ソラノカケラ    ⦅Shattered Skies⦆

みにみ

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中章

代機

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「えぇ…まじで廃棄処分なのか?」

「あったりまえでしょ!あんな片羽イーグルどうしろっていうのよ
 解体して共食い整備されるのがオチだわ」

「マジかぁ…俺の命の恩人なのに」

「人じゃないでしょ」

天帝隊を撃墜して片羽で景都を基地へ送り届けたF-15Cは
修理されることもなくそのまま解体することになってしまった


「あんたには別の機体を用意してあるわ ついてきなさい」

言われるがまま鳥の雛のようにてくてくと後ろについて歩く

「あんた、イーグル以外操縦したことあるの?」

「え?あるわけない 練習機ならいけるけど」

「あっそう ならいいか」

「?」

「他のみんなには知ってると思うけどF-35が支給されるから」

「え、俺違うの?」

戦線の前進を見た米国は台湾にF-35A型の初期ロットを
供与することに決めた
その機体は唯一まともな能力を持つこの志向基地に運ばれてくる

「あんたはイーグル系列よ」

「なんでみんな五世代機なのに俺だけ四世代機なの~」

「うーるーさーい 基地司令の命令よ」

そんなことを話しながらいつもの格納庫の
滑走路を挟んで反対側に出る

誘導路が地下へと伸びていく先には
分厚い鉄製の扉が

「ここ、にあるのか」

「えぇ、元々は米軍機体を隠すのに使ってたバンカー
 今はほぼ私の部屋みたいなもんだわ」

「えぇ………」

暗証番号を入れて扉が開く

ぐーーーーん


景都が見つめる視線のその先にある………

「榛名 電気つけて」

「あっごめん」

電気がついて機体が照らされる

「おいおい…マジかよ」


機種は普通のイーグル
しかし、エアインティーク横には大きなカナード
エンジンの排気口は上下に稼働する二次元推力偏向ノズル

米国に一機しかないF-15S/MTD そのものだ

「MTD………?」

「そうよ 数年前に研究が終わったのは知ってるでしょ?
 廃棄処分だったのを安く上が譲り受けたの」

「内部のシステム類は…」

「F-35と同等のものに換装済み
 動翼類は新型のもっと軽いものに変更
 格闘性能ならカナード&三次元推力偏向ノズル付き
 フランカーにも劣らないわ」

「機銃は?」

従来のF-15S/MTDでは
エアインティーク横の20㎜バルカン砲を発射すると
カナードを撃ち抜いて墜落してしまう危険があった

「Yes!もちろん解決済みよ
 20㎜バルカン砲を高初速長砲身30㎜単装機関砲に換装
 干渉することをなくしてさらに高初速で当てやすく、
 口径の大型化で威力も増加 まぁ、秒間あたりの投射量は減ったけど
 1発あたりの威力でトントンね」

「神ですか榛名様」

「そうよ もっと讃えなさい」

「ははーっ」

自分を生きて基地に帰らせてくれて
今にも廃棄処分になりそうなF-15Cのことなど
既に眼中にない景都だった
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