい時間が経っただろうか、ふと目が覚めると、隣にナタリーが座っていた

「えっと・・・おはようございます」

「起きたのね、無事でよかったわ」

ナタリーは落ち着いて答えてくれた

怪我は治っているようで、体の痛みもない

「回復かけてくれてますよね?ありがとうございます」

「どういたしまして、あなたが怪我をするってかなりビックリしたわ」

「ハハハ、今回は死ぬかと思いました」

僕らの声を聞いて、外からドカドカドカと掛けてくる音が聞こえた

「ノエル!おきたのか!?」

そういうのはアルだった

「アル、おはようございます!」

目覚めの挨拶をする

アルは僕の頭をはたき

「お前は人に逃げろと言っておいて、自分が死にかけやがって」

「すいません、心配をおかけして」

「あ?別に心配してたわけじゃねーわ」

アルはふんとした態度でそういう

「あら?ノエルさんを抱えて私の元に連れてきたのは誰かしら?その後も大丈夫か?大丈夫か?って魔法の邪魔ばかりしてたじゃない」

ナタリーはそういってふふっと笑った

「おまえっ!?ばか余計な事しゃべんな」

「あの時助けにはいってオークを切り飛ばしたのもアルですよね?意識がもうろうとしてましたが、シルエットと声的にアルだと思うのですが」

ナタリーにばらされて、少しきょどるアルに聞く

「あぁあの時はまぁそうだな」

「ありがとうございます、助かりました」

「気にするな、もう無事だったんだそれでいいじゃねーか」

アルはぶっきらぼうに言っているが、僕にとってはアルのおかげ最後の最後まで力を振り絞ることが出来たのだ。

「あっティアはどこです?」

僕は一緒に逃げていたティアが見当たらないので聞いてみた

「あいつはピンピンしてるぞ、多分他の兵士に囲まれてるんじゃねーか?」

アルの言葉に無事だと知り、安心した

喋っている中で辺りを確認し、今はテントの中にいて、マットに寝かされていたようだ。外の状況を確認したかったので起き上がる事に

「おいもう大丈夫なのか?」

「はい、回復魔法も掛けて貰っているので、もう痛みはないですよ。少し外がどうなっているのか見たいです」

外にでると空は薄暗く暗くなっていてオレンジと青の境目ができていた

自分の時計を確認すると、時間は6時25分だった

周りはテントが至るとこにたっていて、そこには人が寝ている状態だった

焚火や魔道具で明かりが所々にあり、騎士団の人たちが冒険者を看病している様子

「あの・・・これは・・・どういう状況ですか?」

なんとなくわかったがおずおずと聞いてみる

「テントで寝ているのはお前と一緒の後発組だな、先発組はこの丘に順調にたどりついていたんだ。後発組の一人が魔物に襲撃されたと報告にきたから先発組で救援に行き、助けれたやつらだな」

アルは説明をしてくれる

「そうですか・・・じゃあ後発組の生き残りは・・・」

「そうだ、ここにいるやつらが全員だ」

僕が少し聞きづらかったので、口ごもるように言うがアルは答えてくれた

後発組は出発当初は300人はいたが、見渡す限り今は50人ほどだろうか?

(かなり少なくなってしまったな・・・)

「でもな、魔物の数は一気に減らせれたと思うぜ?」

僕の心情をよんで、アルがそういい続ける

「この、後発組への奇襲は統制が取れていたようだろ?だとすると、サイシアールを襲った魔物たちと考えていいだろう、そうなると700匹は倒せていると考えているようだぜ」

アルの言葉にハッとしてしまった

(なるほど・・・そうだよな・・・討伐隊という名前に惑わされていたんだ)

勝手にこっちが一方的に討伐するものだと思い込んでいた。騎士団やギルドもそう思うように仕向ける為にそういう名前にし、募集が集まりやすいようにしたのだ

すこし僕はやり切れない気持ちになり、一人で見てくると告げ、夜風に当たる為と後発組の生き残りを確認しにいった

一番近いテントの中で、真っ先に骨砕きを見つける

「おまえ・・・真っ先に死ぬと思っていたが生きていたか」

向こうも僕の事を覚えていたのか、目が合うと同時に喋りかけられた

「はい、運がよかったのとドンダゴさんたちが殿をつとめてくれたので」

僕はそういい、軽く会釈をするとその場をさったのだ。すごく居心地が悪く感じてしまったからだ

僕が見た光景は・・・骨砕きの左腕が無かったのだ。最後に見た時は、怪我はしていたが手はあった。他の人達を逃がすために必死に戦ったんだろうか

(あんなトロルを一人で倒す人でも・・・)

その後救護テントをみて回ったが見知った人は、骨砕きだけだった。あのBランクの骨砕きと一緒に殿をつとめるといった金髪、青鎧の人も、馬車の護衛でで一緒になったCランク、Dランクの人達もいなかった

でも僕が確認したかったのは、その人達では無かった

(シスレーさんたちもいない・・・あの人達は生きていてほしかった・・・)

逃げている最中にも、見かけることは無かった。彼女たちはDランクだから前の方にいたはずだから、生き残れているのではないかと思っていたが、救護テントで見かけることは無かった

