戦艦タナガーin太平洋

みにみ

文字の大きさ
上 下
10 / 11
第三次ソロモン沖海戦第二夜戦

米戦艦2隻撃沈破

しおりを挟む
ワシントンにサウスダコタが追突してしまい

ワシントンは推進器2基を損傷し
サウスダコタの艦首は下部が抉れてさながら鱶のようになってしまい
どちらとも速力が大きく減少してしまう

そこに次々と36糎砲弾や高初速40糎砲弾が殺到する


「ってー!」

タナガーによる第五斉射
オーパーツレベルの精密レーダーによる射撃は
寸分違わず敵一番艦、ワシントンの艦体に着弾する
一発一発の被害はあまり大きくなくとも
船体へのダメージは蓄積していっていた

36糎砲弾は装甲を貫通することはできない
しかし、着弾すればその分艦は揺れて射撃がしにくいし
小さめの船体に所狭しと置かれたレーダー、副砲、機銃群は
大口径弾に耐えれるはずがない


次々と副砲なども吹き飛び
着実に戦闘力は低下していく



「レーダー上の小型艦が高速接近 駆逐艦 34ノット」

「副砲撃ち方用意 主砲敵小型艦へ
 トマホーク撃ち方用意 目標敵一番艦」

「宜候 CIC指示の目標 敵一番艦
 トマホーク1、6番投射用意 」

「距離17000 トマホーク発射!」

明るく輝く槍が敵戦艦へと向かう


……………

「高速の飛翔体が接近中 およそ500マイル!」

「対空戦闘!」

「対空砲群全滅しております 有効な対空火器がありません」

その間にも砲弾が降ってくる

「一番砲塔被弾しました 砲塔員と連絡が取れません
 弾薬庫温度危険温度まで上昇 注水開始します」

「敵高速飛翔体接近!」

水面ギリギリを飛んだトマホークは近づくとともに
急に高度を上げて 真上から突っ込む

真上から突入箇所を選べるとなれば突っ込む場所は決まっている

煙突だ


突っ込んだトマホークは日本戦艦のように蜂の巣装甲が施されていない
煙突を突き破りボイラー付近で起爆する

すでに被弾で半数が故障していたボイラーに致命傷を与える

「Damage report!」

「機関損傷 航行不n…」

損傷報告の途中に腹の中から揺するような
轟音が響いて艦橋員たちが吹き飛ぶ

「何があった!」

「おそらく…ボイラーによる水蒸気爆発かと…」

トマホークによる内部からの爆発により
機関室の装甲板が破壊されて浸水が発生していた
その海水が真水不足で冷却しきれず熱されていたボイラーに触れ
瞬時に蒸発したことにより体積が一瞬で数百倍に増えて大爆発を起こしたのだ

「Sit!総員退艦命令!」

2034時 戦艦ワシントン 水蒸気爆発による機関停止
被弾による各所の損傷、ダンやウコ誘爆の危険性増大により放棄
乗員、士官計1800名中 生還者は1400名


「ワシントンは艦を放棄した模様です」

速力を20ノットまで下げて砲撃に入ろうとするサウスダコタだが
そこに次々と砲弾が降ってくる

ワシントンと同様にレーダー機器は破壊され
統制射撃はすでに不能で実質的に交戦能力は失っていたが
流石の米帝 主砲に備え付けられた測距儀で直接照準射撃を開始する

観測点が低いため、制度はあまり良くなかったが
散布界がかなり広かったため
散弾銃のような使い方ができ
一発が霧島に命中してしまった

40.6㎝砲弾は不運にも霧島の一番砲塔の側面を捉えた

装甲板は容易く貫通されて砲塔内部で起爆
砲弾、装薬に火をつけて
1番砲ごと吹き飛ばす大惨事となった

即時の注水によって隣接する2番砲塔弾薬庫への誘爆は免れたものの艦首から
1番砲塔までがごっそりなくなってしまった

「ワレキリシマ カンシュタイハ テッタイス」
という発光信号を発しながら朝雲に護衛されながら転舵して
戦場を後にしていった

サウスダコダの艦内はワシントンの敵討ちだ
と歓喜に沸いたが、それが続いたのはごく短い時間だった

「ジャップの巡洋艦2隻のうち1隻を仕留めたか 残るは戦艦、巡洋艦か」
(タナガーを戦艦 金剛型2隻を巡洋艦と誤認)

