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第18話 戦士、エルフ、神官と魔法使い

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レベルアップを迎え1瞬間が経った頃

朝食を食べてギルドへ向かう途中、一番の露店でいつもの昼ご飯用のリンゴのようなものを買う

「いつもリンゴばっかり買って飽きないんだな」

やはりこれはリンゴだったようだ。毎日通っているが為に顔を覚えられたらしい

「これが一番好きなので、多分また明日も買いにきます」

今日は、ギルドのアビリティ適正が分かると言う物について聞きに行く予定だ

ギルドでアビリティの適正が分かるらしいので、能力値も分かるかもしれないと期待しているのだ。お金もそれなりぬ溜まってきた所なので、値段も把握して起きたかった

時刻は朝の10時ぐらいだ、ギルドでは7~8時ぐらいの時間が混んでいるため、その時間は避けてギルドに入るようにしている

ギルドへ着くと、いつもの受付嬢の所へ並ぶ。この時間はほとんど人はいないから質問しやすい

「おはようございます」

「おはようございます、朝受付へ来るって事は何か知りたい事でもあるのでしょうか」

受付嬢はにっこりと笑って、僕がする行動が分かっているように答えた

「ですね・・・アビリティ適正判断について、ギルドではいくらかかるのかなと思いまして」

「銀貨一枚で受け付けてますよ」

「銀貨一枚ですか、それは教会も同じですよね?」

「そうですね、教会だと同じ内容でそれ以上の金額を求められる所もあると聞きますね」

「なるほど、ありがとうございます」

金額は一律で決まっているようではなかった

「適正判断しますか?」

受付嬢は僕が質問したので、気を利かせ聞いた

「いえ・・・銀貨一枚だと10ラビット分なので、まだそこまでの余裕が・・・」

受付嬢はクスっと笑い
「お金をホーンラビット換算される方は初めてです」

「ホーンラビット以外にも安定出来る依頼があればいいのですが・・・」
遠回しにいい依頼が無いか聞いてみる

僕の言葉に、受付嬢はう~んと唸りながら
「少しギルドカードを貸して頂けないでしょうか」

と言われるので、バックパックからカードを取り出して渡す

受付嬢はカードを受け取ると、何かしら操作をした後に

「詳しくは言えないのですが、ノエルさんもあと少し頑張ればEランクへ上がれますよ。やってみたことの無いジャンルの依頼を受けてみてもいいのではないでしょうか」
また受付嬢はにっこりと微笑んで、アドバイスをくれた

「やってみたことの無い依頼ですか~・・・配達、討伐、掃除は散々したので後は採取だけですかね?」

受付嬢の顔色を伺うが無言で何も言わないが、笑顔がそうだと言っている様だ

「分かりました、やってみます」
受付嬢のその様子を見て、依頼ボードの前なや行くことに

常設依頼の薬草採取の依頼を眺める
(薬草採取って鑑定が無いと出来なくない・・・)