僕がフラフラと救護テントから、ナタリーがいた場所まで戻る時にある人を見つけた

「あっ」

僕はその人物がだれか分かり走って駆け寄った

シスレーが木に寄りかかり、体育座りで顔を伏せて座っているのが雰囲気やシルエットで分かったからだ

衣服はボロボロになっていて、所どころから下着が見えてる、その上から大き目の布を肩にかけている様子からシスレーもギリギリの状況だったのだと察した

「シスレーさん・・・?ですよね?」

確認するかのように、ゆっくりと尋ねた

シスレーは顔を上げこっちを確認する

「君か・・・生き残れたんだね・・・よかった」

シスレーの目は赤く染まり、元気のない顔でこっちを見る

「あぁ無事でよかった!昨日の夜も会えなかったので心配してのですがあれ・・・ほかの」

僕はシスレーさんがいたので安堵から、喋ってしまったが、喋っている途中で今の状況が分かってしまったのだ

「あぁみんな死んじゃったよ・・・」

僕の途中までの発言にシスレーは破棄のない声で答えた

「それは・・・すいません・・・無神経に」

「いや、冒険者なんだ・・・仕方ないよ・・・」

僕はなんて声をかければいいのか分からなく、でもその場を去ることもできず立ち尽くしていた

「うちのやりきれない気持ちをきいてくれる・・・」

シスレーは突然ぽつりぽつりと昨日の夜から、今日のことまで喋りだした

僕はシスレーの横にそっと座った

「昨日夜の3時ごろ見張りをしている時だった、森に動く影を見つけ、シンとエマが様子を見に森へ入っていったんだ」

この時点で僕は昨日の夜のことを思い出して、少し嫌な予感がした・・・

その後1時間たっても戻ってこなかったので、Bランクの別の見張りをしている冒険者に相談したのだが夜ということもあり、捜索するにも日が昇ってからとなったんだ。私とメリアは朝早くに森に入り、シンとエマの捜索をしたんだよ、そしたら森の中で衣服をはぎとられて倒れているエマを見つけたんだ。だけど見つけた時にはもう死んでいて・・・私はその様子から、魔物ではなく人間によるものだと確信していたよ

そこまで喋るシスレーの語気は強くなっていた

でも、時間が時間になり、犯人捜しをする為に私たち2人は討伐隊のところに戻ったんだ。そして行軍を始めてすぐに死んでいるシンも見つけたよ・・・こっちも衣服をはぎとられ乱暴された形跡があった・・・だけどこの隊の責任者はオークかゴブリンがやったという結論を出したんだよ・・・よく見れば魔物でなく、冒険者だと分かるはずなのに!

拳を握り、震えながらも力強く続ける

うちは行軍しながらシンを襲ったやつらを探したよ、恐らく冒険者の中にいるだろうとは確信していたからね。案の定すぐに見つけることが出来たんだ、バカな連中だったよ、シンはどうだったやエマが意外となど、他の連中に声高々と自慢していたんだからね

僕はシスレーのその説明に胸が苦しくなるのを感じていた

うちは怒りに身を任せてその場で殺してやりたかった!でもね、相手は5人いた全員殺すためには不利な状況だったよ、確実に殺すためにその場は我慢したよ。今日の野営に寝込みを襲い、一人ずつ殺そうと決めた時には後ろから魔物が迫ってきているということになっていたんだ

シスレーの殺すという決意が、僕は少し物怖じしていまう

一度はそいつらと離れた、私とメリアはPTメンバーの主力の二人が掛けている状況だった為、戦闘は極力行わないようにしていたが、何度かオークやゴブリンと対峙しながら森を彷徨った。森を走り抜けていると、少し開けた場所があったんだ、そこにはトロルが1匹いて冒険者と戦っている様子だった。うちたちは木の陰から、こちらが見つからないようそこを避けて通ろうとしたんだ

そしてその開けた場所から去り際に冒険者たちの様子を確認したらさ、そいつらはシンとエマを襲ったといっていた冒険者たちだったんだ。5人のうち4人は地面に血を流し倒れていた、そして最後の一人がトロルのこん棒でたたきつぶされる瞬間を見てしまったよ

ここまで喋るとシスレーの言葉にはもう力は無く、またいつもの口調に戻っていた

その後もね、メリアと逃げている最中に、メリアを守る事が出来ず魔物にやられてしまって、結局うちだけが生き残ってしまったんだよ・・・

最後にそういったシスレーは顔を伏せ、黙ってしまった

PTメンバーは死に、それを襲ったやつらも死んだ、後発組の責任者の青鎧も死んだ

誰がどの責任なども何もない、死んだやつらに罰は与えれないのだから

(これがシスレーさんのやりきれない気持ちか・・・)

それに僕はこの一連の流れを端々で知っていたのだ。昨日の夜、森付近で会話していたのだシスレーたちだ、僕は起きて様子を探っていた。行軍中30分後に少し止まったわけも分かった、開けた場所にいたトロルも知っている、戦っているのをみつけ手を貸してほしいを言われたからだ

このことを知ったからといって、僕にできることは無かったとも自分に言い聞かせる。僕は英雄でも勇者でもない・・・自分が助かるだけでも精一杯の凡人だからと

結局ぼくは何も声を掛けることが出来ず、ただその場に座って泣いているシスレーの横に座っていた

その後泣きつかれたのと、今日の出来事もありシスレーは僕の肩にもたれかかるように眠ってしまった

僕はシスレーを抱き上げ、ナタリーがいたテントへ連れて行った

まだナタリーがいたので、このテントは僕達のテントのようだ。シスレーを知り合いでPTを失った人と伝えたら、今晩は一緒にこのテントで寝かしてくれると言ってもらえたので、シスレーにリコールを掛けて、イベントリから僕の予備の衣服を出してシスレーをナタリーに任せた

その後、なんとなく一人になりたくて歩いていると、1本の大きな木の前までたどり着いた

この太さなら、枝も太いはずだと思い、上の方にある枝にブリンクをして幅3Mほどの枝の上に着地をした

イベントリからマットと毛布だけだすと、すぐに僕は深い眠りについたのだった
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