ギャッチ艦長がそう呟いた瞬間、敵艦隊の方向、右舷に次々と水柱が立ち衝撃が走った
艦橋の床がめちゃくちゃに揺れて
艦橋員を飛ばした
衝撃が収まると同時に傾斜がはじまる 速力も目に見えるほど落ちたようだ

「Damage report!」

「艦首、中央に計九発被雷した模様!機関破壊 傾斜増大中」

「Sit!艦の保持に努めよ!絶対に沈めるな」

そうは言うものの傾斜はみるみる間に増えていき
すでに二十度を超えた
艦橋から手を伸ばせば海面に手が届いてしまいそうだ

「Damn you Jap……… 総員退艦」


そう呟いて艦長室へと閉じこもった


その2分ほど後サウスダコタは傾斜増大により転覆し沈没した
乗組員2500名のうち生還できたのはたった200名ほどで
理由としてはギャッチ艦長が艦の保全に務めるよう命令を飛ばして
数分後に退艦命令が出たことにより
艦深部の避雷箇所や浸水を食い止めるための水密隔壁を閉めていたため
脱出することができず、多くの乗員が艦内でそのまま沈んでいった

のちの引き上げ調査で乗組員の多くは意識を保ったまま沈没しており
各隔壁内で孤立した兵士達は遺書を書いてそのまま酸欠により死亡したことがわかっている
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原

糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。 慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。 しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。 目指すは徳川家康の首級ただ一つ。 しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。 その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

【架空戦記】蒲生の忠

糸冬
歴史・時代
天正十年六月二日、本能寺にて織田信長、死す――。 明智光秀は、腹心の明智秀満の進言を受けて決起当初の腹案を変更し、ごく少勢による奇襲により信長の命を狙う策を敢行する。 その結果、本能寺の信長、そして妙覚寺の織田信忠は、抵抗の暇もなく首級を挙げられる。 両名の首級を四条河原にさらした光秀は、織田政権の崩壊を満天下に明らかとし、畿内にて急速に地歩を固めていく。 一方、近江国日野の所領にいた蒲生賦秀(のちの氏郷)は、信長の悲報を知るや、亡き信長の家族を伊勢国松ヶ島城の織田信雄の元に送り届けるべく安土城に迎えに走る。 だが、瀬田の唐橋を無傷で確保した明智秀満の軍勢が安土城に急速に迫ったため、女子供を連れての逃避行は不可能となる。 かくなる上は、戦うより他に道はなし。 信長の遺した安土城を舞台に、若き闘将・蒲生賦秀の活躍が始まる。

土方歳三ら、西南戦争に参戦す

山家
歴史・時代
 榎本艦隊北上せず。  それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。  生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。  また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。  そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。  土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。  そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。 (「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です) 

風を翔る

ypaaaaaaa
歴史・時代
彼の大戦争から80年近くが経ち、ミニオタであった高萩蒼(たかはぎ あおい)はある戦闘機について興味本位で調べることになる。二式艦上戦闘機、またの名を風翔。調べていく過程で、当時の凄惨な戦争についても知り高萩は現状を深く考えていくことになる。

戦争はただ冷酷に

航空戦艦信濃
歴史・時代
 1900年代、日露戦争の英雄達によって帝国陸海軍の教育は大きな変革を遂げた。戦術だけでなく戦略的な視点で、すべては偉大なる皇国の為に、徹底的に敵を叩き潰すための教育が行われた。その為なら、武士道を捨てることだって厭わない…  1931年、満州の荒野からこの教育の成果が世界に示される。

処理中です...