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第37話 トロルとの遭遇

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次の日の朝、橋を渡る所から始まった

結構な人数が今橋に乗っているけど大丈夫なのだろうか

グラグラ揺れている様に感じたが、そんな心配もよそに渡りきることが出来た

行軍中は昨日と違い何度も足を止めることが多かった

先頭では何度も魔物に出くわし戦っているようなのだ

シスレーさんたちは無事かな?そんなこと思っている午後1時ぐらい

先頭集団の戦いを足を止めてまっていると、後方にいる僕達も横の森から出てきた魔物の襲撃にあってしまった

「トロルがでたぞー!」

「いそげ!火か土の魔法使いかかれ!」

トロル5匹の襲撃だ

4mの大きな魔物だ、動きは少しのろいようだが巨体から繰り出すその攻撃の重さ、厚い皮膚からの頑丈な防御力、並みの攻撃ではほとんどダメージが入らないだろうと外見からでも容易に想像が出来た

それでも弱点はあるようで、火か土の魔法がきくようなのだ

トロルの払うのような腕の攻撃で、冒険者たちは次々吹き飛ばされていく

遠距離から弓矢でティアや他の冒険者の弓使いも攻撃はしているが、余り効果はなさそうだ。当たる場所によっては刺さりもせずその皮膚に弾かれているのだ

隊の後ろよりはE,Dランクで固められていた為、トロルが相手だとかなり厄介な相手のようだ

50人規模でも戦闘になっているが、連携や作戦はほぼないように見える

各々のPTで連携は取るが、他のPTとはタイミングなどにずれがでているのだ

タンクのような盾持ちがトロルの一撃をはじくと、ひとりふたりの剣士がその隙に一撃を入れるがただそれだけなのだ、他にも前衛職は周りにいるが別PTなのだろう、そのタイミングが合っておらず一緒には攻撃できていないのだ

トロルが剣で切られた箇所も、時間が立つとしゅーっと蒸発しているかの様にキズが塞がっている。驚くほどの再生能力があるようで、少しの傷は意味をなしていなかった

火魔法も飛び交う状況だ、火魔法は範囲攻撃のようで魔法使いと同じPTは魔法が飛ぶタイミングや魔法使いの掛け声で、トロルと距離をとるが他の冒険者はたびたびよそのPTの魔法使いの攻撃を当たっている

僕はティアの近くにいてその戦闘の状況を傍観しているだけだった。有効な攻撃手段がない為、万が一に備えティアの隣にいるのみなのだ

戦闘では積極的に参加しているPTと、僕の様に傍観しているPTに分かれていたのだ

多分傍観しているのは僕みたいなEランクの冒険者かな?トロルをみてすくんでいる様にも見える。それに有効な攻撃手段を持ち合わせていないのだろう

「ノエル君、お酒とファイアをお願い出来る?」

「お酒?なるほど、分かりました」

ティアには作戦があるようで、僕もなんとなくやりたいことが分かったのですぐさま実行する

大き目の鍋を取り出し、酒を入れて、ファイアを宙に浮かせた

「準備できました」

「おっけー、ありがとう」

ティアは矢じりに酒を浸し、ファイアで火を移して、即席の火矢を作成した

ティアが狙いをつけ

「必中の弓」

そう聞こえたと同時に矢が放たれた

ティアの弓矢が一匹のトロルの目に刺さった、トロルが目を抑えもがき苦しんでいる所をチャンスだとみて、他のPTの前衛職が一斉に足を狙い、転倒させた

その後は、火の魔法とティアの火矢にて丸焦げにされ、僕たちの一番近くにいたトロルは討伐できたのだ

まだ4匹のトロルを確認し、ここ以外はまだ討伐できていないようだった

トロルはやはり自己再生能力が高く、ティア達みたいに一気に攻撃を集中しなければ倒せる相手ではないようだった

1匹と対峙している一人の男をみる、骨砕きのドンダゴだった

Bランクというだけはあり、一人でトロルの相手をしていた

骨砕きの一撃でトロルの片腕が飛ぶ、部位欠損は再生に時間がかかるようだ、ここはあと少しで討伐できるだろう

その後1匹1匹と骨砕きや先頭集団のCランク、DランクPTの加勢によってトロルの襲撃は終わった

結局トロルの戦闘はただ見ているだけになってしまったが、ティアが活躍していたので良かったと思う

僕らの近くにいた、トロルを一緒に倒した3つのPTがティアのもとにきて戦闘での賞賛や、魔法で巻き込んで謝っていたりしていた。僕は少し離れて居心地の悪さを感じるのだった


その日の襲撃は何度も続き、冒険者たちは疲弊のもと野営地予定場所にたどり着いたのが8時だった。予定では5時の予定だったが想定よりも襲撃が多かったようだ

昨日の野営場所での騒ぎが嘘のように今日は静かだ

焚火をつけている所も少なく、この暗さの中、シスレーさんたちを探すのは無理だと断念した

明日の朝、少しふらついて探そう.そう思って、今日は出かけることをやめたのだ

今夜は僕たちのPTも見張り番の役があった、割り振られた時間帯は9時から12時の間だ

見張りと言っても、倒す必要はない。Eランクに求められている物は、見つけて知らせることだからだ

ティアと二人で馬車の上から、平原側北の方角の担当となる

「今日はティア、大活躍でしたね」

「そんなことないよー、あの目への一撃以外は対してダメージ与えれてないから」

「あの一撃から、トロルを倒せたんじゃないですか、他の皆さんも褒めてましたよ」

2人で眠気覚ましの為、今日の出来事を小声でしゃべる

収納からパンと熱々のミルクティーを取り出し、カップにそそぎティアに渡す

8時についたこともあり、食事はまだだったので収納にいれていた調理済みのものがすぐに食べれるのは、こういう場面ではかなり有用だと感じた

「ありがとう、お腹すいてたから調理済みは助かるよ」

「ですね、それにこんなに静まり返っているところでゴソゴソするのも気が引けますね」

今日は晴天だったので月明かりのみでも十分に回りが見える。焚火も付けているところは少ないが遠くは見え辛いが十分だ。こんな夜は討伐とは関係なく、気軽に星空のもとキャンプできる日がくればいいなと思う

アルたちは今日はあの村で野営をしているのかな、無事だといいけどなそんな会話をティアとしていると、すぐに交代の時間になり、僕達も休息となった

ティアは馬車の中にいき、僕は昨日と同じように、馬車に背中を預け座る形で眠りについた

眠りについてから、体感2~3時間くらい経ったころ

すこしガヤガヤしているように感じ、目を覚ます

どうしたんだろう?と、森側の方からざわつきが聞こえるきがする

ティアを起こすべきか悩んだが、一人で森側へ向かった

そこでは8人ぐらいが固まって話をしているようだった

少し離れた位置で話が聞き取れるぐらいまで近づき、馬車の陰に隠れ様子をうかがうことにした

「いつからいなくなったんだ?」

「3時からの交代の見張りをしている時です」

男の声と女の声だ

「もう1時間か・・・何かあるのかもしれないがまだ周りは暗く捜索はまだ無理だろう」

「そんな・・・分かりました」

会話の様子から女性の仲間がいなくなったようだ

魔物が出たとかだと思っていたが、そうでは無かったようだ

僕は危険察知も働いていないことなので、大したことはないと思いその場を後にした。少し冷たいようだが、僕にできることはないと思った

(う~ん・・・魔物の襲撃に備えて敏感になりすぎていたかな?)

そんな事を思って、ティアがいる馬車へ戻りもう少し寝ることにしたのだった
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