一度見本を見せて貰ったが雑草との違いがあまり分からなかった

でも受付嬢は言葉には出さなかったが、あれは採取依頼をやれと言っているようなものだった

どうしようかと、依頼ボードの前に立ち尽くしている時に後ろから声を掛けられた

「ずっと依頼ボードの前で考え事して、どうしたのかしら?」
後ろを振り返ると、以前ゴブリンから助けた神官のナタリーさんだった

「あ・・・こんにちは、この薬草採取をどうやって達成しようかと」

ナタリーさんの後ろには、剣を腰にさし盾を背負った男性と、エルフ?神秘的な美しさをした弓を背負った女性がいた

「薬草採取?」

「はい、どうやらEランクになる為には、採取の依頼をしないといけないようです」

「え?まだFランクなの!?あれからもう2週間はたってますわす!?」

僕の返事に、また圧をだす神官さん

「えぇ~・・・そんな事いわれても」
その圧に気押されてしまっていると、戦士風の男性が

「ナタリー、ちょっといいか。前に言っていた魔法使いにツテがあるって言ってたやつって、このラビットハンターの事か?」

戦士は僕がラビットハンターの異名を持っている事を知っている様だった

「ラビットハンター?あの最近、たまに噂に聞く?」
神官さんはラビットハンターの存在は知っていても、それが僕と言う事は知らなかった感じだ

「はい、いつの間にか周りにそう言われていますアハハ」
僕は少し、自分が有名になっている事に照れた

「アハハってバカにされてるじゃない!ホーンラビットばかり狩ってるから、まだFランクなのよ!」

でも、神官さんの反応が思っていたのと違い

「えっバカにされてたんですか!?自分では冒険者として認知されて、箔がついたなと喜んでいたのに・・・」
馬鹿にされていたなんて思っても見なかったのだ

「箔って、こいつおもしれーな。だからいつも、ホーンラビットを背負ってる時堂々としてたのか」
戦士は大声で笑っている、エルフも顔を背けているが笑っている様に見えた

「周りも持ち上げてくれているものだと思って、毎日頑張ってたのに・・・」
僕のその一言に、戦士はまたゲラゲラと笑った

「ひー、そんなに笑わすなよ、こいつ気に入ったわ、もしPT入れるなら歓迎だ」
戦士はヒーヒーと、笑いの余韻に浸かり僕の背中を叩いた

「えっまだPTに入る約束なんて、ナタリーさんとはしてないような・・・」
話が勝手に進んで行くことに危うさを感じるが

「でも、あなた採取依頼出来ないのでしょ?ちょっとあちらで少しお話ししましょう。アル達も少しだけいいかしら?」
「あぁいいぜ」
「いいよー」

僕は引っ張られるように、ギルド内にある酒場へ連れていかれ、最初に自己紹介をされた

戦士風の男性はアルフレッド。髪は赤毛の短髪に、身長は190cmはあるぐらいの長身。イケメンというより、男前と言った方が似合う顔立ちでこのPTのリーダーだそうだ

エルフの女性の名前はティア。白に近い金色の髪を結っている。スタイルは出るとこは出て、引っ込む所は引っ込み、その美しさは誰もがすれ違うと後を振り向くだろう

全員Eランクで冒険者歴は3~6ヶ月の間、歳は聞いて無いが見た目からして皆んな20歳前後に見える

アルフレッドは戦士。アタッカー兼タンク
ティアは中衛。斥候兼弓使い、魔法も少し使えるようだ
ナタリーは後衛。回復支援担当

僕も水の魔法使いとして自己紹介をした後に、色々と質問を受けた

特にどうやってラビットを綺麗に狩っているのかが、一番興味を惹かれているようだ
簡単にスリップとウォーターで狩っていると説明したら、また笑われたが感心もされた

「で、本題に入りますが、FランクからEランクへ上がる基準は知ってますの?」

一通り挨拶も終わりかけた時、神官からそう尋ねられるが

「えっそれは公開されてませんよね?」
まるで知っているかの様に神官は聞いてきた

「大々的には公開されて無いが、先輩冒険者が教えてくれるだろ」

「え~っと・・・あまり他の人と交流が無かったので」
転生者という事もあり、積極的に他者との交流を避けていた為の弊害がここに出ていたようだ

「交流が無いって、でもそうか・・・ラビット狩って査定して、直ぐにラビット狩りに出て行くもんなクククッ」

「まぁ基本そうですね・・・」
誇らしげにホーンラビットを背負っていた自分が恥ずかしい・・・

「狩りばっかりやっていても、FランクからEランクには上がれないのは知ってるの?」
柔らかな口調のエルフのティア

「はい、それを今日何となく受付嬢からアドバイスを頂いて、採取に挑戦しようか悩んでました」

「わたくしが聞いた話ですが、FランクからEランクへ上がる条件は、配達、掃除、討伐、採取の依頼を一通りこなすというものです」

神官の話を聞く限り、受付嬢さんが進めてくれた事は本当のようで、その優しさに嬉しく思った

「それか、討伐依頼の自分より高いランクの魔物を5回ほど討伐証明を持ってくるっていうのも、俺は聞いたぞ」

「なので、FランクからEランクに上がるのは早くて2日、遅くて一週間と言われてます」
神官が話をまとめ、Fランクというのは新人の中の新人という事を知った

「へぇ~、そうなんですね。その倍かかっても僕はFランクのままですよ」

(なるほどね~、上位の魔物を倒す実力か、1人で全て出来る技量か、それ以外はPTを組む前提かのどれかなっているっ事なんだ)

ランクの上がり方に、何となく納得してしまった

「私、植物学のアビリティがあるから、薬草採取なら手助け出来るよー」
そして今、薬草採取で困っていると言う所で、エルフから手伝いの提案をしてくれるのだが

「え・・・見ず知らずの人に手伝いを求めるのは悪いですよ」
願ってもない提案だが、人の好意に直ぐに甘える事が出来ない性分なのだ

「見ず知らずって先程、自己紹介もおわりましたよね?あれは顔合わせも兼ねてましたのよ」

「ん~・・・?やっぱりあれってそうだったんですか?
何か勝手に進むなと思っていたが、やはりそう言う事だったようだ

「そりゃそうだろ。俺はお前が気に入った」

「私も魔法使い君がPTに入るのさんせー」

戦士とエルフはいきなりの紹介にも関わらず、歓迎ムードを出してくれている

「別にあなたにも悪い提案じゃないと思うのですが、こちらとしても魔法使いがPTにいるのは、ものすごくアドバンテージがあり、お互いにいい条件だと思いますの」

(う~ん・・・確かに1人では採取依頼がこなせないし、ダンジョンに入るとなると知識も足りないか・・・)

ブリンクが使えないのはかなりのデメリットだが、ここで断る理由を尋ねられたら答える事が出来ないと感じ

戦士、神官、エルフを一通り見渡し、悪い人達では無さそうだと思った。僕はPT申請の提案を受ける事にした

「そうですね、至らない点が多々ありますが、よろしくお願いします」

「おう、まだ喋り方が堅いがこれからだな、よろしくな!」
「よろしくね」
「よろしくお願いしますわ」

アルフレッド、ティア、ナタリーから歓迎されて、僕はこの人達のPTに入る事になったのだ

「さっそく、今日中に薬草の採取してラビットハンターのランクをEに上げるか」

「いいんですか?今日は何かの用事で集まっていたとかじゃないんですか?」
アルフレッドが僕の為に言ってくれるが、やはりまだ直ぐに人の好意に甘えれず、聞き返してしまう

「今日はダンジョンに潜る為の作戦会議で集まったからいいんだよ、お前が一緒に潜れたら作戦も変わるからな」

「だねー、君がいれば水は任せたいから、持ち物も変わってくるよ」

「魔法使いは貴重なの、頼りにしてますわ」

「そう言うことであれば、よろしくお願いします」

僕が思っているよりも、この世界では魔法使いは少ないようだ

その日のうちに、薬草採取とPT登録を終えて、僕はあっさりとEランクへと昇格した

PT登録も、ギルドへ申請と言うだけでメニューバーが出てはい、いいえとかでは無かった

ランクが上がった後に、PTメンバーの行きつけの酒場へ連れて行かれ、これからの予定などを聞き交流を深めた

ダンジョンに潜る日程は3日後だ